インドの会計と税金

インドの会計と税金

インドの内部統制監査の法規制および実務

インドでは、2015年3月期から全ての会社(経営者)が財務処理に関わる内部統制の構築と運用を行い、その有効性について検証することを要求しています(Rule 8(5)(ⅷ) of the Companies (Accounts) Rules, 2014)。そして、ついに現在進行期である2016年3月期からは、当該内部統制の構築および運用状況、その有効性について、外部の法定監査人が評価をして、監査報告書において意見を表明することが求められるようになりました(Section 143(3)(i) of the Companies Act, 2013)。今回は、インドにおいて内部統制監査が導入されることとなった背景と、インドに進出している日系企業が最低限知っておくべき内部統制の実務についてご紹介をしたいと思います。

 

「サーベンス・オクスリー法(SOX)および内部統制について」

「サーベンス・オクスリー法(略してSOX法)」とは、アメリカで2001年12月に起こった不正会計によるエンロン事件に端を発して、粉飾事件の再発防止と、投資家・株式市場からの信頼回復を目的に成立した米国の法律で、当該事件が起こってからわずか8カ月後の2002年7月に成立しました。主に、(1)コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化、(2)正確な財務情報の開示、そして、(3)会計監査制度の改革、が重要な論点となっています。つまり、会社が不正行為を事前に防止し、かつ、正確な財務情報を適時に開示するための仕組みやプロセスを構築・運用することを義務付け、かつ、その有効性を外部の監査人が評価して意見を表明することを義務付ける法律です。

日本では「金融商品取引法」の一部規定(俗に言う「日本版SOX法」)において、同様の法律が2009年3月期の本決算から上場企業およびその連結子会社を対象に日本でも適用されることになっており、この流れを汲んで、さらに7年後の2016年3月期からインドでも「2013年 新会社法」の一部規定(俗に言う「インド版SOX法」)として、ついに適用されることになりました。

 

「インド版SOX法における内部統制の構築と運用について」

「インド版SOX法」が米国や日本と比べて大きく違う点は、当該規定が上場・非上場を問わず全てのインド法人に適用されるという点です。(※2015年11月現在)つまり、仮に日本人駐在員1名のみ、インド人スタッフが数名しかいないような進出規模の小さい日系企業であっても、内部統制の構築と運用が義務付けられ、かつ、法定監査人が監査報告書においてその有効性について意見を表明することが義務付けられています。

そもそも、多くの従業員を抱える大企業が、不正行為を事前に防止し、正確な財務情報を適時に開示するために、それを実現するための仕組みやプロセスを“自主的に”構築し、適切に運用していくことは、企業経営の観点からもある意味当たり前のことではありますが、一方で、数名の従業員しかいない小規模事業者にまで同様の仕組みやプロセスの構築を“義務付ける”ことについては、実務的な観点から疑問を呈している日系企業も多いことと思います。そこで、今回は、インドに進出している日系企業が、最低限これだけは確認しておくべき内部統制のポイントについてまとめておきたいと思います。

(※なお、これはあくまで個人的な経験に基づくインドで特に重要と思われるポイントをまとめたものに過ぎず、その仕組みやプロセス、運用状況の有効性の評価については、各企業が個別に選任している法定監査人の判断に委ねられていることから、現在選任されている監査人と事前に相談をした上で、自社のケースではどのような内部統制を構築しておくべきかを十分にご検討いただくことをオススメいたします。)

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「進出規模の小さい日系企業が確認しておくべき内部統制3つのポイント」

  1. 書類のファイリングおよび保管

インド現地法人は登録、報告、申告、納付など、設立当初からそれ以降継続的に数多くのコンプライアンスが求められ、手続が電子化されつつある昨今においても、依然としてほぼ全ての手続において書類の保管・提示・提出が求められています。これらの書類を種別にかつ時系列によってきっちりとファイリングし、かつ、登記事務所の安全な場所に保管をしておくこと、また、提出する書類は必ずコピーの控えを取っておき、確認したい書類をすぐに取り出せるように準備しておくことがとても重要です。当たり前のことであるため“たかがファイリング”と考えがちですが、重要な書類の不備が大きな問題に発展してしまう可能性はあり、また、コンプライアンスの全体像や手続の流れを把握していないと正しくファイリングをすることもできないため、“されどファイリング”最初の段階から専門家等のサポートを得ながら着実に書類整備を進めていかれることをオススメいたします。

  1. 小口現金および銀行預金の確認

最も基本的なことですが、「現金」の動きをしっかりと確認・把握しておくことが重要です。特に現金を取り扱うインド人担当者が社内にいる場合には、「現金を取り扱う人」と「支払を承認する人」、そして、「会計処理をする人」を分けておき、可能な限り毎日、現金残高と帳簿残高を照合する必要があります。(※これを内部統制の観点から特に重要な「保管」、「承認」、「記録」の職務分掌と言います。)また、現金残高については、不定期でサプライズチェックをすることも大切です。なお、インドでは一人に対して一日当たり合計20,000ルピーを超える現金の支払を行った場合には、原則、法人税法上、当該費用を税務上の損金に算入できないため、小口現金取引のある会社は注意が必要です。(40A(3A) of Income Tax Act, 1961)

  1. 売掛金の回収状況や買掛金の支払いに関する確認

サービスの提供をしたり、物を販売したりすると、売掛債権が計上されます。まずは定期的に売掛金残高を取引先と直接確認した上で差異がある場合にはすぐに分析することが大切です。なお、取引先によって支払条件は様々ですが、売掛金の年齢調べ表(Aging Report)を作成して、期日通りに支払われていない滞留債権について確認をした上で、売掛金の回収状況を関連部門に共有し、債権回収が遅れている理由を確認・把握・記録しておくことが重要です。例えば、経理担当者が取引先と癒着して、裏で現金を受け取り、当該売掛債権を貸倒処理してしまったり、値引処理してしまう等の不正リスクが考えられます。

一方で、支払債務に関しては、支払先と癒着して虚偽の経費支出を請求書に記載し、支払の一部を着服する等の不正リスクも考えられます。ベンダーの選定基準や入札プロセスの標準化を徹底し、十分な比較検討をした上で取引を開始すること、また、日頃からこまめに請求内容の詳細までをきっちりとチェックしておくことが大切です。

 

進出規模の比較的小さい日系企業の場合は特に、日々の業務に追われて経理業務が社内のインド人従業員に任せっきりになっているケースは多く、いつの間にか不正リスクや財務情報の虚偽表示リスクが高くなってしまっているケースが散見されます。子会社管理の観点からも、このようなリスクを未然に防ぐために、外部の専門家をうまく活用しながら、定期的な内部監査や月次レビュー等を実施し、社内のインド人従業員へ内部牽制しておくことをオススメいたします。

(↓RBI:Reserve Bank of India インド準備銀行のオフィス@チェンナイ)

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インド法人設立初年度に気をつけるべき経理実務の実態

今回は、インドに進出したばかりの日系企業が初年度に直面する経理実務の実態をご紹介したいと思います。インド法人設立後は、各種税金やライセンスの申請・登録手続、申告・納税義務、インド準備銀行(RBI:Reserve Bank of India)への報告義務、取締役会の開催やインド登記局(ROC:Register of Companies)への決議内容の登記義務など、さまざまなコンプライアンスに適時に対応していくことが求められます。

一方で、具体的な事業が開始していない状況下では顧客との取引が一切なく、単に家賃や給与、ベンダー等への支払しか発生していない場合が多いため、ついつい経理業務がおろそかになりがちです。しかしながら、インドでは日々の支払をする際、源泉所得税(TDS:Tax Deducted at Source)やサービス税の面で特に注意が必要となりますので、今回はTDSおよびサービス税の概要について、そして、初年度においてよく見うけられる税務上の経費に関するインド特有の取り扱いについてご紹介をしたいと思います。

 

