インドのその他ビジネス事情

インドのその他ビジネス事情

税金がよく分からん!レシートの謎にせまる

お店やレストランでお金を払うとき

最近よくレシートをチェックするんですが、

結構な確率でまちがってますね、笑

注文してないものが含まれていたり

注文したものが含まれていなかったり

逆に金額が少なかったりすることもあるので

悪気があるというよりは単純にテキトーすぎるっていう、笑

 

さて、そんなレシートに書かれている税金について今日はご紹介したいと思います。

レストランでは主にVAT(州付加価値税)、サービス税、サービスチャージ

の3つが合計金額に上乗せされて請求されるケースがほとんどです。

まず最初に、以前から個人的にひとつ腑に落ちないのは

食事をした総額に対してVATとサービス税の両方が課税されているという点です。

 

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例えば、先日ハンバーガー(575ルピー)とコーヒー(150ルピー)を注文しました。

合計で725ルピーですが、この総額に対して(タミル・ナードゥ州の場合)VAT 14.5%と、

サービス税4.95%、サービスチャージ6%が請求されています。

「二重課税じゃないか!」と言いたくなるのですが、

これが現状のインドにおけるレストラン課税システムです。

レストランは食べ物だけを提供しているのではなく、

テーブルや椅子、インテリアや音楽、そして、エアコンの効いた快適な食事環境という

“サービス” を提供しているからサービス税も課税される、というのが理屈です。

ただ、もちろん食事代金の100%がサービスに該当するわけではないので

通常のサービス税の税率12.36%の代わりに、軽減税率4.944%が適用されています。

つまり、12.36%のうち60%部分は免除されていて、

12.36 × 40% = 4.944%が課税されているわけです。

食事代金総額のうち60%が食べ物代金、40%部分がサービス代金というイメージですね。

ただ、結局VATについては食事代金の100%に対して

課税されていることを考えると「なんだかなぁ。やっぱり二重課税やん」という感じです。

ちなみに、サービスチャージは「チップ」に当たりますので

レシートにサービスチャージが請求されていれば、

別途さらにチップをあげる必要はない、と考えて差支えないと思いますが、

高級レストラン等ではさらにチップを払うインド人をよく見かけます。

 

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ここで、別のレシートを見てみましょう。

ここでは食事代金の総額3,013ルピーに対して、VAT 2%

サービス税4.944%、サービスチャージ10%が請求されています。

そう。VATの税率が違うんです。

これは総じて見るとレストランのレベルによってこのような違いが生まれています。

だいたい4つ星や5つ星等の高級レストランではVAT 14.5%が請求され、

3つ星以下の中級以下のレストランではVAT 2%を請求しているケースが多いようです。

ちょっとばかしお固い経理の話になってしまいますが、

このVAT 14.5%を採用しているレストランは

Input Tax Credit Methodというスキームを採用していて、

富裕層をターゲットにしているためにお客さんには高い税金を請求する代わりに、

レストランは食材の仕入等の際に支払ったVATを控除できるメリットがあります。

一方で、VAT 2%を採用しているレストランは、

Compound Tax Methodというスキームを採用していて、

中間層以下をターゲットにしているためにお客さんには低い税金を適用できる代わりに、

レストランは食材の仕入等の際に支払ったVATを控除することが認められていません。

つまり、レストランが仕入時に支払ったVATはそのままレストランの負担になります。

消費者に多く税金を払わせればレストランもメリットを享受できるという仕組みです。

 

さて、私たちがよく利用するスーパーマーケットの場合はどうでしょうか。

結論から言うと、スーパーでは基本的にVATのみです。

ただ、日本とは違って商品によってVATの税率が違うので

タミル・ナードゥ州の場合は概ね(1)免税、(2)5%、(3)14.5%

の3つに分けられているケースが多くなっています。

こないだ買い物に行ったときのレシートを見るとこんな感じ。

 

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マッシュルームは免税、チキンと魚は5%、バターは14.5%という具合です。

他にも例えば、州外や国外から輸入したお酒は58%のVATが、

タバコには20%のVATが課税されたりします。

私たちが払っている税金はVATやサービス税だけではありませんが、

課税の仕組みから、それぞれの税率までとにかく複雑難解。

もう少しシンプルにしてほしいですね!

 

(街中で見かけた金色のベンツ。ぶっ飛んだ成金野郎だ、笑!)

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インド外国貿易政策(Foreign Trade Policy 2015-2020)の概要

モディ政権の政策“Make in India”に関連して、

2015年4月1日に今後5年間を対象とする

外国貿易政策(Foreign Trade Policy)が発表されました。

具体的には主に“製造業”および“サービス業”促進のための

優遇制度の簡素化と新たな枠組みの制定です。

今日はそんな新たな枠組みの中から

日系企業にとって影響のありそうなものを中心にいくつかご紹介したいと思います。

 

1、商品輸出スキーム「MEIS:Merchandise Export from India Scheme

これまでも商品の種類ごとに5つの輸出恩恵スキームが設定されていましたが、今回の外国貿易政策によってこれらが単独のMEISスキームとして統合され、当該スキーム適用企業には取引実績に基づいて譲渡可能なクレジット証書(Duty Credit Scripts)が発行されることになります。当該クレジット証書を利用することよって、輸入時の支払相殺関税、及び、国内調達時の支払物品税、サービス受領時の支払サービス税に対して、原則、FOB価格に一定料率をかけた金額が相殺/払い戻し(Duty Drawback)可能となります。

 

