インドのその他ビジネス事情

インドのその他ビジネス事情

金利ゼロ?インドの分割払いのお話

インドの消費市場に大きな影響を与えた

Equated Monthly Installment(EMI)

これは、昨今でのクレジットカードを利用した

定額月分割払いの総称として呼ばれていますが、

現在、クレジットカードの平均利用額は

年率約20%の勢いで成長しているようです。

 

このクレジットカード決済がインドで急速に拡大していることは

インド消費者の特性を考えるととても納得できます。

パパママストアと言われる小さなショップ“キラナ”には

小袋に分けられた様々な商品が並べられている、という記事を以前にも書きましたが、

例えば、30日分のシャンプーが100ルピーで売っていたとしても、

今日だけのために1日分のシャンプーを5ルピーで買うことを選ぶ人がまだ多い社会です。

総額では高くなるにもかかわらず、目の前の安さを優先する/せざるを得ない

 

2013年7月29日付のIndian Express誌によると

2013年度5月時点で約2,000万枚のクレジットカードがインド国内で発行されているようです。

特徴的なのは、携帯電話や白物家電メーカーが

銀行やクレジットカード会社と連携をすることで

“金利ゼロ”の月分割払いを実現させていること

実際、スマートフォンやプラズマテレビ等、オンラインで購入しようとすると

3回払い、6回払い、9回払い、12回払い、、、などと選択できるようになっていて

金利を一切払わずに分割払いができる方法があるようです。

ただ、実態としては、別途手数料を請求されるケースも多いようで、

“金利ゼロ”という売り文句に惑わされて高額な手数料を払わされ、

結果的に返済できなくなってしまう消費者もいるのだとか。

そこで、2013年9月24日付のEconomic Times誌によると

インド準備銀行(RBI)は“金利ゼロ”の月分割払いの販売慣習を禁止する通達を出しました。

ちなみに、IndiGOやJet Airwaysといった格安航空会社(LCC)でも

最近、2回分割払いによる支払方法を受け付けるようになりましたが、

銀行から14%の追加サービス税が、格安航空会社から1%の手数料が取られるようです。

 

偶然見つけたのですが、2008年にこのEMIを題材にしたインド映画が公開されています。

映画のタイトルは『EMI Liya Hai To Chukana Padega』

日本語で「借りたお金はちゃんと返しましょう」という意味のようですが、

まさに “ご利用は計画的に” ですね!

IMG_4796

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

世界中に旋風を巻き起こすUber社とは?

すでにご存知の方も多いとは思いますが、

世界中のタクシー業界に新たな旋風を

巻き起こしている米国企業があります。

2009年にサンフランシスコで創立された“Uber”社です。

ゴールドマン・サックスやグーグルの投資会社等が出資しており、

現在、45ヶ国150都市以上で事業展開しています。

日本では東京都心で既存タクシー会社の空車を利用したサービス展開を行っていて、

インドでもすでにチェンナイを含む主要都市においてサービスの利用が可能です。

まずは、インド国内のケースをもとに具体的なサービス内容を簡単にご紹介しておきます。

 

Ubar 1

Uberはタクシーの乗降車をより安心で快適にしたサービスで、

ダウンロードした専用アプリを使うことによって以下のことを可能にしています。

1、マップ上で乗降車位置を事前に指定

2、GPS機能を使って最も近くにいる車を自動配車(到着すると通知もあり)

3、運転手の顔写真、利用者評価、車両番号、車種等を事前に確認

4、専用アプリに登録した決済情報により自動的に支払完了

5、領収書は自動的にメールで配信

 

ちなみに、インドではUber社が手数料として

利用料金の20%を得る仕組みとなっているようですが、

Uber社のビジネスモデルは各国の法規制によって様々のようです。

(例えば、日本ではタクシー事業ではなく、「第2種旅行業者(仲介業者)」として事業展開しているようです。)

 

なお、日本のタクシー業界はサービスの質と価格をある程度均一にすることを目的に

国土交通省がタクシーの台数規制と料金規制を強いていますが、

東京に進出しているUbar社は、

従来の日本のタクシーサービスの質に変化を与えることになるため、

タクシー業界に新たな風を送り込むことになりそうです。

しかしながら、利用者にとっては便利である一方で、

世界各国のタクシー業界からは大きな反発もあるようで

実際、フランスやイタリアではUber社の参入に対して反対も多くあり、

タクシー組合による大規模な集団デモも起きているとのこと。

 

Ubar Black

(Source:Uber社のホームページより抜粋)

 

私が住んでいるチェンナイでは、日本のような ”流し” のタクシーはなく

基本的にコールセンターに電話をして、場所を説明し、30分から1時間程度待って、

乗車後はドライバーに行き先を説明し、降車時には現金で支払わなければならないので、

このUber社のサービスは大変便利で、少しずつ利用者が増えているようです。

 

今のところチェンナイではタクシー業界からの反発の声は聞こえてきませんが、

一方で、この度2014年8月に発表されたRBI(インド準備銀行)の通達により

Uber社のインドにおける事業展開の障壁になる可能性があります。

次回はそのあたりのRBI発表の通達についてご紹介したいと思います。

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

「トゥーミニッツ」の裏にある引き算の発想の欠如

「インド時間」という言葉をご存知でしょうか。

いわゆる「時間を守らない」というインドの時間に対するルーズさを

なかば総称してそう呼んでいるのですが、

典型的なのが「トゥーミニッツ」

インドで生活していると毎日耳にする言葉です。

いわゆる日本語で2分を意味しますが

「トゥーミニッツ」と言われると15分待たされることはもはや当たり前です。

さらに危険なのが「ファイブミニッツ」

これは下手すると1時間待たされます。

1時間待たされた挙句にまだなのかと問い合わせると

またまた「ファイブミニッツ」

これでさらに1時間待つなんてことも。笑

IMG_3772

 

先日、日系企業の社長さんから聞いた話なんですけど

あるテレビ番組でインド人と日本人で算数対決したんだそうです。

すると、足し算と掛け算では圧倒的にリードしていたインド人が、

引き算になった瞬間に計算が遅くなり、結局日本人の圧倒的勝利で終わったんだとか。

足し算は強いのに、

なぜか引き算にものすごく弱いインド人。

 

