インドのその他ビジネス事情

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あなたが「ノマド」をすべきではない理由

これから “ノマド” をしようっていう人

“ノマドワーカー” になりたいっていう人はいますか?

もしそうだとすると、それはなぜですか?

「今の仕事がつまらないから?」

「職場の人間関係が面倒くさいから?」

「通勤が面倒くさいから?」

「もっと自由になりたいから?」

みなさんそれぞれのご事情があるかと思いますが、

私が昨年の8月からインドで仕事をするようになって、

所謂 “ノマド” の働き方を部分的に疑似体験できたように思うので

備忘録のために少しまとめておきます。

 

私が今勤務している会社は、インドに日本人が私一人しかいません。

普段は、オフィスにも出勤せず、自宅やカフェ等で仕事をしています。

土日に仕事をすることもあれば、平日に休むこともありますが

週7日一日24時間ずっと仕事をしているような感覚にもなります。

私以外には、インド人スタッフがとなり街のバンガロールに、

同じ志を共有する日本人パートナーがアメリカに一人、日本に二人います。

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“ひとりぼっち” というわけではありません。

基本的にメールやスカイプでお互い密に連絡を取り合っています。

また、積極的にアポを取り、色々な人に時間をいただいて会ってもらっています。

有難いことにブログやツイッターのおかげで

今まで出会えなかった方々ともつながることができます。

人との出会いは何より私自身を勇気づけてくれます。

人と出会うことが生きる活力になっています。

 

ただ、その出会いを仕事につなげることは決して簡単ではありません。

無名の企業が仕事を得るには

個人の知識や経験だけでなく、

自らの人間力で勝負をせざるを得ません。

海外現地法人の社長を含む日本人駐在員の方々は

基本的に各企業のエリート級の人材ですから超優秀です。

そんな年上でかつ超優秀な方々に

一目を置いていただくだけの魅力が無ければ

仕事なんて絶対に取れません。

現場で仕事を取ってこれるかどうかは、結局のところ、個人の勝負です。

実のところは“ひとりぼっち”なんです。

“ノマド” になるってたぶんそういうことなんじゃないかなと思います。

“ひとりぼっち” ですべてのリスクと責任を自らが負って強く生きる覚悟

その覚悟ができている人はあまりいないように思います。

私の場合は、そのすべてではなく、部分的に負うことを選択しました。

 

企業が提供してくれている環境がどれだけ有難いことか

自分の給料を払ってくれる顧客がすでにいることもそう

オフィスに集まってくる同僚との出会いもそう

オフィスの存在そのものだってそう

すぐ隣りに怒ってくれる上司・先輩がいて

すぐ隣りに相談できる同僚がいて

すぐ隣りに指導すべき部下・後輩がいる

健康保険だって、厚生年金だって、通勤手当だってそう

自己管理だって、情報管理だって、確定申告だってそう

企業が提供してくれている環境に

自分がどれだけ頼って生きているのかをまず知らないといけない

これから “ノマド” をしようっていう人は

そのことを腹の底から理解した上で強く自由に生きることを選択してほしいなと思います。

 

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チェンナイの過酷なビジネス影響(電力不足編)

昨日は朝9時から停電がスタート。

そのまま8時間も停電が続くとはつゆ知らず。

どうやら新聞に地域ごとの計画停電情報がちゃんと掲載されていたようです。

私生活においては、

あ、洗濯してる途中だったのに

あ、今からシャワー浴びようと思ったのに

あ、真っ暗で本読まれへんやん

といろいろ面倒なことも起こりますが、

とは言っても “その程度” のことなので

停電とうまく付き合っていくことは大したことではありません。

慣れてしまえばどうってことないと思えるのが人間のすごいところ。

 

ただ、ビジネスの世界ではそうはいかないようです。

多くの製造業者は工場に大型のディーゼル発電機を導入していて、

停電時の電力供給を発電機で頼っているんだそうですが、

その燃料代を考慮すると電気代は通常の2.5~3倍に膨れ上がってしまうんだとか。

さらに、工場の発電機はとにかくデカいので場所は取るし、

突然の停電によって稼働中だった機械が急停止し、

それが機械の故障を引き起こす原因になったり

製造中の製品に不良品を出したり、

生産が止まってしまうので当然生産性が落ちたりと、

様々な悪影響が引き起こしているようです。

 

先日、あるインド企業の社長さんから聞いた話では、

このディーゼル発電機

通常は25~35%ものロス(無効電力)が発生してしまうようですが、

自動力率調整器(APFC:Automatic Power and Frequency Control)という装置を導入することによって

そのロスをある程度は有効電力として利用できるようになり

発電効率を向上させることができるんだとか。

 

また、先日、ある日系企業の社長さんから聞いた話では

このディーゼル発電機の代わりに

無停電電源装置(UPS:Uninterrupted Power Supply)を導入していて

このUPSを活用して停電による負担をうまく軽減しているのだとか。

どういうことかと言うと、

ディーゼル発電機は燃料代によって電力コストが高くつく上に、

停電後に電力が復旧するまでの間にタイムラグがありますが、

UPSはその言葉通り、切れ間なく電力を供給し続けることができる装置なので、

UPSを利用することによって停電時の急な機械停止を事前に防ぎ、

停電後はUPSの供給の助けを借りて

稼働中だった製造工程を区切りの良い段階まで作業を終わらせてしまう

そして、電力が復旧するまで製造を一時的に止めて

ディーゼル発電機による余分なコストや

その他の悪影響をできる限り排除するようにしているんだそうです

 

工場の規模や停電時間の長さにもよるとは思いますが、

チェンナイの電力不足による過酷なビジネス環境を目の当たりにしながら

こうやって企業は様々な工夫をしているのだなーと思いました。

「2013年中に電力不足を解消する」

と発表したタミル・ナードゥ州政府。

果たして本当に実現できるのでしょうか。

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インドに多大な影響を与えた外国人を知る

「インドに多大な影響を与えた外国人3名と言えば?」

そう聞かれて誰を思い浮かべるでしょうか。お恥ずかしながらピンとこなかった私。

インド駐在経験が豊富なある方からの一言「インドに住むならそれぐらい知っておけ」

そんな言わずとしれた3名の外国人についてご紹介したいと思います。

 

1, マザー・テレサ(1910年マケドニア生まれ。キリスト教徒。)

マザー・テレサは、「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのないすべての人、愛されていない人、誰からも世話されない人のために働く」ことを目的として創立された修道会「神の愛の宣教者会」の創立者です。もともとカトリック教会の修道女で、若いころからコルカタの聖マリア学院で20年近くにわたって地理を教えていた彼女は、後に貧しい人々のために無料で授業を行うようになり、また、ヒンズー教の廃寺院を利用して、ホスピスや児童養護施設を開設。少しずつ彼女の活動がインド全土に知れわたるようになりました。

相手の宗派や置かれている状況を問わずに、献身的かつ長期的に苦しみのなかにいる人々に安息をもたらしたとして、1979年に「ノーベル平和賞」を受賞。ノーベル平和賞と言えば、「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」という非核三原則を提唱した佐藤栄作が日本人として唯一1974年に受賞した賞。また、「インドの宝」という意味で、インド国民に与えられる最高の賞と言われる「バーラト・ラトナ賞」や、アメリカ合衆国政府によって外国人に与えられる名誉市民権で、現時点で歴史上7名にしか授与されていない「アメリカ名誉市民」に選出されています。なんと、インド大統領や首相以外で国葬されたのはあの有名なサティヤ・サイ・ババとマザー・テレサしかいないのだとか。

 

2, ソニア・ガンディー(1946年イタリア生まれ。キリスト教徒)

ソニア・ガンディーはイギリスのケンブリッジ大学留学中にインド人であるラジーヴ・ガンディーと知り合ったことによって人生の大きな転機を迎えます。つまり、インド初代首相ジャワハルラル・ネール氏、その娘でその当時の首相インディラ・ガンディー氏、さらにその息子がラジーヴ。つまり、ソニアはネール・ガンディーの一族であり、かつ、当時のインド首相の息子ラジーヴと恋に落ちて1968年に結婚します。

ラジーヴは1980年ラジーヴの弟の飛行機事故を機に政治に関わり始め、1984年母親インディラの暗殺後にその地位を引き継いで首相に就任しました。そして、ソニアはついにインドのファーストレディーになります。しかし、悲劇的なことに1991年に夫であるラジーヴまでも暗殺されてしまいます。ラジーヴは、統一タミル国家建設を目的としたLTTEという過激派グループの女性自爆テロによって暗殺されましたが、その暗殺現場は他でもないタミル・ナードゥ州のチェンナイ郊外でした。

2004年に迎えた総選挙では、イタリア人であるソニアがついに首相候補として選出されましたが、イタリア生まれであることが批判されていたこともあって自ら首相就任を固辞。代わりにマンモハン・シンを首相に指名したという経緯がありますが、現在もなおコングレス党(インド国民会議派)の総裁として、夫が暗殺された後も政治に関わり続けています。

 

3, 鈴木修(1930年日本生まれ)

そして、忘れてはいけないのがなんと言っても我らが日本人である鈴木修氏。インドの自動車産業を振り返ると、鈴木修氏が率いるスズキのインドにおける影響力がいかに大きかったかがよく分かります。遡ること80年以上も前の1930年代、米ゼネラル・モーターズ(GM)と米フォードはすでにノックダウン方式による生産をインド国内で始めていました。しかし、インド政府は国内産業を保護するために、外資規制や部品輸入の制限等を行い、ついに1954年にGMとフォードはインドから撤退してしまいます。そんなGMとフォードの撤退以降、外資として初めてインド市場に参入したのがスズキ自動車です。

インド政府とスズキ自動車の合弁であるマルチ・ウドヨク社は、当時のインド首相であったインディラ・カンディーの次男であるサンジャイ・カンディーが、国民車開発構想の下に立ち上げた自動車メーカーを国有化して外資と組むことで、それまでの技術や工業化の遅れを取り戻すことを目的として1981年2月に設立されたもの。当初、インド政府は欧州メーカーと組む予定だったそうですが、鈴木修氏社長自らが、当時GM本社があるデトロイトに出向いていたインド調査団を訪問し、積極的なプレゼンテーションによって相手の関心を惹きつけ、インド政府をこちらに振り向かせたことによって、政府との合弁によるインド進出を見事に果たしました。鈴木修氏の力強いリーダーシップとインド市場に対する覚悟が、スズキ自動車の海外事業の強化だけにとどまらず、インド自動車産業そのものの発展や技術革新等に大きく貢献しました。

