インドのその他ビジネス事情

インドのその他ビジネス事情

会社法改正案が日系企業に与える影響とは?

2013年8月8日に、

インド会社法改正案が連邦議会上院で可決されました。

現行の会社法は1956年に成立して以来、

すでに60年近くが経過しており、

中には時代遅れな規定も散見されるようになったことから、

随分と前から現行の会社法を廃止して、

新しい会社法を成立させようという動きがありました。

実際に、改正案は発表されておりましたが、

インドのお国柄か、これまでの国会での審議で前に進むことはなく、

発表されてからすでに数年が経過しておりました。

しかし、昨年12月にようやく改正案が連邦議会下院で可決され、

そして今回、ついに上院でも可決されました。

今後は大統領の承認が得られた後、

中央政府がその通知をした日から新会社法が適用されることになります。

 

今回は改正案の中から、

あらためて日系企業がインド進出を検討する上で影響が出ると思われる重要なポイント

(1)一人会社の設立

(2)取締役会の構成員に関する変更

(3)インド会社と外国会社の合併

の3点についてご紹介したいと思います。

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(1)  一人会社の設立

日本の会社法上では、株主が1人のみで会社を設立することが認められていますが、

インドでは今まで最低2人の株主が必要とされていました。

しかし、今回の改正により、

インドでも同様に一人会社(One Person Company)が認められることになります。

つまり、今まではインドに100%子会社を作る場合には、最低株主数の条件を満たすために、

親会社以外にも関連会社や取締役就任予定の個人を

名義株主として設定する等の形式的な対応が求められていましたが、

今後はその必要性が無くなることが予想されます。

また、定時株主総会の開催は不要、取締役の最低人数も1名となる予定です。

 

(2)  取締役会の構成員に関する変更

今回の改正により、非公開会社(Private Company)においても、

インドの居住者である取締役を1名以上選任しなければならない、

とする規定が適用される予定です。

インド人である必要はありませんが、

インドの居住者になるためには、前年に182日以上インドに滞在している必要があり、

今後、インドで新たに会社設立を行う場合、

日本人のみで取締役会を構成するのが現実的に難しくなることが想定されます。

また、改正案が適用後は、既存の非公開会社も同様に、

1年以内に本規定を順守することが求められる可能性があります。

 

(3)  インド会社と外国会社の合併

現在のところ、インド会社による外国会社の吸収合併のみが認められており、

外国会社が合併の承継会社になることは認められていません。

しかし、今回の改正により、中央政府が認める国に限っては、

外国会社によるインド会社の吸収合併が認められることになる予定で、

外国会社が買収および合併スキームを検討する上での

選択肢の自由度が高まることが期待されます。

 

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世界中に旋風を巻き起こすUber社とは?

すでにご存知の方も多いとは思いますが、

世界中のタクシー業界に新たな旋風を

巻き起こしている米国企業があります。

2009年にサンフランシスコで創立された“Uber”社です。

ゴールドマン・サックスやグーグルの投資会社等が出資しており、

現在、45ヶ国150都市以上で事業展開しています。

日本では東京都心で既存タクシー会社の空車を利用したサービス展開を行っていて、

インドでもすでにチェンナイを含む主要都市においてサービスの利用が可能です。

まずは、インド国内のケースをもとに具体的なサービス内容を簡単にご紹介しておきます。

 

Ubar 1

Uberはタクシーの乗降車をより安心で快適にしたサービスで、

ダウンロードした専用アプリを使うことによって以下のことを可能にしています。

1、マップ上で乗降車位置を事前に指定

2、GPS機能を使って最も近くにいる車を自動配車(到着すると通知もあり)

3、運転手の顔写真、利用者評価、車両番号、車種等を事前に確認

4、専用アプリに登録した決済情報により自動的に支払完了

5、領収書は自動的にメールで配信

 

ちなみに、インドではUber社が手数料として

利用料金の20%を得る仕組みとなっているようですが、

Uber社のビジネスモデルは各国の法規制によって様々のようです。

(例えば、日本ではタクシー事業ではなく、「第2種旅行業者(仲介業者)」として事業展開しているようです。)

 

なお、日本のタクシー業界はサービスの質と価格をある程度均一にすることを目的に

国土交通省がタクシーの台数規制と料金規制を強いていますが、

東京に進出しているUbar社は、

従来の日本のタクシーサービスの質に変化を与えることになるため、

タクシー業界に新たな風を送り込むことになりそうです。

しかしながら、利用者にとっては便利である一方で、

世界各国のタクシー業界からは大きな反発もあるようで

実際、フランスやイタリアではUber社の参入に対して反対も多くあり、

タクシー組合による大規模な集団デモも起きているとのこと。

 

Ubar Black

(Source:Uber社のホームページより抜粋)

 

私が住んでいるチェンナイでは、日本のような ”流し” のタクシーはなく

基本的にコールセンターに電話をして、場所を説明し、30分から1時間程度待って、

乗車後はドライバーに行き先を説明し、降車時には現金で支払わなければならないので、

このUber社のサービスは大変便利で、少しずつ利用者が増えているようです。

 

