インドのその他ビジネス事情

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日本本社への資金還流方法とその実態に迫る

(↑↑↑ジャイプール郊外にあるアンベール城↑↑↑) 

インドに進出している日系企業にとって、インド現地法人が得た利益をいかに日本の親会社(=株主)に還元するか、つまり、インドから日本への資金還流方法について頭を悩ます日系企業が増えています。もちろん、日本の親会社が何らかのサービス等を提供している場合には、その対価として管理報酬や技術上の役務提供報酬、ロイヤリティなどを契約書等に基づいて支払うことなり、この場合にはサービス税や源泉所得税(TDS)、また、移転価格税制における税負担や税務リスクと合わせて取引スキームを検討することとなります。しかしながら、ここでは、サービス等の対価として支払うのではなく、株主との関係性において資本や税引後の利益剰余金をどのように株主に資金還流できるかをご紹介したいと思います。

 

(1)       配当(Dividend)

言わずと知れた株主の権利であり、かつ、最も一般的な資金還流方法が「配当」です(※インド新会社法第123条)。主に、取締役会決議による中間配当と、定時株主総会の普通決議による利益配当があり、単純に利益を株主に還元する最もシンプルな方法となっていますが、インド特有の「配当分配税(DDT:Dividend Distribution Tax)」が大きな障壁になっています。つまり、通常は配当を行った場合には配当を受けた株主側に課税(※配当支払時に源泉所得税として控除)されるのが一般的で、日本の場合は「外国子会社配当益金不算入制度」により大きな課税負担なく配当を受け取ることができるケースが多いですが、インドでは配当を行う側が配当行為に対して課税される「配当分配税(DDT)」という税金があります。したがって、支払時に所得税を源泉徴収する必要はありませんが、その代わりに支払側が実効税率約20%の配当税をインド税務当局に納税する必要があります。なお、個人の株主が100万ルピーを超える配当を受け取った場合には、株主側にも10%の所得税が課税される点については留意が必要です。

 

さて、ここで重要な論点となるのが、インド現地法人が負担する配当分配税(DDT)が日本法人側の外国税額控除として利用できるかどうか、という点ですが、明確な規定はなく、配当分配税は一般的な源泉所得税とは性質の異なる税金であることから、日本の親会社において税額控除として適用するのは難しいとの見解が有力であると思われます。つまり、インド現地法人としては、税引前利益からすでに法人所得税を納税しているにも関わらず、税引後利益から分配する配当に対してもさらにインド現地法人が税金を負担しなければならないといういわゆる“二重課税”が発生してしまうことから配当の実施はあまりに税負担が重く、積極的に配当を行っていない法人も多く見受けられます。

 

(2)       自社株買い(Buy Back Shares)

「配当」以外に考えられる資金還流方法の一つが「自社株買い」です。自社株買いとは、既存の株主から自己株式を買い取り、当該株式を消滅させる手続きのことです。つまり、既存株主全員が自社株買いに応じる場合に限って、各株主の持ち分比率(=会社に対する株主の影響力)を維持したまま株主へ資金を還元できることになります。なお、特定の株主が自社株買いに応じない場合には、当該株主が保有している株式が減少しないため、相対的に株式持ち分比率が高くなり、逆にその他の株主の株式持ち分比率は低くなります。

ちなみに、自己株式の買い取り価格が額面株価を上回る場合には、株式譲渡益(=キャピタルゲイン)に対する課税がなされ、原則、株主は株式売却に伴って得た利益に対して税金を納税する必要があります。しかしながら、2013年度の税制改正において、非公開会社が額面株価を上回る価格にて自己株式を買い取る場合には、株主が納税をする代わりに、株式を買い取る会社側が「利益分配税(Tax on Distributed Income)」という税金を納税する必要がある旨の規定が発表されました(※インド所得税法第115QA条)。つまり、自社株買いにおいて株式譲渡益が発生する限りにおいては、支払企業側は上述の配当分配税に似た「利益分配税」を結局は株主の代わりに払わなければならないこととなります。

 

さて、次に自社株買いの実施する上での条件や具体的な手続きについて見ていきたいと思います。自社株買いは、原則、付属定款(AOA:Article of Association)における当該規定の定めがあり、かつ、株主総会の特別決議で承認されれば実施可能です。自己株式を買い戻した後は、当該株式の取得日から7日以内に消却し、さらに、30日以内にROCに登記しなければなりません。ちなみに、過去3年間に下記3つのいずれかの債務不履行があった場合、また、自己資本について下記2つのいずれかに該当する場合には自社株買いは実施できないため注意が必要です。

 

【債務不履行にかかる3つの条件】

l  預り金、利息の支払不履行

l  社債の償還、優先株式の償還不履行

l  借入金の返済不履行

 

【自己資本にかかる2つの条件】

l  自己株式の取得金額が自己資本の25%を超の場合

l  自己株式取得後の自己資本が負債金額の50%未満の場合

 

なお、非居住者の株主たる日本本社から自己株式を買い取る場合には、当該自己株式の買い取り価格がインド国勅許会計士(Chartered Accountant)が証明した公正な価格(上場会社の場合には、インド証券取引委員会に登録しているカテゴリー1のマーチャントバンカー(SEBI registered Category-I, Merchant Banker)が決定する公正な価格)を上限とする株価で買い取る必要があります(※外国為替管理法基本通達第15番/2015-16)。また、日系企業のような外国法人が株主である場合には、出資当時からの為替レートの変動により為替差損益が発生します。自己株式の買い取りについては税務リスク等も含めて慎重に判断する必要があるため、専門家へ事前に相談することをおすすめ致します。

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インドの携帯電話SMS密着型ビジネスの行方

デビットカードって使ったことありますか?

お恥ずかしながら私はインドに来て初めて

デビットカードというものを持ちました。

というか、インドで銀行口座を開設したら

“VISA”って書いてあるカードを渡されて

「え?これクレジットカードなの?」って確認したら

デビット機能付きのキャッシュカードだったというわけ。

 

デビット機能というのは、

クレジットカードでもなく、

電子マネーでもなくて、

利用した時点で普通預金から即時に引き落とされるという支払サービス

VISA加盟店であればどこでも使えるようでこれが思いのほかとても便利です。

私はICICI銀行というインド国内の大手銀行で口座を作ったんですが、

おそらくHDFCやState Bank of India、Axisなどの他行でも

同様のサービスが提供されているはずです。

さらに便利なのが、口座の入出金をいちいち携帯電話のSMSにお知らせしてくれるんです。

しかも入出金の動きがあったその瞬間に。

 

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例えば、昨晩近所のスーパーで買い物したんですけど、

その時に637ルピーをデビットカードで払いました。

すると、その瞬間に携帯に上記のようなメッセージが届いて、

「637ルピー引き落とされました。残高は○○○ルピーです。」

と教えてくれる。

例えば、会社で経費精算をしてお金が口座に振り込まれると

その瞬間に入金額と残高を教えてくれる。

インドではこうした銀行取引だけでなく、

セキュリティの観点から様々な登録手続時に

本人確認用としてSMSが送られてきたり

タクシーやその他様々な予約サービスの確認

以前に紹介したAirtelの簡易情報リサーチサービス『Airtel Gyan』などなど

携帯電話のSMS機能を積極的に活用したサービスがたくさんあるようです。

 

これもモバイル機器利用によるネットユーザーが

急速に増えていることが背景にあると思われます。

2009年にたった410万人ほどだったモバイル機器ネットユーザーが

2012年末現在で約8700万人に、

そして2015年には1億6500万人になるというデータもあるようで(下記リンク参照)

今後どのようなSMS密着型ビジネスが生まれるのか楽しみです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130105-00000001-indonews-int

 

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チェンナイメトロ路線図を眺めてみる

先日チェンナイの道路をオートで走っていたら

工事中の囲いの中に直径7メートルぐらいはあろうかという

円柱系のドデカい機械を発見

(写真を撮り忘れてしまったのでお見せできなくて残念)

ちなみにその機械メーカーのリンクはこちら

 

どうやら地下鉄用トンネルを掘るための機械のようです。

デリーやムンバイなどではすでにメトロ(地下鉄)が運営されているようですが、

ここチェンナイではメトロ開通に向けて現在工事の真っ最中

 

昨年9月のBusiness Standardの記事によると

人口200万人超のインド国内19都市において

順次メトロ整備プロジェクトをスタートさせていく、とのこと。

日系企業にとってはこういうビジネスチャンスをつかみ取っていきたいところ

チェンナイでは JICA(独立行政法人 国際協力機構)が

円借款としてインド政府との貸付契約を締結していて、

「チェンナイ地下鉄建設事業」として

日本はチェンナイメトロの整備プロジェクトに関わっています。

ただ、このような都市インフラ整備プロジェクトは

当初から官民連携を前提にているケースが多くて、

そのプロジェクトに入り込むために

中央政府や州政府のインフラ整備政策を事前によく理解すること

そして、プロジェクトそれぞれの入札に関する具体的な情報をつかむことが重要です。

そのためには現地のコンサルタントを利用することも必要になってくると思われます。

 

チェンナイメトロがいつ開通するのかは分かりませんが、

全部で32駅できる予定のようです。

この完成予定路線図を眺めていると

メトロが開通する頃にはチェンナイでの生活も随分と変わってくるだろうなとワクワクします。

(Chennai Metro Rail Limitedホームページより)

Chennai Metro

 

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インド政府と国民の金(ゴールド)攻防戦

世界的な金価格の暴落がメディアを賑わせています。

田中貴金属工業(株)のホームページによると

2012年10月で1グラム当たり約5,000円だったのが

2013年末に1グラム当たり約4,100円まで暴落

そして、2014日1月7日付の日経新聞によると

金保有割合が多いことで有名なスイス国立銀行が

2013年3月期において約1兆400億円もの損失を計上する予定であることを発表しました。

スイス国立銀行にとって配当を見送るのは1907年の業務開始以来で初めてであるとのこと。

 

さて、金相場でよく話題になるのがインドの金需要です。

中国と並んで世界最大の金消費国であるインドでは

結婚の際に女性側の家族が男性側の家族に

持参金を支払ったり貴金属類や宝石などを贈る「ダウリー」という習慣があります。

このダウリー制度によって様々な痛ましい事件が起きている社会問題性から

この制度は50年以上も前にインド政府によって禁止法が施行されましたが

習慣として今でもカースト制度と同様、根強くインド社会に残っているようです。

また、金や金宝飾品が宗教的背景からも好まれていることもあって

インドにおける金需要は今後も縮小することは無さそうです。

 

むしろ、そんなインドの金需要は人口増加とともに金の輸入量を拡大させており、

インドが慢性的な貿易赤字に陥っている大きな一因にもなっているようです。

貿易赤字に頭を悩ませているインド政府は莫大な金輸入量を抑制するために

ここ数年で段階的に金の輸入関税を引き上げてきました。

2012年1月に2%だった関税を、同年4月に4%に引き上げ、

さらに2013年1月に6%、同年6月に8%

そして、同年8月にはついに10%にまで引き上げました。

また、昨年、インド最大の祭りであるディワリや結婚シーズンを迎える直前の9月に、

東南アジア等からの安価な宝飾品の流入を防ぎ、かつ、国内宝飾品産業を守るために

金の宝飾品の輸入関税を15%まで引き上げました。(金の輸入関税は10%で据え置き)

金輸入については外国貿易当局からの許認可取得を義務付けたり

輸入した金の20%は再輸出しなければならないとする規制も発表しています。

その結果、世界的に金価格が暴落している中、

インドルピー建て金価格は比較的高水準を推移しているようです。

 

ちなみに、インド国外を6か月以上滞在したNRIs(インド人の非居住者)は

最大1キロまでの金や宝飾品の個人輸入が認められているとのこと

そこで、国内の宝飾品店はインド国外に住むNRIsに対して

金を個人輸入させることにより仕入原価を削減しているようです。

航空券代や輸入関税を負担しても、それでもまだ利益が出るほど

世界とインド国内の金価格には大きなギャップが生まれているわけです。

また、輸入関税分さえも利ざやで稼ぐために密輸も増えてくるものと思われます。

公式な金輸入量を抑制しても、その分非公式な金輸入量が増えてしまう構図

金輸入を抑制したいインド政府と、金を買い続けるインド国民との攻防戦は続きます。

 

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シングル・ウィンドウ・クリアランスとは?