実は同じようなことを実際のビジネスの中でも感じます。

目の前のことをひとつひとつ積み重ねていくこと(足し算の発想)は得意のようですが、

ある目標や期日に向かって逆算してスケジュールを立てること(引き算の発想)は苦手なようです。

だから、待ち合わせの時間にも当たり前のように遅れてくる。

事前にあまり計画せず

ひとつひとつの作業を積み上げた結果、

いつの間にか納期に間に合わなくなっている。

「トゥーミニッツ」と言っても結局15分かかっちゃう。

これがいわゆる「インド時間」の正体なんではないかと思います。

 

インド人の長所である足し算の発想を生かすのか。

それとも、短所である引き算の発想を身につけてもらうのか。

インド人従業員を雇用している日系企業にとって

彼らをマネジメントするのにはいろいろと工夫が必要なのかもしれません。

(写真は年に一度の祭りポンガルの日にアパート前に描かれていたコーラム)

IMG_3770

 

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

「原産地規則」がグローバルサプライチェーンに与える影響とは?

TPP、EPA、FTA、そして前回ご紹介したRCEP

これらはまとめて「経済連携協定」や

「自由貿易協定」などと訳されますが

日系企業にとって重要なのは

輸出入にかかる関税の免除もしくは軽減措置

すでに、インドでも多くの国との協定が締結されており、

例えば、ASEAN10か国との間にはFTAが(2010年1月に発効)

日本との間にはEPAが(2011年8月に発効)締結されています。

これによって、輸出入の際に通常適用されるWTO規定の関税率ではなく、

特定の品目を除くその他全ての物品において

関税の免除、もしくは、軽減税率を利用できるようになります。

 

さて、インドに進出する製造業の日系企業にとっては、

必要な原材料や部品等をどれだけ現地調達(インド国内で仕入れること)できるかが

製造コストを削減するために最も重要なポイントになります。

例えば、ここ南インド・チェンナイ近郊に工場を持つ日産自動車が

自動車部品を製造している下請企業に対してチェンナイに進出してきてほしいと願うのは

日本や東南アジア諸国から部品を輸入する代わりに、インド国内で調達することによって

輸入関税やその他の輸入にかかる物流コストを削減できるからです。

ただ、現実的にはある程度をインド国外からの輸入に頼らざるを得ないわけですが、

このEPA/FTAにもとづく輸入関税の免税や軽減措置を活用していくためには

各国と締結している協定の内容を理解し、適用を受けるための準備が必要になります。

 

ここで問題になるのが「原産地規則」というルールです。

つまり、EPA/FTAにもとづく輸入関税の免除や軽減措置は

この「原産地規則」を満たした場合にのみ適用される、というルールです。

これは、他国を経由させて輸入(迂回貿易)したらダメですよ、というもので

例えば、他国の原材料を輸入する場合に、

意図的に日本を経由させてインドへ輸入しても

日本から輸入したものとは認めませんよ、

ちゃんと日本が原産地であることを証明して下さいね、というルールです。

 

原産品であることを証明する「原産地証明書」というものは

日本では商工会議所がその発行機関になっていますが、

一般的に、「原産品」であることを証明するための評価基準とされるのが

「付加価値基準」と「関税分類変更基準」の2つです。

そして、この基準が各国の協定によって異なっていることが

日系企業のグローバルサプライチェーンを管理する上で障壁となっているようです。

 

「付加価値基準」とは、

例えば、2,000円で輸入したもの加工して2,500円で輸出する場合、

20%(500円/2,500円)が付加価値比率として認識されますが、

この付加価値比率が○○%以上であれば「原産品」として認めます、というもの。

一方で、「関税分類変更基準」とは、

「HSコード」という貿易品目を分類するための世界で統一された6桁の番号

輸入時のこの番号が、輸出時の番号と異なれば「原産品」として認めます、というもの。

例えば、液晶画面(HS-8471.60)とハードディスク(HS-8471.70)を輸入して

パソコン(HS-8471.30)を製造して輸出した場合、

HSコードの下2桁が変更するため「原産品」として認めますよ、となるわけです。

(国によっては、上4桁も変更しなければならない、とする協定もあります。)

 

EPA/FTAには、これら2つの基準のどちらかを満たせばOKとする協定が多いのですが、

インドとの協定では、原則、「35%以上の付加価値」かつ「関税分類変更基準」

両方の基準を満たさなければならず、他国には類を見ない厳しい条件が課せられています。

 

ここで、前回ご紹介したRCEP(アールセップ)に期待が寄せられています。

また、このRCEPの発効によってもし統一した「原産品」の判定基準が整備されれば

今後の日系企業のグローバルサプライチェーン管理が改善されるかもしれません。

例えば、日系メーカーが、タイで部品の製造を行い、インドへ輸出している場合、

これまでは、その部品をタイからインドへ輸出する際に、

その部品がタイの「原産品」であることを証明しなければならず、

タイ国内において「35%以上の付加価値」と

「関税分類変更基準」の両方を満たさなければ、

通常のWTO規定の関税を支払わなければなりませんでした。

しかし、RCEPが発効され、インドを含む広域経済圏が形成されると、

日本、タイ、インドがひとつの締約国内として認められるため、

付加価値基準においては、日本及びタイで発生した付加価値の累積で満たせばよく、

関税分類変更基準においては、締約国内におけるHSコードは同じでも問題ないため、

比較的簡単に2つの基準を満たすことができるようになることが考えられます。

製造業の日系企業にとっては特に

今後のグローバルサプライチェーンのあり方を変える

重要なインパクト持つ可能性がありますので注意が必要です。

 

(オフィスから徒歩3分のヨガスタジオにて↓)

IMG_2788

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

インド産マンゴーを個人輸入できるのか

インドの夏と言えばマンゴー

南インドのここチェンナイも今から6月ぐらいまで

美味しいマンゴーの季節が続きます。

 

 

なんてったってとにかく安い!!!