 「支払をするときに気を付けるべきポイント(1)源泉所得税(TDS)編」

 法人設立後は、日々さまざまな支払を行っていくことなります。アパートや事務所の家賃、コンサルタントや弁護士への報酬、ブローカーへの手数料、駐在員やインド人への給与、レンタカー会社への支払などなど、これらは立ち上げ当初にごく当たり前に発生する費用です。日本では何てこともない単なる支払業務ですが、インドではこれらひとつひとつの支払の性質カテゴリーごとに一定の税率にもとづいた源泉所得税(TDS)の控除義務が規定されており、例えば、事務所の家賃を支払う場合には、原則、支払先には10%のTDSを控除した後の金額(90%部分)を支払い、控除したTDS(10%部分)はインド税務当局に翌月7日までに納税する必要があります。よくあるケースとしてTDS控除義務が規定されている項目を以下にまとめておきます。

適用条文 支払の性質 免税金額

(インドルピー)

支払先

法人

支払先

個人

192 給与

(Salary)

N/A N/A 累進課税
194C 業務請負

(Contractor)

取引単位: 30,000

年間総額: 75,000

2% 1%
194H コミッションや仲介手数料

(Commission or brokerage)

年間総額:  5,000 10% 10%
194I 地代家賃・家具レンタル

(Rent for land, building etc…)

年間総額:180,000 10% 10%
194J 専門家や技術的役務提供

(Professional or technical service)

年間総額: 30,000 10% 10%

 

なお、ここに規定されている免税金額を超えない場合には源泉徴収をする必要はありませんが、同課税年度内に同じ支払先に対する支払合計金額がこの免税金額を結果的に超えてしまった場合には遡って源泉徴収を行い、納税する必要があります。 

(西欧人に人気のゴアのアシュベムビーチ。小難しい税金のことは忘れてストレッチ、笑)

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「支払をするときに気を付けるべきポイント(2)サービス税編」

 上記に挙げたような支払をする際には、その費用がサービスの課税対象である場合、原則、サービス税(2015年6月1日以降税率14%)が課税されます。通常は、このサービス税をサービスプロバイダーに支払い、支払ったサービス税は支払先が代わりに税務当局へ納税する仕組みです。なお、この支払ったサービス税は、当該サービスが関連する自社の製造行為やサービス提供によって稼いだ売上に付随して受け取る物品税やサービス税と相殺をすることができます。(※CENVAT Creditとして利用できる。詳細は省略いたしますが、原則論としては日本のように、預かった仮受消費税から、支払った仮払消費税を差し引くことができ、残りの預かり消費税額を税務当局へ納付する日本の消費税の仕組みと同じです。)

しかしながら、①リバースチャージメカニズム(RCM:Reverse Charge Mechanism)と②軽減税率(Abatement Rate)という仕組みがあるために、必ずしも14%のサービス税を全て支払先に払わなければならないわけではありません。

①リバースチャージメカニズムとは、支払先にサービス税を支払う代わりに、一部もしくは全部のサービス税を自ら税務当局に直接納税しなければならない仕組みです。分かりやすい一例としてはサービスの輸入があります。例えば、インド子会社が日本親会社から何らかのサービス提供を受けた場合、インド子会社は日本親会社からサービスを輸入したことになります。日本の親会社が発行する請求書上にはサービス税が請求されてきませんが、インド子会社は日本親会社にサービス税を支払う代わりに、インド税務当局に14%のサービス税を直接納税する必要があります。

このリバースチャージメカニズムに該当するサービスの提供が行われた場合には、支払時に誰がサービス税の納税義務者であるのか、納税義務者と納税額に基づいて正しく請求書が発行されているか等を確認した上で、支払処理を行う必要があります。支払先が発行した請求書がそもそも間違っているケースも散見されるため、注意が必要です。リバースチャージメカニズムの対象となる主なサービスは以下のとおりです。

No. サービスの種類 納税義務者 と 負担割合
サービス提供者 サービス受領者
1. サービスの輸入 Nill 100%
2. 弁護士等による法務サービス Nill 100%
3. 個人事業主等が提供する人材派遣や警備サービス等 Nill 100%
4. 一定の物流サービス等 Nill 100%
5. 個人事業主等が提供する請負業務 50% 50%

 

②軽減税率とは、その名のとおりサービスの性質によってサービス税率に一定の軽減が規定されており、例えば、レストランでは60%の軽減(食事代金の40%部分のみに課税)、物流サービスでは70%の軽減(30%部分のみに課税)といった具合です。軽減税率が適用されている場合には、この支払ったサービス税は、売上に付随して受け取る物品税やサービス税とは相殺できない(CENVAT Creditとして利用できない)ケースも多々あります。

 

「設立初年度は税務上経費にできない費用が多い?」

さて、通常インド法人設立前後にはさまざまな費用が発生します。一般的に、法人設立までに必要となる費用を「創業費」、法人設立後、事業を開始するまでに必要な費用を「開業費」などと言ったりしますが、これらの費用は通常、日本では初年度に全額損金算入もしくは5年以内に任意償却することができます。一方で、インドでは一定の条件を満たす創業費(Preliminary expense)のみ会計上一括費用計上が求められ、税務上は5年で均等償却をすることになりますが、開業費については税務上一切損金算入が認められていません。

ここで注意が必要なのは、いつのタイミングをもって「事業の開始(Commencement of Business)」とみなされるのかの認識があいまいになっている点です。なぜなら、インドではこの「事業の開始日」以降に発生した費用から税務上の損金算入が認められているからです。つまり、インド税務当局は納税額を増やすために「事業の開始日」の認識を遅らせようと指摘をしてくる傾向にあり、これに対して会社側は納税額を減らすために「事業の開始日」の認識を早めようとする傾向にあります。金額的な影響力が大きい場合や特に製造業の場合などでは初年度の経費をほとんど損金算入できない可能性もありますので、事前に十分な検討をしておく必要があります。

(↓現代ヒッピーの聖地とまで言われるゴアのアランボールビーチ)

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製造業者が工場完成までに直面する経理実務の実態

今回のテーマは、インドに進出した日系メーカーがインド国内で工場が完成するまでに直面する経理実務の実態についてです。例えば、南インドのチェンナイにおいて製造を行う企業は、工場建設に際して、土地の確保から建設許可(CTE: Consent To Establishment)の取得、その他消防許可や水供給、電力、受電安全設備、工場ライセンス、操業許可(CTO:Consent To Operation)など、さまざまな許認可・ライセンス等を取得する必要があり、他州においても同様の法令・義務が規定されていることと思います。また、実際の工場建設の現場では、電気や水処理、通信配線等の各種インフラ設備の導入や、製造機械の据え付けなど、工場完成までのプロセスの中で直面する重要な局面において、インド駐在員だけでなく、日本からの出張者が適宜そのサポートに入るケースは多いのではないかと思われます。

しかしながら、これら一連のプロセスにおいて発生するさまざまな取引実態を正しく理解し、そして、企業経営や会計監査の観点、さらにはインドの税務、法務、訴訟リスクに至るまで、それぞれの観点から多面的に経理実務を正しく判断・処理していくことは決して簡単ではありません。今回は、そんな製造業特有にインド経理実務の実態についてご紹介をしたいと思います。

 

 「工場完成までに支払う人件費やその他間接費の取り扱いについて」

インド会計基準は、製造業者に対して、工場建設にかかる直接的または間接的に発生する費用はすべて資産計上することを求めています。実務的には、工場建設に関連する費用をすべて“建設仮勘定”として資産計上しておき、工場が完成した時点で“建物”として固定資産に振り替えます。なお、“間接的に発生する費用”の定義があいまいであることや、また、その全てを拾い上げることは簡単ではないために、金額的に重要性の高いものを中心に、そのひとつひとつの費用を資産計上すべきか否か判断していくことになります。ここで最も重要なのは、工場建設に際して発生する労務費です。つまり、(1)工場建設サポートのために日本から来る出張者の人件費および彼らの出張旅費は、原則、全て資産計上をする必要があります。そして、(2)インド駐在員の人件費についても、全体の業務時間のうち、工場建設のために費やした業務時間部分については、その割合に応じて人件費を按分し、工場建設にかかる駐在員の人件費として同様に資産計上をする必要があります。また、しばしば論点になるのは、上記インド駐在員が利用しているレンタカー代や、アパートの家賃、また、工場建設のための借入金の利息、工事にかかる電気代などもその費用の性質や金額的重要性の観点からひとつひとつ判断していく必要があるため注意が必要です。

