インドの結婚式は、色鮮やかな衣装、豪華な装飾、そして多くのゲストが集まる壮大なイベントです。
一度経験すれば忘れられない思い出になるでしょう。
しかし、文化や習慣の違いを理解していないと戸惑うことも多いかもしれません。
この記事では、インドの結婚式に招待された際に知っておくべきマナーや楽しみ方をご紹介します。
1. インドの結婚式シーズン
(1) 冬の結婚シーズン(11~2月)
最も人気のあるシーズンで、特に北インドでは晴天が続き、涼しく快適な気候が理由です。
ディワリ(光の祭典)後の吉日から始まり、2月の終わりまで続きます。
新郎新婦やゲストは、華やかな衣装を楽しみやすく、装飾や料理の準備にも最適な時期です。
(2) 夏の結婚シーズン(4~6月)
特に南インドを始めとする一部の地域で人気な時期です。
熱帯気候の地域では、雨季が始まる前のこの時期に多くの結婚式が行われます。
夕方や夜間の式が一般的で、涼しい時間帯を選んで行われることが多いです。
(3) モンスーン後(9~10月)
雨季が終わると、豊作を祝う祭りや宗教行事が続き、吉日が設定されることがあります。
自然が緑豊かになるこの時期には、屋外の結婚式や庭園式のイベントが行われることがあります。
(4) 非シーズン(6~8月)
6月中旬から8月にかけてのモンスーンシーズンや、一部の宗教的な断食期間では、結婚式が少ない傾向があります。
2. 招待状を確認し、開催時間をチェックしよう
インドの結婚式の招待状には、式の詳細が書かれていますが、日程や会場が複数書かれている場合があります。
これは、インドの結婚式が数日にわたるイベントであるためです。
主なイベントの種類
- メヘンディ(Mehendi): 新婦と女性ゲストがヘナタトゥーを楽しむ前夜祭
- サンギート(Sangeet): 音楽とダンスで盛り上がる前夜祭
- 結婚式(Wedding Ceremony): 実際の婚礼儀式
- レセプション(Reception): 新郎新婦を祝うパーティー
そしてスケジュールは地域のスタイルによってさまざまですが、インドの結婚式は長時間行われることが多いです。
わたしが過去に参加した結婚式のスケジュールはこんな感じでした。(新郎側で出席しました)
- 13:00:車で新郎の自宅へ(この日はグルガオンから南東へ320kmほど行った田舎のエリアでした)
- 18:30:新郎の自宅に到着・ご家族とゆっくり過ごしながら新郎の準備を眺める
- 19:00:新郎宅でのお祝いの儀式がはじまる
- 20:15:結婚式会場へ移動
- 20:30:ご飯を食べたり、写真を撮ったりしながらのんびり過ごす
- 21:30:新郎の儀式がはじまり遠目で見学
- 22:30:新婦登場
- 23:00:フラワーシャワーのようなものに参加・新郎新婦と写真撮影
- 23:30:パーティはまだまだ続くが、我々はここで退散。グルガオンへ戻る
- 翌6:00:家に到着
ざっとですが、スケジュールはこんな感じでした。
新郎宅で行われた儀式の様子日本と違って新郎新婦が現れてもダンスをし続けていたり、ご飯を食べていたりと、基本的に自由に過ごすスタイルだったため、最初は環境に戸惑ってあわあわしてしまいました笑
また、受付などもなく出入りも自由になっていたり、新婦が登場するのもかなり遅いため、最初から最後までいないと…!というよりは、ゆっくり向かうくらいがちょうどよいかもしれません。
ちなみに、わたしたちは日付が変わる前に会場を後にしましたが、パーティーは翌朝まで続いたそうです。