タミル・ナードゥ州(TN州)では

自動車産業を中心とした製造業の集積が進んでいます。

製造業(特に完成車メーカー)にとっては

部品の調達先であるサプライヤー企業の存在が

重要な鍵となりますが、

日系完成車メーカーや部品サプライヤーにとっては、

日系企業が求める品質水準に耐えうるインド地場サプライヤーで、かつ、

租税コストや物流コストの削減、物流リードタイムの観点から

同州内に拠点を持つサプライヤーの発掘に苦戦をしており、

特に日系企業の二次・三次サプライヤーのチェンナイ進出を期待する声は

日に日に高まりつつあります。

 

さて、製造業がインドに進出する際に必要となる工場等の建設には、

様々な担当部局から複数の許認可を取得する必要がありますが、

特に重要なのが、工場の建設開始のために必要となる建設許可です

これは ”CTE:Consent To Establishment” と言われ、

州の汚染管理局(PCB:Pollution Control Board)から発行されます。

インドに進出してきている特に製造業の日系企業の多くは

これらの許認可を取得するために多大な時間・手間を強いられています。

 

一方で、これらの手続において有益なサポートが得られる州政府機関があります。

TN州政府内にあるガイダンス・ビューロー(Guidance Bureau)

この州政府機関は、PCBの建設許可も含めた一連の許認可の申請手続を、

一元的に受け付けるサービス ”シングル・ウィンドウ・クリアランス” を提供しています。

具体的には、申請企業がガイダンス・ビューローの審査委員会において

当局に対する事業内容及び計画についてのプレゼンテーション・質疑応答を行い、

各関連当局からの異議がない場合に、

その事業を“原則”許可するという「In-Principle Clearance」のレターが発行されます。

これは、最終的な工場建設許可及び操業許可を意味するものではありませんが、

これを取得することによってとりあえず工場等の建設を開始することができる

という意味で、事業立ち上げまでの期間の短縮が期待できます。

インド進出には、進出前のフィジビリティ・スタディ(投資調査)から

インド法人の設立、工場等用地の確保、各関連許認可の取得、

操業開始後の会計・税務・労務等の子会社管理に至るまで様々なステップがあり、

自社のみで対応しようとすると膨大な時間がかかってしまうことが想定されます。

インド事業に専念できる体制を構築し、

いち早く収益が得られる事業展開ができるよう、

各進出ステージにおける具体的な実務については、

外部の専門家のサポートを積極的に活用されることをお薦め致します。

 

(急な渋滞の原因は、、、モーさんでしたというのはよくある話。笑)

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チェンナイの過酷なビジネス影響(電力不足編)

昨日は朝9時から停電がスタート。

そのまま8時間も停電が続くとはつゆ知らず。

どうやら新聞に地域ごとの計画停電情報がちゃんと掲載されていたようです。

私生活においては、

あ、洗濯してる途中だったのに

あ、今からシャワー浴びようと思ったのに

あ、真っ暗で本読まれへんやん

といろいろ面倒なことも起こりますが、

とは言っても “その程度” のことなので

停電とうまく付き合っていくことは大したことではありません。

慣れてしまえばどうってことないと思えるのが人間のすごいところ。

 

ただ、ビジネスの世界ではそうはいかないようです。

多くの製造業者は工場に大型のディーゼル発電機を導入していて、

停電時の電力供給を発電機で頼っているんだそうですが、

その燃料代を考慮すると電気代は通常の2.5~3倍に膨れ上がってしまうんだとか。

さらに、工場の発電機はとにかくデカいので場所は取るし、

突然の停電によって稼働中だった機械が急停止し、

それが機械の故障を引き起こす原因になったり

製造中の製品に不良品を出したり、

生産が止まってしまうので当然生産性が落ちたりと、

様々な悪影響が引き起こしているようです。

 

先日、あるインド企業の社長さんから聞いた話では、

このディーゼル発電機

通常は25~35%ものロス(無効電力)が発生してしまうようですが、

自動力率調整器(APFC:Automatic Power and Frequency Control)という装置を導入することによって

そのロスをある程度は有効電力として利用できるようになり

発電効率を向上させることができるんだとか。

 

また、先日、ある日系企業の社長さんから聞いた話では

このディーゼル発電機の代わりに

無停電電源装置(UPS:Uninterrupted Power Supply)を導入していて

このUPSを活用して停電による負担をうまく軽減しているのだとか。

どういうことかと言うと、

ディーゼル発電機は燃料代によって電力コストが高くつく上に、

停電後に電力が復旧するまでの間にタイムラグがありますが、

UPSはその言葉通り、切れ間なく電力を供給し続けることができる装置なので、

UPSを利用することによって停電時の急な機械停止を事前に防ぎ、

停電後はUPSの供給の助けを借りて

稼働中だった製造工程を区切りの良い段階まで作業を終わらせてしまう

そして、電力が復旧するまで製造を一時的に止めて

ディーゼル発電機による余分なコストや

その他の悪影響をできる限り排除するようにしているんだそうです

 

工場の規模や停電時間の長さにもよるとは思いますが、

チェンナイの電力不足による過酷なビジネス環境を目の当たりにしながら

こうやって企業は様々な工夫をしているのだなーと思いました。

「2013年中に電力不足を解消する」

と発表したタミル・ナードゥ州政府。

果たして本当に実現できるのでしょうか。

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あなたが「海外就職」をすべきではない理由

最近、「海外就職」という言葉をよく耳にするようになってきました。

ここインドでも少しずつその動きが広がってきているようです。

ある日系企業ではインドにある全ての事業拠点において

現地採用の日本人を常駐させている、とのこと。

また、別の日系企業でも

今までは日本から駐在員を派遣していたけれど

今後はコストを抑えるために現地採用に切り替えていく、と。

20代の若者が自分の行きたい国にやりがいのある仕事を求めて就職もしくは転職をする。

一方、コスト削減を迫られる海外現地法人の中堅・中小企業はそんな若者を

現地採用の人材として積極的に活用していく、という構図です。

 

例えば、駐在員の場合だと年間およそ1,000万円程度のコストがかかると言われていますが、

インドの現地採用の日本人で平均300万円程度(もちろん個人差はあります。)

コストを3分の1以下に抑えられるわけです。

 

さて、ここで重要になってくるのが、

現地採用の日本人にかかる平均300万円のコストが高いのか安いのか、ということです。

なぜなら、同じ20代のインド人年収が約40万~100万円程度だからです。

つまり、インド人を雇えばコストをさらに3分の1以下に抑えることができます。

日本語を猛勉強して話せるようになったインド人にこの若者は勝てるでしょうか?

 

その判断基準となるのは、

この若者が下記5つの「日本人メリット」をどれだけ生かせる人材かどうか

その総合力の高さに尽きます。

 

(1)、日本語が話せる

(2)、日本のビジネス商習慣を理解し・実践できる。

(3)、日本人とのコミュニケーション(阿吽の呼吸)を理解し、実践できる。

(4)、日本人特有の責任感を理解し、実践できる。

(5)、日本社会における何らかの専門性を持っている。

 

これらの「日本人メリット」を総合的に生かせる人材でなければ、

300万円という現地採用の日本人コストは高いと言わざるを得ない。

極端な話をすると、

社会人経験の無い若者は、

日本のビジネス商習慣を理解していないだろうし、

日本人特有の責任感をビジネスの中で実践できないかもしれない

そして日本社会における何らかの専門性も持っていない。

そうだとすると、日本語が話せるインド人に勝てるわけがないんです。

 

だから、「海外就職」を考えている20代のみなさんは

ご自身が(1)~(5)の日本人メリットを全て武器として備えているかどうか

今一度確認してみましょう。

もし、ひとつでも欠けている武器がある場合には、

現在の環境の中でまずはそれを獲得できるように努力をしましょう。

これから先30年以上にわたる長い仕事人生を考えると

その武器を獲得するために努力をする日本での時間のほうがきっと価値があります。

「海外で働く」というのは、

「日本人として働く」という全く新しいチャレンジであることに他ならないからです。

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会社法改正案が日系企業に与える影響とは?

2013年8月8日に、

インド会社法改正案が連邦議会上院で可決されました。

現行の会社法は1956年に成立して以来、

すでに60年近くが経過しており、

中には時代遅れな規定も散見されるようになったことから、

随分と前から現行の会社法を廃止して、

新しい会社法を成立させようという動きがありました。

実際に、改正案は発表されておりましたが、

インドのお国柄か、これまでの国会での審議で前に進むことはなく、

発表されてからすでに数年が経過しておりました。

しかし、昨年12月にようやく改正案が連邦議会下院で可決され、

そして今回、ついに上院でも可決されました。

今後は大統領の承認が得られた後、

中央政府がその通知をした日から新会社法が適用されることになります。

 

今回は改正案の中から、

あらためて日系企業がインド進出を検討する上で影響が出ると思われる重要なポイント

(1)一人会社の設立

(2)取締役会の構成員に関する変更

(3)インド会社と外国会社の合併

の3点についてご紹介したいと思います。

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(1)  一人会社の設立

日本の会社法上では、株主が1人のみで会社を設立することが認められていますが、

インドでは今まで最低2人の株主が必要とされていました。

しかし、今回の改正により、

インドでも同様に一人会社(One Person Company)が認められることになります。

つまり、今まではインドに100%子会社を作る場合には、最低株主数の条件を満たすために、

親会社以外にも関連会社や取締役就任予定の個人を

名義株主として設定する等の形式的な対応が求められていましたが、

今後はその必要性が無くなることが予想されます。

また、定時株主総会の開催は不要、取締役の最低人数も1名となる予定です。

 

(2)  取締役会の構成員に関する変更

今回の改正により、非公開会社(Private Company)においても、

インドの居住者である取締役を1名以上選任しなければならない、

とする規定が適用される予定です。

インド人である必要はありませんが、

インドの居住者になるためには、前年に182日以上インドに滞在している必要があり、

今後、インドで新たに会社設立を行う場合、

日本人のみで取締役会を構成するのが現実的に難しくなることが想定されます。

また、改正案が適用後は、既存の非公開会社も同様に、

1年以内に本規定を順守することが求められる可能性があります。

 

(3)  インド会社と外国会社の合併

現在のところ、インド会社による外国会社の吸収合併のみが認められており、

外国会社が合併の承継会社になることは認められていません。

しかし、今回の改正により、中央政府が認める国に限っては、

外国会社によるインド会社の吸収合併が認められることになる予定で、

外国会社が買収および合併スキームを検討する上での

選択肢の自由度が高まることが期待されます。

 