  

「工場が完成するまでに支払うサービス税や物品税の取り扱いについて」

製造業者は、工場が完成するまでに様々なサービスの提供を受けたり、物品を購入したりしますが、工場建設に関連する費用は原則、“建設仮勘定”に資産計上する必要があることはすでに申し上げたとおりです。ここでは、その際に企業が同時に支払うサービス税や物品税の取り扱いについてご紹介したいと思います。

税金の相殺制度については前回ご紹介したので詳しくは触れませんが、原則、直接的もしくは間接的に製造にかかわるサービス提供や物品の購買に際して支払うサービス税や物品税については、CENVAT Creditとして税額控除の対象となります(=将来的に控除できるため支払った税金がコストになりません)。ちなみに、具体的にどのような支払税金が税額控除の対象となるかの詳細については、“CENVAT Credit Rules, 2004”の中で規定されています。しかしながら、2011年3月にインド税務当局から発表された通達によると、工場の建設等(setting up of a factory)にかかる支払サービス税については、同規定上、税額控除の対象から除外されることとなりました。この通達の発表により、工場が完成するまでに支払うサービス税の取り扱いについては、さまざまな議論・判断を要する論点となっています。

例えば、工場建設用の土地を99年リースで取得した場合には、土地リース代をサービス税込で一括前払いしているケースが散見されます。この場合には、一括前払いした支払サービス税の中に、工場の建設が完了するまでの期間にかかるサービス税と、工場が完成して製造オペレーションが開始した後の期間にかかるサービス税の両方が含まれていることになりますが、一括前払いしたサービス税のどこまでが税額控除の対象となるのかが不明瞭です。場合によっては、これらの支払サービス税についても“建設仮勘定”に資産計上しておくべきという判断もあり得るため、取引実態を正しく理解した上で十分な検討が必要となります。実際に、通達が発表されてからまだ4年ほどしか経っていないため、過去の最高裁等の判例の数がまだ少ないという点においても判断が難しい論点あることは間違いありません。

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「出資金を定期預金に預けて運用する場合に気を付けるべきポイント」

製造業者がインドに進出する際には、土地や工場建設、そして、機械設備等への投資が必要となるため、当初の払込出資金額も相当に高額になるケースは多く見受けられます。一方で、インド法人を設立してから実際に工場建設のための投資をしたり、機械・設備に投資をしたりするまでには、一定の期間が空くため、多くの日系企業が資金的に余裕のあるこの空白期間を利用して、出資金を短期の定期預金で運用して利息収入を稼ぐというのが通例になっています。日本の定期預金の感覚からすると、注意を要するほどの利息収入を稼ぐことは期待できないため、経理実務上においてあまり論点にはなりませんが、インドでは例えば6ヶ月定期に預けると年利7.0~8.0%で運用できるため、利息収入も相当に高額になります。

このような状況下において、日系企業の多くは「まだ工場も立ち上がっていないのだから当然に売上はないし、一方でさまざまな経費ばかりを支払っているので、いくら利息収入が多いからといっても初年度は当然に赤字だろう(法人税等の納税義務はないだろう)」と考えます。しかしながら、ここに落とし穴があるのが前回ご紹介した論点「事業の開始日(Date of Business Commencement)」です。つまり、インドでは事業の開始日以前に発生した費用は、原則、税務上の損金算入が認められていないため、工場が立ち上がっていない(事業がまだ開始していない)時期に得ている利息収入には、そのまま法人税等が課せられてしまうことになります。

ここでさらに重要になってくるのが予定納税です。インドでは法人税の年間見積納税額に対して、以下のとおり一定割合を年4回に分けて納税する必要があります。(法人税の前払いに当たります)

納付期限 納付すべき金額
6月15日 (第一回) 年間見積納付額×15%
9月15日 (第二回) 年間見積納付額×45%-前回までの納付額合計
12月15日(第三回) 年間見積納付額×75%-前回までの納付額合計
3月15日 (第四回) 年間見積納付額×100%-前回までの納付額合計

 

なお、上記の納付すべき金額が不足していたり、期限後に納税をした場合には、その延滞期間に応じて年利12%の延滞金利が課されます。つまり、上記のとおり「初年度は納税義務はないだろう」と思っていた日系企業が、年度末の税務申告時にふたを開けてみると、定期預金によって稼いだ利息収入全額に課税され、かつ、予定納税未納分に対する延滞金利まで追加で課せられるというダブルパンチを受けることになります。

インドに進出したばかりの日系企業は進出当初1~2年は特に初めてことばかりで対応が後手に回りがちです。不必要な税金コストを負担することなく、かつ、資金繰りに不用意な負担がかからないよう事前にどのようなタイミングでどのような税金を納付する必要があるのか、また、税金コストを最小限に抑えるためにどのような取引スキームが最適か等、信頼できる専門家をうまく起用して、進出当初から十分な検討をしておくことがとても重要となります。

(↓ムンバイの国際空港。ものすごい近未来的。チェンナイとは格が違うね、笑)

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インドで仕事をする日本人の所得税とビザに関する実務

インドで仕事をする日本人の数が年々増加傾向にあります。いまや約1,000社以上の日系企業がインドに進出しており、それを大きく上回る数の日系企業が、何らかの形でインドとのビジネスに関わっています。昨年あたりから世界で就職する「セカ就」や「海外就職」などという言葉をよく聞くようになり、私が住むチェンナイにおいても、現地採用で働く日本人の若者がここ一年ほどで急に増えてきました。また、脱サラして当地インドで自ら起業をして奮闘している日本人も少なくありません。今回は、そんなインドで仕事をする日本人が、インドに滞在する上で重要な論点である「個人所得税」と「査証(ビザ)」の実務についてご紹介をしたいと思います。

  

「インド出張者の給与にかかる個人所得税と税務上の取り扱いについて」

インドに出張する日本人は、ビジネスビザ(Business Visa)を取得し、原則、日本法人がその給与や出張手当等を支払い、かつ、負担しているケースがほとんどかと思います。つまり、当該出張者の個人所得税は日本側で納税が完結しており、インド税務当局に対しては一切納税をしないことになりますが、これは日印租税条約第15条に規定される「短期滞在者免除」が適用される場合においてのみ、インドでの納税義務の免除を受けることが可能です。つまり、以下3つの条件を全て満たす必要があります。

 

(1)、課税年度におけるインド滞在日数の合計が183日以内であり

(2)、給与・手当・賞与等が日本法人から支払われており

(3)、給与・手当・賞与等がインド法人によって一切負担されていない

 

長期出張、もしくは、複数回の出張により年間のインド滞在日数の合計が183日を超える場合には、日本側でしか給与を支給していなかったとしても、インドで仕事をしたことによって得た所得(インド国内源泉所得)全てに対してインド国内で課税されるため、年度末にインドで確定申告をしてインド税務当局に対して納税する必要があります。

なお、長期出張者のインド連続滞在日数が180日を超える場合には、FRRO(Foreigner Regional Registration Offices)において外国人登録(RP:Residential Permitの登録)を実施する必要があるため、当該外国人登録を避けるために連続滞在日数が180日を超える前に一度インドを出国させるという対応を取っている日系企業は多いかと思います。一方で、逆に外国人登録がないとインドで銀行口座が開設できない等何らかの支障が出るケースもあるため、ビジネスビザであっても必要に応じて自主的にあえて外国人登録をしている日本人も多数いるのが現状です。