 

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「インド3.0」時代の到来

もうすぐ20184月も終わりを迎えようとしている。私もいつの間にかインド在住6年目を終えようとしていて少しビックリ。2012年にインドに移住してからの時間は、日本で過ごす時間と比べて3倍以上濃密に感じ、そして、3年周期で人生のステージが変わってしまうほどのスピード感で走ってきた。そして今、「人生100年時代」に向けた働き方を変革していくための準備期間に入っているように感じている。

 

当社一企業としても、そして、私一個人としても、第3ステージである「インド3.0」時代の到来。インドに移住した2012年から起業した2014年までの約3年間を「インド1.0」、起業から事業を軌道に乗せる2017年までの3年間を「インド2.0」。インドに移住した当初は約3分の1に激減した年収も、この6年間で5倍以上になった。それに続いて到来する「インド3.0」の時代は、他拠点への事業展開と同時に、今後インドで強烈に面白くなるバンガロールでIT関連事業の研究・開発、そして、インドでしか得られない個人としての能力開発や人脈を構築するために、インドトップクラスの経営大学院への進学を目指したい。

 

特に興味があるのは「ブロックチェーン」や「人工知能(AI)」を筆頭とした最先端のIT技術。日本で流行っているらしい“投機対象としての”ビットコインには正直興味はないけれど、本来の目的であるボーダーレス通貨としての仮想通貨や、スマートコントラクト、ICO(=Initial Coin Offering)、AIなどが、今後どのようにして我々の社会システムの中に組み込まれていくのか、そして、それらを支えるIT技術が今後私たちの生活インフラや人生にどのような変革をもたらすのか、という点において大変興味深い。っというか「興味がある」なんて悠長なことを言っていられないぐらい、最先端のIT技術の波が今、私たち日本人に“TSUNAMI”のごとく押し寄せてきている。そして、インド進出支援の事業をしていると、日系IT企業のインド進出の話をほとんど聞かないのは気になる。将来的に、IT業界において日本とインドの橋渡しができるような役割も担いたい。

 

経営者は「簿記」ぐらい知っておくべき、とはよく言われるけれど、これからの経営者は「アルゴリズム」や「システムアーキテクチャー」を考える力も絶対に必要になるのだと思う。私にとっては「インド3.0」だけど、すべての経営者にとっては「経営3.0」でもあり、これは興味深くもあり、同時に、危機感もある、という両方の感覚としてとらえている。現在4Gの通信速度の100倍になると言われる5Gが導入予定の2020年以降、今までは通信速度の制約から実現できなかった動画通信系コンテンツやサービスも劇的に変化していくと言われている。つまり、東京オリンピックを迎えるまでのこの3年間は、すべての社会人にとって、とても重要なステージを迎える。

 急ピッチで開発が進むコロンボ市内

2017年12月にスリランカ法人の設立が完了したので、最近、名刺のデザインを変えてみた。南インドとスリランカを中心に事業展開していく。インドではたくさん失敗したが、たくさん学んだ。失敗を受け入れてくれる器のデカさは、インドという国はピカイチだと思う。「相手を許す」ことの大切さを強烈に教えてくれたのもインド。なかなか簡単ではないが少しずつ自分もそうなれるように変わりたい。そして、失敗しないと成功できないことも知った。スリランカでも慎重に、でも、大胆にいきたい。もちろん、仕事での大きな失敗は許されないが、たぶん小さな失敗はあまり気にしない方がいいのかもしれない。このバランスの中でとにかく面白いと思うことにガンガンチャレンジする。さて、「インド3.0」そして「スリランカ1.0」はどんな時代になるのか。ワクワクするような自分らしい人生を。そして、ひとりでも多くの日本人が“その一歩”を踏み出せることを心から祈って。インド&スリランカでお待ちしています、笑!

 

面白いことと言えば、最近バンド仲間と一緒に企画した『ホットサマーフェス2018』もサイコーに面白かった!!!

シングル・ウィンドウ・クリアランスとは?

タミル・ナードゥ州(TN州)では

自動車産業を中心とした製造業の集積が進んでいます。

製造業(特に完成車メーカー)にとっては

部品の調達先であるサプライヤー企業の存在が

重要な鍵となりますが、

日系完成車メーカーや部品サプライヤーにとっては、

日系企業が求める品質水準に耐えうるインド地場サプライヤーで、かつ、

租税コストや物流コストの削減、物流リードタイムの観点から

同州内に拠点を持つサプライヤーの発掘に苦戦をしており、

特に日系企業の二次・三次サプライヤーのチェンナイ進出を期待する声は

日に日に高まりつつあります。

 

さて、製造業がインドに進出する際に必要となる工場等の建設には、

様々な担当部局から複数の許認可を取得する必要がありますが、

特に重要なのが、工場の建設開始のために必要となる建設許可です

これは ”CTE:Consent To Establishment” と言われ、

州の汚染管理局(PCB:Pollution Control Board)から発行されます。

インドに進出してきている特に製造業の日系企業の多くは

これらの許認可を取得するために多大な時間・手間を強いられています。

 

一方で、これらの手続において有益なサポートが得られる州政府機関があります。

TN州政府内にあるガイダンス・ビューロー(Guidance Bureau)

この州政府機関は、PCBの建設許可も含めた一連の許認可の申請手続を、

一元的に受け付けるサービス ”シングル・ウィンドウ・クリアランス” を提供しています。

具体的には、申請企業がガイダンス・ビューローの審査委員会において

当局に対する事業内容及び計画についてのプレゼンテーション・質疑応答を行い、

各関連当局からの異議がない場合に、

その事業を“原則”許可するという「In-Principle Clearance」のレターが発行されます。

これは、最終的な工場建設許可及び操業許可を意味するものではありませんが、

これを取得することによってとりあえず工場等の建設を開始することができる

という意味で、事業立ち上げまでの期間の短縮が期待できます。

インド進出には、進出前のフィジビリティ・スタディ(投資調査)から

インド法人の設立、工場等用地の確保、各関連許認可の取得、

操業開始後の会計・税務・労務等の子会社管理に至るまで様々なステップがあり、

自社のみで対応しようとすると膨大な時間がかかってしまうことが想定されます。

インド事業に専念できる体制を構築し、

いち早く収益が得られる事業展開ができるよう、

各進出ステージにおける具体的な実務については、

外部の専門家のサポートを積極的に活用されることをお薦め致します。

 

(急な渋滞の原因は、、、モーさんでしたというのはよくある話。笑)

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日本への海外送金に際して理解すべき手続の全容

巨額資産申告漏れの罪の疑いによって

有罪判決を受けていたタミル・ナードゥ州の

ジャヤラリータ前首相に対して

カルナータカ州最高裁判所は今月

なんと無罪の判決を言い渡しました。

それを受けて本日23日、同氏が政治復帰します。

個人的には「なんだかなぁ」と釈然としない中

熱狂的な市民が彼女を一目見ようと市内はお祭りモード。

外の気温は38度。灼熱のチェンナイ到来とともに街はものすごい熱気です。

 

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さて、インドから日本に海外送金するためには

インド準備銀行(RBI)が規定する

外国為替管理法(FEMA)にしたがって

一定の書類を準備する必要があります。

「えっ?単に送金するだけなんじゃないの?」

って思われる方が多いのですが、これがなかなか面倒なのです。

書類を作成するだけじゃなく、銀行手数料以外にも証明書の取得費用までかかる。

という訳で、前々回の記事に引き続いて国際取引を適切に処理するための

以下3つのポイントの中から、今回は第2回です。

第1回の記事はこちら(https://tanakkei.com/?p=11612

  • 第1回「日本法人が取得すべきPANおよびTRCについて」
  • 第2回「インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について」
  • 第3回「日本法人がPAN取得後に対応すべきこと」

 

第2回「インドから日本への海外送金時に準備すべき書類について」

送金目的(支払の対象となっている取引内容)にもよりますが、

海外送金時には、原則、銀行から以下のような書類の提出を求められることになります。

  1. 請求書のコピー
  2. その他関連証憑書類のコピー(立替精算の場合の根拠書類や契約書、合意書など)
  3. 海外送金依頼書(Remittance Application:銀行所定の申請用紙)
  4. 海外送金報告書(Form A2:RBI規定の用紙)
  5. 海外送金にかかる源泉徴収報告書(Form 15CA:税務当局指定の用紙)
  6. 海外送金にかかる源泉税に関するインド勅許会計士の証明書(Form 15CB)
  7. 法人設立証明書(COI : Certificate Of Incorporation)
  8. 外国対内送金証明書(FIRC : Foreign Inward Remittance Certificate)
  9. 宣誓供述書(Declaration : 設立費用の立替精算の場合など)
  10. その他インド勅許会計士による証明書(Certificate : 設立費用の立替精算の場合など)

 

それぞれの書類準備にも相応の時間がかかるのですが、

No.6やNo.10のインド勅許会計士が発行する証明書は、

外部のインド勅許会計士に依頼をしなければならないため

証明書の発行手数料としてかなりの費用がかかります。

また、海外送金において日印租税条約(DTAA)に規定された軽減税率を適用する場合には

前々回の記事でご紹介をした通り、日本法人がPANおよびTRCを取得する必要があり、

インド側だけでなく、日本側でも支払に際して書類の整備が求められることになります。

なお、サービス提供等に対する対価の支払いであれば支払期限の規制はありませんが、

日本からインドへの物品等の輸入に対する支払については、

原則、船積みから6ヶ月以内に支払をしなければならない規定もあり注意が必要です。

支払時に求められる一連の手続を事前に理解した上で、

どのような契約内容にするのか、

どのようなタイミングで支払を実施していくのか等

当事者双方で十分な検討が必要です。

 

(自宅付近でジャヤラリータ州首相を激写。助手席に座るのね。)

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世界中に旋風を巻き起こすUber社とは?

