昨日2013年3月29日に
日本では税制改正関連法が、参院本会議にて成立しました。
設備投資等への減税策や
富裕層への増税策などが盛り込まれているようですが、
インドでも、毎年恒例のインド予算案がこの2月末に発表されています。
細かい論点はたくさんありますが、
今日はその中でも日系企業にも影響が出そうな
税制改正3点についてご紹介したいと思います。
(1)、法人と個人の所得税および配当分配税へのサーチャージ
まず、年間課税所得が1,000万ルピー(約1,700万円)を超える富裕層のみ
10%のサーチャージ(課徴金)が追加で取られることになりました。
この改正によって、個人の最高実効税率は33.99%になります。
少し余談になりますが、
この富裕層の人数が、昨年度の確定申告の実績上、
インド国内にわずか42,800人しかいないとの発表もされていました。
提携先の会計事務所とこの件について話していると、
さすがにこの数字はあり得ない、とのこと。笑
その背景として考えられるのは、
富裕層である政治家はおそらく申告していない、
農業事業者の所得は非課税なのでそれも多少影響がある、
投資家が得ている配当所得も基本的に非課税なのでそれも影響があるだろう、
というお話です。
ちなみに、野村総合研究所が発表しているレポートによると
日本の富裕層(投資可能資産1億円以上)の世帯数は約85万世帯もあると言われています。
一方、年間課税所得が1億ルピー(約1億7,000万円)を超える内国法人(子会社等)も
同様にサーチャージが5%から10%に引き上げられ、実効税率は33.99%に。
また、年間課税所得が1億ルピーを超える外国法人(支店等)も、
同様にサーチャージが2%から5%に引き上げられ、実効税率は43.26%になります。
最後に、配当を支払う側が課税される配当分配税(DDT: Dividend Distribution Tax)も
同様に、サーチャージが5%から10%に引き上げられ、実効税率は16.995%になります。
(2)、製造業者の新規取得資産に対する所得控除(Section 32AC of Income Tax Act)
これは中堅および大手製造業が対象になりますが、
2013年4月から2015年3月末までの期間において
総額10億ルピー(約17億円)超を “新規資産” へ投資した製造業者は、
その投資額の15%相当額を、課税所得から控除することができます。
なお、“新規資産”と認められるための条件が設定されていることと、
それら資産を事業の用に供した日から最低5年間は保有しなければならいないこと等の規定があり注意が必要です。
(3)、非居住者へのロイヤリティや技術上の役務に対する支払に関する源泉所得税(TDS)(Section 115A of Income Tax Act)
非居住者(日本の親会社等)へロイヤリティや技術上の役務に対する支払を行う際のTDSが
従前の10%から25%に引き上げられました。
なお、日印租税条約において規定されている10%は、
要件を満たせば引き続き採用できると考えられます。
その要件とは、
(a)支払の受け取り側である日本の親会社がPAN(Permanent Account Number)を取得
さらに2013年4月以降は(a)に加えて、
(b)日本の親会社が居住者証明書(TRC: Tax Residency Certificate)を取得し、
(c)インド子会社に送付する必要があるため注意が必要です。
日系企業にとって有用だと思われるインド税制やスキームについて
今後少しずつご紹介していきたいと思います。
(安倍さんが首相指名選挙で指名された時の記事。タミル語なので全然分かりませんが。笑)
2 comments
確か先々月のThe Hinduに安倍首相の記事が載っていましたが、書き出しがいきなり”Hawkish prime minister”でした(笑)。東アジアの治安がこうですから、確かに就任時には各国とも警戒したかもしれません。是非とも安倍内閣には、ぐっと建設的な対印政策をお願いしたいものですね。
そうなんですね。安倍さんからタカっぽさはあまり感じたことがありませんが。笑 ホント流れができているように思うのでぜひうまく舵取りをしてほしいものです。
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