シングル・ウィンドウ・クリアランスとは?

by 田中啓介 / Keisuke Tanaka

タミル・ナードゥ州(TN州)では

自動車産業を中心とした製造業の集積が進んでいます。

製造業(特に完成車メーカー)にとっては

部品の調達先であるサプライヤー企業の存在が

重要な鍵となりますが、

日系完成車メーカーや部品サプライヤーにとっては、

日系企業が求める品質水準に耐えうるインド地場サプライヤーで、かつ、

租税コストや物流コストの削減、物流リードタイムの観点から

同州内に拠点を持つサプライヤーの発掘に苦戦をしており、

特に日系企業の二次・三次サプライヤーのチェンナイ進出を期待する声は

日に日に高まりつつあります。

 

さて、製造業がインドに進出する際に必要となる工場等の建設には、

様々な担当部局から複数の許認可を取得する必要がありますが、

特に重要なのが、工場の建設開始のために必要となる建設許可です

これは ”CTE:Consent To Establishment” と言われ、

州の汚染管理局(PCB:Pollution Control Board)から発行されます。

インドに進出してきている特に製造業の日系企業の多くは

これらの許認可を取得するために多大な時間・手間を強いられています。

 

一方で、これらの手続において有益なサポートが得られる州政府機関があります。

TN州政府内にあるガイダンス・ビューロー(Guidance Bureau)

この州政府機関は、PCBの建設許可も含めた一連の許認可の申請手続を、

一元的に受け付けるサービス ”シングル・ウィンドウ・クリアランス” を提供しています。

具体的には、申請企業がガイダンス・ビューローの審査委員会において

当局に対する事業内容及び計画についてのプレゼンテーション・質疑応答を行い、

各関連当局からの異議がない場合に、

その事業を“原則”許可するという「In-Principle Clearance」のレターが発行されます。

これは、最終的な工場建設許可及び操業許可を意味するものではありませんが、

これを取得することによってとりあえず工場等の建設を開始することができる

という意味で、事業立ち上げまでの期間の短縮が期待できます。

インド進出には、進出前のフィジビリティ・スタディ(投資調査)から

インド法人の設立、工場等用地の確保、各関連許認可の取得、

操業開始後の会計・税務・労務等の子会社管理に至るまで様々なステップがあり、

自社のみで対応しようとすると膨大な時間がかかってしまうことが想定されます。

インド事業に専念できる体制を構築し、

いち早く収益が得られる事業展開ができるよう、

各進出ステージにおける具体的な実務については、

外部の専門家のサポートを積極的に活用されることをお薦め致します。

 

(急な渋滞の原因は、、、モーさんでしたというのはよくある話。笑)

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