今のところチェンナイではタクシー業界からの反発の声は聞こえてきませんが、

一方で、この度2014年8月に発表されたRBI(インド準備銀行)の通達により

Uber社のインドにおける事業展開の障壁になる可能性があります。

次回はそのあたりのRBI発表の通達についてご紹介したいと思います。

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日本への海外送金に際して理解すべき手続の全容

巨額資産申告漏れの罪の疑いによって

有罪判決を受けていたタミル・ナードゥ州の

ジャヤラリータ前首相に対して

カルナータカ州最高裁判所は今月

なんと無罪の判決を言い渡しました。

それを受けて本日23日、同氏が政治復帰します。

個人的には「なんだかなぁ」と釈然としない中

熱狂的な市民が彼女を一目見ようと市内はお祭りモード。

外の気温は38度。灼熱のチェンナイ到来とともに街はものすごい熱気です。

 

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さて、インドから日本に海外送金するためには

インド準備銀行(RBI)が規定する

外国為替管理法(FEMA)にしたがって

一定の書類を準備する必要があります。

「えっ?単に送金するだけなんじゃないの?」

って思われる方が多いのですが、これがなかなか面倒なのです。

書類を作成するだけじゃなく、銀行手数料以外にも証明書の取得費用までかかる。

という訳で、前々回の記事に引き続いて国際取引を適切に処理するための

以下3つのポイントの中から、今回は第2回です。

第1回の記事はこちら(http://tanakkei.com/?p=11612

  • 第1回「日本法人が取得すべきPANおよびTRCについて」
  • 第2回「インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について」
  • 第3回「日本法人がPAN取得後に対応すべきこと」

 

第2回「インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について」

送金目的(支払の対象となっている取引内容)にもよりますが、

海外送金時には、原則、銀行から以下のような書類の提出を求められることになります。

  1. 請求書のコピー
  2. その他関連証憑書類のコピー(立替精算の場合の根拠書類や契約書、合意書など)
  3. 海外送金依頼書(Remittance Application:銀行所定の申請用紙)
  4. 海外送金報告書(Form A2:RBI規定の用紙)
  5. 海外送金にかかる源泉徴収報告書(Form 15CA:税務当局指定の用紙)
  6. 海外送金にかかる源泉税に関するインド勅許会計士の証明書(Form 15CB)
  7. 法人設立証明書(COI : Certificate Of Incorporation)
  8. 外国対内送金証明書(FIRC : Foreign Inward Remittance Certificate)
  9. 宣誓供述書(Declaration : 設立費用の立替精算の場合など)
  10. その他インド勅許会計士による証明書(Certificate : 設立費用の立替精算の場合など)

 

それぞれの書類準備にも相応の時間がかかるのですが、

No.6やNo.10のインド勅許会計士が発行する証明書は、

外部のインド勅許会計士に依頼をしなければならないため

証明書の発行手数料としてかなりの費用がかかります。

また、海外送金において日印租税条約(DTAA)に規定された軽減税率を適用する場合には

前々回の記事でご紹介をした通り、日本法人がPANおよびTRCを取得する必要があり、

インド側だけでなく、日本側でも支払に際して書類の整備が求められることになります。

なお、サービス提供等に対する対価の支払いであれば支払期限の規制はありませんが、

日本からインドへの物品等の輸入に対する支払については、

原則、船積みから6ヶ月以内に支払をしなければならない規定もあり注意が必要です。

支払時に求められる一連の手続を事前に理解した上で、

どのような契約内容にするのか、

どのようなタイミングで支払を実施していくのか等

当事者双方で十分な検討が必要です。

 

(自宅付近でジャヤラリータ州首相を激写。助手席に座るのね。)

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面接はご家族もいっしょ?インドの家族愛

「インド人スタッフの採用は難しい」

そんな話を日系企業の駐在員から

今まで何度も聞いたことがあります。

チェンナイでは完全に売り手市場になっていて、

なかなかいい人が見つからない上に、

当然の話ですが、スキル・経験のあるインド人求職者ほど

かなりの高待遇を要求してくるのだそうです

ある人材紹介会社の話では、希望年収は平均でも現在の収入の20~30%アップ

たくさんの会社からオファーレターを貰いならが転職活動を続け、

そのオファーレターを利用しながら

より高い待遇のオファーを出してくれる会社を探すのだとか。

なので、ようやくいい人を見つけて採用オファーを出しても、

結局、入社しないケースが多いのだそうです。

また、退職するまでの期間が長い場合も多いようで、

その人の気が変わらないうちに早く入社してもらうために

ある一定のお金を企業が負担をすることによって

退職時期を早めてもらう(買取制度を利用する)企業も多いようです。

 

一方で、興味深いお話も聞いたことがあります。

「インド人との面接当日、ご家族全員がいっしょに現れた」

「採用したインド人の家族が突然オフィスの視察に来た」

「採用が決まって契約までしたのに入社初日に来なかった」

「入社初日に来たのは母親だった」

私が働いている会社でもインドらしい出来事がありました。

ちょうど昨年末のとある月曜日に

一緒に働いていたインド人スタッフから

「2か月後に結婚が決まりました!」と。

「それはおめでとう!!!」ということで

「いつ出会ったの?!」「どんな人なの?!」などと質問すると

金曜日、つまり3日前。

そして、その2日後の水曜日

「仕事を辞めないといけない」と。

「え?なんで?」と聞いてみると

どうやら、婚約者のご家族からのリクエスト。

もっと有名なブランドのある大企業に勤めてほしい、と。

結婚式までに転職しないといけないということで、

その後、早々にに有名な某大企業の内定を勝ち取り

転職していったのでした。

 

