以前にも記事にした通り、インドは州によって言語や生活、食べ物などが異なる多種多様な文化が共存している国です。
そんなインドでは祝日も州ごとに定められており、インド人の方と話していると「◯◯州は今日祝日なんだよ」という話を耳にしたり、たまたま行った州が休日でドライデー(禁酒日)だったなんてこともちらほら。
そんなインドのお祭りは地域や宗教によって数え切れないほどの数があるそうです。
今回はそんなインドの代表的なお祭りについてご紹介します。
※名称・起源・詳細などについては諸説あり、地域差がある場合もございます。あらかじめご了承ください。
インドの3大祭りその1:ダシェラ
- 宗教:ヒンドゥー教
- 時期:太陽暦の9月下旬~10月中旬頃
「ダシェラ(Dussehra)」は、インドの2大叙事詩の1つ『ラーマーヤナ』に基づいたお祭りです。
この叙事詩は、ラーマ王子が、誘拐された妻シーターを奪還すべく大軍を率いて、ラークシャサの王ラーヴァナに挑む姿を描いている。ラーマーヤナの意味は「ラーマ王行状記」。
引用元:Wikipedia – ラーマーヤナ
ダシェラの前日までの9日間は「ナヴラートリ(Navratri)」が行われ、10日目のダシェラでは、ラーマ王子が彼の妻シータを誘拐した魔王ラーヴァナを倒したことを記念し、このラーヴァナになぞらえた巨大な人形/像を燃やして健康と繁栄を祈ります。
インド北部は、ダシェラを盛大に祝う地域としてとても有名で、デリーやグルガオンなど各地で、たくさんのお祭りが開催されます。
会場では、ラーマ王子の戦いの一部始終が舞台で演出されたり、爆竹や花火などで人形/像を燃やす様子が見られます。もしこの期間にインドにいる場合は、燃え上がる人形の様子を一度は見に行ってみるのもオススメです。
ナヴラートリ
ナヴラートリは、神々へ祈りや踊りを捧げて祝うヒンドゥー教のお祭りで、春と秋の2回行われます。
ナヴラートリはサンスクリット語で「9つの夜」を意味し、さまざまな神々を祝うため、9つの夜を3日ずつにわけられます。
序盤の3日
らの不浄なものを打ち砕いてくれる存在として、ドゥルガー女神(もしくはカーリー女神)へ祈りが捧げられる
中盤の3日
信奉者に尽きることの無い富を授けると考えられている母神ラクシュミーへの祈りが捧げられる。
終盤の3日
知識を司る女神サラスヴァティーに対する祈りが捧げられる。
引用元:Wikipedia – ナヴラトリ
ナヴラトリの間は、ドゥルガー女神の信奉者たちの間では断食が行われます。友人や家族の健康と繁栄の加護が願われるとともに、自己を見つめ直し魂を清める期間とされています。
また、ナヴラトリは、何か新たなことを始めるにあたって縁起の良い時期であると伝統的に考えられています。
インドの3大祭りその2:ディワリ
- 宗教:ヒンドゥー教
- 時期:太陽暦の10月下旬~11月上旬頃
「ディワリ(Diwali)」は、インドの光のフェスティバルで、ヒンドゥー歴のカールッティカ月の新月の夜から5日間かけてお祝いをします。
ディワリを迎える準備として大掃除をおこなったり、家や街中・車などを飾り付け、多くの人が家族とともに過ごすために故郷に規制する様子などから「インドの新年」などと言われることも多いです。
ディワリでは、ヒンドゥー教の女神「ラクシュミー」をお祝いするため、「ディヤ」と呼ばれる小さな素焼きのオイルランプを用いて家の中や周辺を灯します。
インドの3大祭りその3:ホーリー
- 宗教:ヒンドゥー教
- 時期:太陽暦の3月頃
「ホーリー(Holi)」は、カラフルな色粉を顔や身体につけ合い、春の訪れを祝うお祭りです。
北インドやネパールなどを中心に、バールグナ月の満月の日から2日間かけてお祝いをします。
- 1日目「ホーリーカー・ダハン」:大きな焚き火を用いてお祈りを行う
- 2日目「ホーリー」:色粉をつけ合ってお祝いする
ラクダのお祭りプシュカル・メーラー
- 場所:ラジャスタン州
- 時期:太陽暦の10月下旬~11月上旬頃
「プシュカル・メーラー(Pushkar Mela)」は、インド北西部に位置するラジャスタン州で開催される家畜の見本市です。
ヒンドゥー歴のカールッティカ月の満月に合わせて開催されます。
ラクダ・牛・馬・羊・ヤギなどの家畜の販売や取引を目的とした見本市がメインのお祭りですが、他にも衣類・織物・布地などが並ぶ手工芸品が並ぶバザールも見どころの1つです。
この見本市は別名「ラクダ祭り」とも呼ばれる程「ラクダの取引」がメインになっており、2万頭以上のラクダが集まるとも言われています。