また、当該出張者のサポートについて、もし日本法人が人的役務提供サービスとしてインド法人に対して請求をする場合には、「技術上の役務提供にかかる報酬(Fee for Technical Services)」に該当し、インド国から見るとサービスの輸入に該当するため、サービス税(税率14%)の課税対象取引となり、かつ、日本への海外送金時に源泉所得税(日印租税条約適用の場合は税率10%)の課税対象取引となる点については事前に留意が必要です。

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 「判例から見るインド出向者(駐在員)の税務に関して注意すべきポイント」

インドに出向(駐在)する日本人は、原則、就労ビザ(雇用ビザ:Employment Visa)を取得し、インド法人の従業員もしくは役員としてインド法人から毎月給与もしくは役員報酬を得ることになります。ここで注意が必要なのは、日本人駐在員の給与の支払・負担方法です。理想的には、全ての給与・手当・賞与等をインド法人が支払・負担できれば問題ないのですが、現実問題そういう訳にはいきません。つまり、インドでの駐在期間も、日本の社会保障制度の受益権を継続させておくために、また、単身赴任者が日本に残してきているご家族の生活費のためにも、日系企業はインド払い給与と日本払い給与の2つに分けて給与を支給しているケースがほとんどです。

しかしながら、この状況は以下のような観点から、インド税務当局から「サービスPE課税」を受けてしまうリスクがあります。実際に、ある外国企業の税務訴訟において、2014年4月にデリー最高裁判所にて同様の課税判決を言い渡されたケースが出てきています。(※「サービスPE課税」とは、外国法人の従業員がインドにおいて技術支援等何らかの役務提供を行っていると見なされ、外国法人が享受しているとされるみなし所得に対して課税されることを指します。)

 

(1)、駐在員の真の雇用者は外国法人であるとする駐在者との雇用関係

(2)、駐在員を通して外国法人がサービスを提供しているとする役務提供取引の実態

(3)、外国法人が駐在者の管理・監督・契約に関する実質的な権利を有しているとする権利関係の実態

 

以上のことから、ある程度のサービスPE課税リスクを取ることは実務的には仕方がないとしても、当該リスクを可能な限り軽減するために、上記3つの観点からしかるべき内容を含む「出向契約書」や「雇用契約書」等を正式な文書として整備しておき、事前に税務調査に備えておくことが望ましいと考えます。

(※なお、日本本社が負担している給与については、法人税基本通達9-2-47「出向者に対する給与の較差補てん金の取扱い」に規定される範囲内において、日本法人における税務上の損金算入が認められています。)

また、日本払い給与をインド法人に付け替える場合にも注意が必要です。つまり、当該費用が「技術上の役務提供にかかる報酬(Fee for Technical Services)」と見なされないように、あくまで日本払い給与実費の立替精算(Reimbursement)であることを、契約書や請求書等において明記しておく必要があります。もし、当該立替精算が、書類の不備等によって「技術上の役務提供にかかる報酬(Fee for Technical Services)」に認定されてしまった場合には、上記と同様に、サービス税と源泉所得税の課税対象取引となっていまい、ダブルパンチを受けることになってしまいますので注意が必要です。

 

「日本人がインドで起業する際に適用されるビザの取り扱いについて」

日本人がインドで起業する場合には、適用されるビザとその発給要件について事前に理解をしておくことが重要です。ちなみにMHA(Ministry of Home Affairs:インド内政省)がそれぞれのビザの発給要件等を公表していますが、これらの規定があまり明確ではありません。私のこれまでの経験を考慮した実務的な見解としては、個人投資家としてインド法人に直接出資をする場合にはビジネスビザ(Business Visa)が、日本法人を設立した上で当該日本法人を介してインド法人に出資をする場合には就労ビザ(雇用ビザ:Employment Visa)が適用されることになります。

ここで注意が必要なのは、個人投資家としてインド法人に直接投資をした場合です。ビザ取得申請時は日本の東京および大阪にあるインドビザ申請センター(在日インド大使館管轄)に出向いて取得申請手続きを行うことになりますが、インドビザ申請センターの理解と、FRRO(MHA:Ministry of Home Affairsインド内政省管轄)の理解が違っているケースがあり、ビジネスビザが適用される基準が明確になっていません。インド内政省管轄のFRROでは、「個人投資家の出資比率が10%未満程度であれば、ビジネスビザではなく、就労ビザが適用できる可能性もある」などと曖昧な表現をしており、多くの個人投資家が適用すべきビザについて混乱を招いています。

私の場合は出資比率が10%を大きく上回っていたために、日本のインドビザ申請センターで一度適用を受けた就労ビザがインドでは認められず、渡印後にFRROでの外国人登録ができず、一度日本に帰国させられる事態となりました。なお、個人投資家としてのビジネスビザ(=別称“投資家ビザ”)が適用されると、設立から2年以内に年商1,000万ルピーを達成しなければならない、という発給要件も設定されており、当該要件を満たせなかった場合にはそれ以降はビジネスビザが更新できなくなる、という高いハードルが課せられています。

したがって、可能であれば日本法人を設立した上で、当該日本法人を介してインド法人に出資をし、就労ビザでインドに滞在する方が無難、という見方もできますが、一方で、就労ビザの場合には発給要件として最低年収25,000米ドルという要件を満たさなければならないので、当該給与負担をまかなっていけるだけの出資計画および事業計画を立てておく必要があります。

ちなみに、以前まで観光ビザ取得の選択肢として利用されていたアライバルビザ(Visa on Arrival)が今年から実質廃止となり、事前オンライン申請によるETA(Electronic Travel Authorization)の新制度に移行されています。以下リンク先のホームページに実務的な手続きに関する詳細が分かりやすく紹介されていますのでご参考まで。

http://etours.jp/india/visa-service/arrivallvisa

(チェンナイ市内から車で1時間のコーバラムビーチ。それにしても人が多い、、、笑。)

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日本への海外送金に際して理解すべき手続の全容

巨額資産申告漏れの罪の疑いによって

有罪判決を受けていたタミル・ナードゥ州の

ジャヤラリータ前首相に対して

カルナータカ州最高裁判所は今月

なんと無罪の判決を言い渡しました。

それを受けて本日23日、同氏が政治復帰します。

個人的には「なんだかなぁ」と釈然としない中

熱狂的な市民が彼女を一目見ようと市内はお祭りモード。

外の気温は38度。灼熱のチェンナイ到来とともに街はものすごい熱気です。

 

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さて、インドから日本に海外送金するためには

インド準備銀行(RBI)が規定する

外国為替管理法(FEMA)にしたがって

一定の書類を準備する必要があります。

「えっ?単に送金するだけなんじゃないの?」

って思われる方が多いのですが、これがなかなか面倒なのです。

書類を作成するだけじゃなく、銀行手数料以外にも証明書の取得費用までかかる。

という訳で、前々回の記事に引き続いて国際取引を適切に処理するための

以下3つのポイントの中から、今回は第2回です。

第1回の記事はこちら(http://tanakkei.com/?p=11612

  • 第1回「日本法人が取得すべきPANおよびTRCについて」
  • 第2回「インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について」
  • 第3回「日本法人がPAN取得後に対応すべきこと」

 

第2回「インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について」

送金目的(支払の対象となっている取引内容)にもよりますが、

海外送金時には、原則、銀行から以下のような書類の提出を求められることになります。

  1. 請求書のコピー
  2. その他関連証憑書類のコピー(立替精算の場合の根拠書類や契約書、合意書など)
  3. 海外送金依頼書(Remittance Application:銀行所定の申請用紙)
  4. 海外送金報告書(Form A2:RBI規定の用紙)
  5. 海外送金にかかる源泉徴収報告書(Form 15CA:税務当局指定の用紙)
  6. 海外送金にかかる源泉税に関するインド勅許会計士の証明書(Form 15CB)
  7. 法人設立証明書(COI : Certificate Of Incorporation)
  8. 外国対内送金証明書(FIRC : Foreign Inward Remittance Certificate)
  9. 宣誓供述書(Declaration : 設立費用の立替精算の場合など)
  10. その他インド勅許会計士による証明書(Certificate : 設立費用の立替精算の場合など)