すでにご存知の方も多いとは思いますが、

世界中のタクシー業界に新たな旋風を

巻き起こしている米国企業があります。

2009年にサンフランシスコで創立された“Uber”社です。

ゴールドマン・サックスやグーグルの投資会社等が出資しており、

現在、45ヶ国150都市以上で事業展開しています。

日本では東京都心で既存タクシー会社の空車を利用したサービス展開を行っていて、

インドでもすでにチェンナイを含む主要都市においてサービスの利用が可能です。

まずは、インド国内のケースをもとに具体的なサービス内容を簡単にご紹介しておきます。

 

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Uberはタクシーの乗降車をより安心で快適にしたサービスで、

ダウンロードした専用アプリを使うことによって以下のことを可能にしています。

1、マップ上で乗降車位置を事前に指定

2、GPS機能を使って最も近くにいる車を自動配車(到着すると通知もあり)

3、運転手の顔写真、利用者評価、車両番号、車種等を事前に確認

4、専用アプリに登録した決済情報により自動的に支払完了

5、領収書は自動的にメールで配信

 

ちなみに、インドではUber社が手数料として

利用料金の20%を得る仕組みとなっているようですが、

Uber社のビジネスモデルは各国の法規制によって様々のようです。

(例えば、日本ではタクシー事業ではなく、「第2種旅行業者(仲介業者)」として事業展開しているようです。)

 

なお、日本のタクシー業界はサービスの質と価格をある程度均一にすることを目的に

国土交通省がタクシーの台数規制と料金規制を強いていますが、

東京に進出しているUbar社は、

従来の日本のタクシーサービスの質に変化を与えることになるため、

タクシー業界に新たな風を送り込むことになりそうです。

しかしながら、利用者にとっては便利である一方で、

世界各国のタクシー業界からは大きな反発もあるようで

実際、フランスやイタリアではUber社の参入に対して反対も多くあり、

タクシー組合による大規模な集団デモも起きているとのこと。

 

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(Source:Uber社のホームページより抜粋)

 

私が住んでいるチェンナイでは、日本のような ”流し” のタクシーはなく

基本的にコールセンターに電話をして、場所を説明し、30分から1時間程度待って、

乗車後はドライバーに行き先を説明し、降車時には現金で支払わなければならないので、

このUber社のサービスは大変便利で、少しずつ利用者が増えているようです。

 

今のところチェンナイではタクシー業界からの反発の声は聞こえてきませんが、

一方で、この度2014年8月に発表されたRBI(インド準備銀行)の通達により

Uber社のインドにおける事業展開の障壁になる可能性があります。

次回はそのあたりのRBI発表の通達についてご紹介したいと思います。

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インド中古品輸入の落とし穴

インドに中古品を輸入するときのお話。

例えば、中古機械をインドに輸入する場合において、

インドでは、輸入通関時にCEC(Chartered Engineer’s Certificate)という

検査証明書を提出することが義務付けられています。

つまり、輸出国の公認検査技師もしくは同等の検査会社が

その中古機械の耐用年数や価格等が適正であるかどうかの検査を

事前に受けておく必要があります。(ジェトロ『貿易・投資相談Q&A』参照)

ただ、輸入関税はインド税関が適正だとする価格をベースにして計算がされてしまうため、

どれだけ安い価格で中古機械を買うことができたとしても、

相当の輸入関税を負担することになってしまうケースもあるのだとか。

何より厄介なのが、

「日本の中古品は、インドの新品よりもむしろキレイで新品っぽく見えてしまう」ということ。

いくら「中古品」として申告していたとして、

インド税関によってこれは「新品」だと査定されてしまうと、

「虚偽申告」もしくは「過少申告」だと見なされて

最悪のケースは多額の罰金を支払わなくてはならなくなるんだそうです。

 

例えば、定価1,000万円の機械を

中古品として激安価格200万円で購入できたとします。

ただ、これを第三者機関に査定してもらったところ、

この中古品の適正価格は500万円だという判断がされたとする。

この場合に、関税率を30%だと仮定すると、

購入価格200万+輸入関税150万(適正価格500万×30%)=350万円

これが通常負担すべき中古機械の実質的な費用。

ただ、この中古品の保存状態があまりに良く、

仮にインド税関にこの機械は「新品」だと査定されてしまうと、

購入価格200万+輸入関税300万(定価1,000万×30%)=500万円

そして、さらに罰金を追加で取られて大変な負担を強いられることになります。

 

これを事前に防ぐためには、

この機械が中古品であることを証明できる書類を

可能な限り準備しておくしかありません。

輸入品によっても関税率が非常に高いケースもあるので

中古品をインドに輸入する際には注意が必要です。

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インドの経済特区 「SEZ」 とは?

「SEZ」というのをご存知でしょうか?

インドには国内にいながらにして

外国のように取り扱われる経済特区(SEZ:Special Economic Zone)があります。

ここに入居する企業は主には税務上の優遇措置を享受することができるんです。

外国のように取り扱われるのでもちろん関税は100%免除

逆に、SEZからインド国内への販売をしたときに初めて

国内購入者がその輸入関税を支払うことになります。

つまり、SEZ企業ではなく、この国内購入者が輸入したことになるんです。

そして、その他の物品税、サービス税、中央販売税等も100%免除

さらに法人税は最初の5年間は100%免除

次の5年間は50%免除

そして次の5年間は収益を再投資することによってさらに50%免除

ただ、ここ数年でSEZ企業が受けている恩恵も縮小傾向にあるようです。

2011年6月から以前は免税されていた

分配税(DDT:Dividend Distribution Tax)が課税されるようになり、

また、2012年4月から以前は免税されていた

最低代替税(MAT:Minimum Alternative Tax)も課税されるようになりました。

特に、この最低代替税の課税変更の影響は大きかったと言わざるを得ません。

最低代替税とは、法人所得税の納付額が帳簿上の利益の 〇〇% を下回る場合に、

最低でも帳簿上の利益の 〇〇%(同割合)を税金として納めなさい、というもので

インド課税当局が安定した税収を得るための制度になっています。

この制度は日本ではあまり馴染みがありませんが、

実はアメリカや諸外国でも同様の制度があり、特にインド特有の制度というわけではありません。

 

この写真はチェンナイ中心地から南に約50キロのところにある工業団地“マヒンドラワールドシティ”

ちなみにインド国内では100以上のSEZが運営されているようですが、

この敷地の半分近くもSEZにあたるようです。

SEZ企業が受けている恩恵が縮小傾向にあるとは言っても

日本企業がインドを輸出拠点として見た場合には

やはりこのSEZを利用するメリットは非常に大きいと思われます。

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インドの携帯電話SMS密着型ビジネスの行方

デビットカードって使ったことありますか?

お恥ずかしながら私はインドに来て初めて

デビットカードというものを持ちました。

というか、インドで銀行口座を開設したら

“VISA”って書いてあるカードを渡されて

「え?これクレジットカードなの?」って確認したら

デビット機能付きのキャッシュカードだったというわけ。

 

デビット機能というのは、

クレジットカードでもなく、

電子マネーでもなくて、

利用した時点で普通預金から即時に引き落とされるという支払サービス

VISA加盟店であればどこでも使えるようでこれが思いのほかとても便利です。

私はICICI銀行というインド国内の大手銀行で口座を作ったんですが、

おそらくHDFCやState Bank of India、Axisなどの他行でも

同様のサービスが提供されているはずです。

さらに便利なのが、口座の入出金をいちいち携帯電話のSMSにお知らせしてくれるんです。

しかも入出金の動きがあったその瞬間に。

 

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例えば、昨晩近所のスーパーで買い物したんですけど、

その時に637ルピーをデビットカードで払いました。

すると、その瞬間に携帯に上記のようなメッセージが届いて、

「637ルピー引き落とされました。残高は○○○ルピーです。」

と教えてくれる。

例えば、会社で経費精算をしてお金が口座に振り込まれると

その瞬間に入金額と残高を教えてくれる。

インドではこうした銀行取引だけでなく、

セキュリティの観点から様々な登録手続時に

本人確認用としてSMSが送られてきたり

タクシーやその他様々な予約サービスの確認

以前に紹介したAirtelの簡易情報リサーチサービス『Airtel Gyan』などなど

携帯電話のSMS機能を積極的に活用したサービスがたくさんあるようです。

 

これもモバイル機器利用によるネットユーザーが

急速に増えていることが背景にあると思われます。

2009年にたった410万人ほどだったモバイル機器ネットユーザーが

2012年末現在で約8700万人に、

そして2015年には1億6500万人になるというデータもあるようで(下記リンク参照)

今後どのようなSMS密着型ビジネスが生まれるのか楽しみです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130105-00000001-indonews-int

 

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法人設立手続き(1)前編:法人設立登記まで

事業立ち上げの準備でバタバタしており

前回の更新から随分とご無沙汰してしまいましたが、

法人設立手続きおよび設立後に必要となる手続について

以下のとおり3回に分けてご紹介したいと思います。

 

 

(1)前編(法人設立登記まで)

(2)中編(設立後の必ず必要な手続き)

(3)後編(状況に応じて必要な登録手続き)

 

 

(1)前編(法人設立登記まで)

2014年4月以降に新会社法が施行され、

全ての取締役がDSCを取得しなければならなくなる等の変更点はありますが、

法人登記が完了するまでの基本的な手続きについては、

下記に示した通り7つのプロセスに分けることができます。

書類の作成準備から起算して法人設立登記までに概ね2~3ヶ月かかります。

 

No.