2、サービス輸出スキーム「SEIS:Service Export from India Scheme

これまで「インドのサービス提供者(Indian service providers)」に対して設定されていたスキーム“SFIS(Served From India Scheme)”が、「インドに拠点を置くサービス提供者(Service providers located in India)」にまで拡大され、あらたにSEISスキームとして新設されました。具体的な恩恵としては、純外貨獲得高(NFE:Net Foreign Exchange Earned)の3%もしくは5%をかけた金額が適用され、MEISスキーム同様、譲渡可能なクレジット証書が発行されることになります。当該クレジット証書を利用することによって、支払関税、支払物品税、支払サービス税に対して相殺/払い戻し(Duty Drawback)が可能となります。

 

3、ステータス認証保持者「Status Holders

インドの輸出貿易産業に貢献している企業に対して、その輸出額(米ドルでの外貨獲得高)に応じて一つ星から五つ星の五段階のステータス認証の付与を行い、一定の特権を与える政策が発表されています。具体的には以下の区分のとおり分けられており、ステータス認定保持者は、特恵貿易協定PTA(Preferential Trading Agreement)や自由貿易協定FTA(Foreign Trade Agreement)、包括的経済連携協定CEPA(Comprehensive Economic Partnerships Agreement)などの貿易優遇措置を適用する上で自己認定(Self-Certification)が認められます。(※認定日から5年間有効)

 

ステータス認証区分

輸出額:FOB価格

(直近3年間の米ドル累計)

1.

One Star Export House(★)

3,000,000

2.

Two Star Export House(★★)

25,000,000

3.

Three Star Export House(★★★)

100,000,000

4.

Four Star Export House(★★★★)

500,000,000

5.

Five Star Export House(★★★★★)

2,000,000,000

 

4、EPCG(Export Promotion Capital goods)スキームの条件緩和

現在、当該EPCGスキーム下においては、通常の輸出義務として、免除された関税額の6倍となる輸出額を6年以内に達成すること、という条件が課されています。一方で、インド国内製造業者から資本財を調達する場合においては当該輸出義務額に対して90%の軽減税率が適用されますが、今回発表された外国貿易政策において、国内資本財メーカーの産業促進を目的に当該軽減税率が75%に軽減されます。また、当該スキーム適用において要求される一定の書類保管義務が3年から2年に短縮されることが発表されました。

 

5、各種書類の電子申告及びペーパーレス取引の導入

輸出にかかる上記恩恵を申請するには、一定の申請書(Form ANF3AやForm ANF3Bなど)を商工省の外国貿易部(DGFT:Directorate General of Foreign Trade)のウェブサイトから入手し、電子署名を用いたオンライン申請をすることになりますが、これまではインド勅許会計士やカンパニーセクレタリー、原価勅許会計士等が発行する証明書等は電子申告による提出は認められておらず、当局に対して物理的に提出をする必要がありました。今後はこれら一連の申請手続きやその他関連手続が随時電子化・ペーパーレス化されていくことが発表されました。

 

Source : http://dgft.gov.in/exim/2000/ftp2015-20E.pdf (Original)

Source : http://dgft.gov.in/exim/2000/highlight2015.pdf (Highlight)

Source : http://dgft.gov.in/exim/2000/AppANFS2015.pdf (Appendix)

 

(↓↓ BBQ好きには必須の近所にある木炭専門店↓↓)

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法人設立手続き(1)前編:法人設立登記まで

事業立ち上げの準備でバタバタしており

前回の更新から随分とご無沙汰してしまいましたが、

法人設立手続きおよび設立後に必要となる手続について

以下のとおり3回に分けてご紹介したいと思います。

 

 

(1)前編(法人設立登記まで)

(2)中編(設立後の必ず必要な手続き)

(3)後編(状況に応じて必要な登録手続き)

 

 

(1)前編(法人設立登記まで)

2014年4月以降に新会社法が施行され、

全ての取締役がDSCを取得しなければならなくなる等の変更点はありますが、

法人登記が完了するまでの基本的な手続きについては、

下記に示した通り7つのプロセスに分けることができます。

書類の作成準備から起算して法人設立登記までに概ね2~3ヶ月かかります。

 

No.

手続

注意すべきポイント

1. DSC

電子署名証明書

アポスティーユ認証の付与が必要
2. DIN

取締役識別番号

アポスティーユ認証の付与が必要
3. Pre-name approval

商号事前承認

アポスティーユ認証の付与が必要
4, MOA & AOA

定款および付属定款作成

アポスティーユ認証の付与が必要ただし、取締役会における代理人の選任、もしくは、委任状によってアポスティーユ認証付与は省略可
5. Office Registration

事務所所在地の登記

事務所オーナーからのNOC(異議無し証明書)オーナ名義の電気代や電話代請求書コピー等が必要
6. Appointment of Directors

当初取締役の選任・登記

宣誓供述書(Form INC-9)はアポスティーユ認証の付与が必要、その他同意書等含め事前準備が必要
7. Certificate of Incorporation

設立証明書の取得

 

一連の設立手続きにおいて注意すべきポイントについて

以下に3つご紹介させていただきたいと思います。

 

① 公証人役場等でのアポスティーユ認証付与

必要書類を作成していく中で、パスポートや運転免許証のコピー、取締役会の決議書、宣誓供述書等、公証人役場でのアポスティーユ認証の付与を求められる書類があります。原本を提出する必要がある場合には、書類の準備に相当の時間がかかってしまうため、出来る限り事前に書類作成を進めておくことで、効率良く設立手続きを進めることが可能です。(日本とインドはハーグ条約を締結しているため、原則、外務省からの認証は不要です。)

 