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リコーやトヨタの事例からインド子会社管理について考える

 日系企業の不祥事が相次いでいます。東芝やオリンパスの粉飾決算が記憶に新しい方も多いと思いますが、インドでも日系企業の海外子会社管理について考えさせられるニュース報道が続いています。例えば、2015年にリコーのインド子会社での不正会計処理が発覚しました。これを受けて、同社は20173月期決算において65億円もの追加損失を計上。74%の株式を保有するリコー本社はさらに当該インド子会社株式の一部を無償償却し171億円の増資を引き受けることを発表、そして、これまで債務保証を継続するなどして経営再建中でしたが、2017年末に追加の財政支援をついに打ち切るとの発表がされました。2015年に監査法人を変更することで発覚したリコーインド子会社の不正会計ですが、その後も業績は回復に向かわず、主要取引先との関係も悪化したために今回の意志決定に至ったとの報道がされております。今後の対応策として、リコー本社は定期的に海外子会社の財務諸表を精査し、本社管理部門の機能強化を図っていくようです。

 

 また、インドでは8年ほど前に発覚していたインド企業サティヤム・コンピューター・サービシーズ社(=通称インド版エンロン事件)の粉飾決算事件を受けて、インド証券取引委員会(SEBI)はこの度、2018110日に当時監査業務を担っていた大手監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)に2年間の上場企業の監査業務停止命令を出しました。不正会計や粉飾決算の事実関係については公表されていませんが、海外進出を検討する日系企業が増え続けている昨今、つい疎かになりがちな海外子会社の管理については、不正防止のための内部統制やコンプライアンス遵守のための管理体制の構築を検討・再考すべきタイミングに来ているのかもしれません。インド会社法においても監査法人の任期を5年(最長10年)とするローテーションの義務化や内部統制監査の義務化(一部の非公開企業は対象外)などが規定されており、企業と監査人が果たすべき責務や遵守すべきルールは厳しくなる一方ですが、何よりも企業が自主的に管理体制を再考することが大切です。例えば、信頼できる社外会計士やコンサルタントを見つけ、内部監査人として選任して定期的に社内のプロセスやコンプライアンス状況をレビューをさせるなど、性悪説に立った上で社内の従業員に一定の牽制を効かせることも検討に値するものと考えます。

 

 さらに昨年末、知的財産権(IPIntellectual Property)の観点からのインド子会社管理について、日系企業にさらなる警笛を鳴らすニュースが報道されました。2009年にトヨタ自動車がインドの地場自動車部品メーカーであるプリウス・オート・インダストリー社(以下、プリウスオート社)に対して「プリウス(PRIUS)」の商標権(Trademark)の使用差し止めを求めていた訴訟で、201712月の最高裁の判決によりトヨタの敗訴が確定し、8年間に及ぶ訴訟に終止符が打たれた、というものです。1997年に発表されたトヨタのハイブリッド車「PRIUS」が、上記プリウスオート社が「PRIUS」の商標を使ってビジネスを始めた2001年よりも以前において、国際的な名声・ブランドとしてすでに世界的に認識されており、かつ、インド国内においても浸透していたかどうかが争点となりました。結果的に、その当時インド市場においてはブランドが確立されているとは言えないとの判断がなされ、トヨタの要求は最高裁に認められなかったことになります。

 

 実は、これまでにもインドで同様の事例が多発しています。例えば、2015年にドイツ自動車メーカーであるアウディAudiがインドで“Audi TT”ブランドを使用したカーアクセサリー等を販売していたところ、同じく“TT”の商標登録をしていたインド地場企業TTテキスタイル・リミテッド社の商標権の侵害となり、“Audi TT”ブランドの販売ができなくなりました。また、2013年に米自動車メーカーであるフォードFordが、世界中で販売されている有名モデルSUVエベレスト(Everestをインドで販売しようとしたところ、インド地場のマサラ・スパイスメーカーであるエベレスト・マサラ社の登録商標権の侵害となり、“Everest”の商標は残念ながらインドでは使用できず、その代わりにインドのみエンデバー(Endeavourというモデルになっています。マサラスパイスでお腹を壊すことはありますが、フォードもまさにインドのマサラスパイスにやられちゃったわけですね、、、笑。いやいやフォードは笑えません。

 

 例えば、商標権はその権利が侵害された場合において、インド政府は「一方的業務停止命令」を発令する権利を持っています。つまり、インドに進出する日系企業が知らぬ間に他社の商標権を侵害していた場合において、突然ビジネスの停止を余儀なくされる可能性がある、ということになります。したがって、このような潜在的な事業リスクをしっかりと把握した上で、事前に商標の登録状況を確認をしておく必要があります。海外子会社の管理というのは、会計や税務、人事労務だけでなく、その他事業に必要な許認可や上述のような知的財産権に至るまで広範囲に及ぶため、特にインドという巨大市場で長期的に戦っていくためには、各分野における信頼できる専門家とのネットワークを構築し、事業の成長ステージにおいて適切なタイミングで対処・管理していくことがとても重要です。

(↓ハイデラバード中心街の様子↓)

 

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日・インド社会保障協定の発効による日系企業への影響と実態に迫る

2012年11月に署名がされて以来、多くの日系企業が待ち望んだ日・インド社会保障協定の発効ですが、ついに2016年10月1日から発効されることになりました。日本にとっては日・インド社会保障協定が16か国目の協定となり、対象となる社会保障制度は、日本における「国民年金」および「厚生年金」、そして、インドにおける「被用者年金(EPS:Employees’ Pension Scheme)」および「被用者積立基金(EPF:Employees’ Provident Fund)」等です(※例えば、日本の政府管掌健康保険等については対象外)。先日当地チェンナイでも開催された厚生労働省および日本年金機構によるセミナー内容も踏まえてまとめると、大きなポイントとしては、(1)日印両国における保険料の二重負担の解消、(2)年金受給条件の緩和、(3)申請書類の代理受付、3点に集約することができます。今回は、これらのポイントごとに具体的な内容についてご紹介をしたいと思います。

 

  

「保険料の二重負担が解消!これはデカい!」 

 今回の日・インド社会保障協定の発効による影響が最も大きいのがこの保険料の二重負担の解消です。これまではインドに滞在する多くの日本人駐在員は、インド駐在期間中であっても国民年金等の日本の社会保障制度への加入を継続しながら、インドにおいてもEPSやEPFといった社会保障制度に半ば強制的に加入せざるを得ないケースが多く、両国における保険料の二重払いは日系企業にとって大きな負担となっていました。しかしながら、今回の日・インド社会保障協定が発効する2016年10月1日以降は、派遣期間が5年を超えない駐在員の場合にのみ、日本年金機構から適用証明書(COC:Certificate of Coverage)を取得することによって、例外的にインドの社会保障制度に加入する必要がなくなります(※なお、自営業者は当該協定の対象外)。具体的には、日本側で取得した適用証明書を駐在員がインドまで持参した上で社内に保管しておくことになります(=提出義務はなし)。また、派遣期間を延長して、合計が5年を超えるような場合には、予見できない特段の事情等がある場合にのみ、個別に両国間での協議・合意の上、最大3年間の延長が認められることになっています。なお、協定発効日時点においてすでにインド駐在中の場合には、2016年10月1日から起算して5年以下の駐在期間が見込まれる方が当該協定の対象となります。(※なお、適用証明書は2016年10月1日以降に申請可能で、申請後約2週間程度で発行される予定とのこと。適用証明書のサンプルはこちら:https://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/sinseisho/0826-02.files/7.pdf

 

「積立基金および年金の受給資格要件が緩和!これもデカい!」

 現在、インド駐在期間中の日本人がいて、かつ、インドの社会保障制度(EPSならびにEPF)にすでに加入している日系企業にとっては受給資格要件の緩和も大きな変更点のひとつ。具体的には(1)保険期間の通算、と(2)適用証明書(COC)取得による積立金還付の即時申請、という2つのポイントがあります。

まずは(1)年金の保険期間の通算について見ていきましょう。日本の老齢年金の受給資格要件は保険加入期間25年間。一方で、インドの年金(EPS)の場合には保険加入期間10年間です。これまでは、例えば下記のようなケースでは、日本の保険加入期間が合計で23年(=25年を満たさない)、そして、インドの保険加入期間が3年(=10年を満たさない)となるため、日本でもインドでも年金受給資格を得られませんでした。つまり、これまでのケースはほとんどがインドで支払っている当該EPSに対する年金保険料は単なる掛け捨てのコストとして認識せざるを得ませんでした。しかしながら、今回の日・インド社会保障協定の発効によって、保険期間の通算が認められるため、例えば、下記のケースでは通算後の保険加入期間はトータルで28年となり、日本においてもインドにおいても両国で年金受給資格を得ることができ、それぞれの国おいて年金保険料を支払った期間に応じて、年金が給付されることになります。つまり、下記のケースの場合、日本では23年分の年金給付を、インドでは3年分の年金給付を受けることができることになるわけです。ちなみに、インドにおける老齢年金EPSは58歳以降に受給開始となります。

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次に、(2)適用証明書(COC)取得による積立金還付の即時申請について見てきましょう。これまでは被用者積立基金(EPF)については、駐在員の年齢が58歳に達する時点もしくは会社を引退する時点のいずれか遅い時点までは当該積立基金に対する還付を申請することができませんでした。つまり、これまでは駐在員が日本に帰国する際には、インドの個人口座を、閉鎖せずに積立金の受け取り用口座(=非居住者口座)として維持しておき、かつ、受給資格が得られるまではただひたすら待つ、、、、という状況でした。しかしながら、2016年10月1日以降は、帰任済の駐在員については適用証明書取得後に速やかに、また、現在駐在中の方は帰任等によりインドを離れる際にすぐに還付申請を行うことができるようになります。

なお、積立基金および年金の受給申請には主に、(A)書類上での雇用者証明による還付申請と、(B)UAN(=Universal Account Number)番号ベースの雇用者デジタル署名による還付申請、の2種類の方法があります。(A)の場合には、提出書類であるForm19(積立還付申請)およびForm 10C(年金受給申請)において、“1ルピーの印紙貼付”、および“雇用主による記載内容の証明(署名・押印)”が必要となりますので注意が必要です。一方で、(B)UAN番号ベースの還付申請を実施する場合には、当該機関EPFOのポータルサイトにて被用者の基本情報(KYC:Know Your Customer)を更新し、雇用者の権限保有者にデジタル署名(=DSC)にてオンラインで証明をしてもらった上で、UAN番号による還付申請用のForm19およびForm10Cを提出します(=この場合、雇用者による書面上の証明は必要なし)。受給申請時に添付する必要がある書類としては、下記のようなものが考えられます。(※状況によって必要書類は変わる可能性がありますのでご留意下さい。)

 

■ Form19(積立基金受給申請)

■ Form 10C(年金受給申請)

■ Non-Employment Declaration

■ Form 15G(確定申告にかかる供述書)

■ 赴任時のアポイントメントレター(Appointment Letter)

■ 帰任時のリリービングレター(Relieving Letter)

■ PANカードコピー(自署が必要)

■ Employment Visaのコピー(自署が必要)

■ FRRO登録のコピー(自署が必要)

■ キャンセル済小切手原本(自署が必要)

