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日系企業が知っておくべきVAT・CSTにまつわる4つのFormとは?

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インドでビジネスをしている日系企業は、日々さまざまな税金を納付しています。特に商社や製造業は、TDSやサービス税の他にも、物品を販売した際に課税されるVAT(Value Added Tax:州付加価値税)やCST(Central Sales Tax:中央販売税)、そして、物品を製造して出荷した際に課税されるExcise Duty(物品税)など、納付すべき税金の種類が多くなりがちです。州をまたいで物品を購入もしくは販売するかによって、また、物品を輸入もしくは輸出するかによって、納付すべき税額が変わってくるので、各企業のビジネスモデルごとにどのような取引スキームを採用すべきかの十分な検討が必要です。今回は税金コストを低く抑えるために日系企業が最低限知っておくべきVAT・CSTにまつわる「4つのForm」についてご紹介をしたいと思います。

 

州をまたいで物品を購入もしくは販売した場合の軽減税率について(Form C)

 同じ州内で物品を購入もしくは販売する取引にはVATが課税され、日本の消費税と同じように、仕入先に対して支払ったVATと、クライアント(バイヤー)から受け取ったVATをお互いに相殺した残りを税務当局に納税することになります。一方で、州をまたいで物品を購入もしくは販売する取引にはCSTが課税されます。(※原則、VATもCSTも税率は同じで、物品によって一定の税率が規定されています。)。ここで問題になるのは、CSTを支払った場合にはこの支払税額をクレジット(税額控除)として相殺に利用することができず、そのままコストになってしまう点です。そこで、この税金コストを軽減するために登場するのが税務当局が発行するForm C(証明書)です。つまり、バイヤーが仕入先に対してForm Cを提供した場合のみ、支払うべきCSTの税率を2%に軽減することができます。逆の見方をすると、販売元はバイヤーからForm Cを取得した場合のみ、バイヤーから受け取った2%のCSTのみを税務当局に納税すればよいことになります。

ここで注意が必要なのは、このForm Cが発行されるタイミングです。Form Cはバイヤーが税務当局に対して申告を行った月以降にしか発行されません。つまり、販売元はバイヤーが翌月以降3ヶ月以内にちゃんとForm Cを提供してくれることを信じて、2%というCSTの軽減税率を適用した請求書を発行することになります。しかしながら、もしバイヤーがForm Cを発行してくれなかった場合には、軽減税率は無効となり、販売元は実際にはバイヤーから2%のCSTしか受け取っていないにもかかわらず、VATと同じ高い税率の税金をバイヤーの代わりにインド税務当局に納税しなければならなくなります。したがって、州外への販売が多い日系企業は特に、クライアントごとにこのForm Cを適時に取得できているか、そして、適切に管理されているかをモニタリングしておくことが重要となります。(※なお、タミル・ナードゥ州から他州に物品を販売した場合に適用されるVATクレジットの3%リバース規定は、同州における規制緩和として2015年4月以降撤廃されました。)

図1

 

 

州をまたいて物品の移動を行った場合のCST免税について(Form F)

 物品を他州の支店などに移転させる場合(在庫移転)には、販売取引には該当しないため、原則、CSTは課税されません。この「販売取引ではない」ことを証明するために登場するのがForm F(証明書)です。つまり、移転先である支店等は、税務当局に対してForm Fの発行依頼を行い、物品の移動明細と合わせてForm Fを移転元にて保管しておく必要があります。もし、これらの書類に不備があった場合には、在庫移転としてのCST免除が否認されてしまうため、通常の税率でCSTの納税義務を負ってしまう可能性があります。実際に、税務当局から書類の不備を指摘されて、不必要な追徴課税を受けるケースが散見されるため注意が必要です。

なお、2015年12月現在、タミル・ナードゥ州から他州に在庫移転する場合、州内で支払ったVAT税率の5%までの部分については、全体の売上に対して州外売上が占める割合分だけ、VATクレジットをリバースする必要があります(=つまり、その割合部分だけ税額控除として認められない)。このVATリバースの税率は州によって違うため、州をまたいだ販売とすべきか、在庫移転を行ってから州内販売とすべきか、州ごとにどちらにメリットがあるのかを十分に検討する必要があります。

図2

 

購入した物品をインド国外に輸出する場合のVAT還付申請について(Form W)

購入した物品、もしくは、購入した物品を使って製造した製品を、インド国外に輸出する場合、購入した際に支払ったVATのうち、全体の総売上のうち輸出売上が占める割合部分についてのみ、輸出後にVATの還付申請をすることが可能です。この還付申請をする際に利用するのがForm W(申請用紙)です。Form Wによる還付申請を行ってから1~2ヶ月程度で還付がされることになっていますが、金額によって、また、提出した書類によっては3~6ヶ月と還付されるまでの期間が長期化することもめずらしくありません。当該VAT税額が資金繰りに与える影響は決して小さくないため、還付を受けることができるまで定期的かつ粘り強くフォローアップをしていく必要があります。

ちなみに、タミル・ナードゥ州にはForm WWというものもありますが、これは年間の売上高が1,000万ルピーを超える場合に、インド勅許会計士等によってVATのコンプライアンスに関して監査を受ける必要があるVAT監査(VAT AUDIT)のレポートの書式のことを指し、Form Wとは全く別のフォームです。

図3

 

購入した物品をインド国外に輸出する場合のVAT・CST免税について(Form H)

購入した物品、もしくは、購入した物品を使って製造した製品を、インド国外に輸出する場合、VATの還付を受けることができるのは前述のとおりです。一方で取引の見方を変えると、物品の販売元であるサプライヤーや製造業者にとっては、バイヤーが代わりに輸出を行っていることになり、つまり、Deemed Export(みなし輸出取引)を行っていると考えることができます。この場合、税務当局によって発行されるForm H(証明書)をバイヤーが取得し、サプライヤーや製造業者が関連書類と合わせて社内に保管をしておくことで、VAT・CSTを免税にすることが可能です。このスキームは、VAT還付申請と比べて、(一時的であっても)VAT・CSTの税金を一切負担する必要がないため、バイヤーの資金繰りに負担をかけずに取引を行うことができる点において大きなメリットがあります。

Form Cと同様、ここで注意が必要なのは、Form Hが発行されるタイミングです。Form Hはバイヤーが税務当局に対して発行依頼を行い、申請後1~2ヶ月程度で税務当局によって発行されるのが一般的です。つまり、販売元であるサプライヤーや製造業者は、バイヤーが近い将来ちゃんとForm Hを提供してくれることを信じて、VAT・CSTを免除した請求書を発行することになります。請求書を発行する際には、当該物品は輸出されることを前提とした取引である旨を明記し、請求書単位での免税申請を行うことになります。当該Form HによるVAT・CST免除を活用したインド国外へのDeemed Export(みなし輸出取引)が多い日系企業は、バイヤーごとにこのForm Hを適時に取得できているか、そして、適切に管理されているかをモニタリングしておくことが重要となります。

図4

(↓インドでは珍しい?ビーフビリヤニのお店!これがなかなか美味い!)IMG_2781

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