手続

注意すべきポイント

1. DSC

電子署名証明書

アポスティーユ認証の付与が必要
2. DIN

取締役識別番号

アポスティーユ認証の付与が必要
3. Pre-name approval

商号事前承認

アポスティーユ認証の付与が必要
4, MOA & AOA

定款および付属定款作成

アポスティーユ認証の付与が必要ただし、取締役会における代理人の選任、もしくは、委任状によってアポスティーユ認証付与は省略可
5. Office Registration

事務所所在地の登記

事務所オーナーからのNOC(異議無し証明書)オーナ名義の電気代や電話代請求書コピー等が必要
6. Appointment of Directors

当初取締役の選任・登記

宣誓供述書(Form INC-9)はアポスティーユ認証の付与が必要、その他同意書等含め事前準備が必要
7. Certificate of Incorporation

設立証明書の取得

 

一連の設立手続きにおいて注意すべきポイントについて

以下に3つご紹介させていただきたいと思います。

 

① 公証人役場等でのアポスティーユ認証付与

必要書類を作成していく中で、パスポートや運転免許証のコピー、取締役会の決議書、宣誓供述書等、公証人役場でのアポスティーユ認証の付与を求められる書類があります。原本を提出する必要がある場合には、書類の準備に相当の時間がかかってしまうため、出来る限り事前に書類作成を進めておくことで、効率良く設立手続きを進めることが可能です。(日本とインドはハーグ条約を締結しているため、原則、外務省からの認証は不要です。)

 

② 定款及び付属定款への署名

法人設立時には定款及び付属定款を作成し、出資者が署名をした上でインド登記局へ届

出を行う必要があります。日系企業の場合には、この出資者がインド国外にいるケースがほとんどのため、通常はこの定款及び付属定款への署名後にアポスティーユ認証の付与を受けなければなりません。しかし、取締役会や委任状によって事前にインド国内にいる個人を代理人として選任しておくことで、インド国内文書としてアポスティーユ認証の付与を省略することが可能です。(インド在住の日本人が代理人になる場合にはパスポートの入国日が確認できるページのコピー等が必要となる可能性あり)

 

③ 状況に応じて提出が求められる書類

インド登記局の担当者気まぐれなのか分かりませんが設立手続を行っていく中で、時と場合によって提出を求められたり、求められなかったりする書類がいくつかあります。よくあるケースは出資者が会社の場合の法人登記簿謄本のコピーや、取締役の個人や親族の情報(Form MBP-1)です。万が一提出を求められた時にすぐ対応できるよう、事前に準備をしておくと法人設立手続きをよりスムーズに進めることができます。

 

次回は(2)中編(設立後の必ず必要な手続き)についてご紹介いたします。

 

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会社法改正案が日系企業に与える影響とは?

2013年8月8日に、

インド会社法改正案が連邦議会上院で可決されました。

現行の会社法は1956年に成立して以来、

すでに60年近くが経過しており、

中には時代遅れな規定も散見されるようになったことから、

随分と前から現行の会社法を廃止して、

新しい会社法を成立させようという動きがありました。

実際に、改正案は発表されておりましたが、

インドのお国柄か、これまでの国会での審議で前に進むことはなく、

発表されてからすでに数年が経過しておりました。

しかし、昨年12月にようやく改正案が連邦議会下院で可決され、

そして今回、ついに上院でも可決されました。

今後は大統領の承認が得られた後、

中央政府がその通知をした日から新会社法が適用されることになります。

 

今回は改正案の中から、

あらためて日系企業がインド進出を検討する上で影響が出ると思われる重要なポイント

(1)一人会社の設立

(2)取締役会の構成員に関する変更

(3)インド会社と外国会社の合併

の3点についてご紹介したいと思います。

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(1)  一人会社の設立

日本の会社法上では、株主が1人のみで会社を設立することが認められていますが、

インドでは今まで最低2人の株主が必要とされていました。

しかし、今回の改正により、

インドでも同様に一人会社(One Person Company)が認められることになります。

つまり、今まではインドに100%子会社を作る場合には、最低株主数の条件を満たすために、

親会社以外にも関連会社や取締役就任予定の個人を

名義株主として設定する等の形式的な対応が求められていましたが、

今後はその必要性が無くなることが予想されます。

また、定時株主総会の開催は不要、取締役の最低人数も1名となる予定です。

 

(2)  取締役会の構成員に関する変更

今回の改正により、非公開会社(Private Company)においても、

インドの居住者である取締役を1名以上選任しなければならない、

とする規定が適用される予定です。

インド人である必要はありませんが、

インドの居住者になるためには、前年に182日以上インドに滞在している必要があり、

今後、インドで新たに会社設立を行う場合、

日本人のみで取締役会を構成するのが現実的に難しくなることが想定されます。

また、改正案が適用後は、既存の非公開会社も同様に、

1年以内に本規定を順守することが求められる可能性があります。

 

(3)  インド会社と外国会社の合併

現在のところ、インド会社による外国会社の吸収合併のみが認められており、

外国会社が合併の承継会社になることは認められていません。

しかし、今回の改正により、中央政府が認める国に限っては、

外国会社によるインド会社の吸収合併が認められることになる予定で、

外国会社が買収および合併スキームを検討する上での

選択肢の自由度が高まることが期待されます。

 

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M&Aの動向とインド進出日系企業の事例から見る経営のポイント

インドM&A市場の動向

最近、M&Aや合弁をインド進出の選択肢として積極的に検討する日系企業が増えているように感じます。10年以上前に大型M&A案件として注目を浴びた第一三共によるランバクシー社の買収やNTTドコモによるタタテレサービシーズ社への出資などで盛り上がりましたが、両社ともにインド企業側との係争に発展してしまい、事実上の撤退にまで至りました。これを機に「やはりインドは難しい」と、インド進出への意思決定を懸念する日系企業も少なくなかったのではないかと思います。しかしながら、2014年にモディ政権が誕生後、保険セクターを中心とした外資規制緩和やデジタル・インディア政策にもとづく各種手続きの電子化、高額紙幣廃止によるデジタル経済の促進、GST新税制導入、外貨借入(ECB)規制の緩和を含め、投資環境の改善が着々と進んできた中で、「やはり無視できないインド」に再び注目が集まっているように思います。

並ぶときいつもこんな感じ。そんなにひっつかなくても。。。笑

M&Aとインド進出を成功に導くポイント

 日系企業からのM&Aを望むインド企業の背景としては、日本ブランドの獲得や低利の資金調達、先端技術の導入、日系クライアントへの販路拡大など様々です。M&Aが成立するまでのプロセスとしては、パートナー選びや基本合意、対象企業のデューデリジェンス、最終契約という流れになりますが、多大な労力と費用をかけてようやくM&Aが成立したにもかかわらず、M&A成立後の経営統合(PMI:Post Merger Integration)がうまくいっていない日系企業が多いように思います。私の経験上、インド事業を成功に導くためには以下3点が重要なポイントであり、これはM&Aに限らずインドに進出する日系企業すべてに共通して言えるものだと感じます。(※そもそも黒字化できるビジネスモデルであることが前提ですが。)

1.役割分担と権限委譲

M&A成立後の日系企業とインド企業の役割が明確か、また、当地インドに駐在する日本人の役割に無理がないか、そして、現場の経営者に日々の実務をスピーディーに意思決定できる十分な権限移譲がなされているか。もし、日本人駐在員の英語力や経験、知識から、期待されている役割が過剰である場合には、十分な予算をつけて一部の経営管理業務を外部委託する必要があります。M&Aや合弁におけるインド企業パートナーが外部委託によるコスト負担に懸念を示すケースが散見されますが、不用意なコスト削減が経営をブラックボックス化しないよう注意が必要です。

2.現地法人経営者のスキル

インド現地法人を経営する者はビジネスの取引先と交渉し、従業員と対話し、社内外のステークホルダーや専門家などと協調しながら、スピード感をもって経営判断を行っていくことが求められます。つまり、幅広い分野・領域のインド人と対等に会話ができる経営者としてのバランス感覚、チャンスとリスクを的確に感じ取るセンス、人間力、そして、実務で使える圧倒的な英語力が必要になります。イギリスの植民地という歴史を持つインドであり、アメリカ志向の強いインド人にとって、英語ができない人を“下”に見る傾向は強く、これは、タイやベトナムのように日本語が話せる現地人と連携してうまく事業を回していくやり方では通用しないインド独特の厳しさがあります。

3.帰属意識と安心感

最後に、私がもっとも重要だと考えているポイントがこれです。あくまで南インド・チェンナイにおける私自身の会社経営の経験がベースになっていますが、現地法人のインド人従業員がどれだけ会社に「帰属意識」と「安心感」を持っているかが何より重要だと考えています。特に、M&A成立直後はこの2つの要素が欠落してしまっている可能性があり、日系企業としてはPMIの期間は特に細心の注意を払う必要があります。つまり、現地法人の経営者自らが、現場ひとりひとりの従業員(や場合によってはその家族)との丁寧なコミュニケーションを大切にし、顧客への価値創出のための明確なアドバイスと感謝の気持ちを毎日伝え続けること、ミスを積極的に許すこと、経営者の弱さも見せること、定期的に食事を共にすること、こういった日々の小さな言葉や行動の積み重ねが「帰属意識」と「安心感」を社内に醸成します。これが欠落すると、従業員の不正リスクや離職率の悪化、さらには、事業の生産性にまで大きく影響します。

開発が進むムンバイのパレル地区(Parel)
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驚愕!インドの裏金問題とは?

インドの裏金問題をご存知でしょうか?