一個30~40円程度で買えます。

っというわけで、そんなマンゴーを

なんとか日本の家族にも送れないかといろいろ調べていたんですが、

どうやらそう簡単ではなさそうです。

photo 2

 

ウィキペディアの “マンゴー” によると、

日本では植物防疫法によって、

侵入を警戒する農業大害虫のミバエ類が発生している国・地域から

マンゴーの生果実を輸入することは原則禁止されている、とのこと。

まさにインドはその ”国・地域” に該当しているわけですが、

一方で、農林水産省のホームページによると

日本政府は2008年にインド産マンゴーの生果実の輸入を

「条件付き」で解禁しました。(こちらHPを参照

その条件の一つが、指定された害虫駆除のための蒸熱処理を行い、

日本の植物防疫官がインドで最終チェックを行った上で発行される証明書を取得すること。

インド経済産業省(Ministry of Commerce and Industry)の内部組織に当たる

APEDA(Agricultural & Processed Food Products Export Development Authority)に直接問い合わせてみると、

この蒸熱処理施設は現在インドには下記6つしかないんだそうです。

 

アンドラ・プラデシュ州に3つ

1、Andhra Pradesh State Agro Industries Development Corp(場所:Nuzvid District)

2、Andhra Pradesh State Agro Industries Development Corp(場所:Tirupathi District)

3、Galla Foods Pvt Ltd(場所:Chittoor District)

ウッタル・プラデシュ州に1つ

4、UP Mandi Parishad(場所:Saharanpur District)

マハラシュトラ州に2つ

5、MSAMB(場所:Vashi, Navi Mumbai)

6、Nikko Namdhari(場所:Nashik)

 

つまり、チェンナイ周辺(タミル・ナードゥ州)にはこの施設がない・・・(ガーーン!)

仕方ないので、その中でチェンナイから最も近いアンドラ・プラデシュ州の

唯一の民間インド企業に問い合わせてみると

2011年頃から日本の植物防疫官がインドに来なくなったので、

現状では証明書が取得できず、日本への輸出も現実的に難しいんだそうです。

情報の信憑性については多少の疑念もありますが、

どうやらチェンナイから個人的に日本に輸入するのは難しそうです。

 

資金力のある日系大手商社さん!!!

チェンナイに蒸熱処理施設を作って

チェンナイ発のマンゴー輸出ビジネスやりませんかー!!!

 

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

ECB規制とインドにおける資金調達のお話

たまには会計士らしい真面目な話を、、、笑

“貸借対照表(BS)” や “損益計算書(PL)” は

主に以下の4つの事業活動の結果を数字で表しています。

具体的な細かい数字は置いといて、

とりあえずこの仕組みを理解してもらえればと思います。

①    お金を調達する

②    そのお金を使って資産に投資をする

③    それらの資産を使って売上をあげる

④    売上から費用を引いた利益(及び損失)を認識する

 

財務諸表フロー

 

そこで、インド事業を始めるにあたってはまず

①    どのようにして資金を調達するのか、を検討しなければなりません。

上図のとおり、資金調達の方法には大きく分けて

借入金(返済義務のある負債)

出資金(返済義務のない資本)の2つがあります。

 

インドではこの資金調達についてのご相談を受けることが多くありますが、

ここでまずは、“運転資金” という重要な考え方について説明したいと思います。

夢中になっていたドラマ『半沢直樹』がついに終わってしまって寂しいので

ネジを作っている町工場のケースを取り上げてみますが、

下記の1~4はネジの原材料を仕入れてから

製造、販売、売上金の回収に至るまでのプロセスです。

 

1、ネジの原材料を仕入れる(支払期間30日)

2、ネジを製造する(製造期間30日)

3、完成品のネジを倉庫に保管する(製造後、販売までの期間30日)

4、ネジを販売してお金を回収する(回収期間30日)

 

それぞれのプロセスに要する時間を単純化して30日と仮定してみます

どういうことか

つまり、どれだけたくさんのネジを販売できたとしても、

そのお金を回収するまでにはどうしても時間がかかってしまうということです。

このケースだと、ネジを作り始めてからお金を回収できるまでに約3か月かかります。

一方で、ネジの材料の仕入先に対する支払期間は1か月間しか待ってくれませんから、

自社の商品がたくさん売れることがたとえ事前に分かっていたとしても、

ビジネスを継続していくためには最低でも2か月分の資金が必要となります。

これが一般的に言われる“運転資金”です。

 

インドで資金調達をする際に多くの日系企業が頭を悩ませている背景には

インド国外からの借入金をこの “運転資金” として使うことが

原則、認められていないという点にあります。

これはECB(対外商業借入:External Commercial Borrowings)と呼ばれるインド国外からの借入は

インド連邦準備銀行(Reserve Bank of India:RBI)が規程するECB規制によって

資金使途や借入期間等の制約を受けるからです。

つまり、低金利で日本からお金を借りたいけれど、

資金使途に制限があるために借りることができない

一方で、親会社に増資(追加の出資金)を依頼したとしても、

返済義務のない出資金は親会社にとって全額回収できる見込みがないため嫌がられる

さらに、インド国内でお金を借りると金利が高すぎて利息負担が重過ぎる、などなど

 

ところが、2013年9月4日にRBIが新たな通達を発表しました。

それは、ECBであっても以下の条件を満たせば

運転資金を含む一般的な事業資金として借入金を利用しても良いというもの

 

1、貸付側が借入側の株式25%以上を持っていること

2、又貸し等のECB規制に規定された禁止事項に抵触しないこと

3、平均借入残存期間が7年以上で、返済はそれ以降に行うこと

 

正直、まだ前例がありませんから何とも言えませんが、

通常は3年以上の期間において借入が認められているECBが、

“平均借入残存期間が7年以上”という条件が新たに提示されていることにより

結局は相当の金利負担を強いられる結果となることは目に見えていますので

実務的にどのように運用されていくのかが注目されます。

 

(チェンナイ・マリーナビーチの日の出とハトの群れ↓)

IMG_4745

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

日本とインドの会計士・弁護士事情

日本やアメリカで一般的に呼ばれている

「公認会計士(CPA: Certified Public Accountant)」のことを

インドやイギリス、オーストラリアでは

「勅許会計士(CA: Chartered Accountant)」と呼びます。

 

日本公認会計士協会、及び、インド勅許会計士協会のデータによると

2012年時点の日本国公認会計士の会員数は約3万2,000人で、

2012年時点のインド国勅許会計士の会員数は約19万2,000人です。

インド勅許会計士資格の試験制度は、

第1試験CPT、第2試験IPC、第3試験Finalの3段階の筆記試験と、

3年間の実務経験(Articleship)から構成され、

インドで最も難関な国家資格の一つです。

会計士が行う業務のひとつとして有名なのが会計監査

日本では資本金が5億円以上、もしくは負債総額200億円以上の大会社に義務付けられていますが、

インドでは全ての会社がこの会計監査を受けなければならないことも背景にあって、

インド国勅許会計士は社会的にも高い地位の職業として広く認識されているようです。

 

