ヒンドゥー教の聖地バラナシは「インドの中のインド」と呼ばれ、世界中から多くの人を惹きつけて止みません。
バラナシでは亡くなった人が火葬され、その遺灰をガンジス河へ流します。
人生観が変わると言われますが、この記事ではバラナシ旅行の魅力と注意点を詳しくお伝えします。
バラナシとは?
ヒンドゥー教では生きものは全て輪廻転生(死んでから生まれ変わること)を何百万回も繰り返すと考えられています。
しかしバラナシで死んで火葬され遺灰をガンジス河へ流すと輪廻転生から解放される(生まれ変わらなくて良い)と考えられているそうです。
インド各地から死ぬためにバラナシへやってきた人が大勢いて、「死を待つ人の家」で何十年も死を待っている人たちがいます。
バラナシの楽しみ方7選
バラナシは「インドの中のインド」とも言うべき濃い場所で、見所が満載です。1つずつご紹介します。
ガンジス河に昇る日の出を拝む
バラナシはガンジス河の西側に位置しているので、対岸に昇る朝日を拝むことができます。日の出を見るには朝5時半くらいに起きる必要があります。
季節にもよりますが、この時間帯は大勢のインド人が沐浴をしており、1日のうちで最も綺麗です。
河岸には祈る人、沐浴をする人、洗濯をする人など様々な人がいます。そして、ある場所ではインド中から運ばれた遺体が薪で燃やされていたり、サドゥーと呼ばれる出家した修行者が瞑想していたり、蛇使いがいたり、明らかに麻薬らしきものを吸っている人もいます。牛もいればヤギ、犬、猿など、色々な動物もいます。
ガンガーアールティー(祈りの儀式)を見学する
バラナシでは毎晩18:30頃からガンガーアールティーと呼ばれるプージャ(祈りの儀式)をやっています。仏教のお経のように静かで厳粛なものではなく、インドらしい非常に明るくて賑やかな儀式です。
火葬場を見学する
バラナシにはガートと呼ばれるガンジス河へ降りる階段が84あります。このうち、ハリシュチャンドラ・ガート(以下、「小さい火葬場」と言います)とマニカルカー・ガート(以下、「大きい火葬場」と言います)と呼ばれる2つのガートには火葬場があります。
バラナシの火葬場はオープンで、遺体が火葬されているところを誰でも見ることができます。
布にくるまれた遺体が次から次へと運ばれてきて、おそらくバラモン(僧侶)が祈りをしてから火葬されます。
大きい火葬場の場合、1日に火葬する人数は200~300名ほどで、24時間稼働しており、全て薪で火葬されます。1人の人を火葬するのに所要時間は3~4時間ほどだそうです。小さいガートの方は一部電気も使われているそうです。
但し13歳以下の子ども、妊婦、蛇に噛まれて死んだ人、動物、事故に遭った人などは火葬されず、石に縛られて河の真ん中で沈められるそうです。
火葬場は写真撮影NGですが、ボートからは撮影している人は大勢いました。
路地を散策する
バラナシは古い町なので自動車の利用を想定しておらず、中心街が狭い路地に密集しているため徒歩で観光をすることができます。
バラナシは細い路地に様々な個人商店が密集していて、歩いているだけでも非常に面白いです。細い路地の至るところに牛や犬、猿、ヤギがいます。古い建物が並んでいて非常に趣があります。
ガンジス河の対岸でラクダに乗る
バラナシの対岸はムガルサライと呼ばれる場所で、広い砂浜が広がっていて何もありません。建物は1つもありません。
(実際「バラナシ 対岸 不浄の地」とググると様々な記事が出てきます)
しかしこの件について現地のインド人複数名に聞いたところ、異口同音に
「別に宗教上の不浄の地(Bad Place in Hindu religion)ではないが、夜は明かりもなくて治安も悪いから行かない方がいいです。また対岸に建物がないのは不浄の地だからではなく、雨季になると水位が増して対岸は全て水没してしまうからです。」 |
沐浴をする
沐浴というのは、ガンジス河に入ることです。
但し、地球の歩き方には
ガンガーには死体が流されるほか、下水や工場排水などが流れ込んでいるため、免疫のない日本人が沐浴するには注意が必要。実際に沐浴したあとに発熱や下痢の症状を訴える人も少なくない。また、雨季には水量が増えとても危険なので、絶対に泳がないようにしたい。
地球の歩き方 インド 2018-19年度版 P227
と書かれています。
細菌はあらゆる粘膜から入ってくるようで、インド人でも身体を壊す人は後を絶たないので、沐浴をする場合には旅行の日程に余裕をもって細心の注意が必要だと思います。
初転法輪の地サールナートで仏教寺院を参観する
バラナシからオートリキシャで30分ほど離れた場所にサールナート(鹿野苑)という場所があります。
サールナートは、ブッダガヤで悟りを開いた釈迦(ガウタマ・シッダールタ)が初めて説法を行った場所で、いわば仏教発祥の地と言えます。
上記の写真の場所が、釈迦が最初に説法をしたとされている場所です。
ブッダガヤと同じく、サールナートには日本寺や中国寺など各国の寺院が建てられています。
バラナシ旅行の注意点
バラナシの気候と観光にオススメの時期
バラナシ観光のベストシーズンは乾季の11月から2月頃です。
雨季はガンジス河の水量が増して河岸まで降りられなくなるので、とても不便です。また、バラナシは細い路地に牛が歩いていて至る所に牛の糞が落ちており、雨季は牛糞が雨に溶けて濁流となって坂や階段を流れ落ちてきます。
そして11月~2月頃は寒いので熱中症になるリスクも少ないです。
但し12~1月は気温が一桁まで下がるのでコートが必要で、大気汚染も酷くなるので注意が必要です。
バラナシでの治安
バラナシは南アフリカやベネズエラのように白昼堂々刺されることはありませんが、油断して大丈夫なほど安全な場所ではありません。
- 火葬場で薪代と称してお金を取られる
- 親切なガイドのフリをして土産物屋へ連れて行き買うまで返さない
- クスリを勧められる
などの話をよく聞きます。
ガンジス河でのボート
バラナシ観光最大の目玉は、ボートからの日の出やプジャーの見学です。
河岸を歩いていれば大勢のボート漕ぎから声をかけられますので、400ルピー(600円)程度で乗ることができます。
※ネットで日系旅行会社の現地ツアーを調べたところ、早朝ボートに乗るだけで7000円もしました。
サンタナゲストハウスについては初めてのインド一人旅にオススメ!日本人向けゲストハウス「サンタナ」をご紹介の記事をご参照ください。
空港からバラナシへの移動
バラナシの空港から市内への移動は、OLAで700ルピー、プリペイドタクシーであれば1200-1500ルピー程度です。
市内ではUBERも利用できました(2019年1月時点)。インターネットの情報では「OLAは使えるがUBERは使えない」というものが多かったので意外でした。
インドに来てバラナシへ行かないのはもったいない
インドに全く興味のない日本人でも知ってるインドの有名な観光地と言えば、タージマハルとガンジス河(バラナシ)くらいだと思いますが、タージマハルはイスラム建築なので、本当に「ザ・インド」と言えるのはバラナシだと思います。