チェンナイに来てからというもの
多くのインド人と名刺交換をしてきましたが、
名刺の名前をみていると、頭文字と名前が一緒に書かれているのをよく目にします。
日本人の「次郎」という名前で考えると
名刺には「K.T.次郎」などと書かれているんです。
チェンナイで生まれ育ったインド人の友達に聞いてみると
これはおそらくタミル・ナードゥ州独特の命名法によるものなんだとか。
ちょっとややこしいんですけど、
どういうことかを具体例を使って説明してみたいと思います。
例えば、父親の名前が「田中 太郎」だとします。
そして、田中 太郎さんに念願の子どもが生まれた。
まず、ここで大前提として、
チェンナイでは、子どもに名前をつけるとき、
新しい子どもの名前と合わせて、
父親の名前も一緒に受け継ぐのが慣習になっているんだそうです。
子どもが生まれ、名前を「次郎」と命名した場合、
子どものフルネームは「太郎 次郎」となるわけです。
「え?」って思うかもしれませんが、これがチェンナイの命名法。
つまり、そもそも父親のフルネームである「田中 太郎」の「田中」というのは
祖父の名前を受け継いだ後のものであるはずので、
実は「田中」は名字ではなく、祖父の名前だった、ということになる。笑
言ってしまうと、そもそも名字(Family Name)の概念がチェンナイのインド人にはない
また、名前に加えて、家系にゆかりのある村の名前がフルネームの前後に付くケースもあるようです。
例えば、田中家は昔から「神戸」に住んでいたと仮定すると、
子どもの名前は「神戸 太郎 次郎」などとなっていたりします。
そうなると、自分の名前は「次郎」なのに、
そんな事情を知らない外国人からは
「神戸さん」とか「太郎さん」などと
村の名前で呼ばれたり、父親の名前で呼ばれたりしてややこしい
そこで名刺には、頭文字を使って「K.T.次郎」としているわけだ。
ちなみに、この「K.T.次郎」さんが大きくなって
「花子」さんと結婚したとします。
すると奥さんの名前は「次郎 花子」になります。
奥さんも同じ要領で夫の名前をもらうんだそうです。
「J.花子」さんの誕生
つまり、妻子ともに夫の名前をもらって家族になるわけですね。
ちなみに、北インドのデリーなど他の地域では
日本と同じように名字と名前がちゃんとあるようなので、
これは、まさにタミル・ナードゥ州(チェンナイだけ?)独特の命名法と言えそうです。