例えば、民間企業が州政府に対して申請中の承認手続に対して、

役人が「早く承認して欲しければ賄賂をよこせ」

と裏金を要求してくる、といったような話が

インドでは半ば当たり前になっています。

そして、どうやらチェンナイの某日系企業がちょうど今この問題に直面しているようです。

この企業はある工業団地に工場を構えているのですが、

ある日突然、汚染管理委員会(Pollution Control Board)より

本企業のビジネスは環境負荷の高い産業にあたるとして、

工業団地における操業資格を有していないとケチをつけてきたんだとか。

すでに然るべき手続を経て操業していた会社がなぜか突然操業停止の危機に追い込まれる。

挙句に、操業を続けたければ250万ルピーをよこせ、と言ってきたのだからビックリです。

インドでは「お役人から裏金を要求されてしまってはもはや払うしかない」というのが常識になっているようですが、

これを問題視したチェンナイ在住の日本連合軍(仮称)が

タミル・ナドゥ州政府の工業次官に対して直接相談を持ちかけたところ、

この汚染管理委員会の担当官がその後すぐに交代になり、

別の新しい担当官が職に就いたんだそうな。

いやはや、ため息交じりにもこれでようやくこの件は落着したかと思いきや、

今度は新しい担当官が150万ルピーを要求してきたんだそうです。

どう考えても理解に苦しむ話ではありますが、

一筋縄ではいかないインドビジネスの難しさの一例がここにはあります。

 

インドには様々な「手続」がありますが、

インドで生活するほとんどの人が経験する「外国人登録」。

外国人にとってはとにかく悪評高い出入国管理局での手続です。

そのうち個人の手続に対しても裏金を要求してくるんだろうか。。。

もはや笑い話にもならない、インドの裏金問題はどうやら相当に底が深そうです。

裏金

 

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あなたが「海外就職」をすべきではない理由

最近、「海外就職」という言葉をよく耳にするようになってきました。

ここインドでも少しずつその動きが広がってきているようです。

ある日系企業ではインドにある全ての事業拠点において

現地採用の日本人を常駐させている、とのこと。

また、別の日系企業でも

今までは日本から駐在員を派遣していたけれど

今後はコストを抑えるために現地採用に切り替えていく、と。

20代の若者が自分の行きたい国にやりがいのある仕事を求めて就職もしくは転職をする。

一方、コスト削減を迫られる海外現地法人の中堅・中小企業はそんな若者を

現地採用の人材として積極的に活用していく、という構図です。

 

例えば、駐在員の場合だと年間およそ1,000万円程度のコストがかかると言われていますが、

インドの現地採用の日本人で平均300万円程度(もちろん個人差はあります。)

コストを3分の1以下に抑えられるわけです。

 

さて、ここで重要になってくるのが、

現地採用の日本人にかかる平均300万円のコストが高いのか安いのか、ということです。

なぜなら、同じ20代のインド人年収が約40万~100万円程度だからです。

つまり、インド人を雇えばコストをさらに3分の1以下に抑えることができます。

日本語を猛勉強して話せるようになったインド人にこの若者は勝てるでしょうか?

 

その判断基準となるのは、

この若者が下記5つの「日本人メリット」をどれだけ生かせる人材かどうか

その総合力の高さに尽きます。

 

(1)、日本語が話せる

(2)、日本のビジネス商習慣を理解し・実践できる。

(3)、日本人とのコミュニケーション(阿吽の呼吸)を理解し、実践できる。

(4)、日本人特有の責任感を理解し、実践できる。

(5)、日本社会における何らかの専門性を持っている。

 

これらの「日本人メリット」を総合的に生かせる人材でなければ、

300万円という現地採用の日本人コストは高いと言わざるを得ない。

極端な話をすると、

社会人経験の無い若者は、

日本のビジネス商習慣を理解していないだろうし、

日本人特有の責任感をビジネスの中で実践できないかもしれない

そして日本社会における何らかの専門性も持っていない。

そうだとすると、日本語が話せるインド人に勝てるわけがないんです。

 

だから、「海外就職」を考えている20代のみなさんは

ご自身が(1)~(5)の日本人メリットを全て武器として備えているかどうか

今一度確認してみましょう。

もし、ひとつでも欠けている武器がある場合には、

現在の環境の中でまずはそれを獲得できるように努力をしましょう。

これから先30年以上にわたる長い仕事人生を考えると

その武器を獲得するために努力をする日本での時間のほうがきっと価値があります。

「海外で働く」というのは、

「日本人として働く」という全く新しいチャレンジであることに他ならないからです。

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給与水準が6分の1であることの意味

2012年6月にインド日本商工会によって発表された賃金実態調査によれば

2011年度のインド全国の昇給率平均は13.9%だったそうです。

この昇給率が仮に今後ずっと続くと仮定すると、

5年後には給料が約2倍に膨れ上がる計算になります。

とは言っても賃金水準はやはりまだ相当に低く、

大学卒業後の初任給の平均は約23,000ルピー(約35,000円)です。

日本の約6分の1ぐらいでしょうか。

単純に考えて、果たして自分は6倍の価値ある仕事ができているだろうか、

そう自分に問いかけてみることは

今のグローバル社会の中で生きていく上でひとつ大切なことであろうと思いますが、

ビジネスでよく言われる「効率的かつ効果的に」という観点から考えると

多少なりとも腑に落ちる部分があるのも事実です。

つまり、正直インド人6人でやっている仕事って

実は1人でできるんじゃないの?と思ったりすることがよくあるんです。

例えば、またまた例に出しますが、「外国人登録手続」(根に持つタイプ。笑)

この史上最悪の手続きだって、

日本だったら3分の1のスタッフ数で、3倍効率よく対応してくれるんじゃないかと。

効率性に価値を見出さないインド人に言わせると、

非効率だけど、その分雇用を生んでいるじゃないかという声さえ聞こえてきそうですが。苦笑

ただ、ビジネスの世界ではそうも言ってはいられない現実があるはずです。

日本の効率的な製造プロセスのその手法を取り入れたいと考えているインド企業は実際にたくさんあります。

そんなことを考えていると

6分の1の給与水準も半ば理にかなっているのかもしれないな

などと思ったりしています。

(全然関係ない写真ですが、先日行ったレストランで急に踊り出したホールスタッフの皆さん。笑)

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さて、新卒初任給平均という数字を見れば

日本の約6分の1という分かりやすい比較ができますが、

実際のところ、賃金や能力はそれこそ本当にピンキリです。

仕事や私生活でいろいろなインド人と話をする機会がありますが、

インドには、日本では考えられないほどに、多様な人間が生きていることを実感します。

路上で生活している人はごまんといますし、

高級車を乗り回しているインド人もたくさんいます。

失礼な言い方になりますが、

本当にどうしようもないぐらいバカな人間もいれば、

非常に頭のキレる、人間的にも魅力的な人間もたくさんいます。

きっとそれは、その人が育ってきた環境が大きく影響しているであろうことは想像に難くありませんが、

そんな多様なインド人社会の中で、

自分自身がどのように人間関係を築いて、

どのようにビジネスを拡大して、

そして、どのように日本人としての存在感を出していくか、

日々、考えさせられます。

インドでビジネスをされている @mickusakabeさん が

以前Twitterでつぶやかれていた言葉が今でも印象に残っています。

「インドはあらゆるものが多様性に富んでいるため、

人・物・サービスの目利きがビジネスの明暗を分ける。

各個人の人間としての裸の実力が試される国だと思う。」

本当にそうだなーと思います。

日本では当たり前だった様々なものがこの国には無い。

そんな環境でもお前はちゃんと生きていけるのか?

そうやって、自分の力を試されているような気がするんです。

だからこそワクワクするし、ドキドキするのかもしれません。

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IT大国インドのエンジニア人材争奪戦の舞台裏

日本における人材不足と海外からの人材獲得動向

日本では出生率低下に伴う高齢化社会、世界でも稀にみる人口減少により人材不足に直面しています。経済産業省が2016年にまとめた資料によると、IT部門では、既に約 17 万人もの人材が不足していると言われており、特にIoTやAI、ブロックチェーン等の先端IT技術の需要拡大に対し、高度なIT人材の供給が追い付いていない現状はみなさんもすでにご承知のことと思います。このような背景から海外のIT人材を雇用する動きは増えていますが、特に中国、韓国、アメリカ、ベトナムからの採用が大多数を占め、また、東南アジア諸国において日本は就労先としての人気が高く、特にベトナム人の日本における就労者数の増加率は他国と比較して顕著です。

 

海外志向のインド人ITエンジニアが目指すキャリア

2018年2月に出版された武鑓行雄氏著『インド・シフト』では、“インドのシリコンバレー”と称されるバンガロールを中心に、インド国内の豊富な高度IT人材や世界のトップグローバル企業の海外戦略が紹介されました。つまり、世界の主要企業のほとんどがインド国内に社内向け開発拠点であるGIC(Global In-House Center)を設置しているものの、日本企業の海外戦略については概してまだそのレベルにありません。メルカリ社が新卒インド人材を30人以上雇用したというニュースには注目が集まりましたが、インド人にとって、日本での就労環境は日本人従業員の意識や英語力、コミュニケーション能力などの点において、まだ日本企業がインド人材を積極的に活用できるだけの準備が整っているとは言えません。ちなみに、インド工科大学(IITs :Indian Institute of Technology)はIITに合格できなかったインド人がアメリカのMITやハーバードに行く、などと評されることもあり、極めて優秀な人材が揃います。また、毎年1万人以上が入学するトップ工科大学が全国に23校あり、優秀なエンジニアが毎年大量に輩出される世界でも稀にみるエンジニア大国となっており、グーグルやアマゾンをはじめとする巨大IT企業も新卒で年収一千万円を優に超える金額を提示して毎年超トップ級のインドIT人材争奪戦を繰り広げることは有名です。

製造業を中心とする“メカ系”のインド人エンジニアは日本への関心が比較的高い傾向にあるものの、インドの高度IT人材については概して欧米、特にシリコンバレーに強い憧れを持っており日本での就労を希望するケースは決して多くありません。日本はIT分野の技術力やマーケットの参入障壁、就労後のキャリアプラン等の点においてアメリカのような魅力が不足していると言われています。言わずもがな一番の理由は言語の壁です。インドでの高等教育は全て英語で行われており、いわゆるエリート層の英語力はネイティブに劣りません。驚くことに英語が第一言語であるインド人も決して少なくないため、英語がほぼ通じないと言ってもよい日本国内でインド人が生活をし仕事のキャリア展望を持つことは極めてハードルが高いことは想像に難くありません。また、日本で就労するうえで日本独特の企業文化(飲み会や残業強制、昔ながらの規律や暗黙ルールを前提とする柔軟性の欠如など)や終身雇用を前提とした不明瞭なキャリアパスは、インド人だけでなく外国人にとって理解しがたい事も一般的な障壁としてよく挙げられています。

