7月に入ってから雨の日が少しずつ増え、
インドの暑さも随分と和らいできました。
7月中旬から、タミル・ナードゥ州各地では
マーリアンマンと呼ばれる女神の祭礼が盛んに行われます。
マーリはタミル語で「雨」を、
アンマンは「母、女神」を意味し、
その名のとおり、雨が穀物の収穫をもたらしてくれることから
大地の豊作を司る女神として篤く信仰されているようです。
さて、ここ最近、インド自動車業界の新聞記事をよく目にします。
インド経済が全般的に低迷傾向にある中、
6月19日付ヒンデュスタン・タイムズ紙の記事には、
乗用車メーカー各社の新車車種別の値引き一覧が公表されました。
インド四輪車メーカー最大手のマルチ・スズキの小型車『アルト(Alto)』は
最大43,000ルピー(約7万円)の値引き
中型車『SX4』は最大83,000ルピー(約14万円)の値引きを実施しています。
また、7月9日付のザ・ヒンデュー紙の記事によると
ディーゼル燃料費の高騰でディーゼル車の販売が低迷しており、
マルチ・スズキはディーゼル・エンジン製造部門の
契約社員200名に対して、解雇通告を実施しました。
一方で、今春ホンダがインドに投入したばかりの新型セダン『アメイズ(Amaze)』や、
仏ルノーが昨年に投入したSUV『ダスター(Duster)』の販売が好調で、
これらの車種には割引オファーが出されていません。
そんなホンダは、今年5月の月間乗用車販売台数で
トヨタ自動車を抜いてついに5位に躍り出ました。
7月9日付の日本経済新聞社の記事によると、
2013年4~5月における乗用車メーカー別シェアは、
1位:マルチ・スズキ(41.1%)
2位:現代自動車(15.7%)
3位:マヒンドラ・マヒンドラ(11.5%)
4位:タタ自動車(8.4%)
5位:ホンダ(4.8%)となっています。
また、チェンナイ周辺に工場を構える日産自動車の動きも活発です。
2012年度のインド新車販売台数は3万7千台で国内シェアは約1%に過ぎませんが、
2013年度には10万台に増やすという強気の目標を掲げ、
新しい小型車『マイクラ(Micra)』、SUV『テラノ(Terrano)』
そして、新興国ブランド『ダットサン(Datsun)』を年度内に順次投入する計画です。
インドの自動車業界は今まで低価格な小型車中心の販売戦略が定説でしたが、
マルチ・スズキの『スイフト(Swift)』やトヨタ自動車の『イノーバ(Innova)』
そして、マヒンドラ・マヒンドラの『ボレロ(Bolero)』などの比較的大きな車種を中心に、
前年度比で販売台数を伸ばしているというデータもあります。
乗用車メーカー各社が新型車の投入を急ぐ中、
新車販売台数が2020年までには500万台に達するとされるインド自動車市場は、
まさに今、新たなステージに進もうとしているのかもしれません。