 

それぞれの書類準備にも相応の時間がかかるのですが、

No.6やNo.10のインド勅許会計士が発行する証明書は、

外部のインド勅許会計士に依頼をしなければならないため

証明書の発行手数料としてかなりの費用がかかります。

また、海外送金において日印租税条約(DTAA)に規定された軽減税率を適用する場合には

前々回の記事でご紹介をした通り、日本法人がPANおよびTRCを取得する必要があり、

インド側だけでなく、日本側でも支払に際して書類の整備が求められることになります。

なお、サービス提供等に対する対価の支払いであれば支払期限の規制はありませんが、

日本からインドへの物品等の輸入に対する支払については、

原則、船積みから6ヶ月以内に支払をしなければならない規定もあり注意が必要です。

支払時に求められる一連の手続を事前に理解した上で、

どのような契約内容にするのか、

どのようなタイミングで支払を実施していくのか等

当事者双方で十分な検討が必要です。

 

(自宅付近でジャヤラリータ州首相を激写。助手席に座るのね。)

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税金がよく分からん!レシートの謎にせまる

お店やレストランでお金を払うとき

最近よくレシートをチェックするんですが、

結構な確率でまちがってますね、笑

注文してないものが含まれていたり

注文したものが含まれていなかったり

逆に金額が少なかったりすることもあるので

悪気があるというよりは単純にテキトーすぎるっていう、笑

 

さて、そんなレシートに書かれている税金について今日はご紹介したいと思います。

レストランでは主にVAT(州付加価値税)、サービス税、サービスチャージ

の3つが合計金額に上乗せされて請求されるケースがほとんどです。

まず最初に、以前から個人的にひとつ腑に落ちないのは

食事をした総額に対してVATとサービス税の両方が課税されているという点です。

 

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例えば、先日ハンバーガー(575ルピー)とコーヒー(150ルピー)を注文しました。

合計で725ルピーですが、この総額に対して(タミル・ナードゥ州の場合)VAT 14.5%と、

サービス税4.95%、サービスチャージ6%が請求されています。

「二重課税じゃないか!」と言いたくなるのですが、

これが現状のインドにおけるレストラン課税システムです。

レストランは食べ物だけを提供しているのではなく、

テーブルや椅子、インテリアや音楽、そして、エアコンの効いた快適な食事環境という

“サービス” を提供しているからサービス税も課税される、というのが理屈です。

ただ、もちろん食事代金の100%がサービスに該当するわけではないので

通常のサービス税の税率12.36%の代わりに、軽減税率4.944%が適用されています。

つまり、12.36%のうち60%部分は免除されていて、

12.36 × 40% = 4.944%が課税されているわけです。

食事代金総額のうち60%が食べ物代金、40%部分がサービス代金というイメージですね。

ただ、結局VATについては食事代金の100%に対して

課税されていることを考えると「なんだかなぁ。やっぱり二重課税やん」という感じです。

ちなみに、サービスチャージは「チップ」に当たりますので

レシートにサービスチャージが請求されていれば、

別途さらにチップをあげる必要はない、と考えて差支えないと思いますが、

高級レストラン等ではさらにチップを払うインド人をよく見かけます。

 

IMG_0130

 

ここで、別のレシートを見てみましょう。

ここでは食事代金の総額3,013ルピーに対して、VAT 2%

サービス税4.944%、サービスチャージ10%が請求されています。

そう。VATの税率が違うんです。

これは総じて見るとレストランのレベルによってこのような違いが生まれています。

だいたい4つ星や5つ星等の高級レストランではVAT 14.5%が請求され、

3つ星以下の中級以下のレストランではVAT 2%を請求しているケースが多いようです。

ちょっとばかしお固い経理の話になってしまいますが、

このVAT 14.5%を採用しているレストランは

Input Tax Credit Methodというスキームを採用していて、

富裕層をターゲットにしているためにお客さんには高い税金を請求する代わりに、

レストランは食材の仕入等の際に支払ったVATを控除できるメリットがあります。

一方で、VAT 2%を採用しているレストランは、

Compound Tax Methodというスキームを採用していて、

中間層以下をターゲットにしているためにお客さんには低い税金を適用できる代わりに、

レストランは食材の仕入等の際に支払ったVATを控除することが認められていません。

つまり、レストランが仕入時に支払ったVATはそのままレストランの負担になります。

消費者に多く税金を払わせればレストランもメリットを享受できるという仕組みです。

 

さて、私たちがよく利用するスーパーマーケットの場合はどうでしょうか。

結論から言うと、スーパーでは基本的にVATのみです。

ただ、日本とは違って商品によってVATの税率が違うので

タミル・ナードゥ州の場合は概ね(1)免税、(2)5%、(3)14.5%

の3つに分けられているケースが多くなっています。

こないだ買い物に行ったときのレシートを見るとこんな感じ。

 

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マッシュルームは免税、チキンと魚は5%、バターは14.5%という具合です。

他にも例えば、州外や国外から輸入したお酒は58%のVATが、

タバコには20%のVATが課税されたりします。

私たちが払っている税金はVATやサービス税だけではありませんが、

課税の仕組みから、それぞれの税率までとにかく複雑難解。

もう少しシンプルにしてほしいですね!

 

(街中で見かけた金色のベンツ。ぶっ飛んだ成金野郎だ、笑!)

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非居住者への支払にかかる税務訴訟から見る日本法人PAN取得要件の動向

今日はちょっと真面目な話を。

日本-インド間の国境を越えた国際取引の中で

インドから日本(非居住者)への支払をする際のお話です。

日系企業や日本親会社はインド企業やインド子会社に対して

概ね何らかのサービスや物品を提供/輸出しています。

今日はサービスの提供の部分にフォーカスしたいと思いますが、

例えば、技術支援や営業支援のためにインドに出張者を派遣したり、

日本企業の技術やノウハウ等をインドに供与したり、

インド子会社の経営管理サポートを実施したりしています。

つまり、当然のことながら、日本企業はインド企業やインド子会社に対して

人的役務提供報酬やロイヤリティ、管理報酬、貸付利息などを請求します。

これらの請求に対する支払が「インド国内から非居住者への支払」に該当するわけですが、

これらの国際取引を適切に処理するためには

インド国における国内法と、関連する判例に基づいたその解釈、

そして、日印租税条約による影響を理解することがとても大切です。

 

具体的に注意すべき3つのポイントを以下のとおり3回の連載でご紹介したいと思います。

  • 第1回「日本法人が取得すべきPANおよびTRCについて」
  • 第2回「インドから日本への支払時に準備すべき書類について」
  • 第3回「日本法人がインド税務当局に申告すべき事項」

 

第1回「日本法人が取得すべきPANおよびTRCについて」

インドから日本へ支払を行う際に、日印租税条約(DTAA)に規定された軽減税率10%を適用するためには、日本法人がPANおよびTRCを取得する必要がある、というのが現状の定説となっています。PANとは「Permanent Account Number」の略語でインド国内税務番号のことを指し、TRCとは「Tax Residency Certificate」の略で居住者証明書のことを指します。

 

さて、上記の要件が規定されているのは、主にインド所得税法第206AAと第90条2項、そして、所得税法第90A条。所得税法第206AA条の規定によると、課税所得の支払を受ける者が、支払者に対してPAN番号を提示しない場合には、20%の税率、または、関連法に規定された現行税率のいずれか高い方の税率に基づき源泉所得税(TDS)の徴収がなされることが義務付けられおり、所得税法第90条2項の規定においては、納税者は、租税条約と国内法で、どちらか有利な方法を優先的に適用することができる、とされています。

