前回に引き続き、今回は財務諸表に関する改正点についてご紹介します。
(1)財務諸表及び会計期間の定義について(新会社法:第2条40項及び41項)
2013年インド新会社法においては、一人会社や小会社、休眠会社を除いて、全ての会社がキャッシュフロー計算書(株主資本等計算書については一定の条件に該当した場合のみ)の提出が義務付けられ、子会社や関連会社、合弁会社を有する全ての会社は、それらの会社の概要等を含む一定の情報と共に連結財務諸表の提出も合わせて義務付けられました(第129条3項)。また、インド国外の子会社を有する会社は、連結財務諸表とともに、その子会社の個別財務諸表も提出するよう規定しています(第137条1項)。
(2014年4月1日付で施行済)
また、新会社法の下において会計期間を4月から翌年3月に義務付ける新たな規定が新設されました。これまでは税務上の課税期間のみ4月から翌年3月までとする義務規定がありましたが、これで会計上及び税務上の決算期が一律で3月に固定されることとなります。ただし、本規定は、外国法人の子会社で、かつ、親会社の連結対象になっている等の理由で3月決算以外の会計期間を採用していた会社の場合、改正に伴って求められる変更にかかる影響が大きいため、裁判所及び中央政府機関による許可により、引き続き3月決算以外の決算期を採用することが可能とする例外規定が設けられています。
(2014年4月1日付で施行済)
(2)減価償却方法に関する変更(新会社法:第123条及びSCHEDULEⅡ)
旧会社法においては、減価償却方法に関しては各種資産グループごとに最低償却率が規定されていたが、新会社法の下においては、耐用年数の上限が規定され、多くの固定資産の耐用年数が短く設定されることとなりました(以下に一部の具体例を紹介)。旧会社法上規定されている償却率に従って減価償却を実施していた会社は、今後償却費が増加することが予想されます。ただし、耐用年数の短縮にともなって新会社法適用初年度において償却がすでに終了したことになる固定資産のケースにおいては、改正前の簿価は一括で当該適用年度の期首剰余金の調整を行うことで遡及的に適用されるため、この場合に限り、当該年度の損益に影響を与えない点に留意が必要です。
(2014年4月1日付で施行済)
新会社法(1シフト・定額法の場合) | 旧会社法(1シフト・定額法の場合) | |||
耐用年数 | 償却率 | 耐用年数 | 償却率 | |
建物(Building) | 30年 | 3.34% | 30年 | 3.34% |
機械装置等(Pland and machinery) | 15年 | 6.67% | 21年 | 4.75% |
家具等(Furniture and fitting) | 10年 | 10.0% | 16年 | 6.33% |
器具備品等(Office equipment) | 5年 | 20.0% | 14年 | 7.07% |
コンピューター(Desktop/laptop etc) | 3年 | 33.33% | 6年 | 16.21% |
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