日本で働くインド人ITエンジニアの声

一方で、少しずつですが日本でもようやくインド人材への注目が集まりつつあります。つまり、2018年10月にIITハイデラバード校で開催されJETROや経済産業省も主催に名を連ねた日系企業の合同就職説明会や、IIT在校生に的を絞った日系企業へのインターンシップサービス(ウェブスタッフ社による日本語教育プログラム“PIITs”)、ここ数年で日系企業へインドの高度IT人材を紹介するサービス等が目立ち始めています。しかしながら、一部の日本文化やサブカルチャーのファンを除いて、より高い給与を得るための”ツール”として日本語を学び、高水準な給与を得るために日本を就労先として選ぶインド人がほとんどであるように感じられます。このような現状を考慮すると、日系企業にとってはIITのような超トップ級工科大学ではなく、南インドを中心とした中堅クラス校の卒業生をターゲットにする方が日系企業との相性が良いように思われます。地方中堅クラス出身のインド人材であれば、南インド特有の比較的温厚な人柄と合わせて、英語もあまり流暢ではなく国際経験も乏しいからこそ、日本語や日本の商習慣を習得することにあまり抵抗がないこと、そして、日本に行くことで自分が希望する給与水準を獲得できるなど、お互いにWin-Winの関係になりやすいと考えます。上記の理由からインドでは中堅クラス校の卒業生を大量採用して日本語や日本の商習慣について社内研修を実施し、日本からのオフショア開発や日本へのIT技術者派遣を専門に請け負っている企業も存在します。一方で、これからの課題としては、就労先として日本を選んでもらう前にまず日本という国に興味を持ってもらうための活動が必要ではないかと感じています。

日本で働きたいインド人をいかにして増やすか

ここで、非英語圏であるドイツとフランスの取り組みについて紹介したいと思います。日本にも拠点を持つ非営利団体「ゲーテインスティテュート(ドイツ)」、「アリアンスフランセーズ(フランス)」は、ドイツ語やフランス語を教える語学学校としてだけでなく、ハイソなカルチャーセンターとしてもインド国内で認識されています。例えば、ゲーテインスティテュートはインド全土に6か所あり、毎週のように子供向けアートイベント、映画祭、アート展、ジェンダースタディーに関するディスカッション等のイベントが英語で行われています。これらの非営利団体は積極的に留学生の斡旋をしているわけではありませんが、ドイツに留学するインド人学生の人数は2017年のデータで約17,000人(大学以上)に対して、日本では約1,000人(高等専門学校以上)となっており、上述のような取り組みがインド人に対するその国の具体的なイメージや知名度の向上に一役を買っていると思われます。

あるインド人エンジニアの話によると、インドの工科系大学生は日本のアニメやゲームカルチャーなどのサブカルチャーとの親和性が比較的高く、オタク文化のファンも多いようです。工科大学には高速LANが整備されているケースが多いため、誰かがインターネットで拾ってきた英語字幕付きの海賊版アニメ動画をファイル共有ソフト等を使ってダウンロードして収集・共有するのが定番となっている、というエピソードを聞いたことがあります。2018年末には、「ANIME INDIA」という日本のアニメ情報を英語で紹介するサイトがインドでオープンしましたが、主催のArjun Arya氏も工学科出身のアニメファンだそうで、「インドで知名度の低いアニメ文化について教育(!)するため」に始めたと同氏のブログ記事に書いており、近年の日本語学習者の中でもアニメファンの割合は急増しているようです。また、新海誠監督のアニメ映画最新作『天気の子』においては、2019年4月にインドでの公開を求める署名活動が起こり、約5万人のファンが賛同し署名をするにまで至りました。なんとその声が新海誠監督や東宝の海外配給担当、インドの配給会社の耳に届き、ついに2019年10月11日からインド国内で正式に公開されることになっています。徐々に富裕層が増加しているインドにおいて、日本を代表する文化であるアニメが、今後のインド人留学生やエンジニアにとって日本に関心を持ってもらうきっかけとしてのコンテンツになるのは間違いないのではないかと感じます。

インド人にとっての日本の就労環境や生活環境の改善、企業の意識改革、そして、オタク文化やサブカルチャーを通じた日印交流の促進などを含め、日本人個人としても乗り越えるべき課題は多く、そのすべての実現にはまだ時間がかかるかもしれません。しかしながら、日本人と南インド人の極めて高い人間的相性を生かして、世界を舞台に活躍を続けるインド人から私たち日本人が学ぶことを意識すれば、私たちの未来はそう暗くないと信じています。日本とインドが相思相愛の関係になることを祈って。

 

※写真はバンガロール在住永田氏より提供。同氏のブログはこちら

バンガロールで開催された『コスプレウォーク2019』の様子

 

チェンナイメトロ路線図を眺めてみる

先日チェンナイの道路をオートで走っていたら

工事中の囲いの中に直径7メートルぐらいはあろうかという

円柱系のドデカい機械を発見

(写真を撮り忘れてしまったのでお見せできなくて残念)

ちなみにその機械メーカーのリンクはこちら

 

どうやら地下鉄用トンネルを掘るための機械のようです。

デリーやムンバイなどではすでにメトロ(地下鉄)が運営されているようですが、

ここチェンナイではメトロ開通に向けて現在工事の真っ最中

 

昨年9月のBusiness Standardの記事によると

人口200万人超のインド国内19都市において

順次メトロ整備プロジェクトをスタートさせていく、とのこと。

日系企業にとってはこういうビジネスチャンスをつかみ取っていきたいところ

チェンナイでは JICA(独立行政法人 国際協力機構)が

円借款としてインド政府との貸付契約を締結していて、

「チェンナイ地下鉄建設事業」として

日本はチェンナイメトロの整備プロジェクトに関わっています。

ただ、このような都市インフラ整備プロジェクトは

当初から官民連携を前提にているケースが多くて、

そのプロジェクトに入り込むために

中央政府や州政府のインフラ整備政策を事前によく理解すること

そして、プロジェクトそれぞれの入札に関する具体的な情報をつかむことが重要です。

そのためには現地のコンサルタントを利用することも必要になってくると思われます。

 

チェンナイメトロがいつ開通するのかは分かりませんが、

全部で32駅できる予定のようです。

この完成予定路線図を眺めていると

メトロが開通する頃にはチェンナイでの生活も随分と変わってくるだろうなとワクワクします。

(Chennai Metro Rail Limitedホームページより)

Chennai Metro

 

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ECB規制とインドにおける資金調達のお話

たまには会計士らしい真面目な話を、、、笑

“貸借対照表(BS)” や “損益計算書(PL)” は

主に以下の4つの事業活動の結果を数字で表しています。

具体的な細かい数字は置いといて、

とりあえずこの仕組みを理解してもらえればと思います。

①    お金を調達する

②    そのお金を使って資産に投資をする

③    それらの資産を使って売上をあげる

④    売上から費用を引いた利益(及び損失)を認識する

 

財務諸表フロー

 

そこで、インド事業を始めるにあたってはまず

①    どのようにして資金を調達するのか、を検討しなければなりません。

上図のとおり、資金調達の方法には大きく分けて

借入金(返済義務のある負債)

出資金(返済義務のない資本)の2つがあります。

 

インドではこの資金調達についてのご相談を受けることが多くありますが、

ここでまずは、“運転資金” という重要な考え方について説明したいと思います。

夢中になっていたドラマ『半沢直樹』がついに終わってしまって寂しいので

ネジを作っている町工場のケースを取り上げてみますが、

下記の1~4はネジの原材料を仕入れてから

製造、販売、売上金の回収に至るまでのプロセスです。

 

1、ネジの原材料を仕入れる(支払期間30日)

2、ネジを製造する(製造期間30日)

3、完成品のネジを倉庫に保管する(製造後、販売までの期間30日)

4、ネジを販売してお金を回収する(回収期間30日)

 

それぞれのプロセスに要する時間を単純化して30日と仮定してみます

どういうことか

つまり、どれだけたくさんのネジを販売できたとしても、

そのお金を回収するまでにはどうしても時間がかかってしまうということです。

このケースだと、ネジを作り始めてからお金を回収できるまでに約3か月かかります。

一方で、ネジの材料の仕入先に対する支払期間は1か月間しか待ってくれませんから、

自社の商品がたくさん売れることがたとえ事前に分かっていたとしても、

ビジネスを継続していくためには最低でも2か月分の資金が必要となります。

これが一般的に言われる“運転資金”です。

 

インドで資金調達をする際に多くの日系企業が頭を悩ませている背景には

インド国外からの借入金をこの “運転資金” として使うことが

原則、認められていないという点にあります。

これはECB(対外商業借入:External Commercial Borrowings)と呼ばれるインド国外からの借入は

インド連邦準備銀行(Reserve Bank of India:RBI)が規程するECB規制によって

資金使途や借入期間等の制約を受けるからです。

つまり、低金利で日本からお金を借りたいけれど、

資金使途に制限があるために借りることができない

一方で、親会社に増資(追加の出資金)を依頼したとしても、

返済義務のない出資金は親会社にとって全額回収できる見込みがないため嫌がられる

さらに、インド国内でお金を借りると金利が高すぎて利息負担が重過ぎる、などなど

 

ところが、2013年9月4日にRBIが新たな通達を発表しました。

それは、ECBであっても以下の条件を満たせば

運転資金を含む一般的な事業資金として借入金を利用しても良いというもの

 

1、貸付側が借入側の株式25%以上を持っていること

2、又貸し等のECB規制に規定された禁止事項に抵触しないこと

3、平均借入残存期間が7年以上で、返済はそれ以降に行うこと

 

正直、まだ前例がありませんから何とも言えませんが、

通常は3年以上の期間において借入が認められているECBが、

“平均借入残存期間が7年以上”という条件が新たに提示されていることにより

結局は相当の金利負担を強いられる結果となることは目に見えていますので

実務的にどのように運用されていくのかが注目されます。

 

(チェンナイ・マリーナビーチの日の出とハトの群れ↓)

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シンガポールから見たアジアのビジネス環境について考える

1か月半ぶりにチェンナイに戻ってきました。

現在の気温は31度、湿度60%とかなり蒸し暑くなってきています。

今回は、チェンナイに戻る途中に経由したシンガポールについて少し書いてみたいと思います。

 

シンガポールに行ったのは今回が初めてだったんですが、

第一印象は「街が超キレイ」

まーインドと比較してしまうと当然なんですが、笑

日本と比べてもより洗練されている印象です。

高層ビル群がコンパクトにそびえ立っている街全体の雰囲気は

どこか香港に似ているようにも感じました。

国土の広さは東京23区よりもやや大きい程度。

香港がエネルギッシュで喧噪の中にあるアジアっぽさを強く感じる一方で、

シンガポールはスタイリッシュで東京よりも洗練された近未来都市のようでした。

 

