事業立ち上げの準備でバタバタしており
前回の更新から随分とご無沙汰してしまいましたが、
法人設立手続きおよび設立後に必要となる手続について
以下のとおり3回に分けてご紹介したいと思います。
(1)前編(法人設立登記まで)
(2)中編(設立後の必ず必要な手続き)
(3)後編(状況に応じて必要な登録手続き)
(1)前編(法人設立登記まで)
2014年4月以降に新会社法が施行され、
全ての取締役がDSCを取得しなければならなくなる等の変更点はありますが、
法人登記が完了するまでの基本的な手続きについては、
下記に示した通り7つのプロセスに分けることができます。
書類の作成準備から起算して法人設立登記までに概ね2~3ヶ月かかります。
No. |
手続 |
注意すべきポイント |
1. | DSC
電子署名証明書 |
アポスティーユ認証の付与が必要 |
2. | DIN
取締役識別番号 |
アポスティーユ認証の付与が必要 |
3. | Pre-name approval
商号事前承認 |
アポスティーユ認証の付与が必要 |
4, | MOA & AOA
定款および付属定款作成 |
アポスティーユ認証の付与が必要ただし、取締役会における代理人の選任、もしくは、委任状によってアポスティーユ認証付与は省略可 |
5. | Office Registration
事務所所在地の登記 |
事務所オーナーからのNOC(異議無し証明書)オーナ名義の電気代や電話代請求書コピー等が必要 |
6. | Appointment of Directors
当初取締役の選任・登記 |
宣誓供述書(Form INC-9)はアポスティーユ認証の付与が必要、その他同意書等含め事前準備が必要 |
7. | Certificate of Incorporation
設立証明書の取得 |
一連の設立手続きにおいて注意すべきポイントについて
以下に3つご紹介させていただきたいと思います。
① 公証人役場等でのアポスティーユ認証付与
必要書類を作成していく中で、パスポートや運転免許証のコピー、取締役会の決議書、宣誓供述書等、公証人役場でのアポスティーユ認証の付与を求められる書類があります。原本を提出する必要がある場合には、書類の準備に相当の時間がかかってしまうため、出来る限り事前に書類作成を進めておくことで、効率良く設立手続きを進めることが可能です。(日本とインドはハーグ条約を締結しているため、原則、外務省からの認証は不要です。)
② 定款及び付属定款への署名
法人設立時には定款及び付属定款を作成し、出資者が署名をした上でインド登記局へ届
出を行う必要があります。日系企業の場合には、この出資者がインド国外にいるケースがほとんどのため、通常はこの定款及び付属定款への署名後にアポスティーユ認証の付与を受けなければなりません。しかし、取締役会や委任状によって事前にインド国内にいる個人を代理人として選任しておくことで、インド国内文書としてアポスティーユ認証の付与を省略することが可能です。(インド在住の日本人が代理人になる場合にはパスポートの入国日が確認できるページのコピー等が必要となる可能性あり)
③ 状況に応じて提出が求められる書類
インド登記局の担当者気まぐれなのか分かりませんが設立手続を行っていく中で、時と場合によって提出を求められたり、求められなかったりする書類がいくつかあります。よくあるケースは出資者が会社の場合の法人登記簿謄本のコピーや、取締役の個人や親族の情報(Form MBP-1)です。万が一提出を求められた時にすぐ対応できるよう、事前に準備をしておくと法人設立手続きをよりスムーズに進めることができます。
次回は(2)中編(設立後の必ず必要な手続き)についてご紹介いたします。