インド税制を複雑にする州付加価値税の仕組みとは?

by 田中啓介 / Keisuke Tanaka

インド税制、特に間接税の仕組みは複雑でややこしい

以前のブログでそんな話をご紹介しました。

そのややこしくしている原因のひとつに

「州付加価値税(州VAT:Value Added Tax)」と、

「中央販売税(Central Sales Tax)」があります。

 

「州付加価値税」というのは、州内での物品の販売に対して課税される税目で、

日本で言うところの「消費税」に当たります。

消費税申告納税額の計算方法は

原則、会社がお客様等から代金を受け取ったときに預かった消費税から

会社が仕入れ業者等へ支払った消費税(仕入税額控除)を差し引いた残額を納めます。

 

“インド版消費税” である「州付加価値税」の難しさは、

州ごとにその税率も違えば、

州ごとにその計算ルールも違う点にあります。

そして、同じ州内での仕入税額控除のみが控除の対象になっていて、

他の州で負担した州付加価値税は控除できない仕組みになっているんです。

そして、何よりビジネスに大きな影響を与えているのが

州をまたぐ取引が発生した際に、

「州付加価値税」ではなく、

代わりに「中央販売税」が課税される点です。

つまり、販売、もしくは購入によってある州から他の州に物品が移動する場合には、

「州付加価値税」の代わりに、「中央販売税」が課税され、

もし同じ州内での購入であれば本来は仕入税額控除として

税金申告上控除できていたものが、

州をまたいでしまったせいで控除することができなくなってしまいます。

つまり控除できなくなった税額分がそのまま会社のコストになってしまうんです。

そこで、これを避けるために、

例えば、多くの製造業者はわざわざ各州に在庫拠点を置いていて、

それぞれの在庫拠点までは自分たちで物品の移動を行った上で、

最終的には同じ州内で販売ができるような体制を整えているようです。

また、例えば、別の州であっても販売先が近ければそこから発送するのが当然ですが、

このような体制を取っているがために

どれだけ遠くても同じ州内の拠点から商品を発送しなければならず

わざわざ遠回りをする結果になってしまう場合もあるようです。

これでは配送コストが割高になり、逆に余分なコストを生んでしまいかねません。

 

(28つの州、6つの連邦直轄領、デリー首都圏からなるインド)

 

また、少し話はズレますが、

州をまたぐ単なる移動であっても商用車の場合には州越え手数料(Interstate Toll)を取られます。

例えば、私がチェンナイ(タミル・ナードゥ州)から

バンガロール(カルナータカ州)にタクシーで移動したときに手数料を取られました。

チェンナイから(タミル・ナードゥ州)から

ポンディチェリ(連邦直轄領)にタクシーで移動したときも

そして、私がデリーに出張へ行ったときに

デリー国際空港(デリー首都圏)から

タクシーで約1時間のノイダ(ウッタル・プラデーシュ州)という街に行く途中でも

同様の手数料が取られました。

州をまたぐと何かとややこしく、そして、追加コストまでかかる現在のインド法制度

インド進出拠点を検討する際は、

上記の点もしっかりと考慮した上で検討する必要がありそうです。

 

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