前回に引き続き、今回は「重要な管理職」や「監査人」に関する改正点についてご紹介します。
(1)重要な管理職(Key managerial personnel)に関する変更(新会社法:第203条)
旧会社法において払込資本額が5,000万ルピー以上の公開会社にのみ義務付けられていた“重要な管理職(Key managerial personnel)”の設置が、新会社法においては、上場会社及び払込資本額が1億ルピー以上の公開会社に対して適用されることとなりました。“重要な管理職”には、以下のような役職が該当します。
(1) 取締役社長(CEO:Chief Executive OfficerやMD:Managing Director)
(2) 会社秘書役(CS:Company Secretary)
(3) 財務最高責任者(CFO:Chief Financial Officer)
(4) 常勤取締役(Whole-time Director)
(5) 支配人(Manager)など
本規定内容から判断すると、いずれかの管理職を一人でも設置しさえすれば問題ない、というのが今のところ有力な見解になっています。ちなみに、旧会社法において義務付けられていた払込資本額が5,000万ルピー以上の全ての会社に対する常勤の会社秘書役の雇用については新会社法においても上記“重要な管理職”の設置義務のある会社以外に対しては引き続き義務付けられることとなっており、また、払込資本額が5億ルピー以上、もしくは、売上高が25億ルピー以上の公開会社にはSecretarial Auditを義務付けられることになりました。
(2014年4月1日付で施行済)
(2)監査人に関する変更(新会社法:第139条)
旧会社法においては、監査人のローテーションの義務に関する規定が存在していない中で、これまではインド勅許会計士協会が発表している倫理規範上において、上場会社の場合には、監査人は7年でローテーション、その後、2年間のクーリングオフ期間が期待される旨の供述がありましたが、実務上、法的な強制力はありませんでした。しかしながら、2013年インド新会社において、監査人のローテーションが義務付けられています。そして、監査人の任期も1年から5年に延長されています(任期中の解任は可能)。つまり、新会社法施行後に新規で監査人を選任する場合には、個人の監査人の場合には5年、監査法人の場合には10年の任期を終えた後、その後5年間は同じ会社において監査人となることはできない旨の規定が定められています。なお、旧会社法の下において過去に選任してきた監査人を、新会社法施行後に初めて開催される年次株主総会において引き続き選任する場合には、下記のスケジュールに従う必要がありますので注意が必要です。
個人の監査人のケース
新会社施行後初めての 年次株主総会開催時における 過去の同監査人の選任期間 |
同じ会社で監査人として 再び選任され得る最大任期 |
同じ会社で監査人になれる 合計最大任期 |
A |
B | A+B |
5年(もしくはそれ以上) |
3年 | 8年(もしくはそれ以上) |
4年 |
3年 | 7年 |
3年 | 3年 |
6年 |
2年 | 3年 |
5年 |
1年 | 4年 |
5年 |
監査法人のケース
新会社施行後初めての 年次株主総会開催時における 過去の同監査人の選任期間 |
同じ会社で監査人として再び選任され得る最大任期 | 同じ会社で監査人になれる合計最大任期 |
A | B |
A+B |
10年(もしくはそれ以上) |
3年 | 13年(もしくはそれ以上) |
9年 | 3年 |
12年 |
8年 |
3年 | 11年 |
7年 | 3年 |
10年 |
6年 |
4年 | 10年 |
5年 | 5年 |
10年 |
4年 |
6年 | 10年 |
3年 | 7年 |
10年 |
2年 |
8年 | 10年 |
1年 | 9年 |
10年 |
ちなみに、任期中に解任する場合には、株主総会において特別決議(4分の3以上の賛成)が要求される点には注意が必要です。(旧会社法においては普通決議(過半数の賛成)が必要)。また、新会社法の下において、監査人は会社が一定の措置を取らない限り、原則株主総会への参加が強制されることとなりましたが、株主総会は初年度のみ最初の会計年度末から9か月以内に行わなければならず(旧会社法下では会社設立後18か月以内)、また、開催場所も登録事務所の位置する市町村にて平日の9時から18時までに行わなければならないとしています(旧会社法下では株主全員の事前合意により場所・時間を自由に決定可)。
(2014年4月1日付で施行済)
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