駐在や留学、起業など、インドで暮らすに至る経緯や目的は人それぞれ。
この記事では、これからインドで家を探す人や、面白い滞在方法を探している人におすすめの「下宿生活(Paying Guest)」についてご紹介します。
PG(Paying Guest)で下宿するってどういうこと?
インドでも日本と同様の一人暮らしをしたければ、不動産屋に行って賃貸物件を紹介してもらうことになるでしょう。
大抵は同じ建物や敷地内に大家さん家族も住んでいて、賃料を払って大家さんの家にゲストとして暮らします。日本の昔ながらの「下宿」と同様に考えれば良いでしょう。
Airbnbを利用した滞在にも似ていますが、以下のポイントがPGの特徴です。
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PGのスタイルは様々ですが、部屋をシェアして使うのか、1人1室なのかで住み心地は大きく変わります。
個室の場合は部屋代を払うことになりますが、シェアの場合は1ベッドあたりの金額を支払うことになっているので、2~3人で使う前提の部屋に他の同居人がいなくても自分の賃料があがることはありません。
ただし、部屋割りは大家さんが決めるので同居人を選べない点や、個室を勝手にルームシェアして使うことはできない点に注意が必要です。
もちろんはっきりした年齢制限があるわけではないので、大家さんから許可があれば何歳でも住むことは可能です。
なお、この下宿スタイルでの生活は、数年程度の居住に向いている暮らし方です。インドに何年住むかわからない場合は、自分で不動産の賃貸契約を結んだほうが良いでしょう。
インドの人たちと一緒に暮らしてみたい人、語学力を向上させたい人、とりあえず生活賃を抑えたい人には、刺激的でとても楽しい過ごし方であることは間違いありません。
まずは実際にどんな下宿形態があるのか、私の体験を交えながら以下にご紹介していきます。
完全自立型!下宿人だけで生活する家
ちょうど私が一番最初にインドに長期滞在したとき、Paying Guestの意味もわからずに暮らし始めたのがこの下宿人だけの家でした。
この場合は、ルームシェアや寮生活とほとんど変わりません。
たいていのPGハウスは男女別なので、下宿人だけの生活でも「男子禁制」(あるいは「女子禁制」)が大原則として存在します。なお、料理を作ってくれる使用人さんやセキュリティーガードが常駐していたりするので、完全に下宿人だけの生活になることは少ないようです。
セキュリティー面での不安はありますが、自由度が高いため、パーティーを企画するなどして同居人同士で仲良くなりやすい点も特徴として挙げられます。
大家さんと会う機会は少ないですが、近くに住んでいる場合はたびたび様子を見に来てくれることもあります。備品や設備が壊れてしまったときなどは、まず真っ先に大家さんに相談すると良いでしょう。
1階に大家さん家族が暮らす家
2階や3階を下宿人がシェアして使い、1階に大家さん一家が住んでいるPGハウスがあります。
1年半ほどこのスタイルでインド生活を送りましたが、個人的にはもっとも暮らしやすい下宿形態でした。
食事込みの賃料で下宿する場合は、大家さんか使用人さんがご飯を作ってくれます。外食するより食費を節約できますし、なにより一般家庭のご飯を味わえるチャンスなのでインド料理がお好きな方には、食事つきでの下宿がおすすめです。
下の階に大家さんが暮らしているため、セキュリティー面でも下宿人だけの建物より安心感があります。
備品が壊れてしまったときやちょっとした生活の悩みや質問があるときでも、すぐそばに住んでいるので気軽に相談できますね。
ただし、門限やその他のルールは下宿人だけの建物よりも厳しめです。食事の受け取り時間も決まっている場合がほとんどです。
宗教的なルールを破ることがないよう注意しましょう。こういった下宿ルールはインド生活ならではですね。
隣の部屋に大家さん!ホームステイ型下宿
大家さんたちが暮らす家の中の空いている一室を貸してもらう下宿スタイルです。