 

なお、TRCは2012年4月から導入された新しい要件ですが、これは日本国の所轄税務署が発行する居住者証明書で、その証明期間には注意が必要です。つまり、将来の一定期間を含む証明書の発行がなされれば理想的ですが、過去の一定期間のみを証明するものである場合には、それ以降インドから日本への送金が発生する都度毎回TRCの発行依頼を行う必要があります。また、2013年4月から導入されたForm 10Fというフォーマットに従って一定の情報を整備しておくことも求められます。

 

ここでひとつ税務訴訟案件をご紹介します。先月2015年4月にプネの地方裁判所(Tribunal)において興味深い判決がなされました。「え?そうなん?」と思わず拍子抜けしそうな内容ですが、簡単にご紹介をするとこんな感じです。インド国内から非居住者に対して様々な支払を行っていたある企業が、支払を受ける者(非居住者)のPAN番号を取得していなかったにもかかわらず、租税条約に規定される軽減税率を適用していた、としてインド税務当局から本来適用すべき高い税率と租税条約の軽減税率との差額部分に対して追徴課税を受けたことによる税務訴訟です。すでにご紹介したとおり、所得税法第206AA条の規定によると、課税所得の支払を受ける者が、支払者に対してPAN番号を提示しない場合には、20%の税率、または、関連法に規定された現行税率のいずれか高い方の税率に基づき源泉所得税(TDS)を徴収することが義務付けられていますが、判決内容によると、この規定は非居住者に対しては適用されることはなく、所得税法第90条2項が優先されるために、PAN番号の提示がなくても納税者は租税条約に規定される有利な税率を適用することが認められる、という判決を下したことになります。

 

本件はあくまで一地方の裁判所の判決例にすぎず、高等裁判所や最高裁判所において判決が下されない限りは一定の信頼性の担保さえもなされませんので、いずれにせよ従来通りPANおよびTRCの取得が必要との見解で当面は対応すべきであることは間違いなさそうです。

 

 

(カルナータカ州最高裁判決で無罪を勝ち取ったジャヤリータ元タミル・ナードゥ州首相。笑顔!)

Police TN

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速報!Vodafone税務訴訟判決!租税回避とその動向

昨日2014年10月10日(金)

ムンバイ高等裁判所にてある判決が言い渡されました。

Vodafoneのインド子会社が発行した株式を巡って

長くに渡って争われてきた移転価格に関する税務訴訟です。

簡単に争点を説明すると、

親会社に対してプレミアム発行を行った株式が

(※1株当たり額面10ルピー、プレミアム8,500ルピーとして発行)

親会社に対する不当に安い価格での株式譲渡に当たるとして

インド税務当局が主張する株価(※1株当たり53,775ルピー)との差額に対して

総額で約540億円もの課税をVodafoneに対して主張しており、

Vodafoneはこの多額の課税処分の取り消しを求めていました。

その結果、昨日Vodafoneが見事に勝訴を勝ち取ったようです。

Vodafone以外にも、シェル石油や香港上海銀行(HSBC)など多くの関連会社が

同様の移転価格に関する税務訴訟のまさに係争中であり、

今回の判決はVodafoneだけでなく、その他の企業、そして、今後の投資家に対して

インド市場への投資を促進する上で意味のあるポジティブな判決となったと言えます。

(※なお、インド税務当局が最高裁へ上告する可能性はまだ残されています。)

 

ボーダフォン

(※上図は分かりやすくするために簡略化しています。)

 

さて、ボーダフォンと言えば

「ボーダフォン事件」というインドで有名なもう一つの訴訟案件があります。

2007年にVodafoneのオランダ法人が、

インド法人に対して支配権を持つ国外の中間持株会社の株式を取得することによって、

間接的にインド法人の支配権を取得して租税回避行為を行ったとして、

インド国内におけるその課税関係が争われたものです。

このような間接的に持株会社を買収する節税スキームは一般的ではありますが

2010年9月にムンバイ高等裁判所は、Vodafone側の異議申し立てを却下し、

インド税務当局の主張を認める判決が下されてしまいました。

当然にVodafoneのみならず、海外投資家までもこの判決には驚きを隠せませんでした。

この判決の結果、Vodafoneに対しては約26億ドルもの課税処分が行われましたが、

Vodafoneは判決結果に不服であるとしてインド最高裁判所に上訴し、

その2年後の2012年1月に最高裁による判決で、

ようやくVodafone側の異議を認める逆転勝訴判決を勝ち取りました。

ところが「ボーダフォン事件」と言われる所以になった事態が起きます。

なんと2012年5月に、インド政府は間接的な買収に対しても課税できる税制改正を行い、

しかも、その税制改正について遡及的に適用できる旨のルールを定めました。

つまり、インド最高裁で「課税されない」という判決が出されたにもかかわらず

税制改正によって「課税できる」ことになり、税務訴訟は白紙に戻ったことになります。

現在もこの訴訟は係争中で、多くの投資家がその行方を見守っている状態です。

 

租税条約

 

なお、インド・モーリシャス租税条約やインド・シンガポール租税条約には

両国の法人が中間持株会社としてインド法人株式を保有し、譲渡した場合には、

その譲渡によって生じるキャピタルゲインはインド国内で課税されない旨を規定しており、

多くの投資家が節税目的でこの両国をインド投資の経由地として利用しています。

 

Investment Shares

(※Source : インド商工省DIPP(Department of Industrial Policy & Promotion)のHP)

 

実際、インド商工省のDIPP(Department of Industrial Policy & Promotion)によると

過去15年間のインドへの投資総額ランキングの上位2か国が

1位:モーリシャス(全体の37%)と2位:シンガポール(同11%)となっています。

ちなみに3位はイギリス(同10%)、4位が日本(同7%)、5位がアメリカ(同6%)です。

モーリシャスやシンガポールからの投資は、あくまで“経由地”としての投資がほとんどなので、

実質的にはイギリス企業、日本企業、アメリカ企業の貢献度が大きいことになります。

 

(↓↓チェンナイでは珍しい世界各国のコーヒー豆が買えるCafe Coffee Day@ Nungambakkam↓↓)

珈琲豆

 

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2014年インド中央政府予算案における改正内容(間接税編)(Indian Budget 2014:Indirect Taxation)

前回に引き続き、

2014年7月10日に発表された

インド中央政府予算案(2014-2015)の中から

今回は、間接税に関する主な改正内容をご紹介します。

 

 

1.物品サービス税(GST:Goods & Service Tax)導入時期の検討

間接税の申告・納税を複雑化していた州付加価値税や中央販売税、サービス税相殺の仕組みをGSTに統一化する提案が以前からされていましたが、各州政府において徴税権等を含む利害関係の問題によりその導入も先延ばしになっていました。今回の予算案の中でGST導入の道筋を今年度中に明確にする旨の発表があり、導入に向けた具体的な動きが期待されます。

 

2.CENVATクレジットの有効期限が新設

物品の購買やサービス受領の対価として支払ったCENVATクレジット(仕入税額控除)について、今まではそのクレジット使用について期限はありませんでしたが、2014年9月1日以降、請求書日から6か月以内にクレジットを利用しなければその権利が失効することになります。

 

3.物品税の課税標準に関する明確化

製品を原価割れで販売した場合の物品税の課税標準について、FIAT社に関する最高裁の判決を受けて、2014年7月11日以降、割引等により原価割れで販売を行ったとしても「販売価格(取引価格)」を課税標準として問題ない旨が明記されました。

 

4.サービス税の納付遅延による延滞利子率の変更

これまでは一律18%であった延滞利子率が、2014年10月以降、最初の6ヶ月までは18%、6ヶ月から1年までは24%、1年超は30%となり、納付遅延による罰金が厳しくなりました。

 