一方で、インド国弁護士に対する認識は随分と違うようです。

日本の司法試験のような難しい資格試験はなく、

原則、法学部を卒業し、登録料を納付すれば弁護士登録をすることができます。

法学部を有する大学はインド全国に約900校もあり、

毎年約4~5万人の弁護士が新たに誕生しているようです。

2011年に“All India Bar Examination”と呼ばれる弁護士資格試験が新たに導入されましたが、

全ての卒業生が受験をしなければならないわけではなく、

また、2011年以前の卒業生には適用されないために、

依然としてインドではほとんどの弁護士が試験に合格することなく業務を行っています。

日本弁護士連合会のデータによると、

2012年時点の日本国弁護士の会員数は約3万2,000人であるのに対し、

インドでは120万人超の弁護士がいると言われており、その数はなんと日本の約40倍です。

当然、専門家としてのレベルも様々で、

インドに進出している日系企業にとっては、

信頼できる適切な会計士・弁護士を見つけ出すことはとても重要です。

(↓法律関係の書籍を専門に扱う本屋『C.Sitaraman & Co』設楽マン?)

photo

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

日・インド社会保障協定の発効による日系企業への影響と実態に迫る

2012年11月に署名がされて以来、多くの日系企業が待ち望んだ日・インド社会保障協定の発効ですが、ついに2016年10月1日から発効されることになりました。日本にとっては日・インド社会保障協定が16か国目の協定となり、対象となる社会保障制度は、日本における「国民年金」および「厚生年金」、そして、インドにおける「被用者年金(EPS:Employees’ Pension Scheme)」および「被用者積立基金(EPF:Employees’ Provident Fund)」等です(※例えば、日本の政府管掌健康保険等については対象外)。先日当地チェンナイでも開催された厚生労働省および日本年金機構によるセミナー内容も踏まえてまとめると、大きなポイントとしては、(1)日印両国における保険料の二重負担の解消、(2)年金受給条件の緩和、(3)申請書類の代理受付、3点に集約することができます。今回は、これらのポイントごとに具体的な内容についてご紹介をしたいと思います。

 

  

「保険料の二重負担が解消!これはデカい!」 

 今回の日・インド社会保障協定の発効による影響が最も大きいのがこの保険料の二重負担の解消です。これまではインドに滞在する多くの日本人駐在員は、インド駐在期間中であっても国民年金等の日本の社会保障制度への加入を継続しながら、インドにおいてもEPSやEPFといった社会保障制度に半ば強制的に加入せざるを得ないケースが多く、両国における保険料の二重払いは日系企業にとって大きな負担となっていました。しかしながら、今回の日・インド社会保障協定が発効する2016年10月1日以降は、派遣期間が5年を超えない駐在員の場合にのみ、日本年金機構から適用証明書(COC:Certificate of Coverage)を取得することによって、例外的にインドの社会保障制度に加入する必要がなくなります(※なお、自営業者は当該協定の対象外)。具体的には、日本側で取得した適用証明書を駐在員がインドまで持参した上で社内に保管しておくことになります(=提出義務はなし)。また、派遣期間を延長して、合計が5年を超えるような場合には、予見できない特段の事情等がある場合にのみ、個別に両国間での協議・合意の上、最大3年間の延長が認められることになっています。なお、協定発効日時点においてすでにインド駐在中の場合には、2016年10月1日から起算して5年以下の駐在期間が見込まれる方が当該協定の対象となります。(※なお、適用証明書は2016年10月1日以降に申請可能で、申請後約2週間程度で発行される予定とのこと。適用証明書のサンプルはこちら:https://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/sinseisho/0826-02.files/7.pdf

 

「積立基金および年金の受給資格要件が緩和!これもデカい!」

 現在、インド駐在期間中の日本人がいて、かつ、インドの社会保障制度(EPSならびにEPF)にすでに加入している日系企業にとっては受給資格要件の緩和も大きな変更点のひとつ。具体的には(1)保険期間の通算、と(2)適用証明書(COC)取得による積立金還付の即時申請、という2つのポイントがあります。

まずは(1)年金の保険期間の通算について見ていきましょう。日本の老齢年金の受給資格要件は保険加入期間25年間。一方で、インドの年金(EPS)の場合には保険加入期間10年間です。これまでは、例えば下記のようなケースでは、日本の保険加入期間が合計で23年(=25年を満たさない)、そして、インドの保険加入期間が3年(=10年を満たさない)となるため、日本でもインドでも年金受給資格を得られませんでした。つまり、これまでのケースはほとんどがインドで支払っている当該EPSに対する年金保険料は単なる掛け捨てのコストとして認識せざるを得ませんでした。しかしながら、今回の日・インド社会保障協定の発効によって、保険期間の通算が認められるため、例えば、下記のケースでは通算後の保険加入期間はトータルで28年となり、日本においてもインドにおいても両国で年金受給資格を得ることができ、それぞれの国おいて年金保険料を支払った期間に応じて、年金が給付されることになります。つまり、下記のケースの場合、日本では23年分の年金給付を、インドでは3年分の年金給付を受けることができることになるわけです。ちなみに、インドにおける老齢年金EPSは58歳以降に受給開始となります。

%e5%8a%a0%e5%85%a5%e6%9c%9f%e9%96%93%e3%81%ae%e9%80%9a%e7%ae%97

 

次に、(2)適用証明書(COC)取得による積立金還付の即時申請について見てきましょう。これまでは被用者積立基金(EPF)については、駐在員の年齢が58歳に達する時点もしくは会社を引退する時点のいずれか遅い時点までは当該積立基金に対する還付を申請することができませんでした。つまり、これまでは駐在員が日本に帰国する際には、インドの個人口座を、閉鎖せずに積立金の受け取り用口座(=非居住者口座)として維持しておき、かつ、受給資格が得られるまではただひたすら待つ、、、、という状況でした。しかしながら、2016年10月1日以降は、帰任済の駐在員については適用証明書取得後に速やかに、また、現在駐在中の方は帰任等によりインドを離れる際にすぐに還付申請を行うことができるようになります。