 

 

「申請書類の代理受付が日本で可能に!ただ、日本から申請できるとは言え、、、?」

 そして、最後のポイントが日本での書類代理受付です。これまではインドの積立基金や年金の受給申請はインドの担当窓口でしか受け付けてもらえませんでしたが、2016年10月1日以降は、日本の年金担当窓口も代理で書類の受付を行ってくれるとのこと。今回の日・インド社会保障協定の発効にともない作成された新しい申請書類フォーマットも用意されているようで、日本語、英語、ヒンディー語の3言語が併記されているので、すでに日本に帰任されている方にとっては書類作成および申請が日本でできるのでとても有り難い話です。がしかし、、、日本年金機構の担当者に話を伺ってみたところ下記の観点からいろいろとまだハードルは高そうです。

■ 日本側は単なる窓口機能で、原則、書類をそのままインドに受け渡すのみ

(※書類の不備等があった場合の対応や、還付までに要する時間が不透明)

■ 日本の口座を受け取り用口座として指定できるはずだが実績がないので不透明

■ 申請書類によって1ルピーの印紙貼付が必要(=インド側で準備する必要あり)

■ 申請書類によってインド側の雇用主による記載内容の証明(署名・押印)が必要

■ 積立基金や年金受給後は、受給額に応じてインドで確定申告をする必要あり

 

そして最後に、、、これまで説明してきましたインドにおけるEPF(積立基金)やEPS(年金)については、言わずもがな“個人”に帰属するものであることが大前提となっています。つまり、受給資格を得るということは、その個人が受給する権利を得ることになり、原則、駐在員の個人口座に入金されます。一方で、多くの日系企業は、駐在員の待遇面における手取保障の観点からインドでの社会保険料については駐在員本人負担分についても会社が代わりに負担をしているケースがほとんどであるため、個人に帰属する還付金について、どのように取り扱うべきか、会社と駐在員個人間で事前に合意をしておく必要があります。また、例えば積立金の還付時には10%のTDS(源泉所得税)が控除され入金されますが、還付額が多い場合には10%の納税では足りないため、別途確定申告および追加納税を実施する必要があるため注意が必要です。

いずれにしても、積立基金や年金の受給は外部の専門家のサポートを得ながら所得税の課税関係についても正しく清算した上で還付申請手続きを進めていくのが望ましいのではないかと思われます。

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世界中に旋風を巻き起こすUber社とは?

すでにご存知の方も多いとは思いますが、

世界中のタクシー業界に新たな旋風を

巻き起こしている米国企業があります。

2009年にサンフランシスコで創立された“Uber”社です。

ゴールドマン・サックスやグーグルの投資会社等が出資しており、

現在、45ヶ国150都市以上で事業展開しています。

日本では東京都心で既存タクシー会社の空車を利用したサービス展開を行っていて、

インドでもすでにチェンナイを含む主要都市においてサービスの利用が可能です。

まずは、インド国内のケースをもとに具体的なサービス内容を簡単にご紹介しておきます。

 

Ubar 1

Uberはタクシーの乗降車をより安心で快適にしたサービスで、

ダウンロードした専用アプリを使うことによって以下のことを可能にしています。

1、マップ上で乗降車位置を事前に指定

2、GPS機能を使って最も近くにいる車を自動配車(到着すると通知もあり)

3、運転手の顔写真、利用者評価、車両番号、車種等を事前に確認

4、専用アプリに登録した決済情報により自動的に支払完了

5、領収書は自動的にメールで配信

 

ちなみに、インドではUber社が手数料として

利用料金の20%を得る仕組みとなっているようですが、

Uber社のビジネスモデルは各国の法規制によって様々のようです。

(例えば、日本ではタクシー事業ではなく、「第2種旅行業者(仲介業者)」として事業展開しているようです。)

 

なお、日本のタクシー業界はサービスの質と価格をある程度均一にすることを目的に

国土交通省がタクシーの台数規制と料金規制を強いていますが、

東京に進出しているUbar社は、

従来の日本のタクシーサービスの質に変化を与えることになるため、

タクシー業界に新たな風を送り込むことになりそうです。

しかしながら、利用者にとっては便利である一方で、

世界各国のタクシー業界からは大きな反発もあるようで

実際、フランスやイタリアではUber社の参入に対して反対も多くあり、

タクシー組合による大規模な集団デモも起きているとのこと。

 

Ubar Black

(Source:Uber社のホームページより抜粋)

 

私が住んでいるチェンナイでは、日本のような ”流し” のタクシーはなく

基本的にコールセンターに電話をして、場所を説明し、30分から1時間程度待って、

乗車後はドライバーに行き先を説明し、降車時には現金で支払わなければならないので、

このUber社のサービスは大変便利で、少しずつ利用者が増えているようです。

 

今のところチェンナイではタクシー業界からの反発の声は聞こえてきませんが、

一方で、この度2014年8月に発表されたRBI(インド準備銀行)の通達により

Uber社のインドにおける事業展開の障壁になる可能性があります。

次回はそのあたりのRBI発表の通達についてご紹介したいと思います。

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インドで『LIFE SHIFT』を考えてみる

もう2月も中旬ですが2017年初めてのブログ更新です。前回の更新からいつの間にか5ヶ月も経っちゃいました。何事も継続するのは難しいですね。今年で36歳になる酉年の私は2017年が年男。昨年の申年(去る年)から一転、今年の酉年(取り年)は大きな人生の転機になる気がしています。っというわけでちょっと大げさですが、、、「これからの人生」について考えてみたいと思います、笑!そして、ずっと前から気になっていたリンダ・グラットン氏の著書LIFE SHIFTを読んだんですが、まさに自分の価値観にも深く染み入る内容だったので感じたことを備忘録としてまとめておきます。

 

20121月に結婚し、一大決心をして8月に会社を辞めて南インドのチェンナイに移住、2013年に第一子誕生、2014年にインドで脱サラ・起業、20171月に離婚をしました。今までの人生の中で間違いなく大波乱の5年間でした。公私のストレスから初めて帯状疱疹という皮膚病にもなりました。「自分の人生を生きる」ということを大切にし過ぎたがゆえに反省すべき点も多々あり、相応の代償を払うことになりましたが、それでも家族と真剣に向き合ってこれからの人生を考え、悩み、そして、たくさんの人に相談をして到達した結論。だからこの5年間は、自分は人に支えられて生かされているのだという感覚と、そして、自分らしく生きることの意味について考える大きな転機となり、これから前を向いてまた新しい人生の第一歩を踏み出せる自信にもなりました。

 

激動の5年間で仕事にプライベートにと外部環境は大きく変化しました。それでも、インドに移住する前からふんわりと想い描いていた「会社に頼らず、日本人個人としていかに世界で仕事をし、そして、いかに生きていくか」という新しい働き方や生き方の模索は、2012年のブログ開設時から一貫して変わっていません。私が新しい働き方や生き方に関心を持つようになった背景には、前職の外資系企業での経験が大きく影響しています。米系企業でしたが、当時は台湾人女性の上司と、東南アジア諸国やインドを含む多国籍の人たちと一緒に仕事をする超グローバルな環境の中で、日本人としていかにプレゼンス・価値を発揮できるか、を強く考えさせられました。そして、終身雇用や年功序列、そして、年金制度が崩壊している社会において、日本人個人が会社に頼らずに自らの責任で世界を生き抜いていくための準備をしなくては、と強烈に考えさせられたわけです。そして今回、『LIFE SHIFT』を読んでさらに考えさせられたのは、本書のデータによると私と同世代の日本人の50%100歳近くまで生きる可能性が高いこと。そして、私の子供世代はその50%がなんど110歳近くまで(!)生きる、と予想されていること。

 

つまり、若い世代であればあるほど、60代で引退などとは言っていられないぐらい、私たちは人生設計の改革を迫られているようです。だって、引退した後の老後が3040年間もあるのに、仕事もせず、ろくな年金ももらえなかったら絶対に生きていけない。そこで本書が提案しているのが人生100年プランを前提に自己改革を続けていくこと。20代で就職、60代で引退(=教育→仕事→老後)ではなく、人生のステージごとに自分を変革・創造(リクリエーション)していく生き方。様々な実験をして自分について理解し、自分らしさを追求する生き方。人生の選択肢を増やして、自分の価値観に合う仕事を選ぶ生き方。そして、その価値観を共有できる相性のいいパートナーを見つける生き方。価値観とは、例えば、企業内で仕事をするのか、それとも、自分でビジネスをするのか、何歳まで働くのか、そして、どこに住むのか、など。

 

会社に勤めるサラリーマンの場合には、会社の人事制度等に大きな影響を受けます。つまり、もし制度が整っていれば、在宅勤務制度や週末の時間を利用して副業をスタートしてみる、短時間勤務制度を利用してプチ起業してみる、短期間の海外インターンに申し込んで現地で起業のネタを探してみる、など緩やかに働き方を変えてみることはできるかもしれません。自分の時間を分散投資して、自分の価値観に合う仕事が何なのかをいろいろと実験してみるイメージです。副業や在宅勤務制度、短時間勤務制度、長期休職などが禁止されているような場合は、少し時間はかかるかもしれませんが、優秀な社員が個人の価値観を主張していけばいくほど、いずれは会社も自ら変わることを迫られるはずです。一方で、この点においては起業というのはリスクを取って覚悟を決めさえすれば素晴らしくスピーディーです。

 

例えば、どこに住むのか。インドが住む場所としていいかどうかは置いておいて(笑)、自分らしさを追求する生き方のヒントを得る場所としては、現在直面しているグローバル社会と日本経済の今後を考えると最低でも35年ほど海外に住んでおく経験は大切だと思います。そんな中でも日本人にとって超不自由でかつ超異文化のインドという国はとても面白い。その理由のひとつは、日本人が魅力的だと思う商品やエンターテイメントもなく週末は基本的にやることがないから、笑。自分の価値観と相談しながら何かやってみようなどと考えて、一度やりたいことやってみて、それが違ってたらまた考えて別のことをやってみる。子供が遊んでるのとあまり変わらない、笑。インド在住の日本人はいい意味で時間を「無駄」に過ごせていると思う。つまり、日本ではやっていなかったような「遊び」がすごくできていると思う。効率性、合理性、利便性といった日本特有の枠組みから一度自由になって、そして、過剰な消費活動に巻き込まれることなく「無駄」に時間を過ごしているからこそ、逆に日々が充実している感じがとてもいいと思っています。こういう時間の使い方に似た働き方や生き方ができたらいいな。

 

というわけで2017年もガンガン遊びます、笑!!!