日本と比べると、インドは家族とのつながりが本当に強い

自分の人生なんだから、と個人の自由を尊重することも大切

一方で、家族あっての自分なんだから、と自分を犠牲にしてでも家族の意向を尊重することも大切

インドはその後者をより大切だと考える文化のように感じます。

とは言っても、日本も30年前は家族とのつながりがもっと強かったのだろうか

そう考えると、インドも30年後は・・・

いやいや、インド独特の家族愛は今後も変わることはないだろうな

自分の人生と家族の人生。

その両方をうまく大切にできる道を模索していきたいですね。

 

(牛さんが通られますので少しお待ちを・・・)

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「トゥーミニッツ」の裏にある引き算の発想の欠如

「インド時間」という言葉をご存知でしょうか。

いわゆる「時間を守らない」というインドの時間に対するルーズさを

なかば総称してそう呼んでいるのですが、

典型的なのが「トゥーミニッツ」

インドで生活していると毎日耳にする言葉です。

いわゆる日本語で2分を意味しますが

「トゥーミニッツ」と言われると15分待たされることはもはや当たり前です。

さらに危険なのが「ファイブミニッツ」

これは下手すると1時間待たされます。

1時間待たされた挙句にまだなのかと問い合わせると

またまた「ファイブミニッツ」

これでさらに1時間待つなんてことも。笑

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先日、日系企業の社長さんから聞いた話なんですけど

あるテレビ番組でインド人と日本人で算数対決したんだそうです。

すると、足し算と掛け算では圧倒的にリードしていたインド人が、

引き算になった瞬間に計算が遅くなり、結局日本人の圧倒的勝利で終わったんだとか。

足し算は強いのに、

なぜか引き算にものすごく弱いインド人。

 

実は同じようなことを実際のビジネスの中でも感じます。

目の前のことをひとつひとつ積み重ねていくこと(足し算の発想)は得意のようですが、

ある目標や期日に向かって逆算してスケジュールを立てること(引き算の発想)は苦手なようです。

だから、待ち合わせの時間にも当たり前のように遅れてくる。

事前にあまり計画せず

ひとつひとつの作業を積み上げた結果、

いつの間にか納期に間に合わなくなっている。

「トゥーミニッツ」と言っても結局15分かかっちゃう。

これがいわゆる「インド時間」の正体なんではないかと思います。

 

インド人の長所である足し算の発想を生かすのか。

それとも、短所である引き算の発想を身につけてもらうのか。

インド人従業員を雇用している日系企業にとって

彼らをマネジメントするのにはいろいろと工夫が必要なのかもしれません。

(写真は年に一度の祭りポンガルの日にアパート前に描かれていたコーラム)

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あなたが「海外就職」をすべきではない理由

最近、「海外就職」という言葉をよく耳にするようになってきました。

ここインドでも少しずつその動きが広がってきているようです。

ある日系企業ではインドにある全ての事業拠点において

現地採用の日本人を常駐させている、とのこと。

また、別の日系企業でも

今までは日本から駐在員を派遣していたけれど

今後はコストを抑えるために現地採用に切り替えていく、と。

20代の若者が自分の行きたい国にやりがいのある仕事を求めて就職もしくは転職をする。

一方、コスト削減を迫られる海外現地法人の中堅・中小企業はそんな若者を

現地採用の人材として積極的に活用していく、という構図です。

 

例えば、駐在員の場合だと年間およそ1,000万円程度のコストがかかると言われていますが、

インドの現地採用の日本人で平均300万円程度(もちろん個人差はあります。)

コストを3分の1以下に抑えられるわけです。

 

さて、ここで重要になってくるのが、

現地採用の日本人にかかる平均300万円のコストが高いのか安いのか、ということです。

なぜなら、同じ20代のインド人年収が約40万~100万円程度だからです。

つまり、インド人を雇えばコストをさらに3分の1以下に抑えることができます。

日本語を猛勉強して話せるようになったインド人にこの若者は勝てるでしょうか?

 

その判断基準となるのは、

この若者が下記5つの「日本人メリット」をどれだけ生かせる人材かどうか

その総合力の高さに尽きます。

 

(1)、日本語が話せる

(2)、日本のビジネス商習慣を理解し・実践できる。

(3)、日本人とのコミュニケーション(阿吽の呼吸)を理解し、実践できる。

(4)、日本人特有の責任感を理解し、実践できる。

(5)、日本社会における何らかの専門性を持っている。

 

これらの「日本人メリット」を総合的に生かせる人材でなければ、

300万円という現地採用の日本人コストは高いと言わざるを得ない。

極端な話をすると、

社会人経験の無い若者は、

日本のビジネス商習慣を理解していないだろうし、

日本人特有の責任感をビジネスの中で実践できないかもしれない

そして日本社会における何らかの専門性も持っていない。

そうだとすると、日本語が話せるインド人に勝てるわけがないんです。

 