なお、積立基金および年金の受給申請には主に、(A)書類上での雇用者証明による還付申請と、(B)UAN(=Universal Account Number)番号ベースの雇用者デジタル署名による還付申請、の2種類の方法があります。(A)の場合には、提出書類であるForm19(積立還付申請)およびForm 10C(年金受給申請)において、“1ルピーの印紙貼付”、および“雇用主による記載内容の証明(署名・押印)”が必要となりますので注意が必要です。一方で、(B)UAN番号ベースの還付申請を実施する場合には、当該機関EPFOのポータルサイトにて被用者の基本情報(KYC:Know Your Customer)を更新し、雇用者の権限保有者にデジタル署名(=DSC)にてオンラインで証明をしてもらった上で、UAN番号による還付申請用のForm19およびForm10Cを提出します(=この場合、雇用者による書面上の証明は必要なし)。受給申請時に添付する必要がある書類としては、下記のようなものが考えられます。(※状況によって必要書類は変わる可能性がありますのでご留意下さい。)

 

■ Form19(積立基金受給申請)

■ Form 10C(年金受給申請)

■ Non-Employment Declaration

■ Form 15G(確定申告にかかる供述書)

■ 赴任時のアポイントメントレター(Appointment Letter)

■ 帰任時のリリービングレター(Relieving Letter)

■ PANカードコピー(自署が必要)

■ Employment Visaのコピー(自署が必要)

■ FRRO登録のコピー(自署が必要)

■ キャンセル済小切手原本(自署が必要)

 

 

「申請書類の代理受付が日本で可能に!ただ、日本から申請できるとは言え、、、?」

 そして、最後のポイントが日本での書類代理受付です。これまではインドの積立基金や年金の受給申請はインドの担当窓口でしか受け付けてもらえませんでしたが、2016年10月1日以降は、日本の年金担当窓口も代理で書類の受付を行ってくれるとのこと。今回の日・インド社会保障協定の発効にともない作成された新しい申請書類フォーマットも用意されているようで、日本語、英語、ヒンディー語の3言語が併記されているので、すでに日本に帰任されている方にとっては書類作成および申請が日本でできるのでとても有り難い話です。がしかし、、、日本年金機構の担当者に話を伺ってみたところ下記の観点からいろいろとまだハードルは高そうです。

■ 日本側は単なる窓口機能で、原則、書類をそのままインドに受け渡すのみ

(※書類の不備等があった場合の対応や、還付までに要する時間が不透明)

■ 日本の口座を受け取り用口座として指定できるはずだが実績がないので不透明

■ 申請書類によって1ルピーの印紙貼付が必要(=インド側で準備する必要あり)

■ 申請書類によってインド側の雇用主による記載内容の証明(署名・押印)が必要

■ 積立基金や年金受給後は、受給額に応じてインドで確定申告をする必要あり

 

そして最後に、、、これまで説明してきましたインドにおけるEPF(積立基金)やEPS(年金)については、言わずもがな“個人”に帰属するものであることが大前提となっています。つまり、受給資格を得るということは、その個人が受給する権利を得ることになり、原則、駐在員の個人口座に入金されます。一方で、多くの日系企業は、駐在員の待遇面における手取保障の観点からインドでの社会保険料については駐在員本人負担分についても会社が代わりに負担をしているケースがほとんどであるため、個人に帰属する還付金について、どのように取り扱うべきか、会社と駐在員個人間で事前に合意をしておく必要があります。また、例えば積立金の還付時には10%のTDS(源泉所得税)が控除され入金されますが、還付額が多い場合には10%の納税では足りないため、別途確定申告および追加納税を実施する必要があるため注意が必要です。

いずれにしても、積立基金や年金の受給は外部の専門家のサポートを得ながら所得税の課税関係についても正しく清算した上で還付申請手続きを進めていくのが望ましいのではないかと思われます。

img_4843

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

チェンナイで採用活動!Naukri.comとは?

6月から新しいオフィスを構え

先週は15人以上のインド人の面接を実施しました。

企業が人材を採用する場合、

人材紹介エージェントを利用することが一般的ですが、

それ以外の有効な方法として

インドには Naukri.com というサイトがあります。

ウェブサイトによると、約3,340万人もの職務経歴書が登録してあって、

年収、経験年数、年齢、地域、キーワード、職位、担当業務、勤務企業名などなど

イメージしている人物像に合った設定をもとに自由に候補者を検索できちゃう代物です。

個人のメールアドレスや電話番号までも検索で引っ掛かっちゃうところがすごい。笑

検索結果から、更新が新しい候補者順に並べ替えたり

検索内容により近い候補者順に並べ変えたりもできます。

 

ちなみに、募集要項をサイトに登録して候補者を紹介してくれるのを待つ

という方法もありますがこれはオススメできません

登録した直後からイメージとかけ離れた候補者の職務経歴書がバンバン送られてきます。

このNaukri.comのサービスは

100人分の職務経歴書をダウンロードでき

かつ、1ポジションの募集要項を登録することできて1か月6,000ルピーです。

 

まずは書類選考、そして、すぐに電話で簡単なインタビュー

英語での最低限必要なコミュニケーション能力はここで判断します。

その後、アポを取って、実際に会って面接をしていくわけですが、

今回面接をして一番難しいな、と感じたのは

知識・経験があり、かつ、素直で実直な人物を見抜くこと

特に(実がともなっていなくても)自己主張をすることが当たり前の社会で育ったインド人の

素直さ、実直さ、を見抜くことは本当に難しい

いろいろな質問をして、時には論理的に追い詰めていってその反応を見ることも必要かもしれません。

 

まだまだ採用活動は始まったばかりですが、

時間をかけて思い悩んだ末に、自分が納得して採用したインド人と

仕事に対する価値観を共有しながら一緒に仕事をする毎日を想像すると本当にワクワクします。

(引っ越したばかりの新しいオフィス↓)

IMG_4320

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

インドの携帯電話SMS密着型ビジネスの行方

デビットカードって使ったことありますか?