 

インド外国貿易政策(Foreign Trade Policy 2015-2020)の概要

モディ政権の政策“Make in India”に関連して、

2015年4月1日に今後5年間を対象とする

外国貿易政策(Foreign Trade Policy)が発表されました。

具体的には主に“製造業”および“サービス業”促進のための

優遇制度の簡素化と新たな枠組みの制定です。

今日はそんな新たな枠組みの中から

日系企業にとって影響のありそうなものを中心にいくつかご紹介したいと思います。

 

1、商品輸出スキーム「MEIS:Merchandise Export from India Scheme

これまでも商品の種類ごとに5つの輸出恩恵スキームが設定されていましたが、今回の外国貿易政策によってこれらが単独のMEISスキームとして統合され、当該スキーム適用企業には取引実績に基づいて譲渡可能なクレジット証書(Duty Credit Scripts)が発行されることになります。当該クレジット証書を利用することよって、輸入時の支払相殺関税、及び、国内調達時の支払物品税、サービス受領時の支払サービス税に対して、原則、FOB価格に一定料率をかけた金額が相殺/払い戻し(Duty Drawback)可能となります。

 

2、サービス輸出スキーム「SEIS:Service Export from India Scheme

これまで「インドのサービス提供者(Indian service providers)」に対して設定されていたスキーム“SFIS(Served From India Scheme)”が、「インドに拠点を置くサービス提供者(Service providers located in India)」にまで拡大され、あらたにSEISスキームとして新設されました。具体的な恩恵としては、純外貨獲得高(NFE:Net Foreign Exchange Earned)の3%もしくは5%をかけた金額が適用され、MEISスキーム同様、譲渡可能なクレジット証書が発行されることになります。当該クレジット証書を利用することによって、支払関税、支払物品税、支払サービス税に対して相殺/払い戻し(Duty Drawback)が可能となります。

 

3、ステータス認証保持者「Status Holders

インドの輸出貿易産業に貢献している企業に対して、その輸出額(米ドルでの外貨獲得高)に応じて一つ星から五つ星の五段階のステータス認証の付与を行い、一定の特権を与える政策が発表されています。具体的には以下の区分のとおり分けられており、ステータス認定保持者は、特恵貿易協定PTA(Preferential Trading Agreement)や自由貿易協定FTA(Foreign Trade Agreement)、包括的経済連携協定CEPA(Comprehensive Economic Partnerships Agreement)などの貿易優遇措置を適用する上で自己認定(Self-Certification)が認められます。(※認定日から5年間有効)

 

ステータス認証区分

輸出額:FOB価格

(直近3年間の米ドル累計)

1.

One Star Export House(★)

3,000,000

2.

Two Star Export House(★★)

25,000,000

3.

Three Star Export House(★★★)

100,000,000

4.

Four Star Export House(★★★★)

500,000,000

5.

Five Star Export House(★★★★★)

2,000,000,000

 

4、EPCG(Export Promotion Capital goods)スキームの条件緩和

現在、当該EPCGスキーム下においては、通常の輸出義務として、免除された関税額の6倍となる輸出額を6年以内に達成すること、という条件が課されています。一方で、インド国内製造業者から資本財を調達する場合においては当該輸出義務額に対して90%の軽減税率が適用されますが、今回発表された外国貿易政策において、国内資本財メーカーの産業促進を目的に当該軽減税率が75%に軽減されます。また、当該スキーム適用において要求される一定の書類保管義務が3年から2年に短縮されることが発表されました。

 

5、各種書類の電子申告及びペーパーレス取引の導入

輸出にかかる上記恩恵を申請するには、一定の申請書(Form ANF3AやForm ANF3Bなど)を商工省の外国貿易部(DGFT:Directorate General of Foreign Trade)のウェブサイトから入手し、電子署名を用いたオンライン申請をすることになりますが、これまではインド勅許会計士やカンパニーセクレタリー、原価勅許会計士等が発行する証明書等は電子申告による提出は認められておらず、当局に対して物理的に提出をする必要がありました。今後はこれら一連の申請手続きやその他関連手続が随時電子化・ペーパーレス化されていくことが発表されました。

 

Source : http://dgft.gov.in/exim/2000/ftp2015-20E.pdf (Original)

Source : http://dgft.gov.in/exim/2000/highlight2015.pdf (Highlight)

Source : http://dgft.gov.in/exim/2000/AppANFS2015.pdf (Appendix)

 

(↓↓ BBQ好きには必須の近所にある木炭専門店↓↓)

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ECB規制とインドにおける資金調達のお話

たまには会計士らしい真面目な話を、、、笑

“貸借対照表(BS)” や “損益計算書(PL)” は

主に以下の4つの事業活動の結果を数字で表しています。

具体的な細かい数字は置いといて、

とりあえずこの仕組みを理解してもらえればと思います。

①    お金を調達する

②    そのお金を使って資産に投資をする

③    それらの資産を使って売上をあげる

④    売上から費用を引いた利益(及び損失)を認識する

 

財務諸表フロー

 

そこで、インド事業を始めるにあたってはまず

①    どのようにして資金を調達するのか、を検討しなければなりません。

上図のとおり、資金調達の方法には大きく分けて

借入金(返済義務のある負債)

出資金(返済義務のない資本)の2つがあります。

 

インドではこの資金調達についてのご相談を受けることが多くありますが、

ここでまずは、“運転資金” という重要な考え方について説明したいと思います。

夢中になっていたドラマ『半沢直樹』がついに終わってしまって寂しいので

ネジを作っている町工場のケースを取り上げてみますが、

下記の1~4はネジの原材料を仕入れてから

製造、販売、売上金の回収に至るまでのプロセスです。

 

1、ネジの原材料を仕入れる(支払期間30日)

2、ネジを製造する(製造期間30日)

3、完成品のネジを倉庫に保管する(製造後、販売までの期間30日)

4、ネジを販売してお金を回収する(回収期間30日)

 

それぞれのプロセスに要する時間を単純化して30日と仮定してみます

どういうことか

つまり、どれだけたくさんのネジを販売できたとしても、

そのお金を回収するまでにはどうしても時間がかかってしまうということです。

このケースだと、ネジを作り始めてからお金を回収できるまでに約3か月かかります。

一方で、ネジの材料の仕入先に対する支払期間は1か月間しか待ってくれませんから、

自社の商品がたくさん売れることがたとえ事前に分かっていたとしても、

ビジネスを継続していくためには最低でも2か月分の資金が必要となります。

これが一般的に言われる“運転資金”です。

 

インドで資金調達をする際に多くの日系企業が頭を悩ませている背景には

インド国外からの借入金をこの “運転資金” として使うことが

原則、認められていないという点にあります。

これはECB(対外商業借入:External Commercial Borrowings)と呼ばれるインド国外からの借入は

インド連邦準備銀行(Reserve Bank of India:RBI)が規程するECB規制によって

資金使途や借入期間等の制約を受けるからです。

つまり、低金利で日本からお金を借りたいけれど、

資金使途に制限があるために借りることができない

一方で、親会社に増資(追加の出資金)を依頼したとしても、

返済義務のない出資金は親会社にとって全額回収できる見込みがないため嫌がられる

さらに、インド国内でお金を借りると金利が高すぎて利息負担が重過ぎる、などなど

 

ところが、2013年9月4日にRBIが新たな通達を発表しました。

それは、ECBであっても以下の条件を満たせば

運転資金を含む一般的な事業資金として借入金を利用しても良いというもの

 

1、貸付側が借入側の株式25%以上を持っていること

2、又貸し等のECB規制に規定された禁止事項に抵触しないこと

3、平均借入残存期間が7年以上で、返済はそれ以降に行うこと

 

正直、まだ前例がありませんから何とも言えませんが、

通常は3年以上の期間において借入が認められているECBが、

“平均借入残存期間が7年以上”という条件が新たに提示されていることにより

結局は相当の金利負担を強いられる結果となることは目に見えていますので

実務的にどのように運用されていくのかが注目されます。

 

(チェンナイ・マリーナビーチの日の出とハトの群れ↓)

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インドの経済特区 「SEZ」 とは?

「SEZ」というのをご存知でしょうか?

インドには国内にいながらにして

外国のように取り扱われる経済特区(SEZ:Special Economic Zone)があります。

ここに入居する企業は主には税務上の優遇措置を享受することができるんです。

外国のように取り扱われるのでもちろん関税は100%免除

逆に、SEZからインド国内への販売をしたときに初めて

国内購入者がその輸入関税を支払うことになります。

つまり、SEZ企業ではなく、この国内購入者が輸入したことになるんです。

そして、その他の物品税、サービス税、中央販売税等も100%免除

さらに法人税は最初の5年間は100%免除

次の5年間は50%免除

そして次の5年間は収益を再投資することによってさらに50%免除

ただ、ここ数年でSEZ企業が受けている恩恵も縮小傾向にあるようです。

2011年6月から以前は免税されていた

分配税(DDT:Dividend Distribution Tax)が課税されるようになり、

また、2012年4月から以前は免税されていた

最低代替税(MAT:Minimum Alternative Tax)も課税されるようになりました。

特に、この最低代替税の課税変更の影響は大きかったと言わざるを得ません。

最低代替税とは、法人所得税の納付額が帳簿上の利益の 〇〇% を下回る場合に、

最低でも帳簿上の利益の 〇〇%(同割合)を税金として納めなさい、というもので

インド課税当局が安定した税収を得るための制度になっています。

この制度は日本ではあまり馴染みがありませんが、

実はアメリカや諸外国でも同様の制度があり、特にインド特有の制度というわけではありません。

 

この写真はチェンナイ中心地から南に約50キロのところにある工業団地“マヒンドラワールドシティ”

ちなみにインド国内では100以上のSEZが運営されているようですが、

この敷地の半分近くもSEZにあたるようです。

SEZ企業が受けている恩恵が縮小傾向にあるとは言っても

日本企業がインドを輸出拠点として見た場合には

やはりこのSEZを利用するメリットは非常に大きいと思われます。

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インドで「アイデンティティー」について考える

「インド独立の父」として世界的に有名な

グジャラート州出身のマハトマ・ガンディー

 

“Be the change that you wish to see in the world”

(見たいと思う世界の変化に、あなた自身がなりなさい)

 

今日はそんな言葉を残したガンディーさんの誕生日

3ヶ月ぶりの更新となる今回はカンディーさんへの尊敬の念を込めて

ちょっとばかし人生について考えてみたいと思います。

あ、すみませんカンディーさん今日もお酒は飲ませて下さい、笑

 

人生って「アイデンティティー」を見つける旅みたいなもんなのかな

な~んて思ったりすることがあります。「アイデンティティー」とは、

「自分は何者であり、何をなすべきか、という個人の心の中に保持される概念」

大学生の頃、自分が何をしたいのか分からなくなって

大学2回生が終わったときに休学しました。

“自分さがしの旅”などと格好のいいことを言って

現実逃避するために海外に飛び出した記憶はまだ新しいですが、

自分がどんな性格で、自分にはどんな仕事が向いているのか

自分はどんな人間になりたいのか、そして、将来どんな人生を歩んでいきたいのか、

そんなことをいつも悶々と考えながら、でも結局は何も見つからなかった。

いままで自分自身と向き合う時間を大切にして生きてきたように思いますが、

「アイデンティティー」を確立することってむしろ自分以外の人と向き合うこと、

そして、新しいことにチャレンジして失敗を繰り返すことなんだと最近感じています。

「アイデンティティー」とは、

「自分がやりたいこと」と

「自分が期待されていること」との狭間にあるもの

「自分が心地いいと感じること」と

「自分がストレスに感じること」との狭間にあるものなんじゃないかと思います。

 