だから、「海外就職」を考えている20代のみなさんは

ご自身が(1)~(5)の日本人メリットを全て武器として備えているかどうか

今一度確認してみましょう。

もし、ひとつでも欠けている武器がある場合には、

現在の環境の中でまずはそれを獲得できるように努力をしましょう。

これから先30年以上にわたる長い仕事人生を考えると

その武器を獲得するために努力をする日本での時間のほうがきっと価値があります。

「海外で働く」というのは、

「日本人として働く」という全く新しいチャレンジであることに他ならないからです。

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インドで『LIFE SHIFT』を考えてみる

もう2月も中旬ですが2017年初めてのブログ更新です。前回の更新からいつの間にか5ヶ月も経っちゃいました。何事も継続するのは難しいですね。今年で36歳になる酉年の私は2017年が年男。昨年の申年(去る年)から一転、今年の酉年(取り年)は大きな人生の転機になる気がしています。っというわけでちょっと大げさですが、、、「これからの人生」について考えてみたいと思います、笑!そして、ずっと前から気になっていたリンダ・グラットン氏の著書LIFE SHIFTを読んだんですが、まさに自分の価値観にも深く染み入る内容だったので感じたことを備忘録としてまとめておきます。

 

20121月に結婚し、一大決心をして8月に会社を辞めて南インドのチェンナイに移住、2013年に第一子誕生、2014年にインドで脱サラ・起業、20171月に離婚をしました。今までの人生の中で間違いなく大波乱の5年間でした。公私のストレスから初めて帯状疱疹という皮膚病にもなりました。「自分の人生を生きる」ということを大切にし過ぎたがゆえに反省すべき点も多々あり、相応の代償を払うことになりましたが、それでも家族と真剣に向き合ってこれからの人生を考え、悩み、そして、たくさんの人に相談をして到達した結論。だからこの5年間は、自分は人に支えられて生かされているのだという感覚と、そして、自分らしく生きることの意味について考える大きな転機となり、これから前を向いてまた新しい人生の第一歩を踏み出せる自信にもなりました。

 

激動の5年間で仕事にプライベートにと外部環境は大きく変化しました。それでも、インドに移住する前からふんわりと想い描いていた「会社に頼らず、日本人個人としていかに世界で仕事をし、そして、いかに生きていくか」という新しい働き方や生き方の模索は、2012年のブログ開設時から一貫して変わっていません。私が新しい働き方や生き方に関心を持つようになった背景には、前職の外資系企業での経験が大きく影響しています。米系企業でしたが、当時は台湾人女性の上司と、東南アジア諸国やインドを含む多国籍の人たちと一緒に仕事をする超グローバルな環境の中で、日本人としていかにプレゼンス・価値を発揮できるか、を強く考えさせられました。そして、終身雇用や年功序列、そして、年金制度が崩壊している社会において、日本人個人が会社に頼らずに自らの責任で世界を生き抜いていくための準備をしなくては、と強烈に考えさせられたわけです。そして今回、『LIFE SHIFT』を読んでさらに考えさせられたのは、本書のデータによると私と同世代の日本人の50%100歳近くまで生きる可能性が高いこと。そして、私の子供世代はその50%がなんど110歳近くまで(!)生きる、と予想されていること。

 

つまり、若い世代であればあるほど、60代で引退などとは言っていられないぐらい、私たちは人生設計の改革を迫られているようです。だって、引退した後の老後が3040年間もあるのに、仕事もせず、ろくな年金ももらえなかったら絶対に生きていけない。そこで本書が提案しているのが人生100年プランを前提に自己改革を続けていくこと。20代で就職、60代で引退(=教育→仕事→老後)ではなく、人生のステージごとに自分を変革・創造(リクリエーション)していく生き方。様々な実験をして自分について理解し、自分らしさを追求する生き方。人生の選択肢を増やして、自分の価値観に合う仕事を選ぶ生き方。そして、その価値観を共有できる相性のいいパートナーを見つける生き方。価値観とは、例えば、企業内で仕事をするのか、それとも、自分でビジネスをするのか、何歳まで働くのか、そして、どこに住むのか、など。

 

会社に勤めるサラリーマンの場合には、会社の人事制度等に大きな影響を受けます。つまり、もし制度が整っていれば、在宅勤務制度や週末の時間を利用して副業をスタートしてみる、短時間勤務制度を利用してプチ起業してみる、短期間の海外インターンに申し込んで現地で起業のネタを探してみる、など緩やかに働き方を変えてみることはできるかもしれません。自分の時間を分散投資して、自分の価値観に合う仕事が何なのかをいろいろと実験してみるイメージです。副業や在宅勤務制度、短時間勤務制度、長期休職などが禁止されているような場合は、少し時間はかかるかもしれませんが、優秀な社員が個人の価値観を主張していけばいくほど、いずれは会社も自ら変わることを迫られるはずです。一方で、この点においては起業というのはリスクを取って覚悟を決めさえすれば素晴らしくスピーディーです。

 

例えば、どこに住むのか。インドが住む場所としていいかどうかは置いておいて(笑)、自分らしさを追求する生き方のヒントを得る場所としては、現在直面しているグローバル社会と日本経済の今後を考えると最低でも35年ほど海外に住んでおく経験は大切だと思います。そんな中でも日本人にとって超不自由でかつ超異文化のインドという国はとても面白い。その理由のひとつは、日本人が魅力的だと思う商品やエンターテイメントもなく週末は基本的にやることがないから、笑。自分の価値観と相談しながら何かやってみようなどと考えて、一度やりたいことやってみて、それが違ってたらまた考えて別のことをやってみる。子供が遊んでるのとあまり変わらない、笑。インド在住の日本人はいい意味で時間を「無駄」に過ごせていると思う。つまり、日本ではやっていなかったような「遊び」がすごくできていると思う。効率性、合理性、利便性といった日本特有の枠組みから一度自由になって、そして、過剰な消費活動に巻き込まれることなく「無駄」に時間を過ごしているからこそ、逆に日々が充実している感じがとてもいいと思っています。こういう時間の使い方に似た働き方や生き方ができたらいいな。

 

というわけで2017年もガンガン遊びます、笑!!!