実際、シンガポール在住の日本人駐在員の方に話を聞くと

「家族で生活するには最高の環境。インフラ、食事、教育、エンターテイメント、何でもある。」とのこと

一方で、「金が無ければ生活はつらい」ようです。

駐在員の家賃はおよそ月20万~50万

車を買うにはCOE(Certificate Of Entitlement)という車両購入権を取得しなければならず、

この権利だけで400万~800万円もしちゃうんだとか。苦笑

だから、車を所有できるのは富裕層の中の富裕層のみ。

ただ、こうして政府が車の増加量をコントロールしているおかげもあって、

シンガポールではほぼ渋滞がないんだとか。

とは言っても、現地のシンガポール人も、現地採用の外国人も実際にはたくさんいるわけで

公団住宅をシェアしたり、タクシーや地下鉄を利用することで

問題なく生活をしているんだそうです。

 

話は変わりますが、

シンガポールのもう一つの特徴は、アジア全域へのハブ拠点として

地域統括機能を設置している企業が多いこと。

日産自動車やトヨタ自動車、デンソーなどが最たる事例です。

法人税率が安い上に、

周辺のアジア諸国へのアクセスが容易、

そして、物流、輸送、通信等のインフラが整備されている。

インドと比べるとまさに羨ましい限りの正反対なビジネス環境ではありますが、

逆にあらゆる面で成熟しきっているために、

シンガポール一国だけではビジネスを成り立たせるのは難しいのではないかと思われます。

 

ちなみに、この「法人税率」に注目してみましょう。

2013年3月現在、主要国の法人税率を低い順に並べてみると、

香港(16.5%)、シンガポール(17%)、タイ(20%)

韓国(22%)、中国・マレーシア・ベトナム・インドネシア(25%)

ちなみに、インドは32.445%(残念!)

ここで注目されるのがタイ(20%)です。

タイはここ2年間で30%→23%→20%と一気に法人税率が引き下げられていて、

地域統括拠点としての優遇政策も発表しており、

アジア地域における存在感がかなり高くなってきているようです。

実際、日産自動車は2011年にシンガポールの拠点が担っていた販売・マーケティング機能をタイに移管しました。

各国ですでに多くのFTA自由貿易協定が発効しており、

日本はTPP交渉への参加を表明しましたが、

今後はますますグローバルな視点での販売戦略、調達戦略をどのように取っていくのか

慎重に検討していくことが必要になってくると思われます。

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インド政府と国民の金(ゴールド)攻防戦

世界的な金価格の暴落がメディアを賑わせています。

田中貴金属工業(株)のホームページによると

2012年10月で1グラム当たり約5,000円だったのが

2013年末に1グラム当たり約4,100円まで暴落

そして、2014日1月7日付の日経新聞によると

金保有割合が多いことで有名なスイス国立銀行が

2013年3月期において約1兆400億円もの損失を計上する予定であることを発表しました。

スイス国立銀行にとって配当を見送るのは1907年の業務開始以来で初めてであるとのこと。

 

さて、金相場でよく話題になるのがインドの金需要です。

中国と並んで世界最大の金消費国であるインドでは

結婚の際に女性側の家族が男性側の家族に

持参金を支払ったり貴金属類や宝石などを贈る「ダウリー」という習慣があります。

このダウリー制度によって様々な痛ましい事件が起きている社会問題性から

この制度は50年以上も前にインド政府によって禁止法が施行されましたが

習慣として今でもカースト制度と同様、根強くインド社会に残っているようです。

また、金や金宝飾品が宗教的背景からも好まれていることもあって

インドにおける金需要は今後も縮小することは無さそうです。

 

むしろ、そんなインドの金需要は人口増加とともに金の輸入量を拡大させており、

インドが慢性的な貿易赤字に陥っている大きな一因にもなっているようです。

貿易赤字に頭を悩ませているインド政府は莫大な金輸入量を抑制するために

ここ数年で段階的に金の輸入関税を引き上げてきました。

2012年1月に2%だった関税を、同年4月に4%に引き上げ、

さらに2013年1月に6%、同年6月に8%

そして、同年8月にはついに10%にまで引き上げました。

また、昨年、インド最大の祭りであるディワリや結婚シーズンを迎える直前の9月に、

東南アジア等からの安価な宝飾品の流入を防ぎ、かつ、国内宝飾品産業を守るために

金の宝飾品の輸入関税を15%まで引き上げました。(金の輸入関税は10%で据え置き)

金輸入については外国貿易当局からの許認可取得を義務付けたり

輸入した金の20%は再輸出しなければならないとする規制も発表しています。

その結果、世界的に金価格が暴落している中、

インドルピー建て金価格は比較的高水準を推移しているようです。

 

ちなみに、インド国外を6か月以上滞在したNRIs(インド人の非居住者)は

最大1キロまでの金や宝飾品の個人輸入が認められているとのこと

そこで、国内の宝飾品店はインド国外に住むNRIsに対して

金を個人輸入させることにより仕入原価を削減しているようです。

航空券代や輸入関税を負担しても、それでもまだ利益が出るほど

世界とインド国内の金価格には大きなギャップが生まれているわけです。

また、輸入関税分さえも利ざやで稼ぐために密輸も増えてくるものと思われます。

公式な金輸入量を抑制しても、その分非公式な金輸入量が増えてしまう構図

金輸入を抑制したいインド政府と、金を買い続けるインド国民との攻防戦は続きます。

 

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リコーやトヨタの事例からインド子会社管理について考える

 日系企業の不祥事が相次いでいます。東芝やオリンパスの粉飾決算が記憶に新しい方も多いと思いますが、インドでも日系企業の海外子会社管理について考えさせられるニュース報道が続いています。例えば、2015年にリコーのインド子会社での不正会計処理が発覚しました。これを受けて、同社は20173月期決算において65億円もの追加損失を計上。74%の株式を保有するリコー本社はさらに当該インド子会社株式の一部を無償償却し171億円の増資を引き受けることを発表、そして、これまで債務保証を継続するなどして経営再建中でしたが、2017年末に追加の財政支援をついに打ち切るとの発表がされました。2015年に監査法人を変更することで発覚したリコーインド子会社の不正会計ですが、その後も業績は回復に向かわず、主要取引先との関係も悪化したために今回の意志決定に至ったとの報道がされております。今後の対応策として、リコー本社は定期的に海外子会社の財務諸表を精査し、本社管理部門の機能強化を図っていくようです。

 

 また、インドでは8年ほど前に発覚していたインド企業サティヤム・コンピューター・サービシーズ社(=通称インド版エンロン事件)の粉飾決算事件を受けて、インド証券取引委員会(SEBI)はこの度、2018110日に当時監査業務を担っていた大手監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)に2年間の上場企業の監査業務停止命令を出しました。不正会計や粉飾決算の事実関係については公表されていませんが、海外進出を検討する日系企業が増え続けている昨今、つい疎かになりがちな海外子会社の管理については、不正防止のための内部統制やコンプライアンス遵守のための管理体制の構築を検討・再考すべきタイミングに来ているのかもしれません。インド会社法においても監査法人の任期を5年(最長10年)とするローテーションの義務化や内部統制監査の義務化(一部の非公開企業は対象外)などが規定されており、企業と監査人が果たすべき責務や遵守すべきルールは厳しくなる一方ですが、何よりも企業が自主的に管理体制を再考することが大切です。例えば、信頼できる社外会計士やコンサルタントを見つけ、内部監査人として選任して定期的に社内のプロセスやコンプライアンス状況をレビューをさせるなど、性悪説に立った上で社内の従業員に一定の牽制を効かせることも検討に値するものと考えます。

 

 さらに昨年末、知的財産権(IPIntellectual Property)の観点からのインド子会社管理について、日系企業にさらなる警笛を鳴らすニュースが報道されました。2009年にトヨタ自動車がインドの地場自動車部品メーカーであるプリウス・オート・インダストリー社(以下、プリウスオート社)に対して「プリウス(PRIUS)」の商標権(Trademark)の使用差し止めを求めていた訴訟で、201712月の最高裁の判決によりトヨタの敗訴が確定し、8年間に及ぶ訴訟に終止符が打たれた、というものです。1997年に発表されたトヨタのハイブリッド車「PRIUS」が、上記プリウスオート社が「PRIUS」の商標を使ってビジネスを始めた2001年よりも以前において、国際的な名声・ブランドとしてすでに世界的に認識されており、かつ、インド国内においても浸透していたかどうかが争点となりました。結果的に、その当時インド市場においてはブランドが確立されているとは言えないとの判断がなされ、トヨタの要求は最高裁に認められなかったことになります。

 

 実は、これまでにもインドで同様の事例が多発しています。例えば、2015年にドイツ自動車メーカーであるアウディAudiがインドで“Audi TT”ブランドを使用したカーアクセサリー等を販売していたところ、同じく“TT”の商標登録をしていたインド地場企業TTテキスタイル・リミテッド社の商標権の侵害となり、“Audi TT”ブランドの販売ができなくなりました。また、2013年に米自動車メーカーであるフォードFordが、世界中で販売されている有名モデルSUVエベレスト(Everestをインドで販売しようとしたところ、インド地場のマサラ・スパイスメーカーであるエベレスト・マサラ社の登録商標権の侵害となり、“Everest”の商標は残念ながらインドでは使用できず、その代わりにインドのみエンデバー(Endeavourというモデルになっています。マサラスパイスでお腹を壊すことはありますが、フォードもまさにインドのマサラスパイスにやられちゃったわけですね、、、笑。いやいやフォードは笑えません。

 

 例えば、商標権はその権利が侵害された場合において、インド政府は「一方的業務停止命令」を発令する権利を持っています。つまり、インドに進出する日系企業が知らぬ間に他社の商標権を侵害していた場合において、突然ビジネスの停止を余儀なくされる可能性がある、ということになります。したがって、このような潜在的な事業リスクをしっかりと把握した上で、事前に商標の登録状況を確認をしておく必要があります。海外子会社の管理というのは、会計や税務、人事労務だけでなく、その他事業に必要な許認可や上述のような知的財産権に至るまで広範囲に及ぶため、特にインドという巨大市場で長期的に戦っていくためには、各分野における信頼できる専門家とのネットワークを構築し、事業の成長ステージにおいて適切なタイミングで対処・管理していくことがとても重要です。

