インドおける”海外インターンシップ“の魅力〜スリリングな学びの旅へ〜

by 橋口悠雅

. はじめに

アメリカ、イギリス、オーストラリアetc、世界中には数多くの留学先として魅力的な国が存在します。私も海外に飛び立つことを夢見ていた人間の一人であり、現在、日本から遠く離れた国で海外インターンシップを経験させて頂いています。

と、ここで皆さんにお聞きしたいことが…「これから海外インターンシップを通して、何を成し遂げたい」というような目的は具体的に考えておられますか?

正直、「とりあえず外国に行ってみたい」という気持ちが強くて、目的まで考えていなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私はそれで良い、いや、その方が良いのではないかと考えています。なぜかというと、初めて訪れた国で何が起こるかなんて誰にもわかりませんよね。新しい知識や出会いによって、やりたいことが変わるのは当たり前です。私だって今は「世界で活躍する実業家になりたい」という夢がありますが、何かの拍子に、人ひとり居ない山奥で滝に打たれるような修行僧になりたいと、夢が変わるかもしれません。将来の姿をじっくりと考えることは非常に大切ですが、それ以前にまず行動を起こすことが、新たな知見・出会いの巡り合わせに繋がるのではないかと考えます。

 

となると、なるべく多くのことを経験できる、文化的厚みのある国の方が魅力的だと感じませんか。人によって、相性の良い留学先は異なりますが、私は海外インターンシップにピッタリの国として、「インド」をおススメします。読者の皆さんに勧めるからには、それ相応の根拠が必要だと思うので、ここからは私が海外インターン先として「インド」をおススメする理由について触れていきます。

 

. 海外経験におけるインドの様々な魅力

実際に、インドに来て海外インターンシップを経験している身としては、やはりこの国の魅力を少しでも多く皆さんに知ってもらいたいという思いがあります。しかし、私の体験だけでなく事実としてあるインドの魅力を伝えたいので、以下にある3つの魅力ではポジショントーク無しで話を展開していこうと思います。

  • 豊かな歴史と文化

ではまず、一つ目の魅力として、インドには古代から続く歴史的な遺産や宗教的な祭りが多く残っていることが挙げられます。これは、現在に至るまで一つの文化圏で過ごしてきた私たち日本人の価値観を広げてくれることに繋がり、海外経験をする上で非常に魅力的であると考えられます。

仮に、このような文化への興味が薄い場合でも、歴史的な背景というのは日常生活にも溶け込んでいます。分かりやすい例として、食事をする際に手を使って食べるという習慣がありますが、私のような純日本人からすると、出来立ての料理は手が真っ赤になるほど熱いです。「郷に入っては郷に従え」という言葉を見習って、我慢して食べていたら自然と熱さは消えていました。インドという国は歴史・文化的な厚みがあるだけではなく、私たちの手の皮すらも厚くしてくれる存在なのかもしれません。

  • 成長する経済とテクノロジー業界

2つ目に、インド国内の急速な経済成長とテクノロジー大国としての潜在的な可能性も魅力の一つであると考えます。IT(情報技術)やソフトウェア開発分野において世界をリードしているインドですが、バンガロール、ハイデラバード、グルガオンなどの都市には、多くのIT企業やスタートアップの拠点があり、能力次第では革新的なプロジェクトに関与する機会が多くあります。インターンシップでの私の仕事としては文系的なものが多いのですが、オフィスがバンガロールにあるため、周りにはエンジニアの方々が非常に多く、様々な刺激を受けることが出来ます。やっていることは簡単な作業でも、気持ちだけは天才エンジニア顔負けです。

  • 人々の温かさとおもてなし

3つ目の魅力としては、まさにインド人の人間性に尽きます。もちろん、人それぞれ性格は異なりますが、一般的にインド人は他人の価値観や異なる視点への理解度が高く、外国人でも暖かく歓迎してくれることが多いです。理由としては、一つ目の魅力でも述べたように、「インドに存在する様々な宗教・言語・文化が、多様性を受け入れられる器を作っている」からではないかと推測されます。

実際に、私もインドに来てからは、おもてなしを受けることが多いと感じます。例えば、初対面なのにコーヒーをご馳走してくれたり、私が住むためのアパートを一緒に探してくれたりなど、一人では大変なことも笑顔で協力してくれて、本当に助かりました。もし彼らが手伝ってくれなかったら、今頃私は住む場所もなく野良犬に追いかけられる日々を過ごしていたと思います。