 

広域経済圏を目指すRCEP(アールセップ)とは?

2013年3月に安倍内閣が表明した

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加

昨今の日経新聞の記事でもよく取り上げられていますが

2006年に発効したTPP原加盟国は、

もともと、シンガポール、ブルネイ、

チリ、ニュージーランドの4か国だけでした。

「小国同士の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」

そんな目的を持って小さな国が集まって形成されていたTPPですが、

そこに交渉参加に乗り出してきたのがアメリカ、カナダ、ペルー、メキシコ、

ベトナム、マレーシア、オーストラリア、そして、日本です。

 

日本にとっては、アメリカ大陸圏との経済連携の強化を目指す意味合いが強い TPP ですが

一方で、日本がアジア圏における経済連携の強化を目指す上で重要になってくるのが RCEP です。

昨年11月に交渉立ち上げが宣言された

東アジア包括的経済連携協定(RCEP:アールセップ)

ここで、まずはその中核をなすASEANについてご紹介しておきます。

 

ASEAN(東南アジア諸国連合)は

インドネシアのジャカルタに本部を構え

その加盟国は全部で10か国

インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、

ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア

域内の人口は6億人を超えていて

5億人の人口を抱える欧州連合(EU)よりも多い

このASEAN諸国域内においてはASEAN経済連携協定(AFTA)が結ばれ

原則、輸入関税を撤廃することによる自由貿易経済圏が形成されつつあります。

そして、この自由貿易経済圏は、ASEAN+日本、中国、韓国、

さらには、インド、オーストラリア、ニュージーランドまで拡大しつつあります。

 

このASEAN(10か国)+上記6か国の合計16か国で

包括的な経済協定を結ぼうというのがRCEPです。

RCEPが実現すれば、域内の人口はなんと約34億人

世界人口の約半分を占める巨大かつ広域経済圏が出現することになります。

私が注目しているのは、この経済圏にインドが含まれていること

日系製造業における最適なグローバルサプライチェーンを構築していく上で、

このRCEPは今後のインド事業に多少なりとも影響が出てくることが考えられます。

その具体的な影響については、次回の記事でご紹介したいと思います。

 

(参考:Wikipedia『東南アジア諸国連合』『環太平洋戦略的経済連携協定』)
(参考:経済産業省『東アジア経済統合に向けて』)

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自動車部品業界に君臨する鋳造(ちゅうぞう)と鍛造(たんぞう)

最近、自動車部品メーカーを訪問する機会が多いのですが

特にその製造現場である工場は私にとって新しい世界です。

会計事務所や経理部門でしか働いたことのなかった私には

これまでの人生で学生の頃の工場見学以外、

実際の製造現場をほとんど見たことがありませんでした。

しかし、2012年8月からインドにに赴任して以来、

約100社近くのインド企業をインタビューし、

その実際の工場を視察させていただく機会を得るようになって

自動車業界の裾野の広さや工作機械の発明の素晴らしさ、ものづくりの奥深さ

インド人が日本に対して有している信頼感を実感するようになりました。

そして、その信頼感は日本の諸先輩方が築いてきて下さった財産であるということも。

 

特に興味深かったのは自動車部品の製造プロセスには欠かせない

鋳造(ちゅうぞう:Casting)や鍛造(たんぞう:Forging)といった金属加工

これら金属加工法は自動車の製造だけでなく、様々な物をつくる上で利用されてきました。

鋳造品は溶解した金属を型に流し込んで固める方法で

身近なものでは道路のマンホールや指輪等のアクセサリ、

水道の蛇口やあの奈良の大仏までもが鋳造によるものだそうです。

一方で、鍛造品は加熱した金属に圧力を加えるという方法で

日本では昔から日本刀や包丁などの刃物、銃身などの製造方法として利用され、

金属をより強靭にすることができるために

自動車部品の中でも特に強度が求められる部品の製造において利用されているようです。

 

例えば、鋳造に関しての一連の製造プロセスを見てみると、

CAD/CAM等のソフトウェアを使って部品のデザインをし、

そのデザインを基に金型のデザイン及び製造を行い、

原材料を仕入れ、それを溶解して、鉄や砂の型に流し込み、

固まった部品を熱処理して、一定の表面処理や加工を行い、

そして、接続部分などをCNC機械等で切削加工して製品化します。

さらに関連部品と一緒に組み立てる(アセンブリーする)企業も多くあります。

その一連の製造プロセスをどこまで社内で実施するのか

それらのプロセスをいかに効率的かつ効果的に

そして、いかに高品質かつ低価格な製品を提供できるか

どこまで顧客のニーズに見合う付加価値を提供できるかが事業の明暗を分けます。

以前に運転資金の考え方についての記事を書きましたが

特に製造業の場合にはその短期的な運転資金の管理は重要ですが、

それと同時に、機械設備の導入や技術者の雇用・教育には莫大な投資が必要で、

固定費・変動費を考慮した上でどれぐらいの期間で投資の回収ができるか

中長期的な視点での投資の回収戦略も非常に重要になってきます。

 

