インドに流通する「紙幣」と「硬貨」のおはなし

by 田中啓介 / Keisuke Tanaka

最近、インドで新札をよく見かけます

特に多いのが1,000ルピー札と500ルピー札

インド経済の発展、そして、インフレが着々と進む中

高額紙幣である1,000ルピー札と500ルピー札が

より多く流通するようになってきたことの現れでしょうか

 

ちなみに、インドの最高額紙幣は1,000ルピー札(約1,600円相当)

そして、ご存知のとおり日本では10,000円札ですが、

世界にはもっと高額な紙幣がたくさんあるようです。

現在、流通している世界最高額の紙幣は

シンガポールの10,000ドル札(約770,000円相当)

その他にも、スイスの1,000フラン札(約105,000円相当)

ユーロ圏の500ユーロ札(約65,000円相当)などがあるようです。

日本では1957年に初めて5,000円札が聖徳太子の肖像デザインで発行され、

翌年の1958年に、初めて10,000円札が同じく聖徳太子の肖像で発行されました。

インドにも将来、5,000ルピー札や10,000ルピー札が発行される日が来るのでしょうか

ちなみに、インドでは原則全ての紙幣がマハトマ・ガンジーの肖像デザインになっています。

photo 2

 

さて、インド貨幣の話に戻りますが、

最近、10ルピー硬貨(約16円相当)もよく目にするようになってきました

もともと10ルピーは「紙幣」として流通していましたが

「紙幣」から「硬貨」へと移行されつつあるのかもしれません

ここでひとつ疑問なのが、なぜ「紙幣」から「硬貨」へ変わるのでしょうか

この謎を解くにはそもそも、なぜ高額な貨幣は「紙幣」で

低額な貨幣は「硬貨」なのか、を考える必要がありそうです。

本当のところはよく分かりませんが、こう考えるみることにします。

まず、大前提として「硬貨」は偽造されやすい

例えば、日本で1万円玉を作ってしまうと

簡単に偽造されてしまい、きっと安定した貨幣経済の維持が難しくなります

一方で、「紙幣」は偽造されにくい

様々な偽造防止技術が導入され、そう簡単には偽造できないのが「紙幣」です

簡単に偽造できても相応の価値が得られない

つまり、貨幣経済に影響を与えない低額な貨幣を「硬貨」で

偽造したくても簡単にはできない高額な貨幣を「紙幣」として

流通させているのが背景にある理由ではないかと思われます。

仮に現在のインドが「10ルピー紙幣」から「10ルピー硬貨」に変わりつつある過渡期だと仮定すると、

インド社会にとっての10ルピー(約16円)という貨幣価値は

今までは偽造されてしまうと問題になり得るレベルであったのに対して

今まさに、偽造されたとしても問題にはなり得ないレベルに

少しずつ移行しつつあるのかもしれません

photo3

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Michi 2013年8月15日 - 8:20 PM

こんばんは、いつも楽しみにしています。通貨偽造の話で思い出したのですが、日本では少し前に、確かスキャナで紙幣を読みこんでプリンターで印刷して?使用するような犯罪が相次いだことがあるように思うのですが、インドではそうした事件はありませんか?オフィス街でキャノンなどの高精細な業務用のカラープリンターなども見かけたことがありますし、中には悪いことを試してみるような人も多そうですが、簡単には出来ない仕組みになっているんでしょうか?

私が初めてインドを訪れたのは学生時代で、今から大体25年くらい前になるのですが、その時に比べるとお札が綺麗になったというか、ボロボロのお札がずいぶん減ったなあという印象を持っています。これはひょっとして最近になってATMが普及し、銀行口座を持つ人が増えたおかげで、それまでのタンス預金がインド準備銀行に還流して綺麗なお札に替えられるようになったからかな?などと思っているのですが、どう思われます?

TANAKA 2013年8月21日 - 1:20 AM

Michiさん、いつもコメントありがとうございます。インドのニセ札事情は正直なところよく分かっていません。今でもボロボロのお札は5ルピー札と10ルピー札に多いですが、あまりひどいと受け取ってもらえないこともよくあります。銀行で手数料払えば換金してくれるらしいですが、それもあって少しずつ減ってきているのでしょうか。でもMichiさんが想像されていることが背景にあるのは間違いないと思います。

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