【これがインド料理!?】未開の地マニプール州山岳地帯のロンメイナガ族の料理を紹介

by GangmeiEri

GANGMEIERIさん
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今この記事を読もうとしている皆さんにとってインド北東部はどのような場所でしょうか。キリスト教徒が多い地域?インド他州より英語が話されている地域?ヒンディー語があまり話されない地域?

ごうぞう
ごうぞう
みんなどんなイメージが湧いたぞう?

インド北東部は、アッサム州、メガラヤ州、ナガランド州、マニプール州、ミゾラム州、トリプラ州、アルナーチャルプラデシュ州の7州から成り、これらを合わせてセブンシスターズ(7姉妹州)と呼ばれています

セブンシスターズには数百の言語と100以上の民族、これに加え、他州から移住してきたインド人も混在しています。

ここを訪れる人々は、インド北東部を「最もインドらしくないインド」と形容すると言われています。一歩そこに足を踏み入れると、インドとは信じられないくらい異なる文化、宗教観、食習慣、言語が存在しているからです。

GANGMEIERIさん
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今回の記事は、そんなマニプール州に暮らすロンメイナガ族の食文化や料理について紹介していきたいと思います。

 

インド北東部マニプール州ってどんなところ?ロンメイナガ族ってどんな人たち?

GANGMEIERIさん
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私は、インド北東部マニプール州出身のロンメイナガ族の夫と結婚して以来、2017年より同州山岳地帯の農村部に暮らしています。

マニプール州にはおよそ33の部族が暮らしているとされ、同州で話されている言語は数あまたと言われています。州都インパールを除き、その面積の殆どが山岳地帯から構成されているので多くの住民たちは山岳地帯で暮らしていることになります。

マニプール州の山岳地帯の村ロンメイナガ族は、ほぼ同等の文化や慣習、食習慣などを共有するおよそ66のサブトライブから構成されているナガ諸族(英語でNaga)のサブトライブの1つで、主にアッサム州、マニプール州、ナガランド州に居住しています。




また、インド国憲法において政府指定少数部族の1つに制定されているサブトライブです。

ロンメイナガ族に拘わらず、マニプール州に暮らすほとんどの部族はモンゴロイド系に属しているので、彼らの顔立ちは日本人となんら変わりません。

GANGMEIERIさん
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日本人にとってのインド人は「ターバン」や「サリー」「目鼻立ちがくっきりしている」などのイメージが大きいと思います。北インドのアーリヤ系インド人や南インドのドラヴィダ系インド人ではない顔立ちのインド人はとても新鮮ですよね。

大家族なこともロンメイナガ族では特徴的。3世帯で暮らすのなんて普通!

 

 

深い森林に囲まれた山岳地帯では、食べられる物&動く物なら何でも食べる!

ロンメイナガ族は、その殆どが都市から遠く離れた山岳地帯に暮らしているため、生活の要となる食糧も必然的に山から得られるものに頼らざるをえません。

女性は薪拾いや食糧を探したり田んぼや畑の手入れをする為、男性は狩猟の為に殆ど毎日山に出かけます。

また、彼らのおよそ8割がキリスト教であり、ヒンドゥー教のような厳しい食制限がないので幅広く食を選択できることに繋がっています。

GANGMEIERIさん
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古代より慣れ親しんできた自然の恵みをふんだんに受けながら、狩猟や採集により食糧を確保してきた彼らは、動くものなら何でも捕獲して料理し、また保存食として乾燥・発酵させて食する技術を持ち合わせ、さらには毒成分がある食用不可の山菜などの分別や医療目的に使用できる薬草についての知識もあります。

ごうぞう
ごうぞう
見分けられちゃうなんて、すごいぞう!

干物に似た乾燥させた魚。カレーに入れて他の野菜と煮詰めたり、副菜としてナガ唐辛子と混ぜ合わせて食べる。

牛の皮を火で炙り乾燥させたもの。Goaigee(英語でCow skin)と呼ばれる。万病に効くと言われる。

ロンメイナガ族の料理は、いたってシンプルです。主食は米で、主菜はガン(カレー)と呼ばれ、肉や野菜を煮詰めたもの、あるいは焼き炒めたものを用意します

副菜はタムと呼ばれ、ナガ唐辛子と肉や魚、野菜などを混ぜつぶしたものを合せます。カレーはご飯と混ぜ合わせて食べるので、スープかグレイビーソース状のものです。

ロンメイナガ族の食事はこの3品ですが、クリスマスや新年の行事イベントでは主菜が2、3品あったりと豪華になります。

収穫祭の際のビーフカレーとサラダ。

味付けは元来より塩や香草、ハーブのみですが、後述する発酵食品を出汁の代わりとして使用する場合も多いです。インド他州で使用されるマサラスパイスなどは、肉料理以外ではあまり使用しません。

GANGMEIERIさん
GANGMEIERIさん
1日3食を食べるロンメイナガ族は、間食する習慣が無いので一度に食べるご飯の量が半端なく多いんですよ!

ごうぞう
ごうぞう
間食する習慣がないのは、ごうぞうも驚きだぞう!