話は変わりますが、

インドの自動車部品業界におけるひとつのトレンドでもある

自動車の燃費効率を向上させるためには様々な方法があるようですが

その中でも特に分かりやすいのが車体重量を軽量化すること

先日、あるインドの大手自動車部品メーカーの方から聞いたんですが

部品の重量を軽量化する方法にもたくさんあるんですね。

より強度の強い素材(例:超硬合金等)を使うことで部品の厚さを薄くしたり、

今まで使っていた素材(例:スチール等)を

より軽い素材(例:プラスチックやアルミニウム、マグネシウム等)に変えたり、

そもそも製造方法(例:鋼棒による部品ではなく鋼管を利用した部品)に変えたり、

それらの素材や製造方法ひとつひとつにまた違った技術・機械設備が要求されるわけで

自動車部品業界はホントに奥の深い世界だなぁとひとりで感動していたのでした。

 

(最近訪問した鋳造部品メーカーの工場の様子)

Foundry

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日本とインドの会計士・弁護士事情

日本やアメリカで一般的に呼ばれている

「公認会計士(CPA: Certified Public Accountant)」のことを

インドやイギリス、オーストラリアでは

「勅許会計士(CA: Chartered Accountant)」と呼びます。

 

日本公認会計士協会、及び、インド勅許会計士協会のデータによると

2012年時点の日本国公認会計士の会員数は約3万2,000人で、

2012年時点のインド国勅許会計士の会員数は約19万2,000人です。

インド勅許会計士資格の試験制度は、

第1試験CPT、第2試験IPC、第3試験Finalの3段階の筆記試験と、

3年間の実務経験(Articleship)から構成され、

インドで最も難関な国家資格の一つです。

会計士が行う業務のひとつとして有名なのが会計監査

日本では資本金が5億円以上、もしくは負債総額200億円以上の大会社に義務付けられていますが、

インドでは全ての会社がこの会計監査を受けなければならないことも背景にあって、

インド国勅許会計士は社会的にも高い地位の職業として広く認識されているようです。

 

一方で、インド国弁護士に対する認識は随分と違うようです。

日本の司法試験のような難しい資格試験はなく、

原則、法学部を卒業し、登録料を納付すれば弁護士登録をすることができます。

法学部を有する大学はインド全国に約900校もあり、

毎年約4~5万人の弁護士が新たに誕生しているようです。

2011年に“All India Bar Examination”と呼ばれる弁護士資格試験が新たに導入されましたが、

全ての卒業生が受験をしなければならないわけではなく、

また、2011年以前の卒業生には適用されないために、

依然としてインドではほとんどの弁護士が試験に合格することなく業務を行っています。

日本弁護士連合会のデータによると、

2012年時点の日本国弁護士の会員数は約3万2,000人であるのに対し、

インドでは120万人超の弁護士がいると言われており、その数はなんと日本の約40倍です。

当然、専門家としてのレベルも様々で、

インドに進出している日系企業にとっては、

信頼できる適切な会計士・弁護士を見つけ出すことはとても重要です。

(↓法律関係の書籍を専門に扱う本屋『C.Sitaraman & Co』設楽マン?)

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チェンナイの過酷なビジネス影響(電力不足編)

昨日は朝9時から停電がスタート。

そのまま8時間も停電が続くとはつゆ知らず。

どうやら新聞に地域ごとの計画停電情報がちゃんと掲載されていたようです。

私生活においては、

あ、洗濯してる途中だったのに

あ、今からシャワー浴びようと思ったのに

あ、真っ暗で本読まれへんやん

といろいろ面倒なことも起こりますが、

とは言っても “その程度” のことなので

停電とうまく付き合っていくことは大したことではありません。

慣れてしまえばどうってことないと思えるのが人間のすごいところ。

 

ただ、ビジネスの世界ではそうはいかないようです。

多くの製造業者は工場に大型のディーゼル発電機を導入していて、

停電時の電力供給を発電機で頼っているんだそうですが、

その燃料代を考慮すると電気代は通常の2.5~3倍に膨れ上がってしまうんだとか。

さらに、工場の発電機はとにかくデカいので場所は取るし、

突然の停電によって稼働中だった機械が急停止し、

それが機械の故障を引き起こす原因になったり

製造中の製品に不良品を出したり、

生産が止まってしまうので当然生産性が落ちたりと、

様々な悪影響が引き起こしているようです。

 

先日、あるインド企業の社長さんから聞いた話では、

このディーゼル発電機

通常は25~35%ものロス(無効電力)が発生してしまうようですが、

自動力率調整器(APFC:Automatic Power and Frequency Control)という装置を導入することによって

そのロスをある程度は有効電力として利用できるようになり

発電効率を向上させることができるんだとか。

 