② 定款及び付属定款への署名

法人設立時には定款及び付属定款を作成し、出資者が署名をした上でインド登記局へ届

出を行う必要があります。日系企業の場合には、この出資者がインド国外にいるケースがほとんどのため、通常はこの定款及び付属定款への署名後にアポスティーユ認証の付与を受けなければなりません。しかし、取締役会や委任状によって事前にインド国内にいる個人を代理人として選任しておくことで、インド国内文書としてアポスティーユ認証の付与を省略することが可能です。(インド在住の日本人が代理人になる場合にはパスポートの入国日が確認できるページのコピー等が必要となる可能性あり)

 

③ 状況に応じて提出が求められる書類

インド登記局の担当者気まぐれなのか分かりませんが設立手続を行っていく中で、時と場合によって提出を求められたり、求められなかったりする書類がいくつかあります。よくあるケースは出資者が会社の場合の法人登記簿謄本のコピーや、取締役の個人や親族の情報(Form MBP-1)です。万が一提出を求められた時にすぐ対応できるよう、事前に準備をしておくと法人設立手続きをよりスムーズに進めることができます。

 

次回は(2)中編(設立後の必ず必要な手続き)についてご紹介いたします。

 

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世界中に旋風を巻き起こすUber社とは?

すでにご存知の方も多いとは思いますが、

世界中のタクシー業界に新たな旋風を

巻き起こしている米国企業があります。

2009年にサンフランシスコで創立された“Uber”社です。

ゴールドマン・サックスやグーグルの投資会社等が出資しており、

現在、45ヶ国150都市以上で事業展開しています。

日本では東京都心で既存タクシー会社の空車を利用したサービス展開を行っていて、

インドでもすでにチェンナイを含む主要都市においてサービスの利用が可能です。

まずは、インド国内のケースをもとに具体的なサービス内容を簡単にご紹介しておきます。

 

Ubar 1

Uberはタクシーの乗降車をより安心で快適にしたサービスで、

ダウンロードした専用アプリを使うことによって以下のことを可能にしています。

1、マップ上で乗降車位置を事前に指定

2、GPS機能を使って最も近くにいる車を自動配車(到着すると通知もあり)

3、運転手の顔写真、利用者評価、車両番号、車種等を事前に確認

4、専用アプリに登録した決済情報により自動的に支払完了

5、領収書は自動的にメールで配信

 

ちなみに、インドではUber社が手数料として

利用料金の20%を得る仕組みとなっているようですが、

Uber社のビジネスモデルは各国の法規制によって様々のようです。

(例えば、日本ではタクシー事業ではなく、「第2種旅行業者(仲介業者)」として事業展開しているようです。)

 

なお、日本のタクシー業界はサービスの質と価格をある程度均一にすることを目的に

国土交通省がタクシーの台数規制と料金規制を強いていますが、

東京に進出しているUbar社は、

従来の日本のタクシーサービスの質に変化を与えることになるため、

タクシー業界に新たな風を送り込むことになりそうです。

しかしながら、利用者にとっては便利である一方で、

世界各国のタクシー業界からは大きな反発もあるようで

実際、フランスやイタリアではUber社の参入に対して反対も多くあり、

タクシー組合による大規模な集団デモも起きているとのこと。

 

Ubar Black

(Source:Uber社のホームページより抜粋)

 

私が住んでいるチェンナイでは、日本のような ”流し” のタクシーはなく

基本的にコールセンターに電話をして、場所を説明し、30分から1時間程度待って、

乗車後はドライバーに行き先を説明し、降車時には現金で支払わなければならないので、

このUber社のサービスは大変便利で、少しずつ利用者が増えているようです。

 

今のところチェンナイではタクシー業界からの反発の声は聞こえてきませんが、

一方で、この度2014年8月に発表されたRBI(インド準備銀行)の通達により

Uber社のインドにおける事業展開の障壁になる可能性があります。

次回はそのあたりのRBI発表の通達についてご紹介したいと思います。

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タミル・ナードゥ州首相に有罪判決!

2014年9月27日(土)の昼過ぎ

タミル・ナードゥ州首相である

ジャヤラリタ氏(66歳)に有罪判決が下され、

実刑4年の懲役。10億ルピーの罰金が言い渡されました。

チェンナイ市内では多くの警察官が出動して

メディア関係者と共に街中は騒然としており

また、不気味な静けさもあって物々しい雰囲気です。

その頃、外出先のカフェにいたのですがすぐに店から締め出されてしまいました。

また、同氏の政権グループであるAIADMK支持者が暴徒化して

公共バスや二輪車、自動車等が放火にあったり、

最大のライバル政権でもあるDMK関連者が被害にあっている模様です。

 

18年も続いたという裁判でいったい何が起こっていたのか

ニュースや新聞等の記事を参考に簡単にまとめておきたいと思います。

 

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(Source:2014年9月27日付”THE HINDU”紙の記事より)

 

ジャヤラリタ氏がタミル・ナードゥ州の州首相に初めて就任したのが1991年

AIADMK政権の州首相となったジャヤラリタ氏に対して、

その当時、Janata政権(現在のBJP政権)のリーダーであり

そして、18年前に裁判を起こした当事者でもあったスブラマニアン氏によると

ジャヤラリタ氏の州首相就任当初、同氏には約2,000万ルピーの資産しか無かったとのこと。

しかしながら、1991年に州首相に就任し、申告上の給与は1ルピーであったのにもかかわらず

州首相を辞職した5年後の1996年には、同氏、そして、その同居人3名の

総資産額は約6億6,000万ルピーになっていたのだとか。

これらの資産には土地や金宝飾、サリー等も含まれていて、

また、同居人でありかつ養子でもあるスドハカラン氏の1996年の結婚式では

約5,000万ルピーものお金が使われたと報道されています。

起訴された1996年当時から、第一審裁判所や高等裁判所、最高裁判所と

長い年月をかけてその他も含めて計14件の訴訟が争われていたようですが、

実はそのほとんどが無罪判決に終わっていたようです。

一方で、今回の資産隠ぺいにかかる訴訟に関しては

最大のライバルであるDMK政権のリーダーであるアンバザガン氏と、

そして、当初起訴したBJP政権のスブラマニアン氏の後援もあって

公平な裁判を行うためにも法廷の地がバンガロールに移され、

結果的に18年も続いた資産隠ぺい容疑に対する裁判は

ジャヤラリタ氏に初めての有罪判決が言い渡される結果となったということのようです。

 

実際、インド国内の政治家の世界はこのような汚職が当たり前のようで

インド人にとってはこんなこと日常茶飯事だと言わんばかりの様子ですが、

これを当たり前のままにしてはいかん!

