インド料理やアーユルヴェーダで長く愛用されてきた「ギー(ghee)」。
近年、健康に良いとされる食品として世界中で注目されています。
インドのキッチンでは欠かせない存在であり、カレーやパン、デザートなど幅広く使用されています。
今回は、ギーの特徴や健康効果、そしてその利用方法についてご紹介します。
ギー(ghee)とは?
ギーはバターをゆっくり加熱し、水分と乳固形分を取り除くことで作られる「澄ましバター」です。
バターを弱火でゆっくりと加熱し、バターの中に含まれる水分と乳固形分を分離させて作られます。
こうすることで、純粋な脂肪分だけが残り、酸化しにくくなったり、加熱耐性が高いことで調理中に高温になっても分解しにくい点が他の油脂と異なる大きなポイントです。
調理用油としてだけでなく、トーストやパンに塗ったり、仕上げの風味付けにも最適です。
ギー(ghee)の作り方
ギーは家庭でも比較的カンタンに作ることのできるオイルです。
- 中火で鍋を温め、無塩バターを入れて溶かします
- 1が溶けてきたら、弱火にして、焦げないように続けて溶かします
- 溶けてくると表面に白い泡が出てきます ※これがタンパク質と分離し始めた合図です
- この白い泡をすくって取り除きます
- 30分くらい弱火で沸騰し続けると、バターの水分が蒸発していき、白い泡を取り除くことでバターが黄色く透明になっていきます
- 5がまろやかな香りと、澄んだ黄色いオイルになってきたら、火を止めます
- 6が冷めないうちに、クッキングペーパーなどでろ過しながら、容器に移し完成です!※しっかり冷めてから、蓋をしてください(常温保存可能です)
Point:
- ギーを作る際には、焦げないように常に注意してください(黄金色が保たれているかチェックしてください)
- 市販のギーと比べて、手作りのギーは風味豊かで高品質になるため、料理の仕上がりも一段とアップします!
ギー(ghee)はなぜ健康によい?
- 消化の促進
- 抗酸化作用と免疫力強化
- 短鎖脂肪酸とエネルギー源
- 高い加熱体制
消化の促進
ギーには消化を助ける効果があるとされています。
ギーに含まれる「脂肪酸」が腸の粘膜を保護し、消化をスムーズにする働きがあります。
また、ギーは脂溶性ビタミンの吸収を助けるため、栄養の吸収効率も高めるとされています。
抗酸化作用と免疫力強化
ギーにはビタミンAとEなどの抗酸化物質が豊富に含まれています。
これらの成分は、体内の酸化ストレスを軽減し、細胞の老化を防ぐ役割を果たします。
また、ギーは免疫システムの強化にも役立つとされ、体の防御機能を向上させると言われています。
短鎖脂肪酸とエネルギー源
ギーに含まれる脂肪は「良質な脂肪」として、健康的なエネルギー源となり、脂肪の代謝を促進すると言われています。
とくに酪酸という成分は、腸内環境を改善し炎症を抑える効果があるとされています。
高い加熱体制
ギーは煙点(=油脂が加熱されて分解し始め煙がでる温度)がバターやオリーブオイルなどと比べて高いため、調理中に酸化しにくく加熱による有害な物質が発生しにくいのも特徴です。
そのため、揚げ物や炒め物を健康的に行うためのオイルとして優れています。
ギー(ghee)の活用法
ギーは、その豊かな風味と高い加熱耐性から、さまざまな料理に活用されています。
調理用オイル
炒め物:野菜や肉をギーで炒めると、コクが加わり、風味豊かな料理になります。とくにカレーのベースを作る際に、ギーで玉ねぎやスパイスを炒めると深みが増します
揚げ物:インド料理では、サモサやパコラなどの揚げ物にギーを使用することがあります。ギーで揚げると外カリッ中ふわに仕上がり、風味も格別です
料理の風味づけ
カレーやスープなど、料理の最後にギーを少量加えることで、コクや風味が追加されまろやかな仕上がりになります。
また、炊きたてのご飯やナンにかけることで、滑らかで芳醇な味わいが楽しめます。
焼き菓子やデザート
バターの代替品として焼き菓子やデザート作りに使用することで、よりリッチでコクのある仕上がりになります。
とくにクッキーやケーキなどでは、ギーを使用することで、より軽く風味豊かな味わいが楽しめます。
パンのスプレッド
バターの代わりにパンやナン、クラッカーなどに塗るスプレッドとしてもオススメです。
ギーだけでなく、塩やはちみつを少々加えて自分好みな味を見つけてみるのも◎
ドリンクに入れる
ギーを紅茶やハーブティー、コーヒーに少し加えることで、クリーミーさが増し、満足感がアップします。
満腹感も得られやすくなるため、ダイエット中の方にもオススメです。
また、バターをコーヒーに加えて作られるブレットプルーフコーヒーは、健康志向の人々の間で流行しており、エネルギー補給や集中力向上に役立つと言われています。
おわりに
ギーは、健康志向の高い人々や料理愛好家の間で人気が高まっています。
インドの豊かな食文化の中で育まれたこの食品を、ぜひ日常の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?