5.リバースチャージメカニズムの課税基準日の変更

リバースチャージメカニズムが適用されるサービス提供取引においては、「請求金額の支払日(請求書日から6か月以内)」もしくは「請求書日付(6ヶ月以内に支払われない場合)」を課税基準日としていましたが、2014年10月以降は、「請求金額の支払日」もしくは「請求書日から3ヶ月後の翌日」のいずれか早い日を課税基準日とする旨、変更されました。

 

チェンナイの電気街「リッチーストリート”Richie Street”」

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2014年インド中央政府予算案における改正内容(直接税編)(Indian Budget 2014 : Direct Taxation)

先日10年ぶりに新しく選出された

インドネシアの新大統領ジョコ・ウィドド氏。

地方自治体トップでの実績が認められ、

頼れる“庶民派”として

国民からの期待が集まっているようですが、

その生い立ちは

今年の5月に10年ぶりの政権交代を実現させた

インド新首相ナレンドラ・モディ氏のそれとまさに重なります。

中国に次ぐアジアの二大大国インドとインドネシアが

今後どのような経済成長を見せるのか注目していきたいと思います。

 

さて、2014年7月10日に発表された

新政権下における初めてのインド中央政府予算案(2014-2015)の中から

日系企業に関連がありそうな税制改正の部分にフォーカスして、

その概要を「直接税」と「間接税」の2つに分けてご紹介したいと思います。

今回は、直接税に関する改正内容です。

 

1.個人所得税の免税基準の引き上げ

個人所得税の累進税率には変更がありませんでしたが、免税の基準となる金額が20万ルピーから25万ルピーに引き上げられ、年間所得が25万ルピー(約45万円)までは個人所得税が非課税になりました。(※その他税率の基準となる金額に変更なし)

 

2.配当分配税(DDT:Dividend Distribution Tax)の計算方法の変更

DDTの計算がグロスアップによる計算方法に変更され、DDT負担額が少し増えることになりました(税率は変更なし)。なお、DDTは法人税法上損金不算入であり、かつ、外国税額控除の適用対象外であるため、親会社等への資金還流方法については注意が必要です。

 

3.設備投資に関する優遇税制の条件緩和

新しい設備に対する投資額の条件が10億ルピーから2億5千万ルピーに引き下げられ、当該設備の投資総額が2億5千万ルピーを超える場合に、その取得額の15%を追加的に所得控除できることになりました。対象となる設備投資は2014年4月1日から2017年3月31日の3年間に取得・導入され、以後5年超継続的に使用されるものに限ります。

 

4.長期債券の調達に関する優遇税制の適用期間(時限立法)の延期

外国通貨によって支払われた非居住者に対する借入利息について適用できる源泉所得税の軽減税率5%の適用期間が、2017年6月30日まで延長されました。なお、インド国内法による一般税率は20%、日印租税条約による軽減税率は10%です。

 

5.事前確認制度(APA:Advance Pricing Agreement)の遡及適用が可能に

移転価格税制におけるAPAが、2014年10月1日以降、一定の条件下において申請時から4年間遡って遡及適用することが可能(ロールバック制度の新設)となり、申請前後で合計9年間適用できることになりました(従来は申請後5年間のみ)。世界最大級の訴訟件数を記録しているインドの移転価格税制への対応状況を考慮した規制緩和と言えます。

 

6.独立企業間価格(ALP:Arm’s Length Price)の算定方法の提案

移転価格税制におけるALPの算定は、従来はサンプル取引の平均値に基づく算定(例えば、4つのサンプル取引価格5+6+8+9の平均値である7がピンポイントでのストライクゾーン)が基本でしたが、今後はサンプル取引のレンジ概念に基づく算定(5, 6, 8, 9)の最低値5と最高値9を除く範囲内での数値)を採用することが提案されました。

 

7.源泉税(TDS:Tax Deducted at Source)に関連する損金不算入制度の規制緩和

居住者に対する費用の支払の際に、TDSの控除もしくは納付を実施しなかった場合には、処理された当該費用の30%のみが損金不算入となった(従来は100%全額損金不算入)。また、当該損金不算入制度の対象となる費用に、給与や役員報酬もその範囲に含められたため注意が必要です。

 

次回は、間接税に関する改正内容についてご紹介したいと思います。

 

(↓↓↓ 最近は毎日コレ!ラッシー!水で割って飲むとすっきり飲めて美味い!↓↓↓)

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商社が登録を求められる「First Stage Dealer」と「Registered Importer」の違いとは?

今日はちょっと真面目なお話。。。

輸入ビジネスに関連するインド税務のお話です。

日本やインド国外から物品を輸入して、

インド国内の製造業者に販売している輸入者は

2014年4月以降の取引について注意が必要です。

 

例えば、商社が物品をインド国外から輸入する際には

「相殺関税」や「特別追加関税」を支払っているわけですが、

(※インド関税の詳細については過去の記事をご覧ください。)

商社はそれらの物品を使って製造やサービスの提供を行わない、つまり、

顧客から受け取る物品税やサービス税(アウトプット税)が発生しないため、

取引の性質上、支払ったそれらの関税(インプット税)を相殺することができず、

いわゆる“CENVATクレジット”(仕入税額控除)を利用することができません。

そこで、一定の登録を行うことによって、

その“CENVATクレジット”を製造業者である顧客に移転させることが可能となります。

その登録とは、インドの同業界内では言わずと知れた

「First Stage Dealer(ファーストステージディーラー)」の登録のことですが、

2013年12月31日と2014年2月28日に

インド税務当局(Central Excise)が発表した一連の通達によると

2014年4月以降は、輸入者に限り、新たに別の登録が求められることになりました。

(※1 通達番号 Notification No.18/2013-Central Excise)

(※2 通達番号Notification No.8, No.9, No.10, No.11/2014-Central Excise)

 

発効前

 

当該通達が発効される前までは、「First Stage Dealer」とは

元来の定義として「製造業者から直接物品を購入する代理店」のことを意味しており、

「輸入者」は本来「First Stage Dealer」の定義には含まれていなかった背景があります。

また、物品税法上の登録フォームにおいても、「Dealer(代理店)」という項目はあっても

「Importer(輸入者)」という項目は存在していませんでした。

つまり、インドに進出している日系商社(輸入者)などは、

「輸入者(Importer)」としてではなく、実務的に「代理店(Dealer)」として

「First Stage Dealer」の登録を行うことによって、

“CENVATクレジット”を顧客に移転するという間接税スキームを利用してきたわけです。

 

発効後

 

ところが、一連の通達(Notification)の発表により、

2014年4月以降は、「Dealer(代理店)」としてではなく、「Importer(輸入者)」として

新設された「Registered Importer」の登録を行わなければならない、と明記しています。

つまり、今後“CENVATクレジット”を移転するためには、

インド国内の製造業者から直接物品を購入する代理店(Dealer)は

「First Stage Dealer」としての登録を

インド国外の製造業者から直接物品を輸入する輸入者(Importer)は

「Registered Importer」としての登録を行い、

それぞれの登録下において別々に四半期申告を実施していく必要があります。

 

(↓↓↓チェンナイにもついにスタバとクリスピークリームドーナツの第一号店が!!!↓↓↓)

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日印租税条約と外国税額控除制度について

「二重課税の排除」と「脱税の防止」などを目的に

二国間で締結されているのが租税条約です。

日本とインドの間でも

日印租税条約が締結されていますが

インドに進出している日系企業は

インドから日本へ何らかの支払をする際に

この租税条約を考慮する必要があることは良く知られているところかと思います。

つまり、日本の親会社がPAN(納税者番号)を取得し、日印租税条約を適用することで

一定の支払時に控除すべきTDS(源泉所得税)の税率を軽減させることができます。

例えば、インド子会社から日本の親会社に対して

技術役務提供の対価としての報酬やロイヤリティ等を支払う場合、

通常25%のTDS(源泉所得税)を控除して残りの75%を日本へ支払うことになりますが、

日印租税条約を適用することによって税率が一律10%となり

残りの90%を日本へ支払うことができるようになります。

一方で、インド側で控除された10%のTDS部分については

日本側で外国税額控除として納税額から直接控除することが可能となります。

なお、日印租税条約を適用して税率が10%であっても、

日本側では25%の外国税額控除が適用できるとする「みなし外国税額控除制度」は

2006年における改正議定書において廃止されています。

 