お恥ずかしながら私はインドに来て初めて

デビットカードというものを持ちました。

というか、インドで銀行口座を開設したら

“VISA”って書いてあるカードを渡されて

「え?これクレジットカードなの?」って確認したら

デビット機能付きのキャッシュカードだったというわけ。

 

デビット機能というのは、

クレジットカードでもなく、

電子マネーでもなくて、

利用した時点で普通預金から即時に引き落とされるという支払サービス

VISA加盟店であればどこでも使えるようでこれが思いのほかとても便利です。

私はICICI銀行というインド国内の大手銀行で口座を作ったんですが、

おそらくHDFCやState Bank of India、Axisなどの他行でも

同様のサービスが提供されているはずです。

さらに便利なのが、口座の入出金をいちいち携帯電話のSMSにお知らせしてくれるんです。

しかも入出金の動きがあったその瞬間に。

 

IMG_3750

例えば、昨晩近所のスーパーで買い物したんですけど、

その時に637ルピーをデビットカードで払いました。

すると、その瞬間に携帯に上記のようなメッセージが届いて、

「637ルピー引き落とされました。残高は○○○ルピーです。」

と教えてくれる。

例えば、会社で経費精算をしてお金が口座に振り込まれると

その瞬間に入金額と残高を教えてくれる。

インドではこうした銀行取引だけでなく、

セキュリティの観点から様々な登録手続時に

本人確認用としてSMSが送られてきたり

タクシーやその他様々な予約サービスの確認

以前に紹介したAirtelの簡易情報リサーチサービス『Airtel Gyan』などなど

携帯電話のSMS機能を積極的に活用したサービスがたくさんあるようです。

 

これもモバイル機器利用によるネットユーザーが

急速に増えていることが背景にあると思われます。

2009年にたった410万人ほどだったモバイル機器ネットユーザーが

2012年末現在で約8700万人に、

そして2015年には1億6500万人になるというデータもあるようで(下記リンク参照)

今後どのようなSMS密着型ビジネスが生まれるのか楽しみです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130105-00000001-indonews-int

 

IMG_3325

 

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

日本への海外送金に際して理解すべき手続の全容

巨額資産申告漏れの罪の疑いによって

有罪判決を受けていたタミル・ナードゥ州の

ジャヤラリータ前首相に対して

カルナータカ州最高裁判所は今月

なんと無罪の判決を言い渡しました。

それを受けて本日23日、同氏が政治復帰します。

個人的には「なんだかなぁ」と釈然としない中

熱狂的な市民が彼女を一目見ようと市内はお祭りモード。

外の気温は38度。灼熱のチェンナイ到来とともに街はものすごい熱気です。

 

IMG_0138

IMG_0134

 

さて、インドから日本に海外送金するためには

インド準備銀行(RBI)が規定する

外国為替管理法(FEMA)にしたがって

一定の書類を準備する必要があります。

「えっ?単に送金するだけなんじゃないの?」

って思われる方が多いのですが、これがなかなか面倒なのです。

書類を作成するだけじゃなく、銀行手数料以外にも証明書の取得費用までかかる。

という訳で、前々回の記事に引き続いて国際取引を適切に処理するための

以下3つのポイントの中から、今回は第2回です。

第1回の記事はこちら(http://tanakkei.com/?p=11612

  • 第1回「日本法人が取得すべきPANおよびTRCについて」
  • 第2回「インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について」
  • 第3回「日本法人がPAN取得後に対応すべきこと」

 

第2回「インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について」

送金目的(支払の対象となっている取引内容)にもよりますが、

海外送金時には、原則、銀行から以下のような書類の提出を求められることになります。

  1. 請求書のコピー
  2. その他関連証憑書類のコピー(立替精算の場合の根拠書類や契約書、合意書など)
  3. 海外送金依頼書(Remittance Application:銀行所定の申請用紙)
  4. 海外送金報告書(Form A2:RBI規定の用紙)
  5. 海外送金にかかる源泉徴収報告書(Form 15CA:税務当局指定の用紙)
  6. 海外送金にかかる源泉税に関するインド勅許会計士の証明書(Form 15CB)
  7. 法人設立証明書(COI : Certificate Of Incorporation)
  8. 外国対内送金証明書(FIRC : Foreign Inward Remittance Certificate)
  9. 宣誓供述書(Declaration : 設立費用の立替精算の場合など)
  10. その他インド勅許会計士による証明書(Certificate : 設立費用の立替精算の場合など)

 

それぞれの書類準備にも相応の時間がかかるのですが、

No.6やNo.10のインド勅許会計士が発行する証明書は、

外部のインド勅許会計士に依頼をしなければならないため

証明書の発行手数料としてかなりの費用がかかります。

また、海外送金において日印租税条約(DTAA)に規定された軽減税率を適用する場合には

前々回の記事でご紹介をした通り、日本法人がPANおよびTRCを取得する必要があり、

インド側だけでなく、日本側でも支払に際して書類の整備が求められることになります。

なお、サービス提供等に対する対価の支払いであれば支払期限の規制はありませんが、

日本からインドへの物品等の輸入に対する支払については、

原則、船積みから6ヶ月以内に支払をしなければならない規定もあり注意が必要です。

支払時に求められる一連の手続を事前に理解した上で、

どのような契約内容にするのか、

どのようなタイミングで支払を実施していくのか等

当事者双方で十分な検討が必要です。

 

(自宅付近でジャヤラリータ州首相を激写。助手席に座るのね。)

IMG_0139

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

インドで『LIFE SHIFT』を考えてみる

もう2月も中旬ですが2017年初めてのブログ更新です。前回の更新からいつの間にか5ヶ月も経っちゃいました。何事も継続するのは難しいですね。今年で36歳になる酉年の私は2017年が年男。昨年の申年(去る年)から一転、今年の酉年(取り年)は大きな人生の転機になる気がしています。っというわけでちょっと大げさですが、、、「これからの人生」について考えてみたいと思います、笑!そして、ずっと前から気になっていたリンダ・グラットン氏の著書LIFE SHIFTを読んだんですが、まさに自分の価値観にも深く染み入る内容だったので感じたことを備忘録としてまとめておきます。

 