(↓ハイデラバード中心街の様子↓)

 

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日本本社への資金還流方法とその実態に迫る

(↑↑↑ジャイプール郊外にあるアンベール城↑↑↑) 

インドに進出している日系企業にとって、インド現地法人が得た利益をいかに日本の親会社(=株主)に還元するか、つまり、インドから日本への資金還流方法について頭を悩ます日系企業が増えています。もちろん、日本の親会社が何らかのサービス等を提供している場合には、その対価として管理報酬や技術上の役務提供報酬、ロイヤリティなどを契約書等に基づいて支払うことなり、この場合にはサービス税や源泉所得税(TDS)、また、移転価格税制における税負担や税務リスクと合わせて取引スキームを検討することとなります。しかしながら、ここでは、サービス等の対価として支払うのではなく、株主との関係性において資本や税引後の利益剰余金をどのように株主に資金還流できるかをご紹介したいと思います。

 

(1)       配当(Dividend)

言わずと知れた株主の権利であり、かつ、最も一般的な資金還流方法が「配当」です(※インド新会社法第123条)。主に、取締役会決議による中間配当と、定時株主総会の普通決議による利益配当があり、単純に利益を株主に還元する最もシンプルな方法となっていますが、インド特有の「配当分配税(DDT:Dividend Distribution Tax)」が大きな障壁になっています。つまり、通常は配当を行った場合には配当を受けた株主側に課税(※配当支払時に源泉所得税として控除)されるのが一般的で、日本の場合は「外国子会社配当益金不算入制度」により大きな課税負担なく配当を受け取ることができるケースが多いですが、インドでは配当を行う側が配当行為に対して課税される「配当分配税(DDT)」という税金があります。したがって、支払時に所得税を源泉徴収する必要はありませんが、その代わりに支払側が実効税率約20%の配当税をインド税務当局に納税する必要があります。なお、個人の株主が100万ルピーを超える配当を受け取った場合には、株主側にも10%の所得税が課税される点については留意が必要です。

 

さて、ここで重要な論点となるのが、インド現地法人が負担する配当分配税(DDT)が日本法人側の外国税額控除として利用できるかどうか、という点ですが、明確な規定はなく、配当分配税は一般的な源泉所得税とは性質の異なる税金であることから、日本の親会社において税額控除として適用するのは難しいとの見解が有力であると思われます。つまり、インド現地法人としては、税引前利益からすでに法人所得税を納税しているにも関わらず、税引後利益から分配する配当に対してもさらにインド現地法人が税金を負担しなければならないといういわゆる“二重課税”が発生してしまうことから配当の実施はあまりに税負担が重く、積極的に配当を行っていない法人も多く見受けられます。

 

(2)       自社株買い(Buy Back Shares)

「配当」以外に考えられる資金還流方法の一つが「自社株買い」です。自社株買いとは、既存の株主から自己株式を買い取り、当該株式を消滅させる手続きのことです。つまり、既存株主全員が自社株買いに応じる場合に限って、各株主の持ち分比率(=会社に対する株主の影響力)を維持したまま株主へ資金を還元できることになります。なお、特定の株主が自社株買いに応じない場合には、当該株主が保有している株式が減少しないため、相対的に株式持ち分比率が高くなり、逆にその他の株主の株式持ち分比率は低くなります。

ちなみに、自己株式の買い取り価格が額面株価を上回る場合には、株式譲渡益(=キャピタルゲイン)に対する課税がなされ、原則、株主は株式売却に伴って得た利益に対して税金を納税する必要があります。しかしながら、2013年度の税制改正において、非公開会社が額面株価を上回る価格にて自己株式を買い取る場合には、株主が納税をする代わりに、株式を買い取る会社側が「利益分配税(Tax on Distributed Income)」という税金を納税する必要がある旨の規定が発表されました(※インド所得税法第115QA条)。つまり、自社株買いにおいて株式譲渡益が発生する限りにおいては、支払企業側は上述の配当分配税に似た「利益分配税」を結局は株主の代わりに払わなければならないこととなります。

 

さて、次に自社株買いの実施する上での条件や具体的な手続きについて見ていきたいと思います。自社株買いは、原則、付属定款(AOA:Article of Association)における当該規定の定めがあり、かつ、株主総会の特別決議で承認されれば実施可能です。自己株式を買い戻した後は、当該株式の取得日から7日以内に消却し、さらに、30日以内にROCに登記しなければなりません。ちなみに、過去3年間に下記3つのいずれかの債務不履行があった場合、また、自己資本について下記2つのいずれかに該当する場合には自社株買いは実施できないため注意が必要です。

 

【債務不履行にかかる3つの条件】

l  預り金、利息の支払不履行

l  社債の償還、優先株式の償還不履行

l  借入金の返済不履行

 

【自己資本にかかる2つの条件】

l  自己株式の取得金額が自己資本の25%を超の場合

l  自己株式取得後の自己資本が負債金額の50%未満の場合

 

なお、非居住者の株主たる日本本社から自己株式を買い取る場合には、当該自己株式の買い取り価格がインド国勅許会計士(Chartered Accountant)が証明した公正な価格(上場会社の場合には、インド証券取引委員会に登録しているカテゴリー1のマーチャントバンカー(SEBI registered Category-I, Merchant Banker)が決定する公正な価格)を上限とする株価で買い取る必要があります(※外国為替管理法基本通達第15番/2015-16)。また、日系企業のような外国法人が株主である場合には、出資当時からの為替レートの変動により為替差損益が発生します。自己株式の買い取りについては税務リスク等も含めて慎重に判断する必要があるため、専門家へ事前に相談することをおすすめ致します。

(↓↓↓ニムラナフォート!ここでランチ&スパは至福↓↓↓)

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インド産マンゴーを個人輸入できるのか

インドの夏と言えばマンゴー

南インドのここチェンナイも今から6月ぐらいまで

美味しいマンゴーの季節が続きます。

 

 

なんてったってとにかく安い!!!

一個30~40円程度で買えます。

っというわけで、そんなマンゴーを

なんとか日本の家族にも送れないかといろいろ調べていたんですが、

どうやらそう簡単ではなさそうです。

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ウィキペディアの “マンゴー” によると、

日本では植物防疫法によって、

侵入を警戒する農業大害虫のミバエ類が発生している国・地域から

マンゴーの生果実を輸入することは原則禁止されている、とのこと。

まさにインドはその ”国・地域” に該当しているわけですが、

一方で、農林水産省のホームページによると

日本政府は2008年にインド産マンゴーの生果実の輸入を

「条件付き」で解禁しました。(こちらHPを参照

その条件の一つが、指定された害虫駆除のための蒸熱処理を行い、

日本の植物防疫官がインドで最終チェックを行った上で発行される証明書を取得すること。

インド経済産業省(Ministry of Commerce and Industry)の内部組織に当たる

APEDA(Agricultural & Processed Food Products Export Development Authority)に直接問い合わせてみると、

この蒸熱処理施設は現在インドには下記6つしかないんだそうです。

 

アンドラ・プラデシュ州に3つ

1、Andhra Pradesh State Agro Industries Development Corp(場所:Nuzvid District)

2、Andhra Pradesh State Agro Industries Development Corp(場所:Tirupathi District)

3、Galla Foods Pvt Ltd(場所:Chittoor District)

ウッタル・プラデシュ州に1つ

4、UP Mandi Parishad(場所:Saharanpur District)

マハラシュトラ州に2つ

5、MSAMB(場所:Vashi, Navi Mumbai)

6、Nikko Namdhari(場所:Nashik)

 

つまり、チェンナイ周辺(タミル・ナードゥ州)にはこの施設がない・・・(ガーーン!)

仕方ないので、その中でチェンナイから最も近いアンドラ・プラデシュ州の

唯一の民間インド企業に問い合わせてみると

2011年頃から日本の植物防疫官がインドに来なくなったので、

現状では証明書が取得できず、日本への輸出も現実的に難しいんだそうです。

情報の信憑性については多少の疑念もありますが、

どうやらチェンナイから個人的に日本に輸入するのは難しそうです。

 

資金力のある日系大手商社さん!!!

チェンナイに蒸熱処理施設を作って

チェンナイ発のマンゴー輸出ビジネスやりませんかー!!!

 

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「トゥーミニッツ」の裏にある引き算の発想の欠如

「インド時間」という言葉をご存知でしょうか。

いわゆる「時間を守らない」というインドの時間に対するルーズさを

なかば総称してそう呼んでいるのですが、

典型的なのが「トゥーミニッツ」

インドで生活していると毎日耳にする言葉です。

いわゆる日本語で2分を意味しますが

「トゥーミニッツ」と言われると15分待たされることはもはや当たり前です。

さらに危険なのが「ファイブミニッツ」

これは下手すると1時間待たされます。

1時間待たされた挙句にまだなのかと問い合わせると

またまた「ファイブミニッツ」

これでさらに1時間待つなんてことも。笑

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先日、日系企業の社長さんから聞いた話なんですけど

あるテレビ番組でインド人と日本人で算数対決したんだそうです。

すると、足し算と掛け算では圧倒的にリードしていたインド人が、

引き算になった瞬間に計算が遅くなり、結局日本人の圧倒的勝利で終わったんだとか。

足し算は強いのに、

なぜか引き算にものすごく弱いインド人。

 

実は同じようなことを実際のビジネスの中でも感じます。

目の前のことをひとつひとつ積み重ねていくこと(足し算の発想)は得意のようですが、

ある目標や期日に向かって逆算してスケジュールを立てること(引き算の発想)は苦手なようです。

だから、待ち合わせの時間にも当たり前のように遅れてくる。

事前にあまり計画せず

ひとつひとつの作業を積み上げた結果、

いつの間にか納期に間に合わなくなっている。

「トゥーミニッツ」と言っても結局15分かかっちゃう。

これがいわゆる「インド時間」の正体なんではないかと思います。

 

インド人の長所である足し算の発想を生かすのか。

それとも、短所である引き算の発想を身につけてもらうのか。

インド人従業員を雇用している日系企業にとって

彼らをマネジメントするのにはいろいろと工夫が必要なのかもしれません。

(写真は年に一度の祭りポンガルの日にアパート前に描かれていたコーラム)

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