ラクダたちは綺麗な衣装で装飾されるだけでなく、ラクダレースやダンスコンテストが行われます。
他にもヒゲコンテンスト(人間)や馬のダンスパフォーマンスが見られたりと、ユニークな催しがいくつも開催されるのでずっと飽きずに楽しめるイベントです。
豊穣を祈るタミル人の収穫祭ポンガル
- 宗教:ヒンドゥー教
- 時期:太陽暦の1月14もしくは15日
「ポンガル(Pongal)」は、自然に感謝をし豊穣を祈るタミル人の収穫祭です。
タミル歴のタイ月1日から開催され、太陽神スーリヤや、自然や家畜・農業や畜産に従事する人々へ、豊作の恵みに対する感謝を捧げます。
ポンガルには、タミル語で「沸騰する」「溢れる」という意味があり、お米を鍋で吹きこぼれるまで炊くことが演技がよいと考えられています。
そんな背景から、現在ではお米を牛乳やきび砂糖で煮詰めた「ポンガル」という料理を食べるのが習慣になっています。
ポンガルは南インドを中心としたお祭りですが、同時期にインド全土で同様の収穫祭があり「マカール・サンクランティ」や「ウッタラヤン」といった名前で、それぞれのお祝い方法で自然への感謝を捧げます。
ラマダーン月の終わりを祝うイード・アル=フィトル
- 宗教:イスラム教
- 時期:太陽暦の4月中旬頃
「イード・アル=フィトル(Eid al-Fitr)」は、ラマダーン月の終わりを祝うお祭りです。
ヒジュラ暦のシャウワール月の1日に行われるお祝いです。
イスラム教徒が断食を行うラマダーン月が終了した翌日に行われ、当日の朝には特別な礼拝をおこないます。
日本で言う「ハレの日」に近く、お祈りが終わるとラマダーン月の終了を家族や友人たちとお祝いする宴が開催されます。
兄弟・姉妹の絆を祝うラクシャー・バンダン
- 宗教:ヒンドゥー教
- 時期:太陽暦の8月下旬頃
「ラクシャー・バンダン(Raksha Bandhan)」は、サンスクリット語で「保護の絆」という意味を持ち、兄弟・姉妹の絆を祝うお祭りです。
ヒンドゥー歴のシューラーヴァナ月の満月の日にお祝いされます。
子どもから大人まで、姉妹側から兄弟の右手に「ラーキー」と呼ばれる紐のブレスレットを結ぶことで絆を祝います。
反対にラーキーを結んでもらった兄弟から姉妹側へは返礼品として贈り物が贈られ、姉妹たちを守ることを誓います。
ラクシャー・バンダンは必ずしも血がつながった兄弟・姉妹に限らず、兄や弟のように思っている男性・従兄弟などに贈ることもあるそうです。
ガネーシャ神の誕生日ガネーシャ・チャトゥルティ
- 宗教:ヒンドゥー教
- 時期:太陽暦の8月下旬~9月中旬頃
「ガネーシャ・チャトゥルティ(Ganesh Chaturthi)」は、ヒンドゥー教の神様の1つで象の姿をした「ガネーシャ」の生誕を祝うお祭りです。
ヒンドゥー歴のバートラバダ月の4日目から10日間お祝いされます。
このお祭りはマハラシュトラ州のプネやムンバイで盛大に祝われることで有名で、この期間はガネーシャ神がこの世を訪れると信じられているため、ガネーシャ像をお客様のように扱います。
最終日(10日目)には、音楽や合唱とともにガネーシャ像が街を練り歩き、最終的には近くの川や海などに流されます。
ガネーシャ像は粘土など自然に戻る素材で作られているため、川や海に流されたのちに天上の住処に戻ると信じられています。
3年に1度行われる沐浴の巡礼クンブ・メーラ
- 宗教:ヒンドゥー教
- 時期:3年に1度
「クンブ・メーラ(Kumbh Mela)」は、ヒンドゥー教徒が集まり、聖なる川で沐浴を行う大規模な巡礼行事です。
クンブ・メーラには「水瓶の集まり」という意味があり、ヒンドゥー教の神話の中で、「神が不死の薬(=アムリタ)が入った水瓶を運ぶ際にその滴が落ちた場所」として信じられている4ヶ所を巡礼するものとなっています。
- ウッタル・プラデーシュ州プラヤーグラージのガンジス川/ヤムナー川
- ウッタラカンド州ハリドワールのガンジス川
- マハラシュトラ州ナシクのゴーダーワリー川
- マディヤ。プラデーシュ州ウッジャインのシブラー川
これらの場所で沐浴することで、罪が清められると信じられています。
開催時期・場所については3年ごとに4ヶ所を持ち回る形で開催(=12年に1回の頻度で各場所で開催)されます。
おわりに
インドの代表的なお祭りをご紹介しました。
今回紹介したのはあくまで一部で、インドには書ききれないほど数多くのお祭りがあります。
そのお祭りがなぜおこなわれているのかといった背景を知ったり、具体的に何をするのかといったことを調べてみてはいかがでしょうか。