少しずつでも変わっていってほしいものです。

 

しばらくチェンナイ市内も道路の閉鎖や暴動が起きる可能性がありますので

危険に巻き込まれないよう十分に注意しましょう。

 

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自動車部品業界に君臨する鋳造(ちゅうぞう)と鍛造(たんぞう)

最近、自動車部品メーカーを訪問する機会が多いのですが

特にその製造現場である工場は私にとって新しい世界です。

会計事務所や経理部門でしか働いたことのなかった私には

これまでの人生で学生の頃の工場見学以外、

実際の製造現場をほとんど見たことがありませんでした。

しかし、2012年8月からインドにに赴任して以来、

約100社近くのインド企業をインタビューし、

その実際の工場を視察させていただく機会を得るようになって

自動車業界の裾野の広さや工作機械の発明の素晴らしさ、ものづくりの奥深さ

インド人が日本に対して有している信頼感を実感するようになりました。

そして、その信頼感は日本の諸先輩方が築いてきて下さった財産であるということも。

 

特に興味深かったのは自動車部品の製造プロセスには欠かせない

鋳造(ちゅうぞう:Casting)や鍛造(たんぞう:Forging)といった金属加工

これら金属加工法は自動車の製造だけでなく、様々な物をつくる上で利用されてきました。

鋳造品は溶解した金属を型に流し込んで固める方法で

身近なものでは道路のマンホールや指輪等のアクセサリ、

水道の蛇口やあの奈良の大仏までもが鋳造によるものだそうです。

一方で、鍛造品は加熱した金属に圧力を加えるという方法で

日本では昔から日本刀や包丁などの刃物、銃身などの製造方法として利用され、

金属をより強靭にすることができるために

自動車部品の中でも特に強度が求められる部品の製造において利用されているようです。

 

例えば、鋳造に関しての一連の製造プロセスを見てみると、

CAD/CAM等のソフトウェアを使って部品のデザインをし、

そのデザインを基に金型のデザイン及び製造を行い、

原材料を仕入れ、それを溶解して、鉄や砂の型に流し込み、

固まった部品を熱処理して、一定の表面処理や加工を行い、

そして、接続部分などをCNC機械等で切削加工して製品化します。

さらに関連部品と一緒に組み立てる(アセンブリーする)企業も多くあります。

その一連の製造プロセスをどこまで社内で実施するのか

それらのプロセスをいかに効率的かつ効果的に

そして、いかに高品質かつ低価格な製品を提供できるか

どこまで顧客のニーズに見合う付加価値を提供できるかが事業の明暗を分けます。

以前に運転資金の考え方についての記事を書きましたが

特に製造業の場合にはその短期的な運転資金の管理は重要ですが、

それと同時に、機械設備の導入や技術者の雇用・教育には莫大な投資が必要で、

固定費・変動費を考慮した上でどれぐらいの期間で投資の回収ができるか

中長期的な視点での投資の回収戦略も非常に重要になってきます。

 

話は変わりますが、

インドの自動車部品業界におけるひとつのトレンドでもある

自動車の燃費効率を向上させるためには様々な方法があるようですが

その中でも特に分かりやすいのが車体重量を軽量化すること

先日、あるインドの大手自動車部品メーカーの方から聞いたんですが

部品の重量を軽量化する方法にもたくさんあるんですね。

より強度の強い素材(例:超硬合金等)を使うことで部品の厚さを薄くしたり、

今まで使っていた素材(例:スチール等)を

より軽い素材(例:プラスチックやアルミニウム、マグネシウム等)に変えたり、

そもそも製造方法(例:鋼棒による部品ではなく鋼管を利用した部品)に変えたり、

それらの素材や製造方法ひとつひとつにまた違った技術・機械設備が要求されるわけで

自動車部品業界はホントに奥の深い世界だなぁとひとりで感動していたのでした。

 

(最近訪問した鋳造部品メーカーの工場の様子)

Foundry

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成長するインド中古車市場と輸入規制

インド自動車工業会(SIAM)の発表によると

2013年12月の新車販売台数は前年同月比で約13%減少

13か月連続で前年同月比での減少が続いています。

一方で、インドの中古車市場は成長を続けているようです。

インド大手調査会社RNCOSのレポートによると

中古車の年間販売台数は年率約22%で成長しており、

2014年中には390万台に達すると予測しています。

正確な数値は公表されていませんが、

インドの新車販売台数を超えているとも言われており

その差が今後はさらに広がっていくことが予想されます。

 

元来インドでは、中古車の販売は友人や親戚

個人経営の小規模ディーラー等を通じて販売される個人間の取引が主流だったようですが、

マルチ・スズキの“Maruti True Value”やトヨタ自動車の“Toyota U Trust”