しかし、ここでの注意点が2つあります。

まず一つ目は、日印租税条約を適用した場合に日本の親会社が

インドの税務当局に対して直接、別途申告書を提出する必要がある点です。

実際に、インドの税務当局から申告漏れの指摘を受けている企業も出てきています。

少額の取引だし、そこまで手間・費用をかけたくないという企業の本音もある中で、

この手間・費用を避けるためにあえて日印租税条約を適用しないケースや

そもそも日本の親会社の申告義務を知らなかったケースも散見されます。

 

そして、二つ目は、日印租税条約を適用しなかった場合に

インド側で控除された25%のTDS部分については

その全額25%を日本側で外国税額控除として納税額から控除できない点です。

これは「租税条約による限度税率超過税額」に関する規定として

租税条約による限度税率(この場合10%)を超える源泉税部分については

外国税額控除が認められないこととなっているからです。(法人税基本通達6-3-8)

 

取引価格の重要性に応じて、

日印租税条約を適用させるか否かを適宜判断するしかありませんが、

その判断を行う上で、上記2点を考慮する必要があることにご注意ください。

 

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インドでの経理コストが高くつくワケ

サラリーマンであれば

会社が代わりに年末調整をしてくれますが

ビジネスをする場合は

どうしても自分で経理業務を実施する必要があります。

帳簿をつけて、試算表をつくり、

決算書をつくらなければならないですし

必要な税務申告をして、

期限まで税金を納付しなければならない。

つまり、経理スタッフを社内で雇用するにしても、

会計事務所等に外注するにしてもコストがかかるわけですが、

インドではその“経理コスト”が概ね日本よりも高くなりがちです。

様々な理由が考えられますが、

今日はその主な理由3つについてご紹介したいと思います。

 

1、事業者が申告・納付すべき税金の種類が多い

2、税金ごとの申告作業が複雑かつ納付期限がタイト

3、インド税務全般を深く理解した人材が少ない

 

1、事業者が申告・納付すべき税金の種類が多い

インドでは事業者が申告・納付すべき税金の種類が多く複雑です。大きくは「直接税」と「間接税」に分けられますが、「直接税」には法人所得税や個人所得税、配当税、最低代替税などがあり、「間接税」には物品税や州付加価値税、中央販売税、サービス税、関税などがあります。特に「間接税」は特徴的です。例えば、物品税は日本には無い概念ですし、州付加価値税や中央販売税、サービス税の3つをまとめたのが日本における消費税のイメージです。

 

2、税金ごとの申告作業が複雑かつ納付期限がタイト

それぞれの税金ごとに細かい税法が規定されているため、そのひとつひとつのコンプライアンスを順守していくには相応の手間と時間がかかります。例えば、TDS(源泉所得税)は毎月納付する必要がありますが、日本よりも多くの支払がTDSの源泉徴収義務対象となり、さらに、支払の内容に応じて控除すべきTDSの税率や源泉徴収義務免除の上限規定がひとつひとつ異なります。具体的には、家賃のTDS税率は10%で年間総額180,000ルピーまでは源泉徴収義務なし、専門家等への報酬は10%で年間総額30,000ルピーまでは源泉徴収義務なし、請負業者への支払は2%(個人等へは1%)で年間総額75,000ルピーまで、もしくは、一取引額30,000ルピーまでは源泉徴収義務がありません。また、支払先のPAN(納税者番号)情報が得られない場合にはその税率が一律20%になってしまいます。また、日本では従業員が常時10人未満である源泉徴収義務者は「納期の特例」の承認を得ることで半年に一回まとめて申告・納付ができる仕組みがありますが、インドの場合はすべての会社が毎月納付、かつ、四半期に一回申告をする必要があり、個人事業主や中小企業だからといって経理業務を簡便化することができません。以下にそれぞれの税金にかかる申告・納付期限をご紹介しておきます。

税務申告スケジュール

 

3、インド税務全般を深く理解した人材が皆無

そして最後に、上記2つの理由から考えると当然の話なのですが、税金の種類が多く、かつ、それぞれに細かい税法が規定されているが故に、その全てに精通した人材はほとんどいないという切実な実情があります。法人税や物品税、付加価値税、サービス税、関税など、それぞれに精通した専門家はいますが、その全てに精通している専門家がほとんどいないので、事業規模がまだ大きくない段階から社内で人材を雇用しようとすると、対応すべき税務に対して適切に処理・管理できる人材をチームで採用する必要があり、相対的にかなり高い人件費がかかってしまいます。ましてや、その処理が間違っていたり遅れたりすると、必然的に延滞税等のペナルティが随時加算されていってしまい、さらなるダメージを受けることになります。ですので、事業立ち上げ段階では事前にある程度の経理コストがかかることを想定しておき、余裕のある予算を組んでおくことが大切であろうかと思います。なぜなら、早めに対応しておくことが結果的には手間と金銭的コストを最小限に抑える近道になるからです。

 

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受取利息にまつわるインドの個人所得税のお話

1年ほど前からインドで定期預金をしています。

銀行で個人口座を開設すれば基本的に誰でも

オンラインですぐに始めることができます。

1週間単位の短期から数年単位の長期まで、

預金利息は概ね8%~9%と高金利です。

例えば、100万円を6ヶ月間定期に預けると

半年後に約4万円の利息を得ることができる計算になります。

ところで、所得を得るとそれに対する税金(所得税)を払わないといけないのが世の常。

今回は、金融機関からの受取利息にまつわる

インドでの個人所得税と源泉徴収義務について簡単にご紹介したいと思います。

 

ちなみにこちらはHDFC銀行の定期預金の利率表↓↓↓

HDFC Interest rate

 

原則、インド国内で受け取った利息収入は、“その他の所得(Income from other sources)”という名目で課税所得として認識されますが、“普通預金”の受取利息に対しては年間最大10,000インドルピーまでの所得控除が認められており、10,000インドルピーを上限に課税されることはありません。また、“普通預金”の受取利息に対しては、所得税の前払いの性質を持つTDS(源泉所得税)が控除されることもありません(所得税法第80TTA項)。

 

一方で、“定期預金”の受取利息に対しては所得控除の優遇税制がなく(全額課税対象)、原則、利息が支払われる際には金融機関によってTDSが控除されます。つまり、インドに駐在している日本人は必然的に最高税率30%が適用されるため、年度末の確定申告時に利息に対して30%の税金を納める必要があり、実質的には税引後で6%前後の利回りになります。また、受取利息が4月から翌年3月までの年間総額で10,000インドルピーを超えないことが事前に分かっている場合の例外を除いて、支払時に10%(PAN(納税者番号)がない場合は20%)のTDSが受取利息から控除されて支払われるため、年度末の確定申告時には金融機関が発行するForm 16を元に、その前払いしたTDSの分を差し引いた残りの所得税を納めて精算することになります。

 

また、少し話は変わりますが、期間が5年以上の定期預金に関しては、定期預金額のうち最大100,000インドルピーまでの所得控除が認められています(所得税法第80C項)。なお、この所得控除枠は、定期預金額以外にも支払年金保険料や支払生命保険料、住宅ローンの額面返済部分なども対象となります。

 

為替リスクは常にありますが、

中長期的にインドに住むのなら

比較的リスクの少ない高利率の定期預金はうまく利用したいですね!

 

↓↓↓近くのホテルに併設されているプール。連日40度越えなので最近の日課は水泳↓↓↓

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