このようなインド人の特徴も、海外でインターンシップをする際には人間力の向上という点で魅力的なのではないでしょうか。

これらのように、インドという国は海外経験の場として様々な魅力を持っています。3つ目に限っては、少しポジショントークが混じっていたような気もしますが、そこはご愛敬ということで…

 

. インターンシップのVisa種類

では、実際にインドでインターンシップをする際にはどのようなVisaが必要になるのでしょうか。その答えとしては、「当事者の立場・インターンシップの目的・引受先との契約などの条件によって取得すべきVisaは異なる」という回答が最も適切かと思われます。

というのも、インドでインターンシップをする際に取得可能なVisaは「Intern Visa」と「Student Visa」の2つがあり、どちらも様々な要素が考慮された上で発行されるかどうかが決まります。審査自体は在日インド大使館または領事館が行うため、Visaを取得するポイントとしては、なるべく審査基準に沿ったような契約内容にすることが大切です。

私の場合は、後者の「Student Visa」を取得した後にやっとインドへの渡航が許可され、無事にインターンシップ生として活動することが出来ました。契約書に書かれてある業務内容を見ても、やはり、審査基準にあるような言葉を上手く使いながら「インドと日本の関係をより強固なものにする業務」といった内容が多かったです。

日本でインターンシップをする際には、企業と当事者間だけで実際に業務を開始することが出来るかもしれませんが、海外インターンシップになると、このように複雑で根気のいる作業が必要になります。私は、インターンシップ先の企業のご厚意でVisa取得は代行の会社に頼んで頂けましたが、それでも実際に渡航出来たのは予定の3ヶ月遅れでした。皆さんが私のような経験をしないためにも、この記事を通してインドのインターンシップに関する様々な情報を伝えたいと思っています。

それでは、以下に「Intern Visa」と「Student Visa」の違いについて詳しくまとめたので、見ていきましょう。(*2)

 

4. 「Intern Visa」・「Student Visa」 の違い

それでは、まずインド政府の出しているドキュメントを参考に、「Intern Visa」、「Student Visa」の発給対象と主な取得条件をまとめたので見ていきましょう。

Intern Visa」 とは

発給対象

  • 「Intern Visa」は、インドの民間企業、教育機関、NGOでインターンシップを希望する人に対して発給される

条件

  • スポンサーとなる民間企業、教育機関、NGOが発行したインターンシップの期間が明記されている申請書が必要
  • インターンシップ開始までの期間が1年以内
  • スポンサーの民間企業は最低年俸で約140万円を支払う義務がある、教育機関およびNGOでのインターンシップの場合は最低年俸の制限はない
  • 180日以上滞在する場合、インド到着後14日以内にFRRO(外国人登録官)に登録する必要がある
  • インドの民間企業、教育機関、NGOでの収入は、インドの所得税の課税対象となる(*3)

 

Student Visa」 とは

発給対象

  • 「Student Visa」は、インド国内の公認教育機関での交換留学、文化・教育交流のインターンシップ、様々な研究プログラム、などを目的とした学生を対象に発給される

条件

  • 交換留学生は、「Student Visa」の有効期間中であれば、3回まで選択コースを変更することが出来る
  • 学生が希望する選択コースの数に制限はない
  • 全ての大学および公認教育機関は、外国人留学生に関する情報をFRROに登録する必要がある
  • 特定のインターンシップ等、研究プログラムに関しては、修了許可が必要な場合がある(*4)

 

上記が、「Intern Visa」、「Student Visa」を取得する際の発行対象と主な取得条件になります。これらのVisaに関する取得条件の大事なポイントとしては、2つ程あるのではないかと私は考えます。

 

1つ目が、最低年俸の有無により取得するVisaの種類が異なるということです。「Intern Visa」を取得する場合には、教育機関、NGO関連でない限り、最低年俸で約140万円以上の給与をもらう必要があります。このように政府が最低年俸を設ける理由としては、外国人労働者が適切な給与を受けられるようにする、また、現地労働者の雇用機会を確保するという2つの理由が考えられ、どちらにせよVisaを取得する当事者は一定以上の能力が求められます。

