今回は「もっとシク教の世界観を体験してみたい」という方に向けて、グルドゥワーラーに宿泊する方法と、そこでのボランティアについて体験記をお届けします。
シク教寺院はインド各地にありますが、今回滞在したのは北インドのヒマーチャル・プラデーシュ州の山奥の町マニカランにあるグルドゥワーラーです。
マニカラン自体も素敵な場所でしたので、この町の観光情報もあわせてレポートいたします!
インドで温泉が楽しめる町・マニカラン
マニカランはデリーからバスで12時間ほどかかる場所にある山奥の町です。
でこぼこの多い山道を走ることもあって気軽に行ける場所とは言えませんが、道中の壮大な景色は見ているだけで疲れを吹き飛ばしてくれるようです。
大自然に囲まれた町の中央には大きな川が流れており、その川の右岸と左岸を大きな橋とシク教寺院「マニカラン・サーヒブ(Manikaran Sahib)」がつないでいます。
そしてなんと、マニカランはインドで珍しい温泉地でもあるのです!
ヒマーチャル・プラデーシュ州にはいくつか温泉地があり、有名なマナーリー(マナリ)のように多くの観光客が集まる町もあります。
マニカランには誰でも入れる温泉浴場が少なくとも3か所あります。そのうち2つはヒンドゥー寺院の敷地内や建物横にあり、もう1つはこれからご紹介するシク教寺院マニカラン・サーヒブの敷地内です。
どこも無料で入ることができますので、心ゆくまで温泉を楽しんでくださいね。
なお、インドで温泉に入る際は日本でのように全裸になってはいけません。
男性も女性も下着(特にパンツ)は身につけたままお湯を浴びていますので、気をつけましょう。(替えの下着を持参することも忘れずに。でないと、びしょ濡れのままズボンを履くことに…)
シク教寺院に宿泊するには
マニカランのシク教寺院(グルドゥワーラー)であるマニカラン・サーヒブには、主に参拝者向けに提供している無料の宿泊部屋があり、私もそちらにお世話になりました。
※シク教寺院での一般的な参拝マナーについては以前書いた記事も参考にしてください。
宿泊部屋を常設しているシク教寺院の敷地内には“Accommodation office”や“Tourist office”がありますので、最初にそちらに向かいます。
わからなければ周りにいるインド人に尋ねると良いでしょう。マニカランでは建物内部のランガル(無料食堂)の中に担当者が常駐していました。
その担当者から宿泊予定日数やパスポートなど身分証明書の確認を受けたあと、宿泊台帳のようなものに名前や住所、電話番号などを記入し、部屋を割り当ててもらいました。
女性1人で来た場合には、女性客用の大部屋に通されるようです。ただし、風邪をひいている場合や特別な事情がある場合には個室も用意できると説明を受けました。
インド人と一緒にボランティア
ボランティアは「セーワー」と呼ばれており、なんとシク教寺院の運営のほとんどはこのセーワーによって支えられています。
セーワーの種類は豊富です。
ランガルでの配膳や給仕、食器洗い、飲料水の配布、靴の預かりや返却、ランガルやトイレの清掃、そしてランガルに出すご飯の調理など。
ボランティアの足りていない仕事はその時によって違うので、シク教寺院の管理者にどこを手伝えば良いかを聞いてみましょう。
個人の感想ですが、配膳・給仕は料理の入ったバケツ状の容器を持って、床に座っている人たちに配るために屈みながら歩くことが多いので、腕力や体力に自信のある方向けかもしれません。
特別なスキルや体力がいらないという意味では、食器洗いや清掃が取り組みやすいと感じました。
また、調理作業は人手不足になることが多いようで、最終的に私はチャパティー(薄焼きパン)作りのボランティアに参加させてもらいました。
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一方で、セーワーなど奉仕活動を行うことはシク教における大切な宗教的実践の1つです。要するに、シク教徒の人たちは「真剣にボランティアしている」ということです。
チャパティーもここでは「プラシャード(神への供物のお下がり)」と呼ばれ、作業前に手を入念に洗うことや、唾が飛ぶほど大きな声で喋らないことなどをみんなが気をつけています。
それを念頭に置いた上で、ぜひ気軽にボランティアに参加してみてください。
マニカランの観光も楽しもう
インドの山奥にある小さな町とはいえ、マニカランは観光地であり、歴史的な寺院やお土産物屋、食堂がたくさんあります。
例えば、町の中央部にある寺院「ナーイナー・バグワティ・マンディル(Naina Bhagwati Mandir)」は、インドでは珍しい木製のヒンドゥー教寺院です。
お土産物屋では安価なものからヒマーチャルの伝統的な模様の入ったショールまで、様々なものが売られています。
ここでは服を脱がず、靴だけ脱いで中に入ります。
石材の床の下に温泉のパイプを通して部屋全体を温めている仕組みのようで、岩盤浴にも似ています。
床によっては熱すぎて歩けない箇所もあれば、座っていてじんわりと汗をかくちょうど良い熱さの箇所もあり、お気に入りの場所を確保できれば一日中でも居たいほど快適でした。
また、バスで20分ほどの隣町カソールに行けばバーやレストランも充実しています。
カソールにはイスラエルをはじめとした外国人観光客も多いので、英語もだいぶ通じるようです。
その他、カソールでは川下りやキャンプなどのアクティビティも体験できると聞きました。マニカランに戻る最終バスの時間に気をつけつつ、あるいはカソールに1泊する前提で、足を延ばしてみるのも楽しそうですね。(なお、タクシーをチャーターすれば終バスの時間を気にせず滞在することが可能です)
おわりに
マニカランは、インターネット上での日本語の観光情報が少ないものの、穏やかで過ごしやすい魅力的な町でした。今回の記事で少しでもマニカランに興味を持ってもらえたら幸いです。
マニラカンへの移動方法ですが、
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シク教寺院での宿泊やボランティアは、少しハードルが高く感じられるかもしれません。
もっとセーワーの様子を知りたいという方には、シク教の聖地・黄金寺院のランガルとそれを支えるボランティアの人々を撮影したドキュメンタリー映画「聖者たちの食卓」もオススメです。
「聖者たちの食卓」 |