インドに住み始めてもう3年が経ちました。

仕事も私生活も日本とは比べものにならない程に難しい環境だからこそ、

とてもじゃないけど自分ひとりでは生きていけないことを痛感します。

全く違った価値観、考え方、異文化、そして、極端なまでの格差を目の当たりにして

それをかみ砕いて、飲み込んで、消化するまでのプロセスはある種の苦痛を伴いますが、

だからこそ、この地でこの苦痛を共有して生きている人々とのつながりは強く

そんな強いつながりの中から自分らしさを発見することも多いように思います。

日本のような成熟した社会においては特に、

仕事の選択肢、人生の選択肢は無数にある代わりに、

人から期待されていることがなんとなくぼやけている印象です。

幸か不幸かありとあらゆる選択肢が目の前に準備されているから

自分にとって居心地のいい選択肢についつい安住してしまいがちだったのかもしれない

自分らしく生きるための時間の過ごし方ができていなかった

今振り返るとそのように感じます。

一方で、インドのような発展途上の社会・生活環境においては

仕事の選択肢、人生の選択肢は日本と比べると限定的です。

仕事のみならず私生活も含めてチャレンジと失敗の連続ですが、

逆に、自分がこの地で期待されていることはとても明確で、

自分がストレスに感じることでも、否が応でもやるしかない。やってみるしかない。

自分さがし、つまり、「アイデンティティー」の確立とはある意味

そんなチャレンジと失敗を繰り返しながら自分の価値観、考え方でもって

選択肢を少しずつ切り捨てていく作業に似ているのかもしれません。

 

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面接はご家族もいっしょ?インドの家族愛

「インド人スタッフの採用は難しい」

そんな話を日系企業の駐在員から

今まで何度も聞いたことがあります。

チェンナイでは完全に売り手市場になっていて、

なかなかいい人が見つからない上に、

当然の話ですが、スキル・経験のあるインド人求職者ほど

かなりの高待遇を要求してくるのだそうです

ある人材紹介会社の話では、希望年収は平均でも現在の収入の20~30%アップ

たくさんの会社からオファーレターを貰いならが転職活動を続け、

そのオファーレターを利用しながら

より高い待遇のオファーを出してくれる会社を探すのだとか。

なので、ようやくいい人を見つけて採用オファーを出しても、

結局、入社しないケースが多いのだそうです。

また、退職するまでの期間が長い場合も多いようで、

その人の気が変わらないうちに早く入社してもらうために

ある一定のお金を企業が負担をすることによって

退職時期を早めてもらう(買取制度を利用する)企業も多いようです。

 

一方で、興味深いお話も聞いたことがあります。

「インド人との面接当日、ご家族全員がいっしょに現れた」

「採用したインド人の家族が突然オフィスの視察に来た」

「採用が決まって契約までしたのに入社初日に来なかった」

「入社初日に来たのは母親だった」

私が働いている会社でもインドらしい出来事がありました。

ちょうど昨年末のとある月曜日に

一緒に働いていたインド人スタッフから

「2か月後に結婚が決まりました!」と。

「それはおめでとう!!!」ということで

「いつ出会ったの?!」「どんな人なの?!」などと質問すると

金曜日、つまり3日前。

そして、その2日後の水曜日

「仕事を辞めないといけない」と。

「え?なんで?」と聞いてみると

どうやら、婚約者のご家族からのリクエスト。

もっと有名なブランドのある大企業に勤めてほしい、と。

結婚式までに転職しないといけないということで、

その後、早々にに有名な某大企業の内定を勝ち取り

転職していったのでした。

 

日本と比べると、インドは家族とのつながりが本当に強い

自分の人生なんだから、と個人の自由を尊重することも大切

一方で、家族あっての自分なんだから、と自分を犠牲にしてでも家族の意向を尊重することも大切

インドはその後者をより大切だと考える文化のように感じます。

とは言っても、日本も30年前は家族とのつながりがもっと強かったのだろうか

そう考えると、インドも30年後は・・・

いやいや、インド独特の家族愛は今後も変わることはないだろうな

自分の人生と家族の人生。

その両方をうまく大切にできる道を模索していきたいですね。

 

(牛さんが通られますので少しお待ちを・・・)

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広域経済圏を目指すRCEP(アールセップ)とは?

2013年3月に安倍内閣が表明した

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加

昨今の日経新聞の記事でもよく取り上げられていますが

2006年に発効したTPP原加盟国は、

もともと、シンガポール、ブルネイ、

チリ、ニュージーランドの4か国だけでした。

「小国同士の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」

そんな目的を持って小さな国が集まって形成されていたTPPですが、

そこに交渉参加に乗り出してきたのがアメリカ、カナダ、ペルー、メキシコ、

ベトナム、マレーシア、オーストラリア、そして、日本です。

 

日本にとっては、アメリカ大陸圏との経済連携の強化を目指す意味合いが強い TPP ですが

一方で、日本がアジア圏における経済連携の強化を目指す上で重要になってくるのが RCEP です。

昨年11月に交渉立ち上げが宣言された

東アジア包括的経済連携協定(RCEP:アールセップ)

ここで、まずはその中核をなすASEANについてご紹介しておきます。

 

ASEAN(東南アジア諸国連合)は

インドネシアのジャカルタに本部を構え

その加盟国は全部で10か国

インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、

ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア

域内の人口は6億人を超えていて

5億人の人口を抱える欧州連合(EU)よりも多い

このASEAN諸国域内においてはASEAN経済連携協定(AFTA)が結ばれ

原則、輸入関税を撤廃することによる自由貿易経済圏が形成されつつあります。

そして、この自由貿易経済圏は、ASEAN+日本、中国、韓国、

さらには、インド、オーストラリア、ニュージーランドまで拡大しつつあります。

 

このASEAN(10か国)+上記6か国の合計16か国で

包括的な経済協定を結ぼうというのがRCEPです。

RCEPが実現すれば、域内の人口はなんと約34億人

世界人口の約半分を占める巨大かつ広域経済圏が出現することになります。

私が注目しているのは、この経済圏にインドが含まれていること

日系製造業における最適なグローバルサプライチェーンを構築していく上で、

このRCEPは今後のインド事業に多少なりとも影響が出てくることが考えられます。

その具体的な影響については、次回の記事でご紹介したいと思います。

 

(参考:Wikipedia『東南アジア諸国連合』『環太平洋戦略的経済連携協定』)
(参考:経済産業省『東アジア経済統合に向けて』)

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『WeWork』にバンガロール事務所を開設!

20128月にインドに渡印して以来、5年が経ちました。こんなに濃厚な5年間はいままでの人生で間違いなく初めて。出会いも別れも経験し、悲しいこともつらいこともたくさんありましたが、それでもこうやって元気に健康に日々頑張ってこれたのは、今まで支えてくれた家族と、インドや日本の友人、同僚、そして、日ごろからお世話になっているお客様のおかげだと心から感謝しています。

 

6年目を迎えていよいよ本格的にバンガロールに進出することにしました。今まで事業展開をしてきたチェンナイは古くから伝わる南インド文化が色濃く残っていて、古き良き伝統・文化をずっと大切にしてきたある意味保守的な街ですが、一方で、バンガロールはむしろ南インドから世界へ情報発信するITハブで、新しい文化とビジネスを生み出している革新的な街です。というわけで、せっかくインドにいるのだから、ここバンガロールでは今話題のアメリカ発シェアードワークプレイス『WeWork』であらたに事務所を開設することにしました。この『WeWork』は、日本でもソフトバンクと合弁会社を設立して2018年に第一号が東京にオープンすることが決まっているようですが、インドでは“インドのシリコンバレー”とも呼ばれるここバンガロールで一足早く『WeWork Galaxy』が今年オープンしました。その他にバンガロールではEmbassy Golf LinksKoramangalaの二か所で近日オープン予定です。

 

WeWork』が面白いのは、会員限定に提供されているSNSと、独自に提供されるアプリ、そして、インテリアやカフェテリア、BAR、ジム、プール、卓球台にいたるまで、個人のワークライフを充実させてくれる仕組みや、人との関わりを誘発する仕掛けがたくさんあること。

WeWorkが提供しているSNSを通じて世界中のメンバーと繋がることもできるし、掲示板へは〇〇のサービスを探している企業と、〇〇のサービスを提供できる企業がそれぞれ書き込みをし合っていて、WeWorkメンバー同士で実際にビジネスにつながっているケースも多いようです。また、アプリは、会議室やビジターの予約・手配、掲示板への書き込みやイベント告知、支払まで、コミュニケーションだけでなくさまざまな管理・メンテナンスをアプリでシームレスに実施することができてむっちゃ便利。

オフィスにいるような、リビングルームにいるような、カフェにいるような、BARにいるような、イベント会場にいるような、そんなワクワクする事務所がここバンガロールにできました。弊社はさらなる新たなステージへ。引き続きよろしくお願いします!!!

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あなたが「ノマド」をすべきではない理由

これから “ノマド” をしようっていう人

“ノマドワーカー” になりたいっていう人はいますか?

もしそうだとすると、それはなぜですか?

「今の仕事がつまらないから?」

「職場の人間関係が面倒くさいから?」

「通勤が面倒くさいから?」

「もっと自由になりたいから?」

みなさんそれぞれのご事情があるかと思いますが、

私が昨年の8月からインドで仕事をするようになって、

所謂 “ノマド” の働き方を部分的に疑似体験できたように思うので

備忘録のために少しまとめておきます。

 

私が今勤務している会社は、インドに日本人が私一人しかいません。

普段は、オフィスにも出勤せず、自宅やカフェ等で仕事をしています。

土日に仕事をすることもあれば、平日に休むこともありますが

週7日一日24時間ずっと仕事をしているような感覚にもなります。

私以外には、インド人スタッフがとなり街のバンガロールに、

同じ志を共有する日本人パートナーがアメリカに一人、日本に二人います。

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“ひとりぼっち” というわけではありません。

基本的にメールやスカイプでお互い密に連絡を取り合っています。

また、積極的にアポを取り、色々な人に時間をいただいて会ってもらっています。

有難いことにブログやツイッターのおかげで

今まで出会えなかった方々ともつながることができます。

人との出会いは何より私自身を勇気づけてくれます。

人と出会うことが生きる活力になっています。

 

ただ、その出会いを仕事につなげることは決して簡単ではありません。

無名の企業が仕事を得るには

個人の知識や経験だけでなく、

自らの人間力で勝負をせざるを得ません。

海外現地法人の社長を含む日本人駐在員の方々は

基本的に各企業のエリート級の人材ですから超優秀です。

そんな年上でかつ超優秀な方々に

一目を置いていただくだけの魅力が無ければ

仕事なんて絶対に取れません。

現場で仕事を取ってこれるかどうかは、結局のところ、個人の勝負です。

実のところは“ひとりぼっち”なんです。

“ノマド” になるってたぶんそういうことなんじゃないかなと思います。

“ひとりぼっち” ですべてのリスクと責任を自らが負って強く生きる覚悟

その覚悟ができている人はあまりいないように思います。

私の場合は、そのすべてではなく、部分的に負うことを選択しました。

 

企業が提供してくれている環境がどれだけ有難いことか

自分の給料を払ってくれる顧客がすでにいることもそう

オフィスに集まってくる同僚との出会いもそう

オフィスの存在そのものだってそう

すぐ隣りに怒ってくれる上司・先輩がいて

すぐ隣りに相談できる同僚がいて

すぐ隣りに指導すべき部下・後輩がいる

健康保険だって、厚生年金だって、通勤手当だってそう

自己管理だって、情報管理だって、確定申告だってそう

企業が提供してくれている環境に

自分がどれだけ頼って生きているのかをまず知らないといけない

これから “ノマド” をしようっていう人は

そのことを腹の底から理解した上で強く自由に生きることを選択してほしいなと思います。

 