食肉では、家畜化された鶏肉はもちろん、豚肉、牛肉は普通に食べられています。また、日常的ではないですが、狩猟で猪や地鶏、たぬきの類、うさぎ、ムササビなどの野生動物を捕らえた場合には、それらの肉も惜しみなく頂いています。

山間の小さな河川では、季節ごとに魚介類が捕れ、様々な種類の河魚、小エビ、タニシ、カニなどが食べられています。

村の河川(上流部)で捕れた小海老。

野菜は特に山岳部で採られており、なかでも長いも、山菜、きのこ、からし菜などが多く食べられています。

家庭菜園で採れたからし菜。塩と生姜で茹でた主菜(カレー)として食べる。

主食であるお米は、ロンメイナガ族のほぼすべての家庭で自給されています。平野部で収穫されるお米は日本米に似ていて、弾力性があります。

平野部での田植えの様子。

山岳地帯では水源確保が難しいため、先祖代々殆どの家庭が灌漑無しの稲作をおこなっており、米や農作物の収穫後に田畑を焼払って、次期の栽培に肥沃な土ができるとされる焼畑農業を営んできています。

しかし、近年は、山岳中腹部や平野部の水不足を引き起こしている1つの原因として焼畑農業があげられ、さらに人口増加に伴って土地が少なくなっていることなども考慮し、この農法から代替農法を模索する声が徐々にあがってきているのが現状です。

 

冷蔵庫なんて無い…食品添加物も一切不使用!乾燥・発酵・燻製文化の発達。

辺り一面を深い森に囲まれたマニプール州では、近年よりインフラ整備が進んできています。下水道完備は未だなされていませんが、電気は30〜25年前などに比べると不自由しなくなったと言われています。

しかし、料理に関して言えば、グローバル化に伴って、ロンメイナガ族伝統の料理方法ではない、マニプール州外やインド国外から伝わってきた料理(油で炒める料理や麺料理など)が浸透し始めていますが、未だに化学調味料や保存料などの食品添加物にはあまり良いイメージを持っていません。

また元来、目と鼻の先にある自然の恵みを食糧として狩猟、採集、収穫し、なおかつ長持ちさせるように乾燥や発酵させて保存してきたロンメイナガ族の人々は、食糧を冷蔵・冷凍保存するという考えを持っていません。

ごうぞう
ごうぞう
そうなんだぞう!同じインドでも文化が異なるは、本当に興味深いし勉強になるぞう!

乾燥したカエル。

ロンメイナガ族の代表的な乾燥・発酵食品を以下にまとめました。

たけのこ

  • たけのこは加工方法は、ゆがいた後に太陽光で乾燥させるか、大ぶりのポットで空気を一切入れずに発酵させるかの方法があります。それぞれ加工後は、主にカレーの具として他の肉や野菜と一緒に茹でたり、炒めたりします。

からし菜

  • からし菜は、茹でずにそのまま太陽光で乾燥させたものが広く一般的に乾燥からし菜として使用されています。

ローゼルリーフ(葉、種)

  • ローゼルリーフは、ロンメイナガ族コミュニティでは欠かせないハーブです。どの家庭にも家庭菜園がありますが、ローゼルリーフは必ず育てられています。新鮮なままでも乾燥させた後でもカレーを作るのに重宝されますが、副菜のタムを作る為にも使用されます。ローゼルリーフは酸味が強いので、暑い夏などに好まれて食されています。このローゼルリーフの種は、ゆがいて暖炉の上で発酵させ、ロンメイナガ族のカレーの味付けに使われます。ただ、発酵後の匂いがかなりきついので慣れないうちは少し躊躇うかもしれません。

大豆

  • 大豆は、日本の納豆にとてもよく似た発酵食品です。豚肉と一緒に炒めてカレーにしたり、そのままナガ唐辛子とにんにくとまぶしてタムとして食事に出されます。納豆より粘り気がなく、納豆より少し香りが強いのが特徴的です。

からし菜を乾燥させたもの。これと一緒に料理すると味に少しの渋みと旨味が出る。

 

これから先ロンメイナガ族の料理は時代の流れに沿って変化していくのだろうか?

古代より密林に生殖する植物や動物の恵みを受け、生活する為に必要な食糧を採集、捕獲してきたロンメイナガ族。

GANGMEIERIさん
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実は、彼らの生活スタイルが過去10年で変化してきていると言われています。

ブロイラーや地鶏、または豚や山羊を家畜として飼う家庭が増えたり、自然に生食していた植物などを採集するだけの文化から栽培して育てる文化へと、シフトチェンジしてきたと言われています。

家庭で飼われている豚。残飯を餌にしている。

ロンメイナガ族が古くから嗜んできた料理も、時代が変わってくるとともに変化してきました。まず、油を多く使う料理が増えてきました。

食肉を調理する場合も、塩と香草でシンプルに茹でていただけだったのが、インド他州のように油を多く使用する料理方法が主流になってきたのです。また、現在の若い世代は、ローゼルリーフの種から作る発酵食品の作り方を知らない人々が多いとか。

GANGMEIERIさん
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これは、以前は学校に行かずに毎日薪拾いや食糧調達に出かけ、家庭内で数々の加工食品を作り上げてきた女性たちへ教育の機会が与えられるようになったからです。

さらに、高速道路が整備されたことにより、近郊の中規模都市へのアクセスが楽になり、結果的に、乾麺や様々なスナック菓子などが大量に流入してきました。

ロンメイナガ族の暮らしに新しい価値観や物資が入ってきたことにより、彼らの生活スタイルや食習慣も少なからず影響を受けています。

GANGMEIERIさん
GANGMEIERIさん
しかし、現代社会において多くの国が輸入食材・食品に依存している中、比較的高い自給率で生活できる知恵と技術を持っているということは大変貴重なことだと私は思います。

新しい考え方も受け入れながら、今まで先祖代々伝わってきた方法も後世に伝えていってほしいと思います。




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