20121月に結婚し、一大決心をして8月に会社を辞めて南インドのチェンナイに移住、2013年に第一子誕生、2014年にインドで脱サラ・起業、20171月に離婚をしました。今までの人生の中で間違いなく大波乱の5年間でした。公私のストレスから初めて帯状疱疹という皮膚病にもなりました。「自分の人生を生きる」ということを大切にし過ぎたがゆえに反省すべき点も多々あり、相応の代償を払うことになりましたが、それでも家族と真剣に向き合ってこれからの人生を考え、悩み、そして、たくさんの人に相談をして到達した結論。だからこの5年間は、自分は人に支えられて生かされているのだという感覚と、そして、自分らしく生きることの意味について考える大きな転機となり、これから前を向いてまた新しい人生の第一歩を踏み出せる自信にもなりました。

 

激動の5年間で仕事にプライベートにと外部環境は大きく変化しました。それでも、インドに移住する前からふんわりと想い描いていた「会社に頼らず、日本人個人としていかに世界で仕事をし、そして、いかに生きていくか」という新しい働き方や生き方の模索は、2012年のブログ開設時から一貫して変わっていません。私が新しい働き方や生き方に関心を持つようになった背景には、前職の外資系企業での経験が大きく影響しています。米系企業でしたが、当時は台湾人女性の上司と、東南アジア諸国やインドを含む多国籍の人たちと一緒に仕事をする超グローバルな環境の中で、日本人としていかにプレゼンス・価値を発揮できるか、を強く考えさせられました。そして、終身雇用や年功序列、そして、年金制度が崩壊している社会において、日本人個人が会社に頼らずに自らの責任で世界を生き抜いていくための準備をしなくては、と強烈に考えさせられたわけです。そして今回、『LIFE SHIFT』を読んでさらに考えさせられたのは、本書のデータによると私と同世代の日本人の50%100歳近くまで生きる可能性が高いこと。そして、私の子供世代はその50%がなんど110歳近くまで(!)生きる、と予想されていること。

 

つまり、若い世代であればあるほど、60代で引退などとは言っていられないぐらい、私たちは人生設計の改革を迫られているようです。だって、引退した後の老後が3040年間もあるのに、仕事もせず、ろくな年金ももらえなかったら絶対に生きていけない。そこで本書が提案しているのが人生100年プランを前提に自己改革を続けていくこと。20代で就職、60代で引退(=教育→仕事→老後)ではなく、人生のステージごとに自分を変革・創造(リクリエーション)していく生き方。様々な実験をして自分について理解し、自分らしさを追求する生き方。人生の選択肢を増やして、自分の価値観に合う仕事を選ぶ生き方。そして、その価値観を共有できる相性のいいパートナーを見つける生き方。価値観とは、例えば、企業内で仕事をするのか、それとも、自分でビジネスをするのか、何歳まで働くのか、そして、どこに住むのか、など。

 

会社に勤めるサラリーマンの場合には、会社の人事制度等に大きな影響を受けます。つまり、もし制度が整っていれば、在宅勤務制度や週末の時間を利用して副業をスタートしてみる、短時間勤務制度を利用してプチ起業してみる、短期間の海外インターンに申し込んで現地で起業のネタを探してみる、など緩やかに働き方を変えてみることはできるかもしれません。自分の時間を分散投資して、自分の価値観に合う仕事が何なのかをいろいろと実験してみるイメージです。副業や在宅勤務制度、短時間勤務制度、長期休職などが禁止されているような場合は、少し時間はかかるかもしれませんが、優秀な社員が個人の価値観を主張していけばいくほど、いずれは会社も自ら変わることを迫られるはずです。一方で、この点においては起業というのはリスクを取って覚悟を決めさえすれば素晴らしくスピーディーです。

 

例えば、どこに住むのか。インドが住む場所としていいかどうかは置いておいて(笑)、自分らしさを追求する生き方のヒントを得る場所としては、現在直面しているグローバル社会と日本経済の今後を考えると最低でも35年ほど海外に住んでおく経験は大切だと思います。そんな中でも日本人にとって超不自由でかつ超異文化のインドという国はとても面白い。その理由のひとつは、日本人が魅力的だと思う商品やエンターテイメントもなく週末は基本的にやることがないから、笑。自分の価値観と相談しながら何かやってみようなどと考えて、一度やりたいことやってみて、それが違ってたらまた考えて別のことをやってみる。子供が遊んでるのとあまり変わらない、笑。インド在住の日本人はいい意味で時間を「無駄」に過ごせていると思う。つまり、日本ではやっていなかったような「遊び」がすごくできていると思う。効率性、合理性、利便性といった日本特有の枠組みから一度自由になって、そして、過剰な消費活動に巻き込まれることなく「無駄」に時間を過ごしているからこそ、逆に日々が充実している感じがとてもいいと思っています。こういう時間の使い方に似た働き方や生き方ができたらいいな。

 

というわけで2017年もガンガン遊びます、笑!!!

 

自動車部品業界に君臨する鋳造(ちゅうぞう)と鍛造(たんぞう)

最近、自動車部品メーカーを訪問する機会が多いのですが

特にその製造現場である工場は私にとって新しい世界です。

会計事務所や経理部門でしか働いたことのなかった私には

これまでの人生で学生の頃の工場見学以外、

実際の製造現場をほとんど見たことがありませんでした。

しかし、2012年8月からインドにに赴任して以来、

約100社近くのインド企業をインタビューし、

その実際の工場を視察させていただく機会を得るようになって

自動車業界の裾野の広さや工作機械の発明の素晴らしさ、ものづくりの奥深さ

インド人が日本に対して有している信頼感を実感するようになりました。

そして、その信頼感は日本の諸先輩方が築いてきて下さった財産であるということも。

 

特に興味深かったのは自動車部品の製造プロセスには欠かせない

鋳造(ちゅうぞう:Casting)や鍛造(たんぞう:Forging)といった金属加工

これら金属加工法は自動車の製造だけでなく、様々な物をつくる上で利用されてきました。

鋳造品は溶解した金属を型に流し込んで固める方法で

身近なものでは道路のマンホールや指輪等のアクセサリ、

水道の蛇口やあの奈良の大仏までもが鋳造によるものだそうです。

一方で、鍛造品は加熱した金属に圧力を加えるという方法で

日本では昔から日本刀や包丁などの刃物、銃身などの製造方法として利用され、

金属をより強靭にすることができるために

自動車部品の中でも特に強度が求められる部品の製造において利用されているようです。

 