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「トゥーミニッツ」の裏にある引き算の発想の欠如

「インド時間」という言葉をご存知でしょうか。

いわゆる「時間を守らない」というインドの時間に対するルーズさを

なかば総称してそう呼んでいるのですが、

典型的なのが「トゥーミニッツ」

インドで生活していると毎日耳にする言葉です。

いわゆる日本語で2分を意味しますが

「トゥーミニッツ」と言われると15分待たされることはもはや当たり前です。

さらに危険なのが「ファイブミニッツ」

これは下手すると1時間待たされます。

1時間待たされた挙句にまだなのかと問い合わせると

またまた「ファイブミニッツ」

これでさらに1時間待つなんてことも。笑

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先日、日系企業の社長さんから聞いた話なんですけど

あるテレビ番組でインド人と日本人で算数対決したんだそうです。

すると、足し算と掛け算では圧倒的にリードしていたインド人が、

引き算になった瞬間に計算が遅くなり、結局日本人の圧倒的勝利で終わったんだとか。

足し算は強いのに、

なぜか引き算にものすごく弱いインド人。

 

実は同じようなことを実際のビジネスの中でも感じます。

目の前のことをひとつひとつ積み重ねていくこと(足し算の発想)は得意のようですが、

ある目標や期日に向かって逆算してスケジュールを立てること(引き算の発想)は苦手なようです。

だから、待ち合わせの時間にも当たり前のように遅れてくる。

事前にあまり計画せず

ひとつひとつの作業を積み上げた結果、

いつの間にか納期に間に合わなくなっている。

「トゥーミニッツ」と言っても結局15分かかっちゃう。

これがいわゆる「インド時間」の正体なんではないかと思います。

 

インド人の長所である足し算の発想を生かすのか。

それとも、短所である引き算の発想を身につけてもらうのか。

インド人従業員を雇用している日系企業にとって

彼らをマネジメントするのにはいろいろと工夫が必要なのかもしれません。

(写真は年に一度の祭りポンガルの日にアパート前に描かれていたコーラム)

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シンガポールから見たアジアのビジネス環境について考える

1か月半ぶりにチェンナイに戻ってきました。

現在の気温は31度、湿度60%とかなり蒸し暑くなってきています。

今回は、チェンナイに戻る途中に経由したシンガポールについて少し書いてみたいと思います。

 

シンガポールに行ったのは今回が初めてだったんですが、

第一印象は「街が超キレイ」

まーインドと比較してしまうと当然なんですが、笑

日本と比べてもより洗練されている印象です。

高層ビル群がコンパクトにそびえ立っている街全体の雰囲気は

どこか香港に似ているようにも感じました。

国土の広さは東京23区よりもやや大きい程度。

香港がエネルギッシュで喧噪の中にあるアジアっぽさを強く感じる一方で、

シンガポールはスタイリッシュで東京よりも洗練された近未来都市のようでした。

 

実際、シンガポール在住の日本人駐在員の方に話を聞くと

「家族で生活するには最高の環境。インフラ、食事、教育、エンターテイメント、何でもある。」とのこと

一方で、「金が無ければ生活はつらい」ようです。

駐在員の家賃はおよそ月20万~50万

車を買うにはCOE(Certificate Of Entitlement)という車両購入権を取得しなければならず、

この権利だけで400万~800万円もしちゃうんだとか。苦笑

だから、車を所有できるのは富裕層の中の富裕層のみ。

ただ、こうして政府が車の増加量をコントロールしているおかげもあって、

シンガポールではほぼ渋滞がないんだとか。

とは言っても、現地のシンガポール人も、現地採用の外国人も実際にはたくさんいるわけで

公団住宅をシェアしたり、タクシーや地下鉄を利用することで

問題なく生活をしているんだそうです。

 

話は変わりますが、

シンガポールのもう一つの特徴は、アジア全域へのハブ拠点として

地域統括機能を設置している企業が多いこと。

日産自動車やトヨタ自動車、デンソーなどが最たる事例です。

法人税率が安い上に、

周辺のアジア諸国へのアクセスが容易、

そして、物流、輸送、通信等のインフラが整備されている。

インドと比べるとまさに羨ましい限りの正反対なビジネス環境ではありますが、

逆にあらゆる面で成熟しきっているために、

シンガポール一国だけではビジネスを成り立たせるのは難しいのではないかと思われます。

 

ちなみに、この「法人税率」に注目してみましょう。

2013年3月現在、主要国の法人税率を低い順に並べてみると、

香港(16.5%)、シンガポール(17%)、タイ(20%)

韓国(22%)、中国・マレーシア・ベトナム・インドネシア(25%)

ちなみに、インドは32.445%(残念!)

ここで注目されるのがタイ(20%)です。

タイはここ2年間で30%→23%→20%と一気に法人税率が引き下げられていて、

地域統括拠点としての優遇政策も発表しており、

アジア地域における存在感がかなり高くなってきているようです。

実際、日産自動車は2011年にシンガポールの拠点が担っていた販売・マーケティング機能をタイに移管しました。

各国ですでに多くのFTA自由貿易協定が発効しており、

日本はTPP交渉への参加を表明しましたが、

今後はますますグローバルな視点での販売戦略、調達戦略をどのように取っていくのか

慎重に検討していくことが必要になってくると思われます。

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インド企業へインタビューして思うこと

M/s.ってどういう意味か分かりますか?

インドで仕事をしているとよく見かける言葉です。

Mr. でもなくMs. でもないM/s.

お恥ずかしながら最近知ったのですが、

これMr.の複数形であるMessrs.の略語なんだそうです。

ちなみに、Ms.の複数形はMses.

つまり、田中さんと鈴木さん(男性2名)と

佐藤さんと藤本さん(女性2名)に宛ててメールを送る際の宛名は、

Dear Messrs. Tanaka and Suzuki and Mses. Sato and Fujimoto

となります。

一方で、M/s.は社名に対しても使われるようで、

インドで見かけるM/s.は主に社名に使われているケースがほとんどです。つまり、

M/s. XYZ Private Limited.

という感じになるわけです。

 

さて、話は変わりますが、

インド企業にインタビューに行っていつも私が実践していることがあります。

それは、自分のプライベートをある程度オープンにする、ということ

最初にいきなりビジネスの話をしてうまくいったためしがありません。

私生活や家族の話、チェンナイの好きなところ、タミル語を少々話してみたりすると、

雰囲気が和み、無意識にもそこにあった壁のようなものが少し低くなるようです。

一方で、相手にとって自分がビジネスで付き合うに値する人物であるということも

自己紹介とともに実績や具体的な案件の話を通じて理解させなくてはなりません。

 

インタビューにおいては一度いい雰囲気ができると

相手も自社の実績や顧客名、強み、業界の裏事情などなど

こちらが質問したことに対して、

期待以上に止めどなく話をしてくれるのですが、

結局のところ、一番知りたかったことがよく分からない

そんな残念な結果になることも決して少なくありません。

限られた時間の中で、知りたいことだけを、できる限り効率的に話してもらう

そのためには「話をさせる工夫」と同時に、

「話をさせない工夫」も必要だと感じています。

話を聞いているうちに方向性がズレていると感じたら

一度、話を止めて質問を再度投げて方向修正する必要があるし、

このまま話してもらっても知りたいことが得られそうもないと感じたら

思い切って話を止めて、次の質問に行くという判断も必要です。

 

さらに、インド人へのインタビューをより有意義なものにするために

私自身の課題として今取り組んでいるのは、

「話をつなげる工夫」です。

これは、止めどなく話してくれるその内容の中から

思わぬ有益な情報がポロッと出てくることを期待しながら

もし出てきたときにはわざと方向転換をして

さらに突っ込んで質問してみるというやり方です。

思わぬところから別の話につながって

また違ったビジネスや新しい人脈につながっていく

それが何より人と会って話すことの価値なのかもしれません。

 

メールでも電話でもなく、人と会って話す。

写真でも動画でもなく、現場に足を運んでみる。

自分が見て、聞いて、感じたことを

自分の感覚を信じて何らかの形でつなげていく。

インド特有の難しさはありますが、

それがきっかけになって仕事が生まれれば

こんなに楽しいことはないかもしれません。

 

(ジャイプールのアンベール城にて)

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インド国内の新コロの現状と14歳インド人預言者!

前回のブログを投稿してからあっという間に40日が経過しました。そして、在宅勤務を始めてもうすぐ2ヶ月が経とうとしています。正直、チェンナイでの軟禁生活については極めて快適かつ健康的で申し分なく、現状の自主隔離生活をひたすらに続けている限り感染リスクは特に心配していないのですが、仕事に関してはかなりの危機感を持っています。

現在、当社はチェンナイ、バンガロール、ハイデラバード3拠点の従業員およびビジネスパートナー約30名全員が在宅勤務(WFH : Work From Home)で業務を続けており、感染リスクを考慮して、ロックダウンの解除如何にかかわらず、当面の間は一定のリモートワークを続ける予定です。インド国内の感染者数の動向を見ていると感染爆発を引き起こしかねないまさに崖っぷちの状況で、今後インド国内企業の存続危機やインド経済のさらなる低迷は不可避な状況です。今回のブログでは、(1)感染者数の現状と(2)インド国内で発表されている経済対策、(3)現状当社が実施している対応策、そして(4)今ネットで話題になっている14歳インド人預言者についてご紹介したいと思います。

 

1.感染者数の状況

前回のブログでご紹介した2020年4月7日現在で感染者と死亡者は以下のような状況でした。

インド国内感染者 :4,778名(うち死亡者数133名)
日本国内感染者  :4,112名(うち死亡者数97名)
チェンナイ 感染者  :113名
バンガロール 感染者 :55名
東京 感染者     :1,116名
大阪 感染者     :428名

そこから40日間が経過した2020年5月16日現在の感染者数と志望者数は以下のようになっていて、まるで状況が変わってしまいました。ほぼ同じくらいだった国内感染者数は40日間でインドは日本の5倍以上に膨れ上がり、東京の10分の1だったチェンナイの感染者数が40日間で逆に東京を超えてしまいました。

インド国内感染者 :90,648名(うち死亡者数2,871名)
日本国内感染者  :16,277名(うち死亡者数748名)
チェンナイ 感染者  :6,279名
バンガロール 感染者 :216名
東京 感染者     :5,050名
大阪 感染者     :1,770名

これまで自粛要請と緊急事態宣言でやってきた東京や大阪に対し、初期の段階から強制的ロックダウンを開始していたインドですが、結果的にインドで大幅に感染者が増加することとなりました。何がこう明暗を分けるのでしょうか。日本ではいわゆるネット上で”自粛警察”が出動し、同調圧力がかかったときの日本人の自制心がスゴいのでしょうか、、、。一方で、さまざまな宗教観や価値観、所得格差、教育格差を持つ多様性の国、そして、広大な国土と地域性を抱えるインドにおいては、強制的なロックダウンを持ってしても感染を抑えることが難しいという事実は、この国の舵取りの難しさをあらためて痛感します。ロックダウンも3度目の延長が発表され、明日からいよいよ『Lockdown 4.0(ロックダウン4.0)』に突入します。前回からそうですが、ここに来て新型コロナウイルスの感染対策については、中央政府が基本的な方針を示しつつも、29州と7つの連邦直轄領からなる各地域・州政府の判断に委ねられ始めていて、明日からのLockdown 4.0をチェンナイ(タミル・ナドゥ州政府)がどう規制するか発表を待ちたいと思います。

