グジャラート料理の特徴
まず、グジャラート人は本当に食いしん坊さんな人たちです。インドの中でもダントツに食いしん坊です。朝から晩までスナックを含め常に何かを食べています。
そして、そんな食いしん坊さん達が愛してやまないグジャラート料理の特徴は、ずばり「カッティミッティ(酸っぱ甘い)」。そこに様々なスパイスが複雑に混ざり合ったものなのです。
グジャラート料理に欠かせない材料
グジャラート料理に欠かせない材料は
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そしてスパイスとして特徴的なのは、
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が代表的な物だといえるでしょう。
南インドでは酸味を加えるためにタマリンドを多用しますが、グジャラートでは基本的にレモンの利用の方が多いです。
5種類に分類されるグジャラート料理
グジャラート料理のもう1つユニークな特徴は、異なるエリアにより5種類に分類されるということです。(ちなみにグジャラートの面積は、インドで5番目の広さとなっています。)
北グジャラート料理
まずは、北グジャラート料理。
基本的に北グジャラートとはグジャラート州の現在の州庁所在地であるガンディナガーやパタンなどのエリア一帯を指し、グジャラートタリー発祥の地と呼ばれています。
今日でも、最もグジャラートタリーを提供するお店が多いエリアだとも言えます。
「カッティミッティ」は、グジャラート特有のFarsa(ファルサ)にも共通します。
北グジャラートの家庭料理は、グジャラート料理の中でもオイルやスパイスの利用料が比較的控えめで、最も健康的だという特徴があります。
カティヤワディ料理
お次はカティヤワディ料理。
代表的な都市はラジコットやギールバブナガールなどで、地図で見るとアメダバードの左斜め下一体でグジャラート州全体の約1/3を占める地域です。
そして、全体の料理が非常にスパイシーなことから、必ず食卓にはジャグリーの塊に溶かしギーをふんだんにかけた箸休め的な小皿が並ぶのも特徴です。
また、この地域で有名な料理としてはセブトマトカレー(ベイサンで作ったヌードルのような物をまぶしたスパイシーなトマトカレー)や、リンガンノオロといった大きな米ナスを焼き茄にしてからサブジであり、これらは通常ばバジュラロトラという黒キビを挽いた粉で作るロティと共に食されます。
カティヤワディ料理でもう1つ有名なものに、いわゆるヨーグルトカレーであるGujarati khadiとKhichidi(キチディ)があります。
グジャラート州は上述の通り「カッティミッティ」な文化ですから、カティヤワディのKhadiは甘酸っぱスパイシーな味に仕上がっています。
カッチ料理
第3番目は、日本の皆さんも比較的耳にすることが多い地域、カッチのお料理です。
地図上で見るとSaurashtraエリアのちょうど真上一帯に位置し乾燥した砂漠の地であることから、お料理自体はカティヤワディに非常に似ています。
そんなカッチのお料理で忘れてはいけないのは、ダベリというファストフード。
パオバジに似ていますが、味付けが全く異なります。
ダベリもパオバジもマサラで味付けされたマッシュポテトをバンズにはさんで食べますが、ダベリはマサラマッシュポテトの上からザクロやジャグリーで味付けしたタマリンドやデーツのシロップ、それにセブ(ベイサンで作ったベビースター並みに細い麺のスナック)などをふんだんにふりかけ、一口食べた瞬間はまず甘みが、そのあとにスパイスが口いっぱいに広がります。
アンダバッディ料理
続いて4番目。こちらは中央グジャラートのお料理で通称アンダバッディ料理(Amdavadi Cuisine)です。
アメダバーディーはグジャラートの中でも一番の食いしん坊さんとして知られています(アメダバードより南のバドーダラっ子たちも負けず劣らず食いしん坊さんですが)。
アメダバーディーの食いしん坊さん度数はダントツだと言え、アメダバードはストリートフードのメッカとして知られています。
皆さんも一度は耳にしたことのある、ドクラやカンディビ、ハンドボ、ダルワダ、パコラ、ジェレビーなどなど。そんな食いしん坊さんなアメダバーディー達が特に愛してやまない夏のストリートフードはゴーラと呼ばれるかき氷です。
このゴーラは削った氷をギュッと固め、その上から歯が痛くなるくらいに「これでもか!」と数種類のシロップ、コンデンスミルク、ドライフルーツやチョコチップなどがふんだんに振りかけられます。
そしてアメダバードにはアメダバーディープラオという彼ら独自のプラオ(ベジタリアンビリヤニ)があり、こちらは食べた後に甘みを感じるというグジャラートのミッティ文化を象徴するかのような味わいがあります。
南グジャラート料理
さて、最後は南グジャラート料理。こちらは特にスルティ料理(Surti Cuisine)として知られています。
特にこの地域の人々の食への飽くなき追及はとどまるところを知らず、彼ら独自の食文化を築き上げるというのがグジャラート人の間でも有名な話です。
そして、この地域はパルシ文化(ペルシャ移民)の影響を受けたエリアでもあるため、全体の味付けにはグジャラート特有のミッティ(甘味)がかなり控えめだというのも大きな特徴の1つで、グジャラート州の中でも乳製品製造が盛んなエリアの1つであるため、カレーはこってりクリーミーで味わい豊です。
さらにこの地域はグジャラート州の中では常に最大の降雨量を誇るため、フルーツや野菜はこの地域で採れたものを利用する風習がいまだに残り、最も有名なのはウンドゥビュというお料理です。
また、Farsanの中でも有名なドクラがスーラットではロチョと呼ばれ全く異なる口当たりに大変身します。
このようにスーラット独自の進化を遂げたグジャラート料理が数々存在し、先人の英知が注ぎ込まれた手の込んだ料理がスパイスのうまみと最大限にコラボする、これが南グジャラート料理の特徴と言えるでしょう。
グジャラート特有の料理を楽しもう!
「カッティミッティ」として知られているグジャラート料理。
特にスパイシーなカティヤワディ料理を提供するレストランは、アメダバード~ムンバイへ続く、ハイウェイ沿いに多数存在します。
何よりも、今回ご紹介した「5種すべてが一堂に揃うのが、グジャラートタリーである」といえば、グジャラートタリーが食いしん坊さんなグジャラート人にとって「いかに大切で愛おしい存在」であるか、お分かりいただけたかと思います。