例えば、鋳造に関しての一連の製造プロセスを見てみると、

CAD/CAM等のソフトウェアを使って部品のデザインをし、

そのデザインを基に金型のデザイン及び製造を行い、

原材料を仕入れ、それを溶解して、鉄や砂の型に流し込み、

固まった部品を熱処理して、一定の表面処理や加工を行い、

そして、接続部分などをCNC機械等で切削加工して製品化します。

さらに関連部品と一緒に組み立てる(アセンブリーする)企業も多くあります。

その一連の製造プロセスをどこまで社内で実施するのか

それらのプロセスをいかに効率的かつ効果的に

そして、いかに高品質かつ低価格な製品を提供できるか

どこまで顧客のニーズに見合う付加価値を提供できるかが事業の明暗を分けます。

以前に運転資金の考え方についての記事を書きましたが

特に製造業の場合にはその短期的な運転資金の管理は重要ですが、

それと同時に、機械設備の導入や技術者の雇用・教育には莫大な投資が必要で、

固定費・変動費を考慮した上でどれぐらいの期間で投資の回収ができるか

中長期的な視点での投資の回収戦略も非常に重要になってきます。

 

話は変わりますが、

インドの自動車部品業界におけるひとつのトレンドでもある

自動車の燃費効率を向上させるためには様々な方法があるようですが

その中でも特に分かりやすいのが車体重量を軽量化すること

先日、あるインドの大手自動車部品メーカーの方から聞いたんですが

部品の重量を軽量化する方法にもたくさんあるんですね。

より強度の強い素材(例:超硬合金等)を使うことで部品の厚さを薄くしたり、

今まで使っていた素材(例:スチール等)を

より軽い素材(例:プラスチックやアルミニウム、マグネシウム等)に変えたり、

そもそも製造方法(例:鋼棒による部品ではなく鋼管を利用した部品)に変えたり、

それらの素材や製造方法ひとつひとつにまた違った技術・機械設備が要求されるわけで

自動車部品業界はホントに奥の深い世界だなぁとひとりで感動していたのでした。

 

(最近訪問した鋳造部品メーカーの工場の様子)

Foundry

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング

税金がよく分からん!レシートの謎にせまる

お店やレストランでお金を払うとき

最近よくレシートをチェックするんですが、

結構な確率でまちがってますね、笑

注文してないものが含まれていたり

注文したものが含まれていなかったり

逆に金額が少なかったりすることもあるので

悪気があるというよりは単純にテキトーすぎるっていう、笑

 

さて、そんなレシートに書かれている税金について今日はご紹介したいと思います。

レストランでは主にVAT(州付加価値税)、サービス税、サービスチャージ

の3つが合計金額に上乗せされて請求されるケースがほとんどです。

まず最初に、以前から個人的にひとつ腑に落ちないのは

食事をした総額に対してVATとサービス税の両方が課税されているという点です。

 

IMG_0129

 

例えば、先日ハンバーガー(575ルピー)とコーヒー(150ルピー)を注文しました。

合計で725ルピーですが、この総額に対して(タミル・ナードゥ州の場合)VAT 14.5%と、

サービス税4.95%、サービスチャージ6%が請求されています。

「二重課税じゃないか!」と言いたくなるのですが、

これが現状のインドにおけるレストラン課税システムです。

レストランは食べ物だけを提供しているのではなく、

テーブルや椅子、インテリアや音楽、そして、エアコンの効いた快適な食事環境という

“サービス” を提供しているからサービス税も課税される、というのが理屈です。

ただ、もちろん食事代金の100%がサービスに該当するわけではないので

通常のサービス税の税率12.36%の代わりに、軽減税率4.944%が適用されています。

つまり、12.36%のうち60%部分は免除されていて、

12.36 × 40% = 4.944%が課税されているわけです。

食事代金総額のうち60%が食べ物代金、40%部分がサービス代金というイメージですね。

ただ、結局VATについては食事代金の100%に対して

課税されていることを考えると「なんだかなぁ。やっぱり二重課税やん」という感じです。

ちなみに、サービスチャージは「チップ」に当たりますので

レシートにサービスチャージが請求されていれば、

別途さらにチップをあげる必要はない、と考えて差支えないと思いますが、

高級レストラン等ではさらにチップを払うインド人をよく見かけます。

 

IMG_0130

 

ここで、別のレシートを見てみましょう。

ここでは食事代金の総額3,013ルピーに対して、VAT 2%

サービス税4.944%、サービスチャージ10%が請求されています。

そう。VATの税率が違うんです。

これは総じて見るとレストランのレベルによってこのような違いが生まれています。

だいたい4つ星や5つ星等の高級レストランではVAT 14.5%が請求され、

3つ星以下の中級以下のレストランではVAT 2%を請求しているケースが多いようです。

ちょっとばかしお固い経理の話になってしまいますが、

このVAT 14.5%を採用しているレストランは

Input Tax Credit Methodというスキームを採用していて、

富裕層をターゲットにしているためにお客さんには高い税金を請求する代わりに、

レストランは食材の仕入等の際に支払ったVATを控除できるメリットがあります。

一方で、VAT 2%を採用しているレストランは、

Compound Tax Methodというスキームを採用していて、

中間層以下をターゲットにしているためにお客さんには低い税金を適用できる代わりに、

レストランは食材の仕入等の際に支払ったVATを控除することが認められていません。

つまり、レストランが仕入時に支払ったVATはそのままレストランの負担になります。

消費者に多く税金を払わせればレストランもメリットを享受できるという仕組みです。

 

さて、私たちがよく利用するスーパーマーケットの場合はどうでしょうか。

結論から言うと、スーパーでは基本的にVATのみです。

ただ、日本とは違って商品によってVATの税率が違うので

タミル・ナードゥ州の場合は概ね(1)免税、(2)5%、(3)14.5%

の3つに分けられているケースが多くなっています。

こないだ買い物に行ったときのレシートを見るとこんな感じ。

 

IMG_0105

 

マッシュルームは免税、チキンと魚は5%、バターは14.5%という具合です。

他にも例えば、州外や国外から輸入したお酒は58%のVATが、

タバコには20%のVATが課税されたりします。

私たちが払っている税金はVATやサービス税だけではありませんが、

課税の仕組みから、それぞれの税率までとにかく複雑難解。

もう少しシンプルにしてほしいですね!

 

(街中で見かけた金色のベンツ。ぶっ飛んだ成金野郎だ、笑!)

IMG_0128

 

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ
にほんブログ村ランキング