 

2.インド国内で発表されている主な経済対策

インド政府が2020年3月に最初に発表した経済対策は貧困層向けの内容でした。総額1兆7,000億ルピー(約2兆5,500億円)規模の経済対策パッケージで、5キロの米または小麦の3ヶ月間無償支給や貧困女性2億人への1人当たり1,500ルピー(約2,100円)の支給などがその主な内容でしたが、上述のLockdown 4.0をモディ 首相が発表した2日後の2020年5月13日に、シタラマン財務大臣がインド国内GDPの10%にあたる総額20兆ルピー(約28兆円)規模で、中小企業の資金繰り改善および保護を目的とした下記のような追加経済対策を発表しました。

  • 3兆ルピーの中小企業向け無担保ローン(12ヶ月間の額面返済モラトリアム期間を付与)
  • 2,000億ルピーの劣後債(Subordinate Debt)による援助
  • 20 億ルピー以下のインド政府実施の入札に対する外資系企業の参入禁止
  • 2021年3月31日まで源泉所得税(TDS : Tax Deducted at Source)の税率25%軽減
  • 個人所得税や法人所得税、GSTなどの各種税金の申告期限の延長
  • 銀行以外の金融機関に対する3,000億ルピーの資金投入
  • 配電会社への 9,000 億ルピーの資金投入など
  • 4兆2,200億ルピーの農業従事者向けローン(3ヶ月間額面返済モラトリアム期間付与)
  • 借入限度総額を2,500億ルピーとするKisan Credit Cards(※1)を新たに250万枚発行
  • 2,500万の農家に対して既存Kisan Credit Cardsの2兆ルピーの追加限度額の投入
  • 1兆ルピーの農業インフラ関連プロジェクトへの融資を目的するインフラファンド設立
  • 1,000億ルピーの小規模食品加工事業者への資金投入(※2)
  • 2,000億ルピーの漁業者(漁師や養殖業社など)および関連インフラへの資金投入
  • 5億3,000万の畜産動物へ総額1,334億ルピーの予防接種と疫病管理プログラム資金投入

【新たに発表された追加経済対策の原文はこちら】

Part 1 : Businesses including MSMEs

Part 2 : Poors, including migrants and farmers

Part 3 : Agricultures

Part 4 : New Horizons of Growth

Part 5 : Government Reforms and Enablers

(※1)「Kisan Credit Cards」とは、インド準備銀行(RBI : Reserve Bank of India)と全国農業農村開発銀行(NABRAD : National Bank for Agriculture and Rural Development)が主導で取り組む政策で、高利金融に苦しむ農民を救うために導入された。当該スキーム下においては2%程度の金利で借入が可能となる。

(※2)当該政策は、小規模な食品加工事業者(MFE : Micro Food Enterprises)が食品安全基準管理局(FSSAI : Food Safety and Standards Authority of India)の基準を満たす健康的かつ安全な食品提供ができるよう、さらには小売市場との連携や収益の改善ができるよう支援することを目的とする。

 

3.現在当社が実施している対応策

上述のとおり、インド事業の見とおしについては相当の危機感をもっています。幸いにも社内および顧客とのコミュニケーションは電話やEmail、Slack、打ち合わせはZoom(今回の在宅勤務を機に導入)を使っており、また、データ管理はオンプレのサーバー等は使わずにクラウドで管理ができるDropboxを使っているため、業務のオンライン化においては特に支障がありませんでした。しかしながら、データ管理やSaaSなどのクラウドサービスの活用については今まで以上にセキュリティを強化する必要があり、現在改善すべき課題の洗い出しを進めています。また、在宅勤務に関する社内規定と今後ロックダウン解除後は新しいシフト制の勤務形態を導入するため、その具体的なシフト制度の内容と出社時に気をつけるべきポイントを社内で議論し、手順書(SOP)として文書化しました。

なお、周知の事実として、事業で利益を出すために必要なことは「売上を増やし、費用を減らすこと」です。実際にそれをやってみることはそう簡単ではありませんが、当社も一部だけですが検討をして、費用についてはシフト制導入にともなうオフィスをより比較的小さな部屋へ移動し、オフィス家賃についてはさらに10%の減額交渉をしました。ほとんど利用していない社用車の契約についてはロックダウン期間中は50%の減額交渉、一方で、当面は出張旅費が発生しないことによる経費の自然減も期待して、何よりも大切である従業員への賞与支給や昇給については例年通り実施をしました。

さて、特に危機感を持っているのは今後中長期的に見たときの売上推移です。売上については今年度は約20%の減少を見込み、さらに一部の顧客からの売掛金回収の長期滞留が起こり、キャッシュフローを圧迫し得ることを覚悟しています。B2Cビジネスで考えるとわかりやすいのですが、例えば、新コロによる影響で小売業、飲食業やフィットネスジムなど接触型ビジネスは大きな大打撃を受けている一方で、オンラインゲームやデリバリー、各種クラウドサービスの非接触型ビジネスは逆に盛り上がっているという状況を目にします。しかしながら、これは現時点でまだ給料がもらえているサラリーマンが在宅勤務期間中にお金を使う余裕があるから起こっている現象で、今後多くの倒産企業や失業者が増えてくると、オンラインゲームやサービスにはお金が回らなくなり、本当に必要とされる事業でなければ生き残りが難しくなります。B2Bにおいても同様で、ロックダウンが長期化しそうなインド国内においてはその影響はなおさら顕著に出てくるはずで、在インド日系企業も含めてインド事業の存続を左右するような状況に陥る可能性も出てきます。100%日系企業をターゲットに事業展開している当社としても、その影響を間接的に受けることになるため、今後はリスク分散として事業の多角化と新規顧客開拓のためのデジタルマーケティングに力を入れようと動き出しています。

デジタルマーケティングの取り組み第一弾はまず現状の当社コーポレートサイトの(1)ページスピードの改善、(2)クオリティ高い豊富な常設コンテンツの掲載、(3)鮮度の高いタイムリーなコンテンツの定期配信、という3つです。(3)については「週刊インドトピックス」と題して定期的に情報発信を始めましたのでぜひご覧ください。

 

4.注目の14歳インド人預言者アビギャ・アナンド氏

さて、最後に今ネットで話題になっている14歳のインド人預言者についてご紹介をしたいと思います。詳しくは以下のYoutube動画を見ていただいた方が早いのですが、2019年8月22日に投稿されたある14歳のインド人のYoutube動画において、「2019年11月から2020年4月に世界中が直面する危機」というようなタイトルで、今回の新型コロナウイルスのパンデミックを預言していたことがわかり、すでに600万人以上が視聴しており世界を驚かせています。航空産業に大打撃を与えるとまで指摘していて、まさにドンピシャ。そんな彼が2020年12月にまた新種のウイルスが出現して、さらに致命的な状況となる可能性があることを示唆しています。

この預言をどう受け止めるかは人それぞれだと思いますが、有識者の見解でもその可能性は当然にゼロではないので、やはり最悪を想定しながら自分が何をすべきかをゆっくりと考えたいなと思いました。

アビギャ・アナンド氏本人の2020年8月22日のYoutube動画はこちら

日本人Youtuberによる日本語での解説動画はこちら

M&Aの動向とインド進出日系企業の事例から見る経営のポイント

インドM&A市場の動向

最近、M&Aや合弁をインド進出の選択肢として積極的に検討する日系企業が増えているように感じます。10年以上前に大型M&A案件として注目を浴びた第一三共によるランバクシー社の買収やNTTドコモによるタタテレサービシーズ社への出資などで盛り上がりましたが、両社ともにインド企業側との係争に発展してしまい、事実上の撤退にまで至りました。これを機に「やはりインドは難しい」と、インド進出への意思決定を懸念する日系企業も少なくなかったのではないかと思います。しかしながら、2014年にモディ政権が誕生後、保険セクターを中心とした外資規制緩和やデジタル・インディア政策にもとづく各種手続きの電子化、高額紙幣廃止によるデジタル経済の促進、GST新税制導入、外貨借入(ECB)規制の緩和を含め、投資環境の改善が着々と進んできた中で、「やはり無視できないインド」に再び注目が集まっているように思います。

並ぶときいつもこんな感じ。そんなにひっつかなくても。。。笑

M&Aとインド進出を成功に導くポイント

 日系企業からのM&Aを望むインド企業の背景としては、日本ブランドの獲得や低利の資金調達、先端技術の導入、日系クライアントへの販路拡大など様々です。M&Aが成立するまでのプロセスとしては、パートナー選びや基本合意、対象企業のデューデリジェンス、最終契約という流れになりますが、多大な労力と費用をかけてようやくM&Aが成立したにもかかわらず、M&A成立後の経営統合(PMI:Post Merger Integration)がうまくいっていない日系企業が多いように思います。私の経験上、インド事業を成功に導くためには以下3点が重要なポイントであり、これはM&Aに限らずインドに進出する日系企業すべてに共通して言えるものだと感じます。(※そもそも黒字化できるビジネスモデルであることが前提ですが。)

1.役割分担と権限委譲

M&A成立後の日系企業とインド企業の役割が明確か、また、当地インドに駐在する日本人の役割に無理がないか、そして、現場の経営者に日々の実務をスピーディーに意思決定できる十分な権限移譲がなされているか。もし、日本人駐在員の英語力や経験、知識から、期待されている役割が過剰である場合には、十分な予算をつけて一部の経営管理業務を外部委託する必要があります。M&Aや合弁におけるインド企業パートナーが外部委託によるコスト負担に懸念を示すケースが散見されますが、不用意なコスト削減が経営をブラックボックス化しないよう注意が必要です。

2.現地法人経営者のスキル

インド現地法人を経営する者はビジネスの取引先と交渉し、従業員と対話し、社内外のステークホルダーや専門家などと協調しながら、スピード感をもって経営判断を行っていくことが求められます。つまり、幅広い分野・領域のインド人と対等に会話ができる経営者としてのバランス感覚、チャンスとリスクを的確に感じ取るセンス、人間力、そして、実務で使える圧倒的な英語力が必要になります。イギリスの植民地という歴史を持つインドであり、アメリカ志向の強いインド人にとって、英語ができない人を“下”に見る傾向は強く、これは、タイやベトナムのように日本語が話せる現地人と連携してうまく事業を回していくやり方では通用しないインド独特の厳しさがあります。

3.帰属意識と安心感

最後に、私がもっとも重要だと考えているポイントがこれです。あくまで南インド・チェンナイにおける私自身の会社経営の経験がベースになっていますが、現地法人のインド人従業員がどれだけ会社に「帰属意識」と「安心感」を持っているかが何より重要だと考えています。特に、M&A成立直後はこの2つの要素が欠落してしまっている可能性があり、日系企業としてはPMIの期間は特に細心の注意を払う必要があります。つまり、現地法人の経営者自らが、現場ひとりひとりの従業員(や場合によってはその家族)との丁寧なコミュニケーションを大切にし、顧客への価値創出のための明確なアドバイスと感謝の気持ちを毎日伝え続けること、ミスを積極的に許すこと、経営者の弱さも見せること、定期的に食事を共にすること、こういった日々の小さな言葉や行動の積み重ねが「帰属意識」と「安心感」を社内に醸成します。これが欠落すると、従業員の不正リスクや離職率の悪化、さらには、事業の生産性にまで大きく影響します。

開発が進むムンバイのパレル地区(Parel)
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