この場合、インド政府が認める教育機関の学生であれば、「Student Visa」には最低年俸という条件が明記されていないため、「Intern Visa」と比べて容易にVisaの取得が可能になります。

しかしながら、一般的に外国人がインドで働く際は、「Employment Visa」の最低年俸で約280万が必要なため、これと比較すると「Intern Visa」の取得条件は寛容な方ではないでしょうか。(*5)

2つ目のポイントとして、どちらのVisaもインド到着後にFRROの登録が義務付けられていることが挙げられます。FRROとはインドの外国人登録局を指しており、長期滞在する場合には外国人の個人情報や居住地の住所を登録し、滞在許可の手続きを行う必要があります。

Visaの種類に限らず、基本的に180日以上滞在する場合、インド到着後14日以内にFRROに登録することが求められるため、これらのような行政手続きは早い段階で準備した方が良いでしょう。

ここまでで、「Intern Visa」、「Student Visa」に関する内容はご理解いただけたでしょうか。では、以下でインド政府が出している、サブ・カテゴリーの表を短くまとめたので、参考としてご覧ください。

インターンシップ関連Visaのカテゴリー

メイン・カテゴリー サブ・カテゴリー 概要 備考
Intern Visa I-1 フランスのVIEインターン用Visa ・約170万円/年以上の報酬

・上限12か月間

I-4 メディア機関でのインターン用Visa ・Intern Visaの要件基準に

基づく

Student Visa S-1 大学・教育機関での

インターン用Visa

・学生が選択するコースは

変更可能

S-6 外国との関係がある民間施設でのインターン用Visa ・日本人申請者は文化交流・教育交流に関するプログラムであればStudent Visa(S-6)を取得できる
S-8 神学研究および

宣教師学生向けVisa

・内務省の事前許可を得た

場合に限る

 

表を見て分かる通り、「Intern Visa」と「Student Visa」には複数のサブ・カテゴリーが存在しており、目的・条件によって取得可能なVisaが変わってきます。

私が取得した「Student Visa」のサブ・カテゴリーは「S-6」という分類のもので、このサブ・カテゴリーになった要因としては、インド政府が認める大学に在籍していた、無給インターンシップ、業務内容が日本との文化交流・教育交流に対応していた、という3つではないかと考えました。(*6) (*7)

皆さんの海外インターンの目的や立場は分かりませんが、このようにインド政府が決めている様々な条件により、取得するVisaは変わってきます。申請するVisaの種類に関わらず、なるべく早期の情報収集をすることが、スムーズな海外インターンを実現するために必要なのではないでしょうか。

 

6. まとめ

この記事では、「インドにおける海外インターンシップの魅力」・「インターンシップを経験する際に必要となるVisa」について、余すことなく書かせていただきました。私の場合は、ビジネスという観点からインドのバンガロールという地域でのインターンシップを選択しましたが、正直なところ、インド人の人間性や伝統文化など様々な面で学ぶことが多くあります。

合う、合わない、という問題はあるかもしれませんが、実際に現地に足を運んでみると、日本や他の国々では味わえない体験ができることは間違いないです。

全く知らない国に1人で行くのは、どうしても恐怖や不安が伴ってしまいます。実際、私も住居が決まらないまま渡航したので不安しか無かったです…

しかし、そこで一歩踏み出せることが出来れば、自分の人生が素晴らしい方向に進むと考えてみてください、来るしかないですよね。(笑)

この記事を読んでいただいている皆さんには、ぜひインドでの海外インターンシップを通して、様々なことを学んでほしいと強く思います!

 

【参照元のURL一覧】

(*1) Welcome to Authorized Indian Visa Application Center Norway, Turistvisum India, visum india, Visum til India, turistvisum ved ankomst. (blsinternational.com)

(*2) 3 Ways to Get a Visa for India – wikiHow Life

(*3)Embassy of India, Hague, Netherlands : Intern Visa (indianembassynetherlands.gov.in)

(*4)High Commission of India, London, United Kingdom : Student Visa (hcilondon.gov.in)

(*5)Consulate General of India, San Francisco, California : Employment Visa (cgisf.gov.in)

(*6)AnnexI_01022018.pdf (mha.gov.in)

(*7)AnnexIII_01022018.pdf (mha.gov.in)

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