3. ドレスコードはあるの?
インドの結婚式では、華やかな衣装が求められます。
日本では派手すぎるのはふさわしくない…と言われることが多いですが、インドの場合派手すぎることはあまり心配せず、むしろ明るい色や装飾の多い衣装を選びましょう!
男性:クルタやシェルワニと呼ばれる伝統衣装がオススメ
普通のスーツでも構いませんが、伝統衣装の方が喜ばれることが多いです。
女性:サリーやレヘンガといったインドの伝統衣装がベスト
借りたり購入したりする場合は、色鮮やかで刺繍が美しいものを選ぶと◎
サリーとクルタについてもっと知りたい方はこちら
4. 地域ごとの結婚式スタイル
インドは広大な国で、地域ごとに結婚式のスタイルが大きく異なります。
地域による違いを理解しておくと、結婚式の内容や雰囲気をより楽しむことができますので、結婚式に参加される場合は、その地域のご友人などに特徴を聞いてみるのがオススメです!
(1) 北インド:華やかで映画のような結婚式が特徴
とくにパンジャーブ地方では、音楽とダンスで盛り上がります。
新郎が馬や象に乗って登場する「バーラート(Baraat)」が一般的です。
花火や豪華な装飾が用いられることが多く、宴会も盛大に行われます。
(2) 南インド:シンプルで伝統的なスタイルが多い
ケララ州では、金色のサリー(カサヴ・サリー)が新婦の衣装として人気。
結婚式は早朝に行われることが多く、ココナッツやバナナの葉を使った装飾が特徴的です。
カルナータカ州では、花嫁と花婿が米をお互いに撒く儀式「タリケト」が行われます。
(3) 西インド:ダンスも行われることが多い豪華な結婚式
ラジャスタン州では、砂漠の宮殿やフォートを会場とする豪華な結婚式が多いです。
グジャラート州では、「ガルバ」と呼ばれるダンスが結婚式の一環として行われます。
マハーラーシュトラ州では、新郎新婦が伝統的なマーラーティスタイルの衣装を着用します。
(4) 東インド:赤と白の衣装が主流
ベンガル地方では赤と白の衣装が主流で、特に新婦は赤いサリーを着ることが多いです。
結婚式では、バナナの木や水壺が神聖なシンボルとして使用されます。
アッサム地方では、特有の織物技術を用いて伝統的な模様やモチーフを施した絹の衣装「メクヘラ・チャダー(Mekhela Chador)」が新婦の衣装として使われます。
5. 贈り物の選び方
インドの結婚式では、贈り物の文化も独特です。
(1) お金を贈る
日本でご祝儀として一般的なお金。
インドでも何を贈るか悩んだらお金を渡せばOKだと思います。
入れる金額はいくら!と断言するのは難しいですが…これまで参加してきた限り1000~5000ルピーあたりが相場のように感じます。
ただし、お金を渡す際には「最後に1ルピーを足して」渡すようにしてください。
これは「Shagun Number」というもので、インドで金銭的な贈り物をする際に重視される縁起の良い数字であるためです。

(2) ギフトを贈る
家庭用品や装飾品が好まれますが、ギフトを贈る際には事前に新郎新婦やその家族に確認すると良いでしょう。
贈り物を手渡す際は「おめでとう」という意味を込めて、笑顔をお忘れなく!
6. 食事を楽しもう
インドの結婚式では豪華なビュッフェが用意されることが多く、地域ごとに料理の特徴が異なります。
ベジタリアン料理が中心
ヒンドゥー教の家庭ではお肉を使わない料理が多いです。
また、地域ごとに使われるスパイスや料理の特徴も異なります。
- 北インド:濃厚なカレーやナン、サモサなどが定番で、ガラムマサラやターメリックが多用される
- 南インド:ココナッツをふんだんに使った料理や、酸味のあるラッサムやサンバルがよく見られる
7. 結婚式を思い切り楽しむコツ
インドの結婚式は一大エンターテイメントです。
地域ごとにエンターテイメントの形式や内容も異なりますが、インドの結婚式は日本のように着席して余興を楽しむ…みたいなものではなく、会場内で自由に過ごすスタイルがほとんどです。
そのため、ただぼーっと過ごすのではなく、自分から積極的に行動することでより、結婚式を楽しむことができます。
ダンスに参加したり、他のゲストと会話を楽しんだり、一緒に写真を撮ったり…。ぜひ、積極的にコミュニケーションをとってみてください。


知っておくと便利なヒンディー語フレーズ
現地の言葉を少しでも話せると、ゲストとの距離が縮まります。以下は覚えておくと便利なフレーズです。
- शादी मुबारक हो(発音:Shaadi mubarak ho!)「結婚おめでとう!」
- बहुत अच्छा लग रहा है(発音:Bahut acha lag raha hai)「とても素晴らしいです」
- धन्यवाद(発音:Dhanyavaad)「ありがとう」
おわりに
インドの結婚式に参加することで、インド文化を体験し、人々の温かさを感じる貴重な機会を得ることができます。
マナーを守りつつ、積極的に楽しむことで、インドならではのお祝いの雰囲気を満喫してください!
インドの結婚式は、新郎新婦だけでなく、家族全員が主役とも言えるイベントです。
新郎新婦はもちろん、そのご家族・親族も含めて「おめでとう」と伝えてあげてください。
