

インド人の親切さには、驚かされることも度々ありました。
今回は、そんなインド人の親切さを感じた体験談を交えながら紹介します。この記事を読んで、インド人特有の親切さを感じていただけたら幸いです。
インドでは「親切がノーガードで、ぶつかってくる」
まずお伝えしておきたいのは「インド人はとんでもなく親切」ということです。
私はインド人の親切さを伝える時に「親切がノーガードでぶつかってくる感じ」といつも表現します。
インドでは人との距離が非常に近いと感じるからです。物理的にも精神的にも人との距離が近く、親切心で行うことも遠慮なしに、どんどんやってくれます。とっても嬉しい反面、私には時々ちょっぴり「ありがた迷惑」と感じてしまう事も。
今回、そんなインドの「親切さ」を取り上げたのには理由があります。
日本において、インドに対するネガティブなイメージがまだまだ多くつきまとっていると感じているからです。治安が悪い、レイプ、衛生環境や大気汚染など…。

私はその1つに「親切さ」があると思うのです。この魅力を多くの人に伝え、インドのネガティブなイメージを払拭したい。そんな想いで今回の記事を書いています。
インド滞在中に親切を感じた5つのエピソード
私がインド人の親切さを感じたエピソードを5つ紹介します。
①旅行者にやさしい
当然ながら、初めてインドを訪れる人には、知識も経験もありません。道も、メトロやバスの乗り方もわからないものです。そんな時、インド人はいつも助けてくれました。
例えばローカルバスに乗った時は、乗員や周りのお客さんに自分の目的地を伝えておくと、「着いたよ。君はここで降りるんだよ。」と必ず誰かが教えてくれました。
長距離バスの乗り場がわからなくて困り果てていた時には、一緒に歩いて探してくれた人もいました。自分がわからなくてもいろんな人に聞いて回って、なんとか助けようとしてくれたおかげで、無事にバスが見つかり事なきを得たのです。
ただし、観光地で“親切すぎる”インド人には要注意です。外国人を騙そうと近づいてくる人も中にはいるため、インドでは人を見る目も養わなければなりません。これは私の経験上ですが、田舎に行けば行くほど騙そうとする人は少なくなり、本当に親切心で助けてくれる人が多くなるように感じます。
②インド人は嘘をつく?
「インド人は嘘つき」とはインドに行ったことがある人なら、一度は聞いたことがあるでしょう。しかし、これには誤解があります。インド人は嘘をついているつもりはないのです。
例えば、道を聞くと、人によって言うことがバラバラなのはインドではよくあること。なぜかと言うと、インド人は「せっかく聞いてくれたのに知らないと言うのはかわいそう」と思うようなのです。

そのため、本当は知らないのに教えてあげたら結果間違っていた、なんてことが発生してしまいます。インド人の嘘は、親切心からきているのです。

③メトロの中で
メトロの中で立っていると「ここ空いてるから座って!」と手招きされることがよくありました。
「空いている」と言っても、7人定員の席にすでに7人座っています。そう、インドではぎゅうぎゅうに詰めて、7人掛けの席に10人が座るなんてことはザラです。
人口の多いインドでは必然的にそうなるのでしょうか、人と人が触れ合うことにまったく抵抗がありません。(男女の場合は別です。)
手招きされたわずかなスキマに座っても、「お尻の片方が隣の人に乗っている」ような状態になるのです。正直私は、「いや、そんな座り方、逆に疲れるから立ってる方がいいんだけどな……」と思いました。
しかし、熱心に手招きをしてくるご婦人の根気に負け、お尻を半分浮かせながら座ったのです。これも、インド人の親切心ですね。
④インドの大家さん
大家さんとも、ただ家賃を支払うだけの関係ではありませんでした。月に一度、支払いのために現金を持って大家さんの家に行くのですが、毎回ソファに座って「何か困ったことはないか」「仕事はどうだ」など聞かれて、たくさん話をしたものです。
日本人女性が一人で暮らしているのを心配してくれたのでしょう。「何か困ったことがあったらいつでも言いなさい」と、いつも気にかけてくれました。

実際、インドに住むとトラブルはつきもの。住み始めた当初、トイレットペーパーを水に流して詰まらせてしまった時も、真っ先に大家さんに連絡しました。大家さんはすぐに業者を呼んで対応してくれ、とても助かったのです。私一人だったら、どこに連絡すればいいかわからず、うろたえるだけだったでしょう。
ちなみに、この事件の後に「君はトイレの使い方を知らないのかい?インドでは紙を水に流したらいけないんだよ」とたしなめられました。インドでは紙は水に流さず、ごみ箱に捨てましょうね。

⑤インドは子育てがしやすい?
「インドでは子育てがしやすい」とは、インド在住の日本人何人かから聞いた話です。
その理由として、インド人は子どもが大好きという面があります。メトロやレストランで子どもを見かけると、インド人はかわいがってくれますし、子どもが泣いたり騒いだりしても誰も気にも止めません。子どもに対してとても寛容で、行き過ぎなほどかわいがります。
日本では公共の場で子どもが泣いたり、ぐずったりすることに、気を使っている人が多いのではないでしょうか。インドではそういった気を使わなくていいだけで、親御さんの気持ちは随分楽なのではないかと想像できます。
これも国民性?噂話、おしゃべりも大好きなインド人
人との距離が近いインドでは、人付き合いも濃厚です。そして、インド人はおしゃべりや噂話も大好き。
近年の経済成長目覚ましいインドですが、それでも日本に比べると娯楽が多いとは言えません。娯楽の数が少ないのもあり、人々は熱心に噂話に精を出すのでしょう。
私が北インドの街・バラナシのとある一般家庭に滞在した時は、家族親戚が集まり、深夜までおしゃべりに熱中していました。私が寝ている部屋まで話し声が聞こえてきたことも。深夜まで話し続ける彼らの体力にも驚いたものです。

周りの目は気にしない 「自分がしたいから」親切にする
冒頭で「インド人の親切さは、ありがた迷惑に感じる時もある」と述べましたが、メトロのエピソードはまさにこれです。
私は席に座りたいと思っていないのに「立っているのはかわいそうだから、何としてもここに座らせてあげなければ」という一心なのでしょう。日本人だったら、遠慮してしまって言えないようなことも、彼らは気にも止めず言ってきます。よくも悪くも、インド人は遠慮をしないのです。「周りにどう思われるか」より、あくまでも「私がこうしてあげたい」を優先する。

日本人の周囲に気を配る性質も素晴らしいですが、インド人のように素直に自分の気持ちを表現することがあってもいいのかな、とも思います。
遠慮なしにくる好意をどう受け取るかは、人次第です。親切心を迷惑と感じるかもしれないし、ありがたいと思ってくれるかもしれない。
けれど、「他人がどう受け取るかは関係なく、自分が親切にしたいと思ったからする。」そんなふうにシンプルに生きてもいいのかも、とインド人を見ていると思うのです。