世界的な金価格の暴落がメディアを賑わせています。
田中貴金属工業(株)のホームページによると
2012年10月で1グラム当たり約5,000円だったのが
2013年末に1グラム当たり約4,100円まで暴落
そして、2014日1月7日付の日経新聞によると
金保有割合が多いことで有名なスイス国立銀行が
2013年3月期において約1兆400億円もの損失を計上する予定であることを発表しました。
スイス国立銀行にとって配当を見送るのは1907年の業務開始以来で初めてであるとのこと。
さて、金相場でよく話題になるのがインドの金需要です。
中国と並んで世界最大の金消費国であるインドでは
結婚の際に女性側の家族が男性側の家族に
持参金を支払ったり貴金属類や宝石などを贈る「ダウリー」という習慣があります。
このダウリー制度によって様々な痛ましい事件が起きている社会問題性から
この制度は50年以上も前にインド政府によって禁止法が施行されましたが
習慣として今でもカースト制度と同様、根強くインド社会に残っているようです。
また、金や金宝飾品が宗教的背景からも好まれていることもあって
インドにおける金需要は今後も縮小することは無さそうです。
むしろ、そんなインドの金需要は人口増加とともに金の輸入量を拡大させており、
インドが慢性的な貿易赤字に陥っている大きな一因にもなっているようです。
貿易赤字に頭を悩ませているインド政府は莫大な金輸入量を抑制するために
ここ数年で段階的に金の輸入関税を引き上げてきました。
2012年1月に2%だった関税を、同年4月に4%に引き上げ、
さらに2013年1月に6%、同年6月に8%
そして、同年8月にはついに10%にまで引き上げました。
また、昨年、インド最大の祭りであるディワリや結婚シーズンを迎える直前の9月に、
東南アジア等からの安価な宝飾品の流入を防ぎ、かつ、国内宝飾品産業を守るために
金の宝飾品の輸入関税を15%まで引き上げました。(金の輸入関税は10%で据え置き)
金輸入については外国貿易当局からの許認可取得を義務付けたり
輸入した金の20%は再輸出しなければならないとする規制も発表しています。
その結果、世界的に金価格が暴落している中、
インドルピー建て金価格は比較的高水準を推移しているようです。
ちなみに、インド国外を6か月以上滞在したNRIs(インド人の非居住者)は
最大1キロまでの金や宝飾品の個人輸入が認められているとのこと
そこで、国内の宝飾品店はインド国外に住むNRIsに対して
金を個人輸入させることにより仕入原価を削減しているようです。
航空券代や輸入関税を負担しても、それでもまだ利益が出るほど
世界とインド国内の金価格には大きなギャップが生まれているわけです。
また、輸入関税分さえも利ざやで稼ぐために密輸も増えてくるものと思われます。
公式な金輸入量を抑制しても、その分非公式な金輸入量が増えてしまう構図
金輸入を抑制したいインド政府と、金を買い続けるインド国民との攻防戦は続きます。
1 comment
はじめまして!
以前よりブログを読んでいました。
来月、横浜インドセンター主催の講演会に行く予定です。
公演される事がわかり今から楽しみにしています。
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