タタ自動車の“Tata Motors Assured”など

大手自動車メーカーが中古車サービス部門を立ち上げ、

インドの中古車市場の拡大を後押ししています。

また、“Car Trade”や“Auto Exchange”のような

オンライン上で売り手と買い手を繋げることを目的に

中古車販売仲介を行うウェブサイトを運営する企業も出てきています。

また、インドの中古車市場が成長している背景として、

自動車を買い替える期間が以前と比べて短くなってきていることもあるようです。

あるメディアによると平均約5年であった個人の自動車保有期間が

中間所得層や富裕層の拡大とともに現在は平均約3年にまで短縮されてきているとのこと

 

さて、中古車市場はインドのみならずアジア諸国を中心に拡大しつつありますが、

日本から中古車を輸出する場合には、各国の輸入規制に大きな影響を受けます。

ジェトロ(日本貿易振興機構)のホームページによると

例えば、タイでは国内産業保護や環境汚染抑制の観点から

一定の条件を満たす輸入許認可の取得が必要だそうです。

中国やベトナムでは左ハンドルの中古車のみ輸入可能ですが、

大規模な商業目的での輸入は現実的に難しそう。

インドネシアではそもそも中古車の輸入が認められておらず輸出不可能なんだそうです。

そして、インドでも下記のような輸入規制を受けます。

  • 輸入後2年間は販売禁止
  • 輸入する中古車は製造後3年以内であること
  • 輸入車は右ハンドルであること
  • 輸入可能台数は最大3台まで(個人の場合は1台のみ)などなど

 

また、原則160%の輸入関税に加えて煩雑な輸入手続をクリアする必要があります。

中古車ビジネスを目的にインド国外から中古車を輸入するのは現実的に難しそうですが、

一方で、インド国内における中古車ビジネスは

今後ますます盛り上がっていくことは間違いなさそうです。

 

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インド政府と国民の金(ゴールド)攻防戦

世界的な金価格の暴落がメディアを賑わせています。

田中貴金属工業(株)のホームページによると

2012年10月で1グラム当たり約5,000円だったのが

2013年末に1グラム当たり約4,100円まで暴落

そして、2014日1月7日付の日経新聞によると

金保有割合が多いことで有名なスイス国立銀行が

2013年3月期において約1兆400億円もの損失を計上する予定であることを発表しました。

スイス国立銀行にとって配当を見送るのは1907年の業務開始以来で初めてであるとのこと。

 

さて、金相場でよく話題になるのがインドの金需要です。

中国と並んで世界最大の金消費国であるインドでは

結婚の際に女性側の家族が男性側の家族に

持参金を支払ったり貴金属類や宝石などを贈る「ダウリー」という習慣があります。

このダウリー制度によって様々な痛ましい事件が起きている社会問題性から

この制度は50年以上も前にインド政府によって禁止法が施行されましたが

習慣として今でもカースト制度と同様、根強くインド社会に残っているようです。

また、金や金宝飾品が宗教的背景からも好まれていることもあって

インドにおける金需要は今後も縮小することは無さそうです。

 

むしろ、そんなインドの金需要は人口増加とともに金の輸入量を拡大させており、

インドが慢性的な貿易赤字に陥っている大きな一因にもなっているようです。

貿易赤字に頭を悩ませているインド政府は莫大な金輸入量を抑制するために

ここ数年で段階的に金の輸入関税を引き上げてきました。

2012年1月に2%だった関税を、同年4月に4%に引き上げ、

さらに2013年1月に6%、同年6月に8%

そして、同年8月にはついに10%にまで引き上げました。

また、昨年、インド最大の祭りであるディワリや結婚シーズンを迎える直前の9月に、

東南アジア等からの安価な宝飾品の流入を防ぎ、かつ、国内宝飾品産業を守るために

金の宝飾品の輸入関税を15%まで引き上げました。(金の輸入関税は10%で据え置き)

金輸入については外国貿易当局からの許認可取得を義務付けたり

輸入した金の20%は再輸出しなければならないとする規制も発表しています。

その結果、世界的に金価格が暴落している中、

インドルピー建て金価格は比較的高水準を推移しているようです。

 

ちなみに、インド国外を6か月以上滞在したNRIs(インド人の非居住者)は

最大1キロまでの金や宝飾品の個人輸入が認められているとのこと

そこで、国内の宝飾品店はインド国外に住むNRIsに対して

金を個人輸入させることにより仕入原価を削減しているようです。

航空券代や輸入関税を負担しても、それでもまだ利益が出るほど

世界とインド国内の金価格には大きなギャップが生まれているわけです。

また、輸入関税分さえも利ざやで稼ぐために密輸も増えてくるものと思われます。

公式な金輸入量を抑制しても、その分非公式な金輸入量が増えてしまう構図

金輸入を抑制したいインド政府と、金を買い続けるインド国民との攻防戦は続きます。

 

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インドのオンラインショッピング事情

昨今、インドではオンラインショッピングが盛んです。

IAMAI (Internet And Mobile Association of India) によると

インドのインターネットユーザーは

2012年時点で全人口の10%、約1億3,700万人

オンラインショッピングの市場規模は

2012年時点で約4,700億ルピー(約7,500億円)だったのが

2013年度は前年度比33%増の約6,300億ルピー(約1兆円)まで拡大すると予測しています。

また、昨年まではオンラインショッピングの大部分が航空券やホテル代などで

旅行以外のショッピングについては2012年時点で全体の約27%に過ぎなかったようですが、

それが、2013年度には約41%まで成長すると予測されています。

 

Flipkart

 

Snapdeal

 

さて、インドで有名なオンラインショッピングサイトと言えば “Flipkart” と “Snapdeal” です。

インドでのオンラインショッピングはこれまで一対多のB2C取引モデルが中心でしたが

いくつかのサイトでは、今年から不特定多数の多対多の取引を可能にした

「マーケットプレイス」モデルに移行しつつあります。

これは、製品情報はウェブ上で公開されますが、

実際の取引は第三者である現地の業者と消費者との間で行われる方式です。

つまり、「マーケットプレイス」とは売り手と買い手が自由に参加できる取引市場

しかし、一方で物流インフラや配送センターの未整備によって

商品の破損や盗難、お金を払ったのに商品が届かない、などの問題が発生しており、

代金引換払いや返品サービスなどを導入するなどして、

ここ数年で少しずつサービスの向上が図られているようです。

 

