前回に引き続き、今回はインド新会社法の中でも「取締役」に関する改正点をご紹介します。
(1)居住者取締役(Resident Director)(新会社法:第149条)
2013年インド新会社法において、「全ての会社は、前年の1月1日から12月31日までにおいて182日以上居住している者を少なくとも1名取締役として選任しなければならない」と規定しています。旧会社法においても、取締役社長(Managing Director)や常勤取締役(Whole-time Director)、支配人(Manager)については、上記に類似する規定が存在したが、非公開会社は対象外であったこと、また、公開会社やみなし公開会社であったとしても、インド中央政府の承認を得れば当該役職にインド非居住者を選任できる、という逃げ道がありました。
しかしながら、新会社法の下においては、このような適用除外規定がないため、全ての会社が必ず1名の居住者取締役を選任する必要があり、Managing DirectorやWhole-time Director、Managerについてはインド居住者である必要があることとなります。既にインド進出済の日系企業で、インド居住者要件を満たす日本人駐在員が社内に存在する場合には、当該日本人駐在員の取締役としての在任期間を延長することによって、日本へ帰任後も駐在後任者がインド居住要件を満たすまでの一定期間をカバーすることが可能となります。一方で、インドへ100%独資で新規進出する場合には、社内の従業員がインド居住者要件を満たすのを待つか、もしくは、社外のインド居住者に取締役就任を依頼する等の対応が必要となります。
(2014年4月1日付で施行済)
(2)女性取締役(Woman Director)(新会社法:第149条)
2013年インド新会社法、及び、規則案において、「全ての上場会社、もしくは、上場会社以外の全ての公開会社のうち払込資本額が10億ルピー以上、または、売上高が30億ルピー以上の会社は、最低1名の女性取締役を選任しなければならない」旨を規定しています。上記に該当する会社は、施行後に次回開催される取締役会、又は、3か月後のいずれか遅い時期までに選任する必要がありますが、多くの日系企業は対象外であるものと思われます。
(2014年4月1日付で施行済)
(3)社外取締役(Independent Director)(新会社法:第149条)
2013年インド新会社法、及び、規則案において、「全ての上場会社、もしくは、上場会社以外の全ての公開会社のうち払込資本額が1億ルピー以上、売上高が10億ルピー以上、または、未弁済ローンや借入金、社債等の負債総額が5億ルピー超のいずれかに該当する会社は、取締役総数の3分の1以上の社外取締役を選任しなければならない」旨を規定しています。また、同条第6項において、社外取締役は、適切な知識や経験を有している者で、かつ、直近3会計期間中においてその親会社や子会社、関連会社の一定の役員または従業員ではない者、との規定があるため、親会社や関連会社の役員等を社外取締役に選任することができません。したがって、上記に該当する会社は、弁護士や会計士等の外部の専門家に社外取締役への就任を依頼する等の対応が必要となることが考えられます。また、施行後に次回開催される取締役会、又は、3か月後のいずれか遅い時期までに選任する必要があります
(2014年4月1日付で施行済)
(↓↓↓ タミル・ナードゥ州・ウーティの名前忘れちゃったけど何とかの滝、笑 ↓↓↓)