子供が結婚して出て行ったあとの空き部屋だったり、荷物置き場だった部屋を改装していたり、と様々ですが、だいたいは1つの部屋を1人か2人で使うことになります。
また、料理を教えてもらったり、インドならではの遊びを教えてもらったりと、普通に暮らすだけでは身につけることが難しいスキルや知識も習得できます。
この下宿生活では、自然と大家さん一家の起床時間や食事時間、就寝時間にあわせることになります。上の二つの下宿形態に比べるとルールや自由度はもっとも厳しく感じられますが、安心感も高いでしょう。
下宿生活のメリット・デメリット
下宿生活のメリット
このようにPaying Guestには様々な居住スタイルがありますが、全てに共通するメリットとデメリットを見てみましょう。
1つ目のメリットとして、不慣れなインド生活をサポートしてもらえる点が挙げられます。
停電時の対応や生活用水の確保の仕方など、インドでの生活は日本と異なる部分が多くあります。また、欲しい物がどのお店に売っているのかわからないなど、ちょっとした生活の困りごとも大家さんや同居人に気軽に尋ねることができます。 |
2つ目の大きなメリットは、生活費を安く抑えられることです。
食事付きの下宿は食費を大幅に抑えることができますし、電気代や水道代、ネット代込みの賃料を設定しているPGハウスも多くあります。また、基本的にPGハウスはベッドや戸棚などの家具付きですので、新生活をスタートする初期費用も安く済みます。一人暮らしするには家賃が高いエリアにも下宿という形態なら予算内で住むことができるかもしれません。 |
3つ目は、語学力の向上をはかれることです。
最近のデリーやムンバイなど大都市の若い人たちはヒンディー語などの現地語だけでなく英語も堪能です。現地の言葉を身につけたい人にはもちろん、英語力の向上をめざしている人にも下宿生活はおすすめです。 |
下宿生活のデメリット
まず1つ目ですが、セキュリティーには十分に気をつけなくてはいけません。
下宿人だけが住んでいる建物は日中に人が出払っているため、外部からの侵入者による窃盗が起こるようです。住むのならセキュリティーガードや住み込みの使用人さんがいる建物を選んだほうが良いでしょう。 また、悲しいことに下宿人による窃盗も稀にあるそうです。戸棚にはしっかりカギをかけ、荷物を出しっぱなしにしないよう気をつけましょう。 |
2つ目のデメリットは、プライバシーの確保が難しくなる点です。
下宿生活なので一人になることが難しいのは当然ですが、それに加えてインドの人たちのコミュニケーションは物理的にも心理的にも距離が近いことが多いのです。周囲に合わせすぎてしまう人やNOと言えない人は特に苦労するかもしれませんね。 ルームメイトや大家さん一家との相性の問題もありますが、自分の中で「これは譲らない」と線を引いておくのも大事でしょう。また、シェア型ではなく個室型のPGハウスを探すことで、多少はプライバシーを保つことができます。 |
PG(Paying Guest)/下宿先は、どう探す?
Paying Guestという居住形態は、デリーなどの大都市では一般的なので、だいたいどのエリアにもPGハウスが存在しています。
エリアを決めたら、実際にそのエリアに出かけて不動産屋を尋ねてみましょう。
街の雰囲気を実際に見ることができますし、不動産屋で希望の金額や居住スタイルを伝えればすぐに内見に連れて行ってもらえます。
また、ネットの不動産情報サイトを使って探すこともできます。日本の不動産情報サイトと同様にエリアや予算、間取りなどの条件を設定できるので、目星をつけたら連絡先にコンタクトをとって内見してみましょう。
PG(Paying Guest)/下宿先を探す際のポイント
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安全に気をつけつつ、刺激的な下宿ライフを!
セキュリティーやプライバシー確保など、気をつけるべき点はありますが、異文化を思いっきり体験できることは、下宿生活ならではの魅力です。