また、先日、ある日系企業の社長さんから聞いた話では

このディーゼル発電機の代わりに

無停電電源装置(UPS:Uninterrupted Power Supply)を導入していて

このUPSを活用して停電による負担をうまく軽減しているのだとか。

どういうことかと言うと、

ディーゼル発電機は燃料代によって電力コストが高くつく上に、

停電後に電力が復旧するまでの間にタイムラグがありますが、

UPSはその言葉通り、切れ間なく電力を供給し続けることができる装置なので、

UPSを利用することによって停電時の急な機械停止を事前に防ぎ、

停電後はUPSの供給の助けを借りて

稼働中だった製造工程を区切りの良い段階まで作業を終わらせてしまう

そして、電力が復旧するまで製造を一時的に止めて

ディーゼル発電機による余分なコストや

その他の悪影響をできる限り排除するようにしているんだそうです

 

工場の規模や停電時間の長さにもよるとは思いますが、

チェンナイの電力不足による過酷なビジネス環境を目の当たりにしながら

こうやって企業は様々な工夫をしているのだなーと思いました。

「2013年中に電力不足を解消する」

と発表したタミル・ナードゥ州政府。

果たして本当に実現できるのでしょうか。

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ECB規制とインドにおける資金調達のお話

たまには会計士らしい真面目な話を、、、笑

“貸借対照表(BS)” や “損益計算書(PL)” は

主に以下の4つの事業活動の結果を数字で表しています。

具体的な細かい数字は置いといて、

とりあえずこの仕組みを理解してもらえればと思います。

①    お金を調達する

②    そのお金を使って資産に投資をする

③    それらの資産を使って売上をあげる

④    売上から費用を引いた利益(及び損失)を認識する

 

財務諸表フロー

 

そこで、インド事業を始めるにあたってはまず

①    どのようにして資金を調達するのか、を検討しなければなりません。

上図のとおり、資金調達の方法には大きく分けて

借入金(返済義務のある負債)

出資金(返済義務のない資本)の2つがあります。

 

インドではこの資金調達についてのご相談を受けることが多くありますが、

ここでまずは、“運転資金” という重要な考え方について説明したいと思います。

夢中になっていたドラマ『半沢直樹』がついに終わってしまって寂しいので

ネジを作っている町工場のケースを取り上げてみますが、

下記の1~4はネジの原材料を仕入れてから

製造、販売、売上金の回収に至るまでのプロセスです。

 

1、ネジの原材料を仕入れる(支払期間30日)

2、ネジを製造する(製造期間30日)

3、完成品のネジを倉庫に保管する(製造後、販売までの期間30日)

4、ネジを販売してお金を回収する(回収期間30日)

 

それぞれのプロセスに要する時間を単純化して30日と仮定してみます

どういうことか

つまり、どれだけたくさんのネジを販売できたとしても、

そのお金を回収するまでにはどうしても時間がかかってしまうということです。

このケースだと、ネジを作り始めてからお金を回収できるまでに約3か月かかります。

一方で、ネジの材料の仕入先に対する支払期間は1か月間しか待ってくれませんから、

自社の商品がたくさん売れることがたとえ事前に分かっていたとしても、

ビジネスを継続していくためには最低でも2か月分の資金が必要となります。

これが一般的に言われる“運転資金”です。

 

インドで資金調達をする際に多くの日系企業が頭を悩ませている背景には

インド国外からの借入金をこの “運転資金” として使うことが

原則、認められていないという点にあります。

これはECB(対外商業借入:External Commercial Borrowings)と呼ばれるインド国外からの借入は

インド連邦準備銀行(Reserve Bank of India:RBI)が規程するECB規制によって

資金使途や借入期間等の制約を受けるからです。

つまり、低金利で日本からお金を借りたいけれど、

資金使途に制限があるために借りることができない

一方で、親会社に増資(追加の出資金)を依頼したとしても、

返済義務のない出資金は親会社にとって全額回収できる見込みがないため嫌がられる

さらに、インド国内でお金を借りると金利が高すぎて利息負担が重過ぎる、などなど

 

ところが、2013年9月4日にRBIが新たな通達を発表しました。

それは、ECBであっても以下の条件を満たせば

運転資金を含む一般的な事業資金として借入金を利用しても良いというもの

 

1、貸付側が借入側の株式25%以上を持っていること

2、又貸し等のECB規制に規定された禁止事項に抵触しないこと

3、平均借入残存期間が7年以上で、返済はそれ以降に行うこと

 

正直、まだ前例がありませんから何とも言えませんが、

通常は3年以上の期間において借入が認められているECBが、

“平均借入残存期間が7年以上”という条件が新たに提示されていることにより

結局は相当の金利負担を強いられる結果となることは目に見えていますので

実務的にどのように運用されていくのかが注目されます。

 

(チェンナイ・マリーナビーチの日の出とハトの群れ↓)

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インド企業へインタビューして思うこと

M/s.ってどういう意味か分かりますか?

インドで仕事をしているとよく見かける言葉です。

Mr. でもなくMs. でもないM/s.

お恥ずかしながら最近知ったのですが、

これMr.の複数形であるMessrs.の略語なんだそうです。

ちなみに、Ms.の複数形はMses.

つまり、田中さんと鈴木さん(男性2名)と

佐藤さんと藤本さん(女性2名)に宛ててメールを送る際の宛名は、

Dear Messrs. Tanaka and Suzuki and Mses. Sato and Fujimoto

となります。

一方で、M/s.は社名に対しても使われるようで、

インドで見かけるM/s.は主に社名に使われているケースがほとんどです。つまり、

M/s. XYZ Private Limited.

