インド内部監査の実態と今後の動向

by 田中啓介 / Keisuke Tanaka

会社法上、インドでは様々な監査を受ける必要があります。

今日はそれらの中でも基本的な3つの監査についてご紹介します。

(1)法定監査(Statutory Audit)

(2)税務監査(Tax Audit)

(3)内部監査(Internal Audit)

 

(1)法定監査(Statutory Audit)

これはすべてのインド会社が義務付けられている監査で、

外部から会計監査人を選任し、

財務諸表に関して監査を受ける必要があります。

 

(2)税務監査(Tax Audit)

これはIncome Tax Act, 1961の44AB条に規定されており、

①    過去に1会計年度でも600万ルピー以上の売上を計上したことがある事業者、または、

②    専門職事業で過去に1会計年度でも150万ルピー以上の売上を計上したことがある事業者

のいずれかに当てはまる場合は、

法定監査とは別に所得税法上の「税務監査」も受けなければなりません。

通常、法定監査と税務監査は同じ会計監査人が兼任するケースが多いようです。

 

(3)内部監査(Internal Audit)

これはCompany(Auditor’s Report) Order, 2003(”CARO”)において明示されており

①    上場会社

②    期首に払込済資本金および剰余金合計額が500万インドルピー以上の会社

③    直近3年間の平均売上高が5000万インドルピー以上の会社

のいずれかに当てはまる場合は、

法定監査において発行される監査報告書の中で

当該会社の中で適切な内部監査システムが構築されているかどうかの意見を述べなければならない

とされていて、内部監査が“間接的に”義務付けられています。

ただ、この内部監査は法定監査を行う会計監査人以外の

別の勅許会計士もしくは会計事務所を選任する必要があり、

たとえ、上記3つのいずれかに該当する会社であっても、

小規模の会社にとっては現実的に単なる負担にしかならない場合もあり

内部監査を意図的に実施していない会社も多いようです。

その場合においては、監査報告書の中で

「この会社は内部監査システムが構築されていない」との意見が記載されることとなり

限定意見(Qualified Opinion)が表明されます。

この限定事項(Qualification)に対しては当該会社の役員が

なぜ内部監査システムを構築していないか、の理由を正当化する必要がありますが、

「当社は十分な内部統制が機能しているため、内部監査システムは構築していない」

という説明をもって返答することにより、

実務上は、事なきを得ている会社が多いということでした。

 

しかし、現在審議中の「新会社法」によれば、

今後はこの内部監査も“直接的に”義務付けられる、という内容の規定が盛り込まれる予定だそうで

その場合には内部監査を実施していない会社には罰金等の制裁が科せられることになり

半年以内には発効予定であるという「新会社法」の動向が注目されます。

 

(バスの運転手さんがオレを撮ってくれと猛アピール↓)

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