Amazon.in

 

eBay

 

ちなみに、現在インド政府は、外国企業がオンラインを通じて

消費者に直接商品を販売する「Eコマース」を禁止していますが、

「マーケットプレイス」モデルを採用することにより、

今年の6月にアマゾン(Amazon)がついに“Amazon.in”をインドに開設しました。

つまり、在庫を持って消費者に直接商品を販売するのではなく、

在庫を持たずに、売り手と買い手が自由に取引できるプラットフォームを提供することによって、

インドの外資規制に抵触しないビジネスを展開しています。

また、イーベイ(eBay)は8年前からすでにインド進出を果たしていましたが、

同社がそもそも同様のプラットフォームを提供するビジネスモデルであったことが功を奏し

インドのオンラインストアランキングで第2位にランクイン(DesiDime社による調査

すでにインドでの存在感を強めています

さらに、今年の6月にはインド大手Snapdealとの業務提携、および、投資計画を発表しました。

外国企業のオンラインショッピング市場参入にともない、

今後さらなるサービス向上が期待されます。

 

(運よく飛行機から見ることができた日の出@南シナ海上空↓)

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金利ゼロ?インドの分割払いのお話

インドの消費市場に大きな影響を与えた

Equated Monthly Installment(EMI)

これは、昨今でのクレジットカードを利用した

定額月分割払いの総称として呼ばれていますが、

現在、クレジットカードの平均利用額は

年率約20%の勢いで成長しているようです。

 

このクレジットカード決済がインドで急速に拡大していることは

インド消費者の特性を考えるととても納得できます。

パパママストアと言われる小さなショップ“キラナ”には

小袋に分けられた様々な商品が並べられている、という記事を以前にも書きましたが、

例えば、30日分のシャンプーが100ルピーで売っていたとしても、

今日だけのために1日分のシャンプーを5ルピーで買うことを選ぶ人がまだ多い社会です。

総額では高くなるにもかかわらず、目の前の安さを優先する/せざるを得ない

 

2013年7月29日付のIndian Express誌によると

2013年度5月時点で約2,000万枚のクレジットカードがインド国内で発行されているようです。

特徴的なのは、携帯電話や白物家電メーカーが

銀行やクレジットカード会社と連携をすることで

“金利ゼロ”の月分割払いを実現させていること

実際、スマートフォンやプラズマテレビ等、オンラインで購入しようとすると

3回払い、6回払い、9回払い、12回払い、、、などと選択できるようになっていて

金利を一切払わずに分割払いができる方法があるようです。

ただ、実態としては、別途手数料を請求されるケースも多いようで、

“金利ゼロ”という売り文句に惑わされて高額な手数料を払わされ、

結果的に返済できなくなってしまう消費者もいるのだとか。

そこで、2013年9月24日付のEconomic Times誌によると

インド準備銀行(RBI)は“金利ゼロ”の月分割払いの販売慣習を禁止する通達を出しました。

ちなみに、IndiGOやJet Airwaysといった格安航空会社(LCC)でも

最近、2回分割払いによる支払方法を受け付けるようになりましたが、

銀行から14%の追加サービス税が、格安航空会社から1%の手数料が取られるようです。

 

偶然見つけたのですが、2008年にこのEMIを題材にしたインド映画が公開されています。

映画のタイトルは『EMI Liya Hai To Chukana Padega』

日本語で「借りたお金はちゃんと返しましょう」という意味のようですが、

まさに “ご利用は計画的に” ですね!

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シングル・ウィンドウ・クリアランスとは?

タミル・ナードゥ州(TN州)では

自動車産業を中心とした製造業の集積が進んでいます。

製造業(特に完成車メーカー)にとっては

部品の調達先であるサプライヤー企業の存在が

重要な鍵となりますが、

日系完成車メーカーや部品サプライヤーにとっては、

日系企業が求める品質水準に耐えうるインド地場サプライヤーで、かつ、

租税コストや物流コストの削減、物流リードタイムの観点から

同州内に拠点を持つサプライヤーの発掘に苦戦をしており、

特に日系企業の二次・三次サプライヤーのチェンナイ進出を期待する声は

日に日に高まりつつあります。

 

さて、製造業がインドに進出する際に必要となる工場等の建設には、

様々な担当部局から複数の許認可を取得する必要がありますが、

特に重要なのが、工場の建設開始のために必要となる建設許可です

これは ”CTE:Consent To Establishment” と言われ、

州の汚染管理局(PCB:Pollution Control Board)から発行されます。

インドに進出してきている特に製造業の日系企業の多くは

これらの許認可を取得するために多大な時間・手間を強いられています。

 

一方で、これらの手続において有益なサポートが得られる州政府機関があります。

TN州政府内にあるガイダンス・ビューロー(Guidance Bureau)