という感じになるわけです。

 

さて、話は変わりますが、

インド企業にインタビューに行っていつも私が実践していることがあります。

それは、自分のプライベートをある程度オープンにする、ということ

最初にいきなりビジネスの話をしてうまくいったためしがありません。

私生活や家族の話、チェンナイの好きなところ、タミル語を少々話してみたりすると、

雰囲気が和み、無意識にもそこにあった壁のようなものが少し低くなるようです。

一方で、相手にとって自分がビジネスで付き合うに値する人物であるということも

自己紹介とともに実績や具体的な案件の話を通じて理解させなくてはなりません。

 

インタビューにおいては一度いい雰囲気ができると

相手も自社の実績や顧客名、強み、業界の裏事情などなど

こちらが質問したことに対して、

期待以上に止めどなく話をしてくれるのですが、

結局のところ、一番知りたかったことがよく分からない

そんな残念な結果になることも決して少なくありません。

限られた時間の中で、知りたいことだけを、できる限り効率的に話してもらう

そのためには「話をさせる工夫」と同時に、

「話をさせない工夫」も必要だと感じています。

話を聞いているうちに方向性がズレていると感じたら

一度、話を止めて質問を再度投げて方向修正する必要があるし、

このまま話してもらっても知りたいことが得られそうもないと感じたら

思い切って話を止めて、次の質問に行くという判断も必要です。

 

さらに、インド人へのインタビューをより有意義なものにするために

私自身の課題として今取り組んでいるのは、

「話をつなげる工夫」です。

これは、止めどなく話してくれるその内容の中から

思わぬ有益な情報がポロッと出てくることを期待しながら

もし出てきたときにはわざと方向転換をして

さらに突っ込んで質問してみるというやり方です。

思わぬところから別の話につながって

また違ったビジネスや新しい人脈につながっていく

それが何より人と会って話すことの価値なのかもしれません。

 

メールでも電話でもなく、人と会って話す。

写真でも動画でもなく、現場に足を運んでみる。

自分が見て、聞いて、感じたことを

自分の感覚を信じて何らかの形でつなげていく。

インド特有の難しさはありますが、

それがきっかけになって仕事が生まれれば

こんなに楽しいことはないかもしれません。

 

(ジャイプールのアンベール城にて)

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インド政府と国民の金(ゴールド)攻防戦

世界的な金価格の暴落がメディアを賑わせています。

田中貴金属工業(株)のホームページによると

2012年10月で1グラム当たり約5,000円だったのが

2013年末に1グラム当たり約4,100円まで暴落

そして、2014日1月7日付の日経新聞によると

金保有割合が多いことで有名なスイス国立銀行が

2013年3月期において約1兆400億円もの損失を計上する予定であることを発表しました。

スイス国立銀行にとって配当を見送るのは1907年の業務開始以来で初めてであるとのこと。

 

さて、金相場でよく話題になるのがインドの金需要です。

中国と並んで世界最大の金消費国であるインドでは

結婚の際に女性側の家族が男性側の家族に

持参金を支払ったり貴金属類や宝石などを贈る「ダウリー」という習慣があります。

このダウリー制度によって様々な痛ましい事件が起きている社会問題性から

この制度は50年以上も前にインド政府によって禁止法が施行されましたが

習慣として今でもカースト制度と同様、根強くインド社会に残っているようです。

また、金や金宝飾品が宗教的背景からも好まれていることもあって

インドにおける金需要は今後も縮小することは無さそうです。

 

むしろ、そんなインドの金需要は人口増加とともに金の輸入量を拡大させており、

インドが慢性的な貿易赤字に陥っている大きな一因にもなっているようです。

貿易赤字に頭を悩ませているインド政府は莫大な金輸入量を抑制するために

ここ数年で段階的に金の輸入関税を引き上げてきました。

2012年1月に2%だった関税を、同年4月に4%に引き上げ、

さらに2013年1月に6%、同年6月に8%

そして、同年8月にはついに10%にまで引き上げました。

また、昨年、インド最大の祭りであるディワリや結婚シーズンを迎える直前の9月に、

東南アジア等からの安価な宝飾品の流入を防ぎ、かつ、国内宝飾品産業を守るために

金の宝飾品の輸入関税を15%まで引き上げました。(金の輸入関税は10%で据え置き)

金輸入については外国貿易当局からの許認可取得を義務付けたり

輸入した金の20%は再輸出しなければならないとする規制も発表しています。

その結果、世界的に金価格が暴落している中、

インドルピー建て金価格は比較的高水準を推移しているようです。

 

ちなみに、インド国外を6か月以上滞在したNRIs(インド人の非居住者)は

最大1キロまでの金や宝飾品の個人輸入が認められているとのこと

そこで、国内の宝飾品店はインド国外に住むNRIsに対して

金を個人輸入させることにより仕入原価を削減しているようです。

航空券代や輸入関税を負担しても、それでもまだ利益が出るほど

世界とインド国内の金価格には大きなギャップが生まれているわけです。

また、輸入関税分さえも利ざやで稼ぐために密輸も増えてくるものと思われます。

公式な金輸入量を抑制しても、その分非公式な金輸入量が増えてしまう構図

金輸入を抑制したいインド政府と、金を買い続けるインド国民との攻防戦は続きます。

 

photo 2

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