インド最南端に位置するタミルナドゥ州。
今回は、コインバトールの主産業とその歴史的背景、そしてこれからの可能性についてなど、コインバトール基本情報をご紹介致します。
国際線も就航するTier 2都市
ユネスコ世界遺産であるウェスタンガーツ山脈の生物多様性ホットスポットにあり、近郊の山々ではゾウ、シカ、サル、バイソン、クマ、タイガー、ヒョウなど多様な動物が生息するとても自然豊かな場所。
その地理的条件から、夏以外の気温は約24~30度と安定していて、とても過ごしやすいのが魅力です。
2022年現在、人口約290万人のTier 2都市で、近年は毎年前年比約2.6~2.7%(約7万人)というスピードで人口増加が進んでいます。
市の中心地から約10キロに位置するコインバトール・インターナショナル空港は、インド国内主要都市へのアクセスのみならず、シンガポール航空、スリランカ航空、エアーアラビアの3便が就航する国際空港です。
ちなみに、エアポートコードはCJB(Coimbatore Junction Board)。
テキスタイルの街「インドのマンチェスター」
バンガロールが「インドのシリコンバレー」と呼ばれるように、テキスタイル産業で有名なコインバトールは「インドのマンチェンスター」と呼ばれています。
1885年、コインバトールの起業家S.P.Narasimhalu Naiduがムンバイを訪れたのを機に、彼の親近者であったSir Robert Stanesによって、1888年コインバトールにはじめての紡績・織物工場「Coimbatore Spinning & Weaving Mills Limited」が設立されました。
ちなみに、S.P.Narasimhalu Naiduの名前にある「Naidu(ナイドゥ)」というのは彼が属するコミュニティの名前でもあり、彼らは何世代も前にアンドラプラデーシュ州から移住してきました。そのため、Naiduの人たちは今でもアンドラプラデーシュの言語テレグ語を母語として話します。
複数の通称名をもつ「モノづくりの街」
アパレル産業都市としての通称名は「インドのマンチェスター」ですが、実はそれだけではありません。
戦後の日本において、織り機から繊維機械、そして製造業の街へとシフトしていった豊田市などと同様に、コインバトールはアパレル産業のみならず、製造業の街としてもその地位を確立しています。
空港から市街地へ伸びるメインロード沿いにあるGeDee Naidu Car Museum。
彼の功績は、インド初の電気モーター、現在コインバトールがインドシェアの半分以上を占めるポンプの製造など、多岐にわたります。
その後もコインバトールは、インド初の国産ディーゼルエンジン、インド初のシングルシーター小型レースカー「FISSME」の開発など、多くの起業家たちの情熱によって製造業の街として成長してきました。
今急成長を続ける新たな産業「IT」
「インド=IT」というイメージが、日本でも広く浸透している昨今。
現在11のITパークと3つのIT経済特区(SEZ)が連立し、
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100を超える世界の大手企業がオフィスを構えています(2021年時点)。
世界最大のドイツ自動車部品メーカーBOSCHは、2006年よりR&Dセンター機能の中心をコインバトールに移行しています。
広大なインド。日系企業のインド開拓はこれから
コロナ前に比べて日系企業のインド進出やインド人材への関心が高まる中、デリー、ムンバイ、バンガロール、チェンナイなどの主要都市以外の情報には、なかなかリーチできていないという現状を感じています。
今回は、コインバトールの主産業の背景を中心にご紹介しました。