この州政府機関は、PCBの建設許可も含めた一連の許認可の申請手続を、

一元的に受け付けるサービス ”シングル・ウィンドウ・クリアランス” を提供しています。

具体的には、申請企業がガイダンス・ビューローの審査委員会において

当局に対する事業内容及び計画についてのプレゼンテーション・質疑応答を行い、

各関連当局からの異議がない場合に、

その事業を“原則”許可するという「In-Principle Clearance」のレターが発行されます。

これは、最終的な工場建設許可及び操業許可を意味するものではありませんが、

これを取得することによってとりあえず工場等の建設を開始することができる

という意味で、事業立ち上げまでの期間の短縮が期待できます。

インド進出には、進出前のフィジビリティ・スタディ(投資調査)から

インド法人の設立、工場等用地の確保、各関連許認可の取得、

操業開始後の会計・税務・労務等の子会社管理に至るまで様々なステップがあり、

自社のみで対応しようとすると膨大な時間がかかってしまうことが想定されます。

インド事業に専念できる体制を構築し、

いち早く収益が得られる事業展開ができるよう、

各進出ステージにおける具体的な実務については、

外部の専門家のサポートを積極的に活用されることをお薦め致します。

 

(急な渋滞の原因は、、、モーさんでしたというのはよくある話。笑)

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ECB規制とインドにおける資金調達のお話

たまには会計士らしい真面目な話を、、、笑

“貸借対照表(BS)” や “損益計算書(PL)” は

主に以下の4つの事業活動の結果を数字で表しています。

具体的な細かい数字は置いといて、

とりあえずこの仕組みを理解してもらえればと思います。

①    お金を調達する

②    そのお金を使って資産に投資をする

③    それらの資産を使って売上をあげる

④    売上から費用を引いた利益(及び損失)を認識する

 

財務諸表フロー

 

そこで、インド事業を始めるにあたってはまず

①    どのようにして資金を調達するのか、を検討しなければなりません。

上図のとおり、資金調達の方法には大きく分けて

借入金(返済義務のある負債)

出資金(返済義務のない資本)の2つがあります。

 

インドではこの資金調達についてのご相談を受けることが多くありますが、

ここでまずは、“運転資金” という重要な考え方について説明したいと思います。

夢中になっていたドラマ『半沢直樹』がついに終わってしまって寂しいので

ネジを作っている町工場のケースを取り上げてみますが、

下記の1~4はネジの原材料を仕入れてから

製造、販売、売上金の回収に至るまでのプロセスです。

 

1、ネジの原材料を仕入れる(支払期間30日)

2、ネジを製造する(製造期間30日)

3、完成品のネジを倉庫に保管する(製造後、販売までの期間30日)

4、ネジを販売してお金を回収する(回収期間30日)

 

それぞれのプロセスに要する時間を単純化して30日と仮定してみます

どういうことか

つまり、どれだけたくさんのネジを販売できたとしても、

そのお金を回収するまでにはどうしても時間がかかってしまうということです。

このケースだと、ネジを作り始めてからお金を回収できるまでに約3か月かかります。

一方で、ネジの材料の仕入先に対する支払期間は1か月間しか待ってくれませんから、

自社の商品がたくさん売れることがたとえ事前に分かっていたとしても、

ビジネスを継続していくためには最低でも2か月分の資金が必要となります。

これが一般的に言われる“運転資金”です。

 

インドで資金調達をする際に多くの日系企業が頭を悩ませている背景には

インド国外からの借入金をこの “運転資金” として使うことが

原則、認められていないという点にあります。

これはECB(対外商業借入:External Commercial Borrowings)と呼ばれるインド国外からの借入は

インド連邦準備銀行(Reserve Bank of India:RBI)が規程するECB規制によって

資金使途や借入期間等の制約を受けるからです。

つまり、低金利で日本からお金を借りたいけれど、

資金使途に制限があるために借りることができない

一方で、親会社に増資(追加の出資金)を依頼したとしても、

返済義務のない出資金は親会社にとって全額回収できる見込みがないため嫌がられる

さらに、インド国内でお金を借りると金利が高すぎて利息負担が重過ぎる、などなど

 

ところが、2013年9月4日にRBIが新たな通達を発表しました。

それは、ECBであっても以下の条件を満たせば

運転資金を含む一般的な事業資金として借入金を利用しても良いというもの

 

1、貸付側が借入側の株式25%以上を持っていること

2、又貸し等のECB規制に規定された禁止事項に抵触しないこと

3、平均借入残存期間が7年以上で、返済はそれ以降に行うこと

 

正直、まだ前例がありませんから何とも言えませんが、

通常は3年以上の期間において借入が認められているECBが、

“平均借入残存期間が7年以上”という条件が新たに提示されていることにより

結局は相当の金利負担を強いられる結果となることは目に見えていますので

実務的にどのように運用されていくのかが注目されます。

 

(チェンナイ・マリーナビーチの日の出とハトの群れ↓)

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「原産地規則」がグローバルサプライチェーンに与える影響とは?

TPP、EPA、FTA、そして前回ご紹介したRCEP

これらはまとめて「経済連携協定」や

「自由貿易協定」などと訳されますが

日系企業にとって重要なのは

輸出入にかかる関税の免除もしくは軽減措置

すでに、インドでも多くの国との協定が締結されており、

例えば、ASEAN10か国との間にはFTAが(2010年1月に発効)

日本との間にはEPAが(2011年8月に発効)締結されています。

これによって、輸出入の際に通常適用されるWTO規定の関税率ではなく、

特定の品目を除くその他全ての物品において

関税の免除、もしくは、軽減税率を利用できるようになります。

 

さて、インドに進出する製造業の日系企業にとっては、

必要な原材料や部品等をどれだけ現地調達(インド国内で仕入れること)できるかが

製造コストを削減するために最も重要なポイントになります。

例えば、ここ南インド・チェンナイ近郊に工場を持つ日産自動車が

自動車部品を製造している下請企業に対してチェンナイに進出してきてほしいと願うのは

日本や東南アジア諸国から部品を輸入する代わりに、インド国内で調達することによって

輸入関税やその他の輸入にかかる物流コストを削減できるからです。

ただ、現実的にはある程度をインド国外からの輸入に頼らざるを得ないわけですが、

このEPA/FTAにもとづく輸入関税の免税や軽減措置を活用していくためには

各国と締結している協定の内容を理解し、適用を受けるための準備が必要になります。

 

ここで問題になるのが「原産地規則」というルールです。

つまり、EPA/FTAにもとづく輸入関税の免除や軽減措置は

この「原産地規則」を満たした場合にのみ適用される、というルールです。

これは、他国を経由させて輸入(迂回貿易)したらダメですよ、というもので

例えば、他国の原材料を輸入する場合に、

意図的に日本を経由させてインドへ輸入しても

日本から輸入したものとは認めませんよ、

ちゃんと日本が原産地であることを証明して下さいね、というルールです。

 

原産品であることを証明する「原産地証明書」というものは

日本では商工会議所がその発行機関になっていますが、

一般的に、「原産品」であることを証明するための評価基準とされるのが

「付加価値基準」と「関税分類変更基準」の2つです。

そして、この基準が各国の協定によって異なっていることが

日系企業のグローバルサプライチェーンを管理する上で障壁となっているようです。

 

「付加価値基準」とは、

例えば、2,000円で輸入したもの加工して2,500円で輸出する場合、

20%(500円/2,500円)が付加価値比率として認識されますが、

この付加価値比率が○○%以上であれば「原産品」として認めます、というもの。

一方で、「関税分類変更基準」とは、

「HSコード」という貿易品目を分類するための世界で統一された6桁の番号

輸入時のこの番号が、輸出時の番号と異なれば「原産品」として認めます、というもの。

例えば、液晶画面(HS-8471.60)とハードディスク(HS-8471.70)を輸入して

パソコン(HS-8471.30)を製造して輸出した場合、

HSコードの下2桁が変更するため「原産品」として認めますよ、となるわけです。

(国によっては、上4桁も変更しなければならない、とする協定もあります。)

 

EPA/FTAには、これら2つの基準のどちらかを満たせばOKとする協定が多いのですが、

インドとの協定では、原則、「35%以上の付加価値」かつ「関税分類変更基準」

両方の基準を満たさなければならず、他国には類を見ない厳しい条件が課せられています。

 

ここで、前回ご紹介したRCEP(アールセップ)に期待が寄せられています。

また、このRCEPの発効によってもし統一した「原産品」の判定基準が整備されれば

今後の日系企業のグローバルサプライチェーン管理が改善されるかもしれません。

例えば、日系メーカーが、タイで部品の製造を行い、インドへ輸出している場合、

これまでは、その部品をタイからインドへ輸出する際に、

その部品がタイの「原産品」であることを証明しなければならず、

タイ国内において「35%以上の付加価値」と

「関税分類変更基準」の両方を満たさなければ、

通常のWTO規定の関税を支払わなければなりませんでした。

しかし、RCEPが発効され、インドを含む広域経済圏が形成されると、

日本、タイ、インドがひとつの締約国内として認められるため、

付加価値基準においては、日本及びタイで発生した付加価値の累積で満たせばよく、

関税分類変更基準においては、締約国内におけるHSコードは同じでも問題ないため、

比較的簡単に2つの基準を満たすことができるようになることが考えられます。

製造業の日系企業にとっては特に

今後のグローバルサプライチェーンのあり方を変える

重要なインパクト持つ可能性がありますので注意が必要です。

 

(オフィスから徒歩3分のヨガスタジオにて↓)

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広域経済圏を目指すRCEP(アールセップ)とは?

2013年3月に安倍内閣が表明した

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加

昨今の日経新聞の記事でもよく取り上げられていますが

2006年に発効したTPP原加盟国は、

もともと、シンガポール、ブルネイ、

チリ、ニュージーランドの4か国だけでした。

「小国同士の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」

そんな目的を持って小さな国が集まって形成されていたTPPですが、

そこに交渉参加に乗り出してきたのがアメリカ、カナダ、ペルー、メキシコ、

ベトナム、マレーシア、オーストラリア、そして、日本です。

 

日本にとっては、アメリカ大陸圏との経済連携の強化を目指す意味合いが強い TPP ですが

一方で、日本がアジア圏における経済連携の強化を目指す上で重要になってくるのが RCEP です。

昨年11月に交渉立ち上げが宣言された

東アジア包括的経済連携協定(RCEP:アールセップ)

ここで、まずはその中核をなすASEANについてご紹介しておきます。

 

ASEAN(東南アジア諸国連合)は

インドネシアのジャカルタに本部を構え

その加盟国は全部で10か国

インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、

ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア

域内の人口は6億人を超えていて

5億人の人口を抱える欧州連合(EU)よりも多い

このASEAN諸国域内においてはASEAN経済連携協定(AFTA)が結ばれ

原則、輸入関税を撤廃することによる自由貿易経済圏が形成されつつあります。

そして、この自由貿易経済圏は、ASEAN+日本、中国、韓国、

さらには、インド、オーストラリア、ニュージーランドまで拡大しつつあります。

 

このASEAN(10か国)+上記6か国の合計16か国で

包括的な経済協定を結ぼうというのがRCEPです。

RCEPが実現すれば、域内の人口はなんと約34億人

世界人口の約半分を占める巨大かつ広域経済圏が出現することになります。

私が注目しているのは、この経済圏にインドが含まれていること

日系製造業における最適なグローバルサプライチェーンを構築していく上で、

このRCEPは今後のインド事業に多少なりとも影響が出てくることが考えられます。

その具体的な影響については、次回の記事でご紹介したいと思います。

 

(参考:Wikipedia『東南アジア諸国連合』『環太平洋戦略的経済連携協定』)
(参考:経済